実は気になる!私立中高一貫校の「給食・お昼事情」

私立中高一貫校の中学校では、ほとんどがお弁当持参です。しかし、共働きが増え核家族化やライフスタイルの変化に伴い、親御さんの学校に求める隠れたニーズとして、給食の実施や中学校からの食堂(学食)の利用があります。そこで今回は、私立中高一貫校の給食・お昼事情について調べてみました。

私立と公立の給食事情を比較!

私立と公立の給食事情を比較!

私立中高一貫校では、昼食は家庭弁当が中心であり、それが当たり前とされてきたため、疑問を持つ方は少ないでしょう。

なぜ給食がないのでしょうか。

公立中学校の給食実施においては国から補助があり、ほとんどの自治体では、給食費を家庭と自治体とで折半します。私立にはそういった制度がないということも理由の一つとして考えられます。

また、家庭弁当における教育的意味を重視するため、原則弁当持参としている学校もあります。

次に、公立中学校の給食実施率を見てみましょう。

文部科学省から先日10月31日に公表された、2016年5月時点での学校給食実施状況調査によると、中学校数でみる完全給食実施率は、全国で90.2%、1都4県で見ると、東京都98.7%、神奈川県27.3%、千葉県100%、埼玉県99.5%となっています。

10年前の2006年では、全国平均79.9%となっているので、実施率が上がってきていることが分かります。

ではなぜ、給食を実施する公立中学校が増加しているのでしょうか。

その理由の一つは、学校給食を通じた「食育」です。

農林水産省の第3次食育推進基本計画に、
学校給食は、栄養バランスのとれた豊かな食事を児童生徒に提供することにより児童生徒の健康の保持増進や体位の向上を図るものである。また、児童生徒が食事について理解を深め、望ましい食習慣を養うなど実体験に基づく継続的な指導を展開することができる重要な手段でもある。しかし、完全給食がおおむね実施されている小学校と比べ、中学校ではその実施率が低い。このため、学校給食を通じた、より効果的な食育を推進することを目指し、公立中学校における学校給食の実施率について、平成26年度に87.5%となっている割合を、平成32年度までに90%以上とすることを目指す。
とあります。

また、栄養バランスについては、厚生労働科学研究・研究班が調査した日本の小中学生の食事状況調査(平成27年度)によると、給食のあり、なしで差があることが分かっています。特に、

・ビタミン、ミネラル(ナトリウム、カリウムを除く)の摂取状況においては、中学生では注意が必要な可能性がある。
・食物繊維の摂取不足が見られる。

ことを指摘しており、「学校給食は多くの栄養素の摂取状況の改善に重要な役割を果たしている」とあります。

心身ともに大きく成長する思春期の中学生には、栄養バランスが取れた食事がとても大切なことが分かります。お弁当作りにおいても気を配っていきたいところです。

私立にもある!給食実施の学校

そうは言っても、栄養バランスの取れたお弁当づくりを毎日行うのは、本当に大変なことです。体調不良で作れないこともあるでしょうし、共働き家庭ではなおさらです。

そこで、私立中学校で給食を実施している学校を調べてみました。

学校名給食提供日
青山学院横浜英和中学校毎日
上野学園中学校毎日
穎明館中学校毎日
大妻嵐山中学校毎日
川村中学校毎日
駒込中学校毎日
桜丘中学校週3
自由学園男子・女子部中等科毎日
西武台新座中学校毎日
創価中学校毎日
千葉明徳中学校毎日
東海大学菅生中学校毎日
東京家政大学附属女子中学校毎日
東洋大学京北中学校毎日
東京都市大学等々力中学校毎日
新渡戸文化中学校毎日
文化学園大学杉並中学校毎日
文京学院大学女子中学校毎日
本庄東高等学校附属中学校毎日

※インターエデュ調べ。詳しくは学校へお問い合わせください。

給食の提供には、教育方針が表れているので、どんな内容なのか、食育が行われているかどうかなども含めて調べてみると、新しい発見があるかもしれません。

私立のお昼事情、お母さまたちはどう考えている?

私立のお昼事情、お母さまたちはどう考えている?

1都4県の私立中高一貫校は約330校あるので、給食を実施している学校はわずかです。最近の傾向としては、中学校から学食を利用できたり、弁当を注文できる学校が増えてきているようです。

今の私立のお昼事情について、お母さまたちの声が掲示板【4592895】学食・食堂情報に寄せられていたのでご紹介します。

※掲示板からの引用文は、一部の編集をのぞき、原文を尊重して、そのまま掲載しています。

好みのものや、子どもの健康状態に合わせられるので、お弁当もまぁいいかと思うほうです。 ただ、私も夏場にお弁当を作るのは嫌いです。 食中毒とか考えると嫌でしょうがない。 【投稿者: くだらないけど質問さん】

運動部は基本お弁当は2個持ちだそうです。寝坊したり体調不良でお弁当が作れない時には(食堂が)あると便利な感じですね。それで十分助かってます。 【投稿者: 必要最低限さん】

運動部に所属している男子生徒は、食事量も多くお弁当だけでも大荷物になりますし、夏場のお弁当も心配になります。基本は家庭弁当で、どうしても利用したいときにだけ、利用できる食堂や売店があると助かるという考えですね。

母の毎日の弁当作りは負担なので、食堂や売店が使えるかは重要でした。 週3回程度は弁当、2回は食堂やカフェテリア、コンビニ購入を母と子供の状況で使い分けしています。(中略) 昼食=弁当=母が作るという固定概念は時代にそぐわなくなっていると思います。 【投稿者: 2017年終了組さん】

私立中に通う息子さんは毎日自分でお弁当を詰めています。 同じ学校の海外出張もこなすバリキャリのお母様、出張の時には食堂があってありがたいと言っていました。息子さんは料理や食器洗いなど、小学生の頃から忙しいお母様に協力してくれているそう。 手作り弁当で母親の愛情を測る考え方はやはり時代錯誤と思いますよ。今まではよかったかもしれませんが、これからは。【投稿者: これからの男子さん】

ご家庭によっては、食堂や売店の利用が頼みの綱になることもあるでしょう。共働き家庭が増えている今、昼食を通じて家事分担の考えをお子さまにも共有していくことも、これからの時代必要ですね。

私立中高一貫校に進学させるなら、お弁当ぐらいは母親が作って当たり前という考えが根強くあり、給食や中学校からの学食の利用を表だって言えないような雰囲気があるのも事実です。しかし、これからは多様性を認め合うことが必要な時代です。栄養バランスの取れた食事を誰が用意するかは、それぞれのご家庭が事情に合わせて最適な方法を選び、それを尊重し合う。これも多様性の一つではないでしょうか。

「食」は、子どもたちの学力を支え、心身共に健全に成長する上では欠かせないものです。志望校選びにおいて、給食・お昼事情にも注目してみることをおすすめします。

■参照元:
総務省統計局 平成28年度学校給食実施状況調査