エデュママ必読!中学受験を子どもの将来に生かすには?:第31回

エデュママ必読!中学受験を子どもの将来に生かすには?2014年5月2日

エデュママ必読!中学受験を子どもの将来に生かすには?

「受験勉強は子どもの将来にプラスになる!」と明言する本が登場しました。

みなさんもご存じの教育学者、齋藤孝先生と、インターエデュでも中学受験の家庭教師特集でアドバイスをいただいた塾ソムリエ、プロ家庭教師の西村則康先生の熱い対論『なぜ受験勉強は人生に役立つのか』(祥伝社新書)です。

中学受験のプロとして難関私立中学に多数の合格者を送り出してきた西村先生と、教育学者として小学生から大学生まで独自のメソッドを実践してきた齋藤先生が、中学受験に対する考え方とアドバイスを語り合い、読み応えたっぷりの新書です。担当編集者の高田秀樹さんにお話をうかがってきました。

「本書をつくることになったきっかけは、ダウンタウンのお二人が司会をする『100秒博士アカデミー』というテレビ番組で、西村先生が自らの教育論を展開したところ、ゲスト出演されていた齋藤先生が共感し、立ち上がって握手を求めた、というシーンを見たことです。おふたりの教育に対する考え方を伺いたいと思いました」

◆中学受験だけが年々難しくなっている

「本書の中で西村先生がおっしゃっていますが、少子化の中で大学受験はやさしくなる一方で、中学受験はますます難易度が高まっているそうです。独学なんてもってのほか、単に塾に入れれば安心というわけでもない。そんな中で、少しでもわが子をいい学校に入れたいと願う親は、何をすればよいのか、対談をしていただいたのです。

西村先生は日本初の塾ソムリエとして、子ども一人ひとりに合った塾はどのようなものかをアドバイスすると同時に、プロ家庭教師として中学受験指導をされています。 “子どもの学力は鉛筆の持ち方を見ればわかる”“あまりにきれいなリビングの家の子は伸びにくい”“算数の成績をよくしたければ、まず国語から”といった、独自の視点は非常に実践的なものです。

また、“お父さんは受験指導に関わらないほうがいい”など、さまざまな家庭を実際に見てきた家庭教師ならではの、親へのアドバイスも本書の読みどころの一つです。今や中学受験で試されるのは子どもだけでなく、親としての“能力”でもあるのです」(高田さん)

エデュママアンケートでは、 半数近くが「子どもの鉛筆の持ち方が間違っている」と回答していましたが、西村先生は本書の中で、今の子どもの8割が親指が伸びたままの間違った持ち方をしていると指摘し、齋藤先生は、鉛筆を正しく持てる比率はレベルが高い大学ほど高いと語っています。そして西村先生、「親御さんは、(中略)もし親指が伸びていたら、自分の配慮が足りなかったと思ってください」とピシャリ。

◆テクニックではなく、考える力を身につける

受験に関する実践的なアドバイスが詰まっている本書ではありますが、この本がいちばん言いたいことは違う、考える力を身につけることだ、と高田さん。

「本書のいちばん大きなメッセージは、単なる“受験テクニック”の習得を目指すだけの勉強は、子どもにとってもっとも望ましくない、というものです。そもそも、テストの点数を上げるために、小手先の解法テクニックを暗記するといった勉強法では、難関校の試験に太刀打ちできないし、その後の大学受験において伸びが止まってしまうことが多いと言います。

実際に大学で教鞭を執る齋藤先生は、学生を見ていても、受験を乗り越えたかそうでないかでは、学力だけでなく、社会に出てからの“難問”に対応する能力に大きな違いがあると感じているそうです。ご自身も受験勉強で相当に鍛えられたとのことです。

お子さんのテストの結果を見て、“なんでこんな問題もできないの!”と叱ってしまうお母さん、お父さんは多いと思います。それがなぜいけないのか、ぜひ本書を読んで考えていただければと思います」(高田さん)

祥伝社新書『なぜ受験勉強は人生に役立つのか』

祥伝社新書『なぜ受験勉強は人生に役立つのか』
齋藤孝/西村則康著、祥伝社刊、780円+税。受験勉強の効用は試験の合否だけではない、その後の人生において大きな力を発揮するのだ!という教育学者の齋藤孝氏とプロ家庭教師の西村則康氏の対論。長年中学受験生を教えてきた西村氏と大学生を指導してきた齋藤氏の知識と経験が符合し、中学受験において親は何をし何をなすべきでないかが明らかになります。…購入はこちらから

齋藤 孝(さいとう たかし)さんプロフィール
明治大学文学部教授。1960年生まれ。東京大学法学部卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程等を経て現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『齋藤孝のざっくり!日本史』『最強の人生指南書』『最強の世渡り指南書』(以上祥伝社)など著書多数。

西村 則康(にしむら のりやす)さんプロフィール
名門指導会代表。1954年生まれ。塾講師を経て独立し、日本初の塾ソムリエ、家庭教師のプロとして活躍。30年以上にわたり中学・高校受験一筋に指導を行い、灘・開成・麻生・桜蔭・女子学院などの有名校に2500人以上を合格させてきた。著書に『勉強ができる子になる「1日10分」家庭の習慣』(実務教育出版)など。