【後編】小学校受験合格に向けた親の心構え、関わり方とは

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11月24日に伸芽会主催で開催された「2020年度名門私立小学校最新入試分析報告会『最新速報!!今年の小学校入試はこう行われた』」。前編では、伸芽会教育研究所所長の飯田道郎先生の話から、小学校受験での親の心構えとして、合格に向けてのポイントや小学校受験のメリットについてお届けしました。後編では、長年にわたって幼児教育に携わり、多くの合格者を送り出してきた、ベテラン先生のアドバイスをお伝えします。

子どもの成長を実感し、楽しむ余裕を持って受験に臨む1年に

はじめに、伸芽会教育研究所の主任研究員佐藤眞理先生から2021年度の小学校受験に向けたペーパーテストと個別テストについて、次のような話がありました。

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【ペーパーテストについて】

ペーパー対策では、お子さんが基本的な理解できたら、次に実践的なバリエーションを経験させておいてください。ペーパー対策はお父さまお母さまが取り組みやすい項目で、経験を積ませれば必ず結果が出ます。しかも、お子さま自身が結果を実感できるというメリットもあり、自信や意欲につながりやすい。しかし、親が結果を焦りすぎてしまうと、子どもが委縮してしまう、追い詰めるきっかけになってします。100%できることは目指さずに「ここはできるようになったね」と、次の成長に結びつくきっかけにしていただきたいと思います。

【個別テストについて】

個別テストでは、対策としてまず相手にきちんと向かう姿勢を作ること。基本はしっかり問題を聞くこと、思ったこと考えたことをきちんと相手に伝えること、自分なりの考えをしっかりと持てるようにしておくことが大事です。
ここで保護者の方に気をつけていただきたいことは、お子さまが行ったことに対し、「それどうかな」と思っても、「こうしたほうがいいでしょ」と答えを教えすぎないことです。大事なのは、子どもが「こういう風に考えたんだけどな」ということが出せる雰囲気を作ることです。

佐藤先生はまとめとして、次のような温かい言葉を来場者にかけました。

お子さまにとって、大きな成長に結びつく1年であることを意識して、一緒にがんばれること、そして『ここが良くなったね』というような成長を実感する、楽しんでいただく余裕を持って受験に臨んでいただきたいと思います

日常の親子の体験、声かけを大切にすることが、1年後の入試に効果を生む

続いて、同教育研究所入試指導室室長の黒田善輝先生からは、表現力テスト、行動観察についての解説です。その前に入試で保護者が気をつけたいことを伝えました。

「保護者のみなさんが焦らないことが大事です。受験まで1年ある今の段階で、いきなり入試の問題をお子さんに与えて追い立てても、まだ子どもたちは経験も足りていないし、ものごとを論理的に筋道立てて考える回路ができ上がっていません。その段階で結果だけを求めて進めてしまうと、正しい考え方をせずに、適当にこれかなという当て推量で答えてしまうことが習慣づいてしまいます。少しずつ経験を積み上げたうえで、来年の夏以降に入試問題には取り組むようにすると実際の試験に臨めるようになります。」

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【表現力テストについて】

表現力テストでは、「日常の生活体験の中にあるもの」「空想体験に類するようなもの」を絵に描くという2パターンがあります。今年、特徴的だったのは、日常のことを書かせる問題の与え方です。「あったかいなー、きもちいいなー」と思うことや「わくわくしたこと」を描きなさいという出し方でした。
その課題ができるようになるには、普段の子どもたちに感じる力を育っていることが大事になってきます。そのためには、「きれいだなぁ おいしいなぁ」ということをどんどん伝えてほしいです。ただおいしいではなく、「サクサクしていて美味しいね」といったことを日常的に口にすることで子どもの感性がどんどん豊かになっていきます。
また、身の回りに子どもたちが心を打たれるような、心が引き込まれるような体験がたくさんあると物事の見方が変わります。親子で一緒に、そのような体験をたくさんする。それが絵を描いたり、作品を作る素地として必要なことです。

【行動観察について】

ものごとを広い視野で人のことを考えてあげられるような心根を日頃から育っていることも大事です。本人を認めてほめることもどんどん行って、さらに人の行いから学ぶことも大事。テレビや映画でもいいので、「これってすばらしいことだよね」ということたくさん言ってあげてください。
「きみの絵、上手だね」と、人のことを認める自然なやり取りができることも、一人ひとりの魅力につながります。

最後に黒田先生は、
日頃のお父さまお母さまの言葉かけ、遊びの提案の仕方すべてが、受験に起因すると思って、日常を大切にすること。それが1年後の入試に効果を生むとお考えになって取り組んでいただければと思います
とまとめました。

edu’s point
小学校受験で求められる力は、何か特殊なものでもなく、日常の一つひとつをていねいに大切に過ごすことで身につけられるものでもある、ということがわかりました。一方で、親子のコミュニケーション力が試されているとも言えます。
小学校受験は、子どもの成長だけでなく、親も成長するよい機会なのかもしれません。
【前編】小学校受験合格に向けた親の心構え、関わり方とは

伸芽会は、2020年2月2日(日)に「名門私立小学校入試対策説明会Ⅰ 2021年度入試に向けて『私学教育』という選択と志望校選び」を開催します。私立小学校の先生方から直接お話をうかがう特別講演も予定されています。


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