語彙不足はストレスの原因?日本漢字能力検定協会 第15回

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「教育最前線に行ってみた!」では、普段何気なく目にするけれど、なかなか行くことができない教育現場へ、皆さまの代わりに行って取材をしてまいります。第15回では日本語・漢字に関する公益活動に努める「公益財団法人 日本漢字能力検定協会」の検定・編集部の八田香里さんにお話をうかがってきました。

自分たちの使命は何か、から再スタート

漢字を学ぶ楽しさを伝える=社会貢献

漢検エントランス
今回のインタビューに答えて頂いた八田香里さん。エントランスにて

エデュ:2013年4月から貴社は公益財団法人化されましたが、心境の変化などありましたか?

八田さん:元々、「漢検」などを通して日本語・漢字の能力を高める活動を行ってきましたが、改めて「自分たちの使命は何か」というのは考えるようになりましたね。

そこで出した答えが検定以外の手段でも日本語・漢字を学ぶ楽しさを提供したい、そして人が豊かに生きることのできる社会の実現に貢献したいと考えるようになりました。まだ色々考えていること、やりたいことはありますが、実現の第一歩として始めたのが、今年オープンしたばかりの漢検 漢字博物館・図書館、通称「漢字ミュージアム」です。

エデュ:「漢字ミュージアム」!どんなところなんですか。特徴を詳しく教えてもらえますか?

漢字ミュージアム

八田さん:1階には、漢字の歴史を見て聴いて触れて学べる展示。2階には、自分の体を使って漢字を作ってみる「体で漢字をつくろう」、画面におすしのネタとなる魚が泳いでいるのを見て、正しい漢字を選ぶ「漢字回転すし」など、20以上の体験型展示場があります。漢字に興味がない・嫌いな人が漢字を好きになるきっかけづくりにもなるのでおすすめです。

少年院でも「漢検」受検を取り入れている理由は?

日本語・漢字を学ぶ意義とは?

八田さん1

エデュ:八田さんがお考えになる、日本語・漢字を学ぶ意義を教えてもらえますか?

八田さん:「考える力を始めすべての学習の土台となる基礎力を確かなものにする」そして、「人としっかりとしたコミュニケーションをとるために必要な語彙を獲得する」ことですね。皆さまも経験があると思いますが、「自分の考えがまとまらない」「自分の言いたいことがうまく相手に伝わらない」「相手の話している内容が理解できない」ためにストレスを感じる。私はこれは日本語・漢字の語彙不足だと思っています。

人は自分の考えがうまく伝えられたり、相手の話す内容がノイズなく理解できたりすればストレスなく生活することができます。そのためには日本語・漢字をしっかり学び、語彙を増やす必要があると思います。

エデュ:うまくコミュニケーションがとれない原因は語彙不足にあるのですね。

少年院でのこんなエピソード

八田さん:先ほど話した内容の実例としてこんなエピソードがあります。ある少年院で「漢検」の受検を取り入れた後のアンケートで少年たちが「日記を漢字も交えて書けるようになった」「大人の会話がわかるようになった」などと書いていたという話を聞きました。それはどういうことかというと、「漢検」の勉強を通して語彙が増え、少年達が相手が話していることの内容を理解したり、自分の言いたいことを表現したりできるようになったからです。

「うちの子、最近イライラしている」と感じたら、もしかして何か伝えたいことがあるのかもしれませんね。

うちの子、漢字を覚えるのが苦手

まず自分の子どもの学習のタイプを知る

八田さん2
「家族受検表彰制度」で広がる家族の会話

エデュ:中学受験の勉強で漢字を覚えるのが苦手なお子さまを持つお母さまはどうすればいいでしょうか?

八田さん:まず、なぜ苦手になってしまったのかを探ることです。そして、今やっている勉強方法がお子さまに合っているかどうかを見極めてほしいですね。漢字学習では、1人でコツコツ学習できるタイプ、皆と一緒にやるのが得意なタイプ、強制的でないとやらないタイプなどがあります。

前の2つのタイプであれば問題ないのですが、最後のタイプの場合は「漢字を楽しんで学ぶ」という点を重視してほしいですね。宣伝になってしまいますが、そういった点で先ほどご紹介した「漢検ミュージアム」はもちろんですが、「家族受検表彰制度」を活用するのもおすすめです。

「家族受検表彰制度」とは家族全員が受検した際に、個別の合格証書とは別に家族合格表彰状をお贈りするものです。家族全員が同じ目標を持って受検に向けて勉強しますので、食卓で問題の出し合いっこなどもできて自然に会話も弾みます。その上全員で合格すれば喜びもひとしおです。

エデュ:確かに共通の話題になるのでいいですね。最後に「漢検」を通し、将来子どもたちにこうなってほしいという理想はありますか?

八田さん:3つあります。まず1つ目は「思考力、あらゆる学習の基礎となる日本語・漢字の力をしっかり身につけた人」、2つ目が「自己肯定感を持っている人」つまり「漢検」合格という目標を掲げ、努力し達成する、自信をつけるという経験を通して得てほしいと思います。そして3つ目が「学ぶ楽しさを知っている人」になってほしいですね。

この3つを身につけた子は、様々なことに対してチャレンジし続ける人になると、私は思っています。そのためにはもっとも身近にいる大人、つまり親御さんが、漢字を好きになる「環境づくり」や「きっかけ」を与えてあげて欲しいと思います。

編集者から見たポイント

今に始まったことではありませんが、ストレス社会と言われている原因には、日本人の語彙不足も影響しているのではないかと感じました。まずは一歩ずつ、合格が手に届く級からお子さまと「漢検」に挑戦してみてはいかがでしょうか?
興味をもった方は、「公益財団法人 日本漢字能力検定協会http://www.kanken.or.jp/」をご覧ください。


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