【奨学金最新事情】第4回:自治体独自の給付型奨学金

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地方自治体が設けている大学進学等を支援する奨学金制度は、貸与型の奨学金がほとんどですが、給付型もあります。それには、「独自の奨学金を設けている自治体」と「日本学生支援機構の返済を支援する自治体」の大きく2つに分類されます。
今回は「自治体が独自の奨学金を設けているケース」、「一定の条件をクリアすれば返済が免除になるケース」、「日本学生支援機構の返済を支援するケース」の3つのケースから、特徴のある奨学金制度を設けている自治体をピックアップしてご紹介します。

自治体が独自の奨学金を設けているケース

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【沖縄県】県外の「スーパーグローバル大学」進学が対象『沖縄県県外進学大学生奨学金』

沖縄県では、県外大学への進学を支援する給付型奨学金『沖縄県県外進学大学生奨学金』を設けています。この奨学金はグローバル社会で活躍できる人材育成を目的としているため、文部科学省から「スーパーグローバル大学」として採択されている県外35の大学への進学を目指す生徒が対象となっています。県外35の大学には、北は北海道大学から南は鹿児島大学まで、全国の国公私立大学が採択されています。卒業後の県内就職は条件としていません。

<支援の内容>

給付額:入学支度金30万円以内/月額奨学金7万円
学力基準:高校入学時から出願時までの評定平均が4.0以上
家計基準:経済的な理由で県外大学支援が困難な世帯の生徒(4人家族で概ね年収420万円以下)
資質能力:将来、国内外で活動し、沖縄の振興発展に寄与するリーダーとなることが期待できる生徒(要学校長推薦)
その他:県内高等学校等の在学者又は卒業者(卒業後2年以内に限る)

【東京都江戸川区】社会に貢献する人材育成を目的に篤志家からの寄付で設置された給付型奨学金『木全・手嶋育英資金』

東京都江戸川区では、篤志家からの寄付を原資とした『木全・手嶋育英資金』を設置しています。将来、社会に貢献しうる人材を育成することを目的として、成績が特に優秀で心身健全であり、経済的理由により修学困難な方を対象に育英資金を支給する制度です。応募資格は、本人が区内に引き続き1年以上居住していること。修業年限が4年以上の大学(学校教育法第1条に定める大学)へ進学すること。特に優れた成績で、心身ともに健全であること。経済的理由により修学困難であること。同種の資金(給付型奨学金)を他から受けていないことです。

<支援の内容>

募集人数:10名程度
支給金額:入学金20万円、修学金年額35万円(年2回に分けて支給)※返還不要
支給期間:進学する大学の正規の修業年限

【兵庫県神戸市】市内在住の大学進学者対象の給付型奨学金『神戸市大学奨学金』

兵庫県神戸市では、企業や篤志家からの寄附を原資にした『神戸市大学奨学金』を設置しています。応募条件は、(1)神戸市内に在住する者、(2)現在、高等学校の最終学年または高等専門学校に在学し、引き続き、翌年4月に大学(大学院及び短期大学を除く。)に進学しようとする者、(3)日本学生支援機構、その他公私の団体または個人から、大学にかかる学資の給与もしくは貸与の予約を受けていない者(併給不可)、です。採用人数は年度ごとに若干名となっています。

<支援の内容>

奨学金の額は、自宅からの通学者は月額1万5,000円、自宅外からの通学者は月額2万円とし、奨学金の給与期間は正規の最短修業年限。

一定の条件をクリアすれば返済が免除になるケース

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【岐阜県】県内企業へ就職する人が対象『清流の国ぎふ大学生等奨学金』

岐阜県には、大学等卒業後、岐阜県内に居住し、県内企業等で就業した場合、奨学金全額の返還が免除される『清流の国ぎふ大学生等奨学金』があります。

<支援の内容>

貸与金額:月額3万円(年額 36万円)
貸与対象:県内の高等学校等を卒業し、県外に住所を有し、かつ、県外の大学等に在学していること。
募集人数:120名
返還免除条件:次の要件を全て満たした場合は、奨学金の返還を全額免除する。
① 大学等を卒業した日の属する月の翌月から起算して6月以内に県内に住所を有し、引き続き5年間県内に居住すること。
② 大学等を卒業した日の属する月の翌月から起算して6月以内に県内で就業し、引き続き5年間就業していること。

【富山県高岡市】卒業後市内で働く人が対象『たかおか留学奨学資金』

市外から市内の大学(大学院を含む)へ進学し、卒業後、高岡市に住んで働く意思がある人を対象とする奨学金制度『たかおか留学奨学資金』を設けています。無利子貸与型ですが、卒業後に高岡市に居住し就職すれば、最大で貸付総額の50%相当額まで返還の免除が受けられる優遇制度があります。

<支援の内容>

貸与金額:国公立大学・大学院 50万円/私立大学・大学院 70万円 ※卒業年次まで貸与(最長4年間)。
優遇制度:卒業後、高岡市に居住し就職すれば、最大で貸付総額の50%相当額まで返還を免除。

■【三重県】医療関係の進学に特化。県外出身者が対象『三重県保健師助産師看護師等修学資金』

地方自治体の中には、医師、看護師、薬剤師など、医療関係の進学に特化した奨学金を設けている自治体も少なくありません。三重県が設けている『三重県保健師助産師看護師等修学資金』は、「三重県外」の出身者で、大学卒業後、三重県内の指定就業機関において看護職員の業務に従事する意思のある看護学科学生に貸与されるものです。養成施設の卒業年に免許を取得(当該養成過程の免許に限る)し、直ちに引き続き三重県内の指定機関等において看護職員の業務(助産師養成施設在学生は助産師の業務)に従事して返還猶予を受けた人の中で、貸与期間に1年を加えた期間、看護職員として、中断なく継続してフルタイム勤務に従事した場合は、返還を全額免除されます。

<支援の内容>

貸与金額:看護師等養成施設 3万6000円/看護系大学5万円/助産師養成施設 5万円

日本学生支援機構の返済を支援するケース

地元企業に就職する人のための奨学金制度

「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(平成26年12月27日閣議決定)において、「奨学金を活用した大学生等の地元定着や、地方公共団体と大学等との連携による雇用創出・若者定着に向けた取組等を推進する」こととされたことを受け、総務省と文部科学省が連携して平成28年度に創設された奨学金制度です

特徴的なのは、地元への定住を目的にしていることです。
まず、地方公共団体と地元産業界が協力し、地元企業に就業した方の奨学金返還を支援するための基金がつくられ、この基金が、日本学生支援機構第一種奨学金の利用を希望する学生を「地方創生枠」として同機構に推薦し、優先的に採用してもらうのです。卒業後、地元企業に就職すれば、基金が奨学金の全額または一部の金額を本人に代わって返還します。

<支援の内容>

推薦人数:1都道府県あたり各年度上限100名
対象学校種:大学、短期大学、大学院、高等専門学校、専修学校専門課程
奨学金の種類:日本学生支援機構第一種奨学金(無利子)
要件:日本学生支援機構一種奨学金の貸与基準および各自治体の基金が定める基準を満たすこと

<採用自治体(都道府県)>

(地方公共団体が実施する奨学金返還支援制度及び第一種奨学生特別枠推薦制度:都道府県(基金設置団体))より

(1)山口県
山口県高度産業人材確保事業奨学金返還補助制度
(2)鳥取県
鳥取県未来人材育成奨学金助成金
(3)徳島県
徳島県奨学金返還支援制度
(4)香川県
日本学生支援機構第一種(無利子)奨学金返還支援制度「大学生等かがわ定着促進基金」
(5)富山県
富山県理工系・薬学部生対象奨学金返還助成制度
(6)新潟県
新潟県Uターン促進奨学金返還支援事業
(7)鹿児島県
鹿児島県大学等奨学金返還支援制度
(8)栃木県
とちぎ未来人材応援奨学金支援助成金
(9)福井県
福井県U・Iターン奨学金返還支援事業
(10)山梨県
山梨県ものづくり人材就業支援事業
(11)福島県
福島県の将来を担う産業人材確保のための奨学金返還支援事業
(12)秋田県
秋田県内就職者向け奨学金返還助成
(13)長崎県
長崎県産業人材育成奨学金返済アシスト事業
(14)山形県
山形県若者定着奨学金返還支援事業
(15)和歌山県
和歌山県奨学金返還助成事業
(16)石川県
石川県ものづくり人材奨学金返還支援助成制度
(17)島根県
島根県奨学金返還支援助成制度
(18)岩手県
いわて産業人材奨学金返還支援制度
(19)三重県
三重県地域と若者の未来を拓く学生奨学金返還支援事業
(20)奈良県
奈良県文化芸術振興奨学金事業
(21)東京都
介護職員奨学金返済・育成支援事業
(22)高知県
高知県産業人材定着支援事業(奨学金返還支援制度)
(23)兵庫県
中小企業就業者確保支援事業(兵庫型奨学金返済支援制度)
(24)愛媛県
愛媛県中核産業人材確保支援制度(奨学金返還支援制度)
(25)熊本県
ふるさとくまもと創造人材奨学金返還等サポート制度
(26)宮崎県
ひなた創生のための奨学金返還支援事業
(27)京都府
京都府就労・奨学金返済一体型支援事業

制度の対象者などの詳細は、自治体によって異なる場合があります。在住している自治体のホームページなどで確認してください。


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