突然始まった臨時休校!自宅で過ごす子どもの学習はどうする?

新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として、3月2日より、多くの地域で小・中・高校が臨時休校となっています。学校での勉強が突然断ち切られ、さらに自宅で過ごすことを余儀なくされた子どもたち。またお子さんの自宅での過ごし方について困っている保護者の方も多いことでしょう。
そのような状況を受け、お子さん、親御さんの手助けとなるようにと、学習・教育事業者の中には、休校措置期間、自社サービスを無料開放するといった取り組みを行うところが出始めました。
そこで小学生のお子さんがいるご家庭を対象に、休校期間、さらに春休みの間に、自宅で取り組める学習支援を行っているサービスを調べました。合わせて、教育の専門家がWebで発信している家庭学習のポイントについてもご紹介します。
※ご紹介するサービスは、基本的に無償、登録なしのものをピックアップしています。

オンライン学習からプリントサービスまで。子どもたちの学びを支援する取り組み

子どもたちの学びを支援する取り組み

知育アプリを期間限定で無償提供

ワンダーラボ株式会社の「シンクシンク」

子ども向けアプリの教材開発・運営を行う同社が開発した、家庭で思考力を学べるアプリ「シンクシンク」の有料コースを、1か月間無償提供しています。

対象年齢は5-10歳。思考力を育てる1回3分のミニゲーム形式の教材を100種類15,000問収録。問題は、空間認識・平面認識・試行錯誤・論理・数的処理の5分野から構成されています。

これまでに、国内外で数々の賞を受賞。150か国・延べ100万ユーザーに利用されています。

オンライン授業を配信

探究学舎

歴史・宇宙・元素・ロボット・建築・金融・経済など、子どもたちの興味が広がる授業を独自に制作し、探求するおもしろさを伝えてきた探究学舎では3月2日〜20日(金・祝)までの平日10:30~12:00にて、毎日授業を配信(YouTubeのライブ配信)します。

※授業配信のURLは毎日変わります。詳しくは公式facebook公式twitterをご覧ください。

こうしたオンライン授業など映像配信を利用した学習方法は、今回の事態を機に今後増加していくのではないでしょうか。

Yahoo!きっず「おうち学校」

学校での授業のように、学習の進め方を案内しているサービスです。

「宿題を調べよう」「教科の勉強をしよう」「いろいろ挑戦しよう」の3部構成。今後は「特別授業」コーナーもオープンする予定です。

「Yahoo!きっず」ではフィルタリングが施された子ども向け検索機能があり、子どもにとって不適切なページが表示されない仕組みが導入されています。「宿題をしらべよう」では安全に宿題の内容を調べたり、動画や写真で勉強したりすることができるので、調べ学習でも安心です。
(※2020年7月17日をもって終了)

学研 家庭学習応援サイト

3月2日〜31日まで、「やさしくまるごと小学」シリーズ授業動画をはじめ、5つのサービスが無償で閲覧・利用が可能になっています。今後は学習まんがシリーズなどの読み物コンテンツも増やす予定とのことです。

無料学習プリントを利用する

きっずぷりんと

小学3年生までの国語と算数のプリントが学習単元ごとに無料でダウンロードできます。小学校3年の算数はちょうど割り算の勉強が入ってきます。算数の復習にもちょうどよいかもしれません。

Z会「小学生のための学びサポート教材」

小学生から大学受験生まで全学年を対象に通信教育の一部の教材を無料公開しています。さらに小学生の教材では、3年生以上では、教科書出版社ごとにわかれているので、お子さんの学習内容にあわせて選択できます。Z会の受講有無は問わず、誰でも登録不要で利用可能です。

#実験算数プリント2020

数学者の荒木義明さんが代表を務める日本テセレーションデザイン協会は緊急企画として、臨時休校中のお子さんに向けた家庭学習用の算数プリントを用意しています。対象は全学年。幼稚園生から高校生まで、同じプリントで楽しみながら学ぶことができます。普段の算数とは違うちょっと高度な問題も。親子で解いてみるもの楽しいかもしれません。

プリントはダウンロード版のほか、ネットプリントにも対応。自宅にプリンターがなくてもセブンイレブンにあるコピー機で印刷することができます(印刷代は別途かかります)。

自宅学習は本当の勉強の仕方を身につけられるチャンス

中学受験を控えたご家庭では、塾の新学期が始まったばかりの時期に、学校だけでなく塾も休講となり、戸惑っている方も多いでしょう。

昨年9月にエデュナビ講演会に登壇された安浪京子さんは、ご自身のブログ『算数教育家 安浪京子のアッサンブラージュな日々』において、中学受験生向けに「3月2日からの勉強法」についてコメントされています。そしてこの機会を「本当の勉強の仕方を身につけられる千載一遇のチャンスだと思っています。」と伝えています。さらに以下のような項目を挙げています。

具体的には

① 本当に必要なスケジュールを立てられる

→夏休みは夏期講習で忙しく、スケジュールを立てているようで結局、空き時間に宿題を埋め込むだけになりがち。しかし、今回は違います。

② 大切な基礎単元に戻ることができる

→基礎は、塾のスピードの倍以上の時間をかける必要があります。今回は、数か月前の単元に戻り、納得いくまで考える事ができます。

③ 友達と勉強する時間を作る

→理解を深めるには「人に説明する事」に尽きます。学年、塾、レベルの幅を超えてお互い教え合う機会が生まれ、真の理解到達度を知る事ができます。もちろん、大人数では今回の休校措置に反するのであくまで2~3人の話です。

④ 一人で勉強する時間を作る

→動画は何度もストップして見返せる最強のツールです。

そして、何より

⑤ 余裕が生まれる

→思考力や集中力を育むには勉強以外の時間が絶対に必要です。しかし、常に中学受験生はこれらを諦めざるを得ません。趣味や読書、思い切り身体を動かすなどの時間をたっぷり確保できます。

また安浪さんは自宅学習ポイントについて動画でも配信しています。保護者向け、お子様向けの2つの動画がありますのでご覧になってみてください。

〇保護者向け(約27分)※なるべく保護者のみで見て下さい
https://youtu.be/4pmW8XTMY3Q

〇お子様向け(約18分)※可能ならば親子で見て下さい
https://youtu.be/tEJaCd9jKBI

こちらのYoutubeを見たお子さんからは安浪さんに質問することもできます。順次、お子さんからの質問優先で、前述したブログに回答を公開していくとのことです。

自宅で学習する時間を、自分で学習する習慣に

また「はじめての中学受験」で『幸せな中学受験をするための親の心構え』をテーマにインタビューした教育専門家の小川大介さんは、ご自身のTwitterで、学習計画をたてるコツとして、

「食事や入浴などの生活時間と遊びの時間を先に確保します。本人の遊び希望を聞きつつ、親子で相談して、どれぐらいの時間を遊びに使うか、決めていきます 時間帯も相談します。」
「多くの子どもは、心の満足がないと自発的な勉強につながらないので、遊びを先に保証してあげることは計画立ての大切なポイントです。」

さらに学習面で心配されている親御さんへのメッセージとして、

「今回のコロナ騒動による一斉休校で、お子さんの学習面を心配している方は多いと思うのですが、私個人としては『子どもが自立して学習に取り組む力を養う練習期間』と捉えることをオススメしたいです いきなり万全の学習なんてできなくてOKです 。少々の学習のヌケも心配いりません。」
「お子さんが自分で自分の時間をコントロールできるようになっていけば、一生モノの力となるのですから、落ち着いて応援してあげてください。」

と発信しています。

自宅で学習する時間を、自分で学習する習慣に

またこの機会に、これだけ世の中を騒がしている「新型コロナウイルス」とはどういうものか、親子で正しく知る機会を設けてみてはどうでしょうか。

藤田医科大学感染症科では、同大学のFacebookページで小学生向けに、「コロナウイルスってなんだろう」というタイトルの解説資料を公開しています。

紙芝居形式で、高齢者や基礎疾患を持つ人が感染すると重症化する恐れがあること、また「コロナウイルスをやっつけるぞ作戦」と題し、手洗いや咳エチケットについてなどが、小学生目線でわかりやすく解説されています。

突然始まったお休みですが、これまでの振り返りをする、新しい学びに触れる、自学自習に慣れるなど、さまざまな学習に挑戦できるチャンスかもしれません。上記の情報をご参考いただき、ご家庭で生かしていただければと思います。