第9回 私立中高が今、そして未来で求める国際教育とは?

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「教育最前線に行ってみた!」では、普段何気なく目にするけど、なかなか行けていない教育現場へ、皆さまの代わりに行って取材をしてまいります。第9 回では、私立中高に対し、国際教育の提案を行っているOKCオセアニア交流センター、西村紘史代表にお話をうかがってきました。

留学を希望する私立中高が激増!

独自のプログラムに秘密が…

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エデュ:まず、貴社が私立中高に対して行っている取り組みを教えてください。

西村さん:わが社では、「学校に求められる国際教育」を目標に、短期ではなく、1学期もしくは1年間の長期留学を提案しています。この提案は95年から始めました。

エデュ:当時の反応はいかがでしたか?

西村さん:しばらくは、提案を受けて入れてくれる学校がありませんでしたね。始めてから3年目にして、大阪の私立中高から、「中学1年生を海外に1年間出したい」という依頼が初めてきました。

エデュ:やっと1校なのですね。

西村さん:そうですね。でも、翌99年はまたゼロで、2000年に2校になりました。ところが、そこから、一気に徐々に増えてきて、2年前には20校になり、本年度はなんと53校になりました。2017年度は、100校ぐらいになるのではないかと予測しています。

エデュ:すごいですね。急激に増えた理由を教えてください。

西村さん:学校に関していえば、文部科学省が、グローバル教育に力を入れているのが大きく影響していますね。近年話題になっている、SGH(スーパーグローバルハイスクール)に指定された学校に対し、わが社では最適なプログラムを提案し、結果を出しているので選ばれているのだと思います。

エデュ:最適なプログラムとはどのような内容ですか?

西村さん:まず1クラス40名が留学する場合、留学先で完全に別々にします。ここまでは他社でもありますが、わが社では、留学中の生徒に「OKC憲法」というものを守ってもらいます。

「OKC憲法」の驚愕の中身とは?

学力以外でも明らかな成長が見られる

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エデュ:「OKC憲法」の中身を教えてください。

西村さん:【1】留学先の部活・サークルに入る、【2】毎日日記をつける、【3】2科目の予習・復習をする、【4】最後の3か月間はボランティアをする(1年間留学の場合)、【5】1年間のテーマを新聞にする。
以上5つのことに加え、オプションで英検講座も行ない、全員2級合格を目指します。

エデュ:意図を教えてください。

西村さん:【1】は、内向的な子は淡々と授業を受けてしまい、あまり話さないので、部活・サークルを通しコミュニケーションをとらせるためです。【3】は1科目は自分の好きなもので、もう1つは数学を強制的に受けてもらいます。数学は苦手意識を持ってしまうとなかなか前に戻れませんが、留学先では気持ちを入れ替えて高校生が中学1年生の授業に出ることができます。

これは絶対に日本ではできません。この5つのことをやると、1年間で単語力、英文読解、リスニング、英作文がかなり上達します。実際に、英検準1級取得者が増えました。合格すればセンター試験で英語が免除されるので、他の教科の勉強にも集中することができます。多くの学校で上智大学やICUの合格者数がグンと伸びたというお話を聞きます。

勉強面以外でも、留学を通し意識の変化が見られます。例えばよく聞く話ですと、生徒会長や副会長になる方が多く出ています。これは気持ちが前向きになり、何かやってやろうというチャレンジ精神を持つようになるからです。もちろんすべての方がそうなるわけではありませんが、本人の気持ち・やる気、そして環境の変化によって変わることができる、その可能性を秘めているのが留学だと考えています。

これから留学を考えている方へ

押さえておきたいこと3つ!

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エデュ:これから留学を考えている方に向けてアドバイスをお願いします。

西村さん:せっかく行くからには、3つ目標を持ってほしいと思っています。1つ目は英語を話せるようになりたいという気持ち、2つ目は現地で友達を作ること、そして3つ目が、何でもいいので一つ自分のやりたいことに取り組んでみることです。

留学というと、英語を話せるようになることを目的する方がいます。もちろん間違いではありませんが、英語はあくまでツールにすぎないので、目的にしてはいけません。重要なことは英語を使って何を語れるか、自分は何ができるのかのテーマを見つけることです。

エデュ:最後に、今後の目標と課題を教えてください。

西村さん:実はすでに、SGH指定校へいくつか提案しています。その一つは、「オリンピックとボランティア」です。ご存じの方も多いと思いますが、4年後の東京オリンピックはすでに予算を大幅にオーバーしています。そこで必要になってくるのがボランティアです。シドニーオリンピックはボランティアでの活躍で成功しました。

海外研修で、シドニーではどんな取り組みをしていたのかリサーチし、実際に現地でボランティアをした人に話しを聞いたりするプログラムを提案しています。今の若い人こそオリンピックという世界の舞台で、ボランティアをやるのは決して無駄ではありません。

もう一つは、TPPを考えることです。今の中高校生が社会に出ると、まさに自由貿易化時代。公務員になろうが、政治家になろうが、農業をしようが、切っても切れません。海外の人は何を考えているのか、それを同じように考え、議論してみることが重要になってくると思っています。

編集者から見たポイント

留学というと語学上達が頭に浮かびますが、OKCオセアニア交流センターでは、それ以外の面も上達するプログラムを提案しているのが印象的でした。また目的意識を持つ人もそうでない人も、自分を変えることができる可能性を秘めている点も興味深い一面だと感じました。
今回おうかがいしたのは「OKCオセアニア交流センターhttp://www.koryu.co.jp/」です。興味を持った方は、ぜひ一度サイトをご覧ください。


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