私立の方も必見!全国学力調査(学力テスト)から見えてくること

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全国学力・学習状況調査をめぐっては、各地で行きすぎたテスト対策が問題になるなど、実施に賛否が分かれるところです。ですが、国立教育政策研究所の教育課程研究センターで毎年出している分析結果を見ると、今の教育事情を知ることができる、貴重な情報がたくさんありました。
そこで、教育熱心な親御さんに、知っておいて損はない、全国学力・学習状況調査の結果から見えてくることをお伝えします。

全国学力・学習状況調査はなぜ行われるの?

全国学力・学習状況調査はなぜ行われるの?

2007年から始まり、小学6年生と中学3年生を対象に行われる全国学力・学習状況調査(通称:学力テスト)。都道府県別の正答率が公表されるので、メディアはランキングを報じ、点数の競い合いを煽るような風潮もあります。

2015年、大阪府では、学力調査の学校別結果や平均正答率を、高校入試に間接的に使用する方針を発表し、物議を醸しました。それを受けて、文科省は2016年度全国学力調査の実施要領に「調査結果を直接又は間接に入学者選抜に関して用いることはできない」と明記しています。

調査の本来の目的は、政府が各自治体の学習状況の実態を把握し、学校側が指導に役立てることです。点数自体を評価するものではないのです。

ところが、その意図が伝わらず、一部の自治体では、他都道府県に引けを取らないようにと、テスト対策が過熱する一方。よって政府は今年から、都道府県別の結果を整数で公表し、全国の順位が詳細に分からないようにしています。

そして、2018年からは、先生が夏休み中の学習に調査の結果を活用できるよう、8月末の結果公表を一か月前倒し、7月末にすることを発表しています。

62億円もの予算が投入される調査ですから、改善も徐々に行われているようですが、さらなる活用を期待したいところです。

調査結果の分析で見えてきたこと

全国学力・学習状況調査の結果分析を行っている、国立教育政策研究所 教育課程研究センター公式サイトの学力調査公表資料から、次の分析を行ってみました。

私立中学校の実施率が下がっている?

私立中学校の調査対象学校数は、全国で2007年度では688校、2017年度では、759校と増加しています。それにもかかわらず、学力調査の実施校数は、この10年で60.5%から48.2%に減少しています。
(下記表参照)

中学校実施校数(実施率%)

学校種別 2007年度 2017年度
公立 10,050(96.3%) 9,539(99.1%)
国立 78(98%) 77(96.3%)
私立 416(60.5%) 366(48.2%)

※2007年度は4月24日に、2017年度は4月18日に調査を実施した学校数を参照。
2017年度全国学力・学習状況調査の結果(概要)より

学力調査は、文部科学省が、教育委員会等の協力を得て実施するもので、私立学校に関しては、都道府県知事が調査に協力する形です。よって、私立学校は、教育委員会の所轄ではないため、強制力が弱く、実施率が低いと考えられます。

また、私立学校は、独自の教育方針を持った組織であり、学力調査が教育方針と異なるため、実施はしないと考えていることもあるでしょう。実施率が下がっているのは、その傾向が高まっているからかもしれません。

数学の正答率が下がっている?

学力調査の問題は、主として基礎的・基本的な、知識及び技能に関する問題(タイプA) 、主として活用に必要な思考力、判断力、表現力に関する問題(タイプB)に分かれます。そこで、中学の問題の正答率について、2007年度と2017年度を学校種別、教科別で比較しました。

中学校種別・教科別正答率(2007年度、2017年度の比較)

数学の正答率が下がっている?

どの学校種別でも、特に数学Bが2017年度が2007年度と比べて10%以上正答率が下がっています。

教育課程研究センターによると、問題は、その年の学習指導要領に基づき作成し、毎年すべての単元からは出題できないので、数年かけてまんべんなく出題されるようにしているとのこと。問題が易化・難化するような出題の仕方はしていないということです。

よって、10年前との問題自体の比較はできかねますが、2017年度全国学力・学習状況調査の結果-1.教科に関する調査結果を読むと見えてくることがありました。

数学Bにおいて、特に正答率が低い記述問題の解説を見ると、「数学的な表現を用いて説明することに課題がある。」という表現が3つもあり、2007年度の解説と比較すると、この点が特に強調されています。

それは、大学入試とどうやら関係がありそうです。 2017年7月13日に文部科学省から発表された、大学入試共通テスト実施方針によると、数学の評価すべき能力・問題類型等において、
「図表やグラフ・文章などを用いて考えたことを数式などで表したり、問題解決の方略などを正しく書き表したりする力などを評価する。 特に、『数学を活用した問題解決に向けて構想・見通しを立てること』に関わる能力の評価を重視する。」
との記載があります。

この能力を伸ばすことが、現在行われている文部科学省での一連の改革で目指す、社会で活躍する人材の育成に繋がるので、学力調査の結果として、”見える化”し、改善を促しているのではないでしょうか。

質問紙調査から見えてきたこと

全国学力・学習状況調査はなぜ行われるの?

学力調査と同時に、生活環境や学習環境状況を調べる「質問紙調査」も行われます。そして、質問紙調査の結果と学力との相関関係も導きだしています。
そこで、比較的相関関係があったもの(相関係数が0.2以上)を抽出し、学力に多少なりとも影響する項目を下記にまとめました。(※別紙参照 2017年度全国学力・学習状況調査相関係数表)

①朝食を食べること
②家庭学習の習慣と学習時間
課題について考え、発言し、相手の意見を聞き、自分の意見も述べる力
④国語:自分の考えを分かりやすくまとめて書く力、数学:解法を考える力。(=論理的思考力)
⑤最後まで解答を書こうと努力すること(=最後まで諦めない、粘り強さ)

朝食を食べることが、特に基礎を問う数学Aにおいて相関関係が示されていたことは大変興味深い結果です。
また、③、④、⑤はまさに、次期学習指導要領が示す「主体的・対話的で深い学び」(アクティブラーニング)で得られる力、必要とされる力なのです。
私立中高一貫校で今盛んに進められている、アクティブラーニングの重要性がここでも明らかです。

教育情報から見えてくる、教育の”過渡期”の今、どうしたら?

今、日本の教育が変わる過渡期であり、子どもにどんな教育を受けさせたらよいのか、親としてどういう教育ポリシーを持てばいいのか、悩んで自信が持てない方も多いのではないでしょうか。
またメディアが多様化し、さまざまな情報があふれている中、何を信じてよいのか不安にもなります。

このような時代だからこそ、賛否両方の情報を知ることが大切です。そして、親も教育に関して「主体的・対話的で深い学び」を行い、理解を深めていきたいものですね。

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