岐路にたつAO入試、有利?不利?:エデュママリサーチ第17回

AO入試は有利?不利?2013年10月10日

◆総合的な学力を判定する制度

AO入試

学生の総合的な能力を見極めようと始まったAO(アドミッションズ オフィス)入試制度。スタートして20年以上たち、その効果を認める学校がある一方で、最近、このAO入試制度に若干、異変が起きつつあります。

そもそもAO入試は、学生の学習意欲やコミュニケーション能力、自己アピール力など、通常の試験ではわかりにくい学生の能力をいかにして判断するかがポイント。導入している学校はそれぞれに知恵を絞っていますが、学校側に大きな手間がかかることに加えて、一部に「AO=アホでもOK」と揶揄する声もあるように、入学後に講義についていけない学生が目立つことも、その理由となっているようです。

とはいえ、通常の入試以外に選択肢があるのは、受験生にとってもありがたいこと。通常の受験対策とともに、AO入試の情報収集も重要です。

◆自分の魅力をどうアピールできるかがカギ

実際にAO入試を体験した人から話を聞くことができました。2002年にAO入試を経験したAさんです。

Q:なぜAO入試を選んだのですか?
Aさん:いちばんの理由は、早く大学を決めたかったから。AO入試は一般の入試より早いんです。

Q:どんな試験でした?
Aさん:私の受験したS大学は、英語と作文、グループディスカッションと面接でした。英検2級を持っていると、英語は満点してもらえたので有利だと考えたのもAO入試を選んだ理由でした。

Q:面接やグループディスカッションのポイントは?
Aさん:高校時代にしてきたことや、大学に入って何を学びたいのか、どんな活動がしたいのか、そういったビジョンや自分の魅力をいかに大学側に伝えられるかがいちばんのポイントのような気がします。ただなんとなく楽がしたい、という気持ちで望むのはやめたほうがいいと思う。

◆AO入試は就職試験に近い

Q:いわゆる一芸入試とは違う、と宣言している大学もありますが・・・
Aさん:一芸はないよりあったほうが断然有利。僕の場合、英検2級が英語の試験の満点扱いだったし、ボランティアをしていたのも得点高かったと思います。たとえばインターハイでトップレベルの成績を残したなど、高校時代に打ち込んだものがある生徒も、AO入試では有利でしょう。

Q:一般入試組とAO入試組では違いを感じましたか?
Aさん:AO入試組は成績にばらつきがあるという感じかな。アホもいるでしょうが、やっぱり個性的ですよ。当時も今も、早稲田の政経とSFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)がAO入試の2トップですが、ここのAO入試組なんて特に個性的ですよね。SFCは起業家的な人を大勢輩出していますしね。

Q:AO入試で損をしたということはありましたか?
Aさん:それはないですね。AO入試は、各大学がいろいろと工夫を凝らして試験をしていますからね。大学入試というよりもむしろ、就職試験に近いので、就職のときに役に立ったかもしれません。自己アピール力を磨くためにも、挑戦してもいいかもしれませんね。

◆AO入試も一般入試も同じ入試と考えよう

一般入試でもAO入試でも合格は合格。どちらを選んだかがその後の大学生活や就職に影響を与えることはほとんどありません。とはいえ、一般入試なら受験勉強で身についたはずの学力がAO入試組ゆえに身についていないとすれば、それはなんらかのデメリットを生じるでしょう。それに、AO入試での募集人数は、一般入試に比べれば大変少ないものです。こういったことを考えると、最初からAO入試を狙うのは、やめておいたほうが無難かもしれません。

ただ将来の目標が明確で、勉強の傍らそのための活動をしているような学生なら、不得手な科目を克服しきれなかったときにAO入試を狙うのはよい選択です。いざというとき慌てないように、入試対策ではAO入試についても情報収集をしておきましょう。

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