自分で調べる応用力のある子に!小学百科事典:エデュママリサーチ第21回

ワカラナイ?を自分で調べて応用力のある子に育てる2013年12月13日

きっずジャポニカ

日本でいちばん読まれている小学生のための百科事典『きっずジャポニカ』が7年ぶりに刊行されました。自らも2児の父である編集長の吉田兼一さんに、新版の特徴や編集方針について話していただきました。

◆子どもも大人も一緒に使える本格事典

TPP、ヒッグス粒子、ベクレル…皆さんは、子どもからこれらの言葉の意味を尋ねられたとき、正しく答えられるでしょうか? わたし自身、自信がありませんでした。大人向けの事典やインターネットのWikipediaを見ても、説明が専門的すぎて素人には理解が難しく、子どもにかみくだいて説明するのは、至難の業だと思います。

難しい言葉でも、まず大人が理解をして、子どもにわかりやすく説明できるような事典にしようと考えて編集したのが『きっずジャポニカ』です。

『きっずジャポニカ』には、大人も知らない言葉、最近生まれた新しい言葉が多数収録されています。「きっず」と名前をつけていますが、収録語に関しては、大人向けの事典にも負けない内容です。

ただし子どもにも理解しやすく、大人が読んでも役に立つ内容と書き方にこだわりました。都内の有名国立・私立小学校の先生方に見ていただいた確かな裏付けに基づいた解説ですから、正しい知識が身につきます。

◆低学年の「これ何?」から中学受験まで対応

小学校低学年のうちは、子どもだけで調べるのは難しいかもしれませんが、そんなときはまず親が調べて、お子さんに説明してあげてほしい。そういったシーンを想定しつつ編集してあります。『きっずジャポニカ』の、おすすめの使い方のひとつです。

小学校の3、4年生になったら、子どもが「これは何?」と思ったとき、いつでも自分でひけるよう、ぜひ手近な場所に置いてほしいと思います。小学校高学年になれば、月の満ち欠けや植生(亜寒帯、寒帯、温帯などの違い)など、中学受験に出てくるような内容を自分で調べられるような構成になっています。

収録語は五十音順になっていますが、説明文中のオレンジ色の言葉をひいていくと、関連項目が芋づる式に調べられるようになっています。子供の好奇心に対応できるよう、工夫したつもりです。

紙の事典だからこそ、検証に耐えうる内容にしなければならない。ことに子どもに間違った内容を教えてはいけない。情報の信頼性に関してはWEBで得られる知識よりずっとしっかりしていると自負しています。

◆塾に通う前に自分で調べる子にしておきたい

秋になると有名塾が、中学受験に即した時事問題の特集誌を出しますが、この時点だと丸暗記がほとんどですよね。でも『きっずジャポニカ』を使っている子は、普段から基礎になる知識が身についているので、今年起きた時事問題がどういう背景で起きたのか知っている。より本質的な理解ができます。

中学受験でも、つめこみ型の知識はダメで、ちゃんとした理解を求める学校が多くなっています。わたし自身、2児の父で上の子(高3女子)の中学受験のときも塾にお世話になりましたし、下の子(小2女子)の4年後もおそらく塾のお世話になると思います。だからこそ塾にお世話になる前に、家庭でできることはしっかりしておきたいと思っています。

受験ということを考えると、おそらく家庭でできることは、小4まででしょう。わからないときに、百科事典や国語辞典を自分で調べる習慣をつける、というところまで導いてあげるのが親の役割だと思っています。辞書・事典類は、リビングなど、いつでも手に取れる場所に置いてあげてください。もちろん、『きっずジャポニカ』も(笑)。

実はこの夏、両親とも大変忙しく、下の子(小2)の面倒が見られない状態が続きました。そこでコミックスの『ドラえもん』45巻、『ドラえもんプラス』5巻、それに『大長編ドラえもん』6巻を与えてみました。すると、これまで本にほとんど興味を示さなかった娘が、マンガだったからでしょうか、あっという間に読んでしまいました。

先日、そのマンガの中にわからない言葉があったようで、「これ何?」とお姉ちゃんに聞いていました。すると姉は、「きっずジャポニカで調べなさい!」と。うちのリビングには旧版の『きっずジャポニカ』があったので、下の娘はすぐに手にとって調べていました。ちょっとうれしかったですね。

きっずジャポニカ
小学百科大事典『きっずジャポニカ 新版』

監修/尾木直樹、平田オリザ、福岡伸一、小学館刊、992頁、6,825円(税込)
富士山の世界遺産登録は、なぜ自然遺産ではなく文化遺産だったのか。ヒッグス粒子の「発見」は、なぜノーベル賞に値するのか――。小学生が抱く疑問を1冊で解決! 総項目数約13,500。「iPS細胞」や「城」「日本国憲法」から47都道府県までを図解した“特集項目”が105。全国全ての市(789市/2013年10月現在)、現在明らかになっている元素名118種のほか、国立公園・国定公園など、すべて項目を立てて説明。カラー図版2,500点以上、総ルビ付き。都内有名国立私立小学校の先生たちが内容を精査したたしかな情報だけを掲載。

…詳しくはこちらから

エデュママリサーチ アーカイブ