塾選びの前に!塾講師経験のある先輩ママのアドバイス:第30回

塾を決める前にチェック!塾講師経験のある先輩ママのアドバイス2014年4月18日

塾を決める前にチェック!塾講師経験のある先輩ママのアドバイス

中学受験しよう! と思った親御さんが最初に悩む「塾選び」。さまざまな塾の情報を集めるわけですが、やみくもに塾の資料を収集したり、塾の評判の口コミを読んだりするだけではダメなようです。

「どんな塾かわかっても、子どもの今がわかっていないと、いちばんいい塾がどこか、正しい判断ができなくなります」と、先輩エデュママのAさん。
Aさんは、お子さま二人を中学受験させ、自らも塾講師として教えた経験を持っています。今回、塾選びに悩むエデュママのみなさまに、少しでも参考になればと、匿名を条件にアドバイスをしてくれました。

◆受験準備の最初に考えたいこと

「いろいろなご家庭があるので、一概には言えないことばかりなのですが、それでも中学受験するための最低条件ってあるような気がしています。

まず第一に、ご家庭が安定していること。子どもは多感な時期だし、中学受験はしなくてもいいこと。子どもの心を煩わすような何かが家庭にあれば勉強に身が入らないし、結果に大きく影響します。これは軽く考えないほうがいいと思います。ご家庭に深刻な問題がある場合は、まずそれを解決するか、あるいは中学受験でなくて高校受験を選択するほうがいい場合もあると思います。

それからもうひとつは、本人が受験したいかしたくないか。親に言われてイヤイヤやっている子は、地頭がよくても成績はあまり伸びないものです。おとなしい子や成長の遅い子ほど気をつけてほしいのですが、はっきり反発しなくても、内心受験はイヤと思っている子もいます。ただ子どもは、大人から見ると些細なことで気持ちが180度変わることもあります。受験を強制するのではなくて、なぜ受験がイヤなのかきちんと聞いて気持ちをわかってあげると、俄然受験したくなるということもあります。受験を押しつけるのではなく、お子さまとしっかり話し合ってほしいと思います」(Aさん)

◆ぴったりの塾を見つけるための「4つのポイント」

「安定した家庭」と「子どものやる気」、Aさんは、このふたつが中学受験にもっとも大きく影響するとおっしゃいます。そのうえで、どの塾に通わせるか決めるときには、こんなことがヒントになるのでは? と言って、4つのポイントを出してくれました。

●子どもの体力や体調
●学校の授業についていけているか?
●勝ち気なほうか? おとなしい子か?
●計算のスピードやテストの回答が早いほうか?

「この4つは、塾で教えた経験と自分の子を見ていて、何となくこうかな? と思ったもので、プロのアドバイザーのお話とは違うかもしれませんので」と、Aさん。“先輩エデュママからのアドバイスということで、ぜひ!”とお願いすると、「大人と違って、子どもは1年もたつとおとなしい子が勝ち気な子に変身することもあります。そういう可能性を考えあわせて聞いてくださいね」と言って話してくださいました。

「中学受験の勉強は、4、5、6年とどんどん量が増えていきます。子どもの体力や体調を見て無理のない通塾にするのが鉄則です。塾を選ぶときは、受験の日まで、この塾のやり方に子どもが体力的についていけるか? 塾側がなんらかの配慮をしてくれるのか? きちんと見極めてほしいと思います。これは親でなくてはできないことです。

次に、学校の授業についていけているかどうかですが、これは親のひいき目もありますし、なかなか見極めが難しいポイントです。クラスで1、2番というのならば別ですが、そうでなければ学校のレベル、その子の授業への接し方でもテストの点は変わってきます。

とはいえ、いつも平均点以下なら、ついていけていないと判断していいでしょう。その場合は受験を考える前に、基礎学力をしっかり身につけることから始めなければなりません。基礎学力を身につけるタイプの塾でしっかり基礎学力をつけてから、進学塾に行くのがおすすめです。

お子さまがどのレベルかわからない場合は、塾の無料体験や入塾時のテストの結果をベースに、塾の先生に聞いてみてください。その地域の塾の先生ならだいたいのことはわかるでしょう。親バカの気持ちは私もわかりますが、“うちの子はもっとできるはず”で無理をさせると、結果、子どものためになりません。ここは冷静さを持って子どもの習熟度レベルを見極める必要があります」

◆どんな性格にも長所と短所がある!

「子どもの性格面でいうと、勝ち気な子は、自分より出来る子がいると発憤し、おとなしい子は逆にひいてしまう可能性があります。

集団塾の場合、子どもの性格と塾、というより教室の雰囲気のマッチングは大事だと思います。実際に通うことになる塾がどんな様子か、ある程度把握しておきたいものです。個別指導塾なら、どんな子にもあわせてくれると思いこむのも危険です。教えてくれる先生がどんな先生かによりますから。

大切なことは、お子さまがその塾が楽しい、行って勉強するのが楽しいと思うこと。お子さまにぴったりの塾を判断するのに、勝ち気な子かどうかは、考えるきっかけになりそうな気がします。

また大人でも仕事は早いがいいかげん、遅いがていねいといった傾向ってありますよね。子どもだと計算の早い遅い、テストの解答を書くのが早い遅いといったことで見えてきます。早い子にも遅い子にも、それぞれ長所と欠点があります。うちの子は早いがテキトーみたいだと思うのならば、考える力を養ったり、問題をていねいに解く練習をさせてくれる塾がいいと思いますし、のんびりゆっくりタイプだと思うなら、遅いために授業についていけず、学習成果があがらないような塾ではなく、なぜ遅いのか究明して、解決策を示してくれる塾がいいでしょう」(Aさん)。

Aさんによると、わが子の塾選びを考えるとき、SAPIXや四谷大塚など大手進学塾ごとの違いももちろん考慮すべきだが、それ以上に実際に通う教室がどういう様子かというのが大事とのこと。「とくに5、6年生からの入塾組は、すでにあるクラスに仲間入りするわけですから、どんなクラスになっているか、見ておいてほしいと思います」(Aさん)

受験は子どもにとって人生の一大事ですが、親の才覚が試されるときでもあります。お子さまの性格や個性、今の実力ををきちんと把握して、わが子にいちばん合った塾を探してくださいね。