『辞書引き学習』で学ぶ力、考える力、語彙力を育む エデュママリサーチ第51回
中受に必須の学ぶ力・考える力は『辞書引き学習』で身につける!2015年3月6日
子どもは皆、好奇心のかたまりです。言葉を覚え始めるころから、見るもの聞くこと何でも「あれ何?(WHAT)」「どうしてそうなの?(WHY)」と興味津々。そんな子どもの「知りたい」という欲望がスムーズに勉強につながれば、親としては万々歳ですよね。
といっても多くの場合、なかなかかうまくはいきませんが、中にはうまくいく場合もある。子ども時代の好奇心が学習意欲につながり、よい成績につながり、超難関大入学につながって、まれには世界的な業績にまでつながっていく。そんな優秀なお子さんの親御さんがよく言う言葉は、「親の私? とくに何もしませんでしたね。本人次第では?」。本人がしたいと思って勉強すれば最大限の効果があがる。だとしたら親にとって、子どもの好奇心を学習につなげる努力は、最大限してみる価値のあることではないでしょうか。
◆辞書引きが面倒になるのは一生の損失
さて、ご存じの方も多いと思いますが、子どもの好奇心をスムーズに学習につなげる『辞書引き学習』についてご紹介します。少し前まで立命館小学校の校長先生をしておられた深谷圭助先生が、90年代から開発・提唱してこられた学習法です。
動画『深谷圭助先生の辞書引きライブ授業を見てみよう』を見ていただくと一目瞭然ですが、小学一年生が夢中になって国語辞典を引いています。子どもの「知りたい」という欲求が、そのまま辞書を引くことにつながり、知識の蓄積につながっていく流れがとてもよくわかります。この動画のように、子どもを導いてあげることができたら素敵です。
でも、みなさんは辞書を引くことって好きですか? 面倒ですか? 世の中全体としては、面倒と思う人のほうが多いでしょう。そして一度面倒と思ったら最後、なかなか辞書を引かなくなります。以後、知りたいことを簡単に知ることができるツールを敬遠する人生になってしまう。でも、わが子に同じ轍を踏ませるのはやめたいですよね。
中には、こんなご家庭もあります。
「うちの主人は、雑談しててもテレビを見ていても、わからないことがあるとすぐに辞書を引くんです。なんでも主人の父が学校の先生で、小さい頃からいつも辞書を引いていたからと言うんですが、おかげでうちの子も、辞書を引くのが楽しいらしくて、小一にしては驚くほど難しい言葉を知っていたりするんですよ」
◆辞書引き学習にぴったりの辞書が登場
辞書を引くことを面倒だと思わない子どもは、自分で疑問を解決することができます。身近に辞書・辞典の類を置いてあげさえすれば、疑問に思ったときに、自分で引いて知識を身につけていくことができます。親にやりなさいと言われた勉強と違って、自分の好奇心のおもむくままですから楽しい作業です。最初は国語辞典だけでも、すぐに漢和辞典から英和・和英、さまざまな外国語の辞書、さらには科学関連の辞典や百科事典と、いろんなジャンルの辞書・辞典を思いのままに使って楽しむことができるようになるのです。
ただ、親自身が辞書は苦手と内心思っていたら、子どもに辞書を買い与えても、子どもは親の内心をキャッチしてひいてしまうかもしれません。辞書を引く親の姿を見たことのない子どもには、辞書が身近なものとは思えないかもしれません。
ですから、そんなご家庭こそ、深谷先生の『辞書引き学習』を取り入れてみてはどうかと思うのです。『辞書引き学習』は、子どもにとっては勉強というよりゲームに近い感覚です。必要なものは、ケースを取り外した総ふりがな付きの国語辞典とふせん、えんぴつだけ。「自由に開いて知っている言葉を見つけてごらん」と言って辞書を手渡し、見つけた言葉と番号を書いたふせんをそのページに貼っていきます。初めは意味を読ませる必要などなく、慣れてきたら子どもは自然と読むようになります。
このたび、小学生にいちばん使われている『例解学習国語辞典』が、深谷先生を編集代表に迎えて全面改定されました。1年生から使えるようにすべての漢字に振りがながつき、深谷先生指導の「辞典を100倍活用する方法」や「小学生のうちに身につけておきたいことば7,700語」が収録されています。この7,700語は、深谷先生が『辞書引き学習』に続いて提唱している『語彙力学習』のために選定されたもの。字が大きくて読みやすいA5判のワイド版もあって、1年生からの『辞書引き学習』にぴったりです。
子どもは『辞書引き学習』によって、勉強が教えてもらうものではなく、自ら学ぶものであることを体得します。語彙力だけでなく、考える力も身につけます。『辞書引き学習』による学力の向上は、多くの小学校から報告されており、90年代に学んだ子どもたちが、今や東大や国立の医学部などに続々進学、医学書も『辞書引き学習』の要領で学んでいたりします。受験勉強をスムーズにすすめるためにも、ぜひ取り入れていただきたい学習法だと思います。
編/金田一京助 編集代表/深谷圭助
小学館刊、B6判:1,900円+税、ワイド版(A5判):2,200円+税、ドラえもん版:2,000円+税
1965年の初版以来1,100万部を誇る国語辞典の全面改定版。『辞書引き学習』提唱者、深谷圭助先生を編集代表に迎えさまざまな工夫がこらしてあります。深谷先生が選んだ “小学生のうちに身につけておきたいことば”7,700語を赤字の見出し語で掲載、コンピュータ時代にふさわしい新しい言葉を1,500語追加するなど、類書中最大級の36,500語を収録。この辞書のためにつくった本文用紙で従来よりも軽量化。さらに『辞書引き学習』のために本の上の余白を広げ、ふせんを貼って文字が隠れないように工夫。字が大きく読みやすいワイド版は、一年生からの『辞書引き学習』に最適。また内容はそのままに、装丁や口絵、コラム、本文などに、ドラえもんキャラクターをあしらったドラえもん版(写真右中)もあり。いずれにも両面カラーのポスター「学年別漢字表」がついています。
…購入はこちらから(ワイド版)
また『例解学習漢字辞典』(写真右下)も深谷先生を編集代表に迎えて全面改定。こちらも、B6判(1,900円+税)、ワイド版(2,200円+税)、ドラえもん版(2,000円+税)の3タイプがあります。…購入はこちらから(ワイド版)
編集代表 深谷圭助(ふかや けいすけ)さん
1965(昭和40)年生まれ。立命館小学校校長を経て、現在、中部大学現代教育学部准教授。生活のあらゆる場面で辞書を引く「辞書引き学習」を開発し、自ら学ぶことの大切さを提唱。おもな著書、監修書:『7歳から「辞書」を引いて頭をきたえる』(新潮文庫)、『辞書引き学習で子どもが見る見る変わる』(小学館)など多数。『例解学習国語辞典 第十版』『例解学習漢字辞典 第八版』(小学館)の編集代表でもある。
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