学習意欲を高める!プロが選んだ「子どもの本1000冊」 エデュママリサーチ第49回

慶応幼稚舎など名門小の先生が選んだ「子どもの本1000冊」2015年2月6日

慶応幼稚舎など名門小の先生が選んだ「子どもの本1000冊」 2015年2月6日

ゲームをするより本を読んでほしい、子どもに読書の習慣をつけたい…と願っている親御さんはとても多いでしょう。ネットでもあらゆるところに「子どもに読ませたい本」が紹介されています。

「でも、自分で読みたい本はすぐにわかっても、子どもにどんな本を読ませたらいいかは、とても悩むものです。それに親が読ませたいと思う本が、子どもが読みたい本とは限りませんしね…」というのは、以前、ご紹介した『きっずジャポニカ新版』の編集長、吉田兼一さん。吉田さんは、『きっずジャポニカ新版』編集当時から、そんな親たちの悩みにどうしたら答えられるかを考えていました。そして、『きっずジャポニカ新版』指導を仰いだ小学校の先生がたに相談して、あらたな考え方で子どもの本を選び直す作業に着手、このたびそれを『小学生の考える力を伸ばす「国算社理」の1000冊』という本にまとめて発売しました。この本には、子どもの本がなんと1000冊も紹介してあります。どんな本なのか、「はじめに」の冒頭を読んでみると…

子どもたちは、無数の好奇心をかかえて生まれてきます。
「なぜ、どうして」という問いかけに、すぐに答えてあげることができれば、それに越したことはありませんが、正確にわかりやすく伝えるのは至難の業。
そこで本が役立ちます。
ただし、子ども向けの本だからといって、どれも優れているとは限りません。正しいことが書いてあるのは当たり前ですが、子どもが手にとって熱心に読めるかどうか、つまり読む力に合わせて書かれているかどうかが問われます。そして、興味が続くようにおもしろく書かれているかどうかも大事です。(後略)

◆有名私立小学校の司書教諭がジャンルごとに厳選!

この本に紹介してある1000冊の本を選んだのは、有名私立小学校の現・元司書教諭の先生がた。元慶應義塾幼稚舎教諭の白井文子先生、元国立学園小学校教諭の小松田知子先生、聖徳学園小学校教諭の江橋真弓先生、清明学園初等学校教諭の石故裕介先生の4名です。

小学校の図書館で古今東西の児童書に接しながら、子どもの読書の実態を間近に見てきた先生がたが、子どもにとってよい本か、子どもの成長にあわせて書かれているか、そして何より子どもがおもしろいと思うかなどを検討して厳選した1000冊。つまり、この本は、子どもの本のプロフェッショナルが選んだ1000冊のデータベースになっているのです。

もうひとつの特徴は、国語、算数、社会、理科、体育、音楽・図工、くらしの7分野に分けて選んである点です。もともと『きっずジャポニカ』編集の際に、先生がたが各教科の発展学習にふさわしいとして選んだ700冊がベースになっており、漠然と子どもによい本というわけではなく、学習と密接に結びついた1000冊になっています。

「“子どもに読ませたい”という言い方は、何か大人の押しつけっぽい感じがしてあまり好きではありませんでした。
そうではなくて、“はじめに”にも書いてあるように、子ども自身が何かに疑問を持ったり興味を抱いたりしたとき、親がその関心にあわせてふさわしい本をすすめることができれば、それがいちばんいいのではないかと思ったわけです。ただ、そのためには、ある程度の数の本を集める必要があります。子どもの好奇心・関心はあらゆるジャンルにわたりますから、先生がたにもだいぶお手数をかけてしまい、結果的に1000冊という数になりました」(吉田さん)

1000冊の中には、新しい本もあれば古い本もあります。中には品切れなどで書店での入手困難が予想される本もあるとか。それらには、出版年の表記のあとに*印がついていますが、逆に図書館には置いてある可能性が高いのだそうです。

それぞれの本は、各分野ごとにあいうえお順で1ページに6冊掲載。表紙写真、タイトル、著者名、出版社、出版年と100字以内の簡単な内容紹介、さらに“おたすけアイコン”と“わかりやすさマーク”がついています。

◆子どもの問いかけにあわせて、本をすすめよう

子どもが「○○って何?」「どうして△△なの?」などの疑問を発したときに、その場ですぐにこの本を手にとって、分野を選び、その疑問にふさわしい本をササッと見つけるという使い方が最適でしょう。タイトルと著者名、出版社名がわかればネットで検索も可能ですし、入手法に関するアドバイスもあるので万全です。

中学校までの読書体験が、子どもの能力や教養を高めるという事実は、さまざまな調査結果で実証されていることです。読書は、好きなジャンルの知識をさらに深めるだけでなく、小さな好奇心をきっかけに新しいジャンルへ関心をつくるきっかけにもなります。わからないことを自分で調べる習慣をつけることもできます。

この本をお母さまの手元において、子どもの関心にあわせて適切な本をすすめることができれば、子どもが読書好きになる可能性もぐっと高くなるというもの。ぜひおすすめしたい児童書のデータベース本なのです。

小学生の考える力を伸ばす「国算社理」の1000冊

小学生の考える力を伸ばす「国算社理」の1000冊

白井文子、小松田知子、江橋真弓、石故裕介著、小学館刊、2200円+税
読み物だけではなく算数、理科、社会から、体育(医療)、音楽・図工(芸術)や、くらしに役立つ知識まで。7つの分野(教科)に分けた1000冊に、ジャンルをこえた特徴である「とにかく笑える本」「いじめについて教えてくれる本」などの《おたすけアイコン》30種を用意してフラグを立てました。ベースは、2013年11月に発売された小学百科大事典『きっずジャポニカ新版』。13500項目のうち重要項目700に対して発展学習に役立つ参考図書を紹介しましたが、その選定を担当したのが、本書の著者、4名の都内有名私立小学校司書教諭です。さらに1年半かけて選定を見直し、新刊書300冊を追加して1000冊すべての内容紹介を執筆。お子さまが夢中になれる一冊がきっと見つかります。 …購入はこちらから