【奨学金最新事情】第2回:奨学金アドバイザーに聞く!知っておくべき給付型奨学金の利用法とは

2020年4月、国の施策として、高等教育(大学・短期大学・高等専門学校・専門学校)の修学支援制度がスタートします。給付型奨学金の最新事情を探る2回目の今回は、奨学金アドバイザーの久米忠史さんに、奨学金を利用する前に知っておくべきことについてお話をうかがいました。

給付型奨学金の対象拡大し、幅広い世帯が対象に該当

奨学金アドバイザーの久米忠史さん

エデュ:2020年4月からの給付型奨学金の対象拡大と授業料・入学金の免除又は減額の恩恵は、どのような人が受けるのでしょうか。

久米さん:高等教育の修学支援制度の対象は住民税非課税とそれに準ずる世帯です。私は日本全国で奨学金に関する講演を行ったり相談を受けたりしています。首都圏と地方では受ける印象が違うかもしれませんが、例えば沖縄では県立高校生の世帯の3世帯に1世帯が非課税世帯です。今回の対象拡大により3分の1額支援の第3区分まで含めれば、おそらく半分程度の世帯が給付型奨学金の対象に該当する可能性があります。沖縄に限らず、地域や世帯によっては朗報であることは間違いありません。

ただし、国の給付型奨学金と学費の減免はセットとなっています。また学費減免制度は、文科省が求める一定要件を満たした大学や専門学校だけが対象となります。したがって、例え給付型奨学金に採用されても、進学先が減免認定校でなければ両方の支援制度が受けられないのでご注意ください。

※学費減免認定校はこちらのサイトで確認できます。
奨学金なるほど相談所

(参考)日本学生支援機構の給付型奨学金

現行制度の給付月額

学種 通学環境 給付月額
国公立 自宅 20‚000円
自宅外 30‚000円
私立 自宅 30‚000円
自宅外 40‚000円

新制度による最大給付月額

学種 通学環境 第1区分 第2区分
(2/3支援)
第3区分
(1/3支援)
国公立 自宅 29‚200円 19‚500円 9‚800円
自宅外 66‚700円 44‚500円 22‚300円
私立 自宅 38‚300円 25‚600円 12‚800円
自宅外 75‚800円 50‚600円 25‚300円

学費減免の上限額の目安(年額)

学種 第1区分 第2区分 第3区分
入学金 授業料 入学金 授業料 入学金 授業料
国公立 大学 28万円 54万円 18万円 36万円 9.2万円 18万円
短大 17万円 39万円 11万円 26万円 5.6万円 13万円
専門 7万円 17万円 4.6万円 11万円 2.3万円 5.6万円
私立 大学 26万円 70万円 17万円 46万円 8.6万円 23万円
短大 25万円 62万円 17万円 41万円 8.3万円 20万円
専門 16万円 59万円 11万円 39万円 5.3万円 19万円

一方、首都圏の場合は、収入の面で対象とならない世帯も多いと思います。しかし、仮に夫婦共働きで年収が1200万円以上あったとしても、子ども二人を私立大学に通わせることになれば、やりくりはとても大変だという相談を受けたこともあります。

この場合、日本学生支援機構の貸与型奨学金という選択もあります。貸与型は進学前に申し込む「予約採用」と進学後に申し込む「在学採用」があり、「予約採用」時には父親の単身赴任や家族の介護等が考慮されますが、「在学採用」にはこれに加え子どもの「学費」も収入から控除の対象となります。奨学金を申請する際の申請時期についても、考慮されると良いでしょう。