中学受験、重要ポイントはここだ!【親向けガイド】

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中学受験の実態がよく分からない…そんな親御さん向けに、中学受験で知っておきたい重要ポイントをまとめました。「志望校の選び方」「私立中高一貫校の学費」「私立一貫校と公立一貫校の違い」「中学受験のための勉強時間」は要チェックです。また、中学受験は母親のサポートが一般的であるため、今「父親の関わり方」が模索されているところ。そこで、実際に中学受験を経験した先輩パパにもアドバイスをいただきました。 これ一つでお父さまはもちろん、お母さまも中学受験への取り組み方がスッキリ分かります!

中学受験生の親が知りたいことベスト5!

中学受験生の父親が知りたいことベスト5!

中学受験生の父親限定で「中学受験のことで今最も知りたいことは?」とアンケートしたところ、ベスト5は「志望校の選び方」「私立中高一貫校の学費」「私立一貫校と公立一貫校の違い」「中学受験のための勉強時間」「中学受験への父親の関わり方」となりました。お父さまだけでなく、受験に詳しいお母さまも、改めてチェックしておきたい内容です。

1. 志望校の選び方

首都圏の私立中学校数は、埼玉県30校、千葉県24校、東京都188校、神奈川県63校の、合計305校(文部科学省2017年度学校基本調査より)です。この中から志望校を選ぶためには、絞り込みのポイント「校風・教育文化」「通学時間」「大学合格実績」「偏差値」を詳しく理解しておくことが大切です。「学校選びで、いちばん重視するポイントは?」のアンケート結果でも、この4つが上位となっています。

■校風・教育文化

私立には「建学の精神」があります。男子校・女子校・共学校といった学校種別、仏教系・キリスト教系という宗教別、伝統校・新興校などの特色も合わさり、学校独自の雰囲気を形成しています。規律正しい厳格な学校と自由闊達な学校など、真逆の校風を持つ学校が存在するのも私立の魅力です。
そのため、学校を実際に訪れ、校風を肌で感じることが大切。学校の雰囲気を知り、お子さまの性格に合うかどうか、子どもをどう育てたいかという教育観と擦り合わせて志望校を選んでいきます。思春期である中高の6年間は人格形成の大事な時期。学校がお子さまに与える影響は甚大です。「校風・教育文化」を志望校選びの中心に置いて検討しましょう。

■通学時間

通勤と同じく毎日のことですから、負担のない通学時間が望ましいでしょう。「通学時間の許容範囲は?」のアンケートでは、40分以上1時間以内が59%、1時間以上1時間半以内が24%という結果が出ています。通学時時間は1時間前後で考えたほうがよさそうです。
通学に2時間以上かかる学校を選んだ結果、「学校の近くに引っ越した」「学校を変えざるを得なかった」という話も聞きます。敷地が広い学校や、乗り換えに時間がかかる路線を使用する場合は、目算と違っていたということもありますので、家から教室までのドアtoドア、かつ通学時間帯で、実際の時間を計ってみましょう。

■大学合格実績

東大を始め、国立難関大学やGMARCHの合格者数が多ければ、大学合格実績が高いという判断をしがちです。大学合格実績を分析する森上教育研究所アソシエイトの小泉先生は、

・生徒数によって大学合格実績の評価が異なる
・学校によって得意不得意の大学がある
・付属校は内部進学があるので進学校とは大学合格実績を比較しづらい

こういった偏りがあるため、「学力を伸ばしてくれる学校」(中学校入学時(入り口)の偏差値より卒業時(出口)の偏差値が高い)という指標を提案しています。
また、実際の進学者数や現役合格者数、どの学部への合格者が多いかなど、さまざまな角度から判断することが大切です。

■偏差値

偏差値が高い学校だからよい、という評価基準としてではなく、志望校に入れる実力があるかの判断基準として偏差値を活用することが大事です。つまり、模試の結果で合格判定80%以上を取れる偏差値帯の学校はどこかという指標として捉えることです。
特に、高校受験や大学受験では「偏差値主体」で学校を選んできた親御さんは、中学受験における偏差値の考え方を改めたほうがいいかもしれません。

志望校を選ぶポイントは、上記の5つだけではありません。「語学学習環境」「先生と生徒の距離」「少人数制」「ICT教育」などにも目を向けると、学校の方針が見えてきます。どういう環境で学びたいかをお子さまと話し合いながら、志望校を絞っていきましょう。

2. 中高一貫校6年間の学費

中学受験でやはりお金のことは気になります。母親が家計を管理していたとしても、父親も把握しておくとお金の話もスムーズです。
一般的に中高の6年間で必要な費用は、約600万円が平均といわれています。平成30年度都内私立中学校の学費の状況および高等学校の学費の状況で詳しく見ていきましょう。

東京都の私立中学校初年度納付金では、平均約95万円(うち授業料約47万円)、高等学校の初年度納付金の平均は、約91万円(うち授業料約46万円)となっています。それだけで見れば6年間で約400万円ですが、旅行積み立て金、交通費等含めれば約600万円と見積もってよいでしょう。
では学校間の金額差はどうでしょうか。私立中学校初年度納付金だけで見ると、最も高い学校「玉川学園中学部(IBクラス)」で、1,873,000円。最も低い学校「八王子実践中学校」で548,000円と、その差は約130万円。なんと約3.4倍の開きがあります。学費が高い学校、低い学校で6年間合計の差はかなりの金額になるので、事前にチェックしておくことは大切です。

3. 私立一貫校と公立一貫校の違い

私立一貫校と公立一貫校の違い<

このように私立は学費が高いため、躊躇してしまう親御さんもいることでしょう。そこで候補にあがるのは公立中高一貫校。公立6年間の学費合計は約250万円です。学費を抑えられ、6年間の一貫した学びができ、その上大学合格実績も上々ということであれば、公立中高一貫校への進学も検討したくなります。私立と公立、一貫校であればさほど違いがないのでは?と思ってしまいますが、明確な違いは大きく3つあります。

■倍率

公立中高一貫校は狭き門で、都立中高一貫校で言えば、受検者数約9,000人弱に対し、合格者は約2,000人。平均倍率約6倍です。
一方私立では、入試日、学校によってかなり差はありますが、平均2倍~3倍といったところです。

■受験スタイル

私立は「受験」と書くのに対し、公立は「受検」と書きます。それは公立の入試が「適性検査」であるからです。私立では国語・算数・理科・社会の4科試験が主流です。しかし、最近では私立でも適性検査型の入試が増えてきています。その理由は、公立受検の併願先として私立を検討できるようにということと、大学新テストで問われる力が適性検査で問われる力と類似していることです。教科横断の総合的な思考力がある生徒に入学してもらいたいという学校側の意図があります。

■教育方針

公立と私立の違いについて、都立中高一貫校受検に力を入れる学習塾「ena」は

私立学校が「自由な教育」の実践を大きな魅力としているのに対し、公立学校は社会へ貢献できる人材の育成を重要なテーマとして掲げています。

と述べています。つまり、私立は学校によって教育方針が異なり多様性があるのに対し、公立はどの学校も等しく、文部科学省や自治体が掲げる教育方針に基づいているということです。この教育方針の違いをどう見るかは、親御さんの教育観に委ねられます。

また、公立と私立の違いを深堀りしてみると、あまり知られていないのでは?ということが見えてきました。

一つは、私立で使われている教科書が、一部の都立中高一貫校でも使われていることです。公立の教科書は検定教科書を使用するのに対し、私立では学校が自由に選んだ教材を使います。「私立と公立の決定的な違い!? 教科書で比べてみた!」 でご紹介したように、私立では英語で「NEW TREASURE」「PROGRESS IN ENGLISH21」、数学で「体系数学」を使用しており、これを都立でも使っているということです。

もう一つは、私立と公立の昼食事情です。私立中学校は給食がない学校がほとんどですが、公立中高一貫の中学校では給食があります。(神奈川県では公立中学校の給食実施率が低いため、給食のない公立中高一貫校の中学校もあります。) 私立でも、共働き家庭の増加など社会の変化もあり、最近では給食を提供したり、中学生でも学食を利用できる学校も増えています。「実は気になる!私立中高一貫校の『給食・お昼事情』 には給食を実施している首都圏の私立中学校をリストにしています。参考にしてみてください。

4. 中学受験のための勉強時間

学校の宿題もこなし、塾に通い、睡眠時間も確保して…と1日のスケジュールを書き出してみると、勉強時間が限られてくることが分かります。実際に難関校・中堅校合格者の勉強時間について調査したところ、難関校・中堅校合格者でほとんど差はないことが分かりました。

また分析結果から、平日は、4・5年生で平均1時間、6年生時で平均2時間。週末は、4年生で平均1時間~2時間、5年生で平均2時間~4時間、6年前半は平均3時間~4時間、夏休みからは6時間以上が目安になりそうです。(「中学受験で合格した子の家庭学習時間って?」より)

これで本当に勉強時間が足りるのか?と思う方もいるかもしれませんが、成長過程にある小学生が、睡眠時間を削ってまで勉強時間を確保しようとすれば、心身の健康に影響を及ぼします。よって、限られた時間の中で効率のよい学習を進めることが大切です。やるべきこと、やらなくてもよいことを見極めて学習サポートするのが親の大事な役目。仕事でのスキルも活かせますね。

5. 父親の中学受験への関わり方

父親の中学受験への関わり方

中学受験は母親がサポートするもの、という時代が長かったため、父親はこうしたほうがいい、という指南は実際少ないのが現状です。まずは子育て・家事の延長で母親と協力体制を築いていくのがよいでしょう。

また、父親も中学受験に関わる場合に注意すべき点は、2つあります。1つ目は、父親と母親とで中学受験に対する考え方が異なるケースです。例えば、公立出身で難関大学に進学した父親が、費用対効果の面から中学受験に否定的な印象を持っている場合。母親が「あなたの将来のために勉強しなさい。」と言う一方で、父親が「中学受験の勉強なんて、大人になったら不要だよ。」と言っていたら子どもは混乱してしまいます。受験ドクターの屋口先生はこの点について、「中学受験が成功する理想の環境は、夫婦間で中学受験に対して『合意』がとれていることです。」と指摘しています。
(「元中受ママが伝授!父親の協力は必須?理想の環境とは?」より)

2つ目は、学習計画から日々の過ごし方まで、合格するためにはこれぐらいしないとと、徹底的に管理をしてしまうことです。子どもの主体性を奪うようなやり方は、中学受験でのせっかくの成長の機会が失われてしまいます。仕事に例えるとしたら、父親は中学受験というプロジェクトで、プレイヤーのお子さまをうまく導く、チームリーダーとなるイメージがいいかもしれません。
(「【中学受験】親だからできる成績アップと合格作戦」より)

中学受験先輩パパからのアドバイス!

実際に中学受験をサポートされ、見事お子さまを第1志望合格に導いた、ブログ「チチログ」で有名なチチログさんに、父親の中学受験の関わり方について、アドバイスをいただきましたのでご紹介します。

Q1:お子さまの学習サポートをどのように行っていましたか?

月単位、週単位、日単位で、学習計画を立て、タスクとしてリストに書き出し、毎日1つずつ消化していくようにしました。 睡眠時間をしっかりとることには注意して、無理をしないように微調整を入れながら進めました。国語や社会の漢字は、自己採点だとどうしても甘くなるので、そこに関しては、私が採点。算数の計算問題については、間違った場合に、どこで、どんな風に間違ったのか一緒に分析して、ミスをなくしていきました。

基本的には、中学受験のための勉強は、学校で習わないような難しいこともやっているので、「最初はできなくて当然」と間違えることを怖がらないようにする意識付けを。 逆に、できたときは、大げさに一緒に喜び、一歩ずつ前に進んでいることを実感できるようにしました。

Q2:志望校選びではどのような点を重視しましたか?

毎日通う学校ですので、教育理念(どういう人に育てていくか)を重視していました。学校の説明会や文化祭を訪問し、実際の先生や生徒の人柄を確認しました。 あとは、通学時間と施設くらい(できれば、学食のあるところ)。最終的には、いくつかの候補の中で、子どもの希望と合致しましたので、親子ともに納得いく選択でした。

Q3:中学受験をサポートされるお父さま方にメッセージをお願いします。

中学受験の勉強や生活面のサポートをしていく中で、生きていく上で自分が大切に思っていることを伝えることができ、子どもの成長を間近で感じることのできるとてもいい機会です。苦しいときも、楽しいときも、ぜひ、たくさん話をしながら、親子の絆を深めていただけたらと思います。

オンリーワンの中学受験を!

中学受験に向けて考えることは、盛りだくさんです。結論を急ぐがあまり、まわりに流されてしまうことがないよう、まずは中学受験の重要ポイントを押さえておきましょう。あらかじめ知識があると、お子さまに合った、ご家庭ならではの中学受験へ取り組み方が見えやすくなると思います。エデュナビでは、中学受験に関する情報を多数用意してますので、ぜひ参考にしてみてください!


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