家庭的というのは甘やかすだけではない 暁星小学校 

inter-edu’s eye
第4回では、全国的にも私立小学校としては数校しかない男子校、そして熱心なカトリック系ミッション校でもある暁星小学校の吉川直剛校長にインタビュー。カトリック系ならではの普段の生活や、教育に対する思いなどをうかがってきました。

学校はひとつの道場である

とにかく歩く「合宿教育」

暁星小学校1

エデュ:まずは暁星小学校の特徴を教えてください。

吉川校長:学校教育として一番大切にしているのは、「カトリック学校」で、キリスト教の精神に基づいて教育を行っていることです。

カトリックには「普遍的」という意味があり、普遍的とは、神様の愛であり、「どんな時でも、どんな人でも、どんな場所でも」注がれている、という意味合いがあります。子どもたちが神様に愛されているのを感じ取れ、自分たちは愛されている、だから神様の愛を今度は周りの人に広げていく。これが本校の教育の特徴です。ただひとつ誤解していただきたくないことがあります。

エデュ:それは何でしょうか?

吉川校長:本校の正門門柱に「困苦や欠乏に耐え、進んで鍛錬の道を選ぶ、気力のある少年以外は この門をくぐってはならない」という言葉が刻まれています。これは母体であるマリア会の教育方針のひとつにある、「学校はひとつの道場である」という考えを言葉にしたものです。愛を感じられる家庭的な雰囲気もありますが、一方自分の心身を鍛えなければいけない厳しい面もある。これが暁星小学校の特徴であり、随所に子どもたちを育てるイベントやカリキュラムが用意されています。

エデュ:代表的なものを教えていただけますか?

吉川校長:それは「合宿教育」です。2~6年生が春と秋の2回、栃木県の那須に行き、学年によって泊まる日数は異なりますが、合宿を行います。那須の学舎に泊まり、テント設営、飯ごう炊飯、学年によっては、登山などの野外活動をします。この合宿の特徴のひとつに「とにかく歩くこと」が挙げられます。合宿所に着くまではバスで行きますが、着いてからの移動は徒歩のみで、高学年になると、20kmぐらい歩くこともあります。都会に住んでいるとこれだけ歩くことはないので、なかなかきついと思います。

運動が得意な子でも、普段経験したことがない、自然という慣れない環境で過ごすことにより、肉体的にだけでなく、耐えることや我慢することを学んでいきます。

体を動かすことが好き!は入学の必須条件

国技ならぬ校技をもつ暁星小学校

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エデュ:「暁星といえばサッカー」というほど、サッカーが強いですね。

吉川校長:そうですね。本校では国技ならぬ「校技」といえるほどサッカーには力を入れています。週2時間の体育以外にもう1時間サッカーをする時間があります。各学期終わりには学年ごとにクラス対抗の校内サッカー大会を行っています。サッカーを通して体を鍛えるだけでなく、勉強面にもその根性を発揮させ、「勉強とスポーツ」を両立することが目的です。

さらに夏季休業中には「セカンドスクール」として、「一般サッカー合宿」というものがあります。この合宿は3・4年生を対象に、3泊4日行われるのですが、文字通りサッカー漬けの日々を送ります。児童たちからすると先生たちと普段とは違ったお付き合いができ、コミュニケーションの場という側面もあります。

エデュ:入学する生徒さんは、やはりサッカー好きが多いのでしょうか?

吉川校長:いえ、一概にそうとはいえませんが、試験では体を動かすことが好きかどうかはしっかり見ます。入学後、先ほどお話しした「合宿教育」だけでなく、運動会や水泳大会など体を動かすイベントがたくさんあります。体を動かすことが好きでない子は、入学後厳しくなってしまうので、ここはしっかり見るようにしています。

ペーパーテスト難関校が求める家庭の理想像とは?

英語だけでなくフランス語も学べる

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エデュ:教育カリキュラムとして力を入れているのはどんな点でしょうか?

吉川校長:たくさんありますが、代表的なものは「外国語教育」です。以前はフランス語教育を行っていましたが、今では1~6年生まで週2時間、ネイティブも交え、英語教育を行い、中学校に送り出しています。ただ、フランス語を学ぶ伝統も大切にしていきたいと思っていますので、低学年で学期に数時間の授業を行なったり、クラブ活動の時間に希望者に行ったりもしています。

エデュ:最後に貴校が求める受験生の理想像を教えてください。

吉川校長:1つ目は、さきほどお話しした教育理念を理解してもらえるご家庭であること。2つ目は、人の話しをきちんと聞けることです。男の子は女の子と比べ、体を動かす「動」の部分は大きいですが、「静」の部分ができない子が多くいます。もちろん入学後に教育もしますが、入る前のご家庭での教育も重要だと考えています。実はペーパーテストでこのあたりを見ています。

ご存じの方もいるかもしれせんが、本校は入学試験のペーパーテストが難関と言われています。多くの問題を短い時間で解かなければいけないのですが、スピードを求めているわけではありません。じっと集中して考えることができるかどうかを見ています。逆にいうと、こういう子であれば答えられる問題作りをしています。

暁星小学校データ

学校名 暁星小学校
男子・女子・共学 男子
所在地・アクセス 〒102-0071 東京都千代田区富士見1-1-13
各線「九段下駅」「飯田橋駅」より徒歩約7分
校訓 神を愛し 人を愛する
制服の有無
給食の有無

編集部から見たポイント

今回の取材を通し、吉川校長がお話しされていた「学校はひとつの道場である」という言葉が非常に印象に残りました。教育とは一人ひとりに寄り添い、優しくするだけでなく、時には厳しく、心身を鍛えるような経験もさせる。そうすることで、社会で生きていくうえでの力を身につけていけると感じました。


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