オンラインでも「前向きに学びと向き合う子ども」を

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学校一斉休校直後から、いち早くオンライン授業実施に踏み切ったスクールFC。
以前から「子どもたちの学びを止めない」「自学ができる子を育てる」を第一に考えていたスクールFCにとって、それは自然な流れだったそうです。花まるグループの進学塾部門スクールFCの代表、松島伸浩先生(以下:松島先生)にお話をうかがいました。

スクールFCの休校対策は「オンライン自学室」から始まった

松島伸浩先生
松島伸浩先生:スクールFC代表兼花まるグループ常務取締役

エデュ:3月から学校が突如休校となり、塾としてもどのような対応をするべきか判断を迫られる中で、スクールFCではどのような対策を取られたのでしょうか?

松島先生:真っ先に「自学室」をオンライン化できないか?という話になりました。「自学室」は、スクールFCが大事にしている、自分で勉強する場のことです。花まるグループには「自分で勉強できる子どもを育てる」という理念があります。ですから、どうにかして「自学室」をオンラインでできないかと。2月27日に一斉休校の通達が出てからすぐに準備に取り掛かり、3月4日にはZoomを使った「オンライン自学室」を開室しました。

とはいえ、初めてのことなので、開室初日は講師の方が戸惑っていて。そうこうしているうちに、指示を出さなくても自然に勉強を始めている子どももいました。普段わたしたちが目指している自学が、子どもたちや親御さんに伝わっていることを実感でき嬉しかったですね。

オンライン授業に切り替えようと判断したのは3月末でした。3月中は、地域によって学校が一時再開することもあったので。それからは、社員だけでなくアルバイトの講師や事務方も含めて全員で何度も試行錯誤をしながら不眠不休で準備し、4月13日にオンライン授業をスタートさせました。

「オンライン授業の初日には、生徒全員に参加してもらいたい!」という想いから、保護者の皆さまには何度かメールで事務のお知らせをしました。また直前の4月11日、12日には、保護者向けの練習会も行いました。

オンライン授業でも人の温かさは伝わる!「双方向」を重視した授業

エデュ:オンライン授業は実際どのような内容なのでしょうか。

松島先生:スクールFCのオンライン授業には2つの柱があります。1つは、ポイントをわかりやすく解説した動画を見てもらうこと、もう1つは、オンラインでのライブ授業に参加してもらうことです。ライブ授業は、講師の自宅から配信されています。
授業の冒頭にはホームルームがあります。どの講師も、その時間にちょっとした遊びを行ったり、リラックスタイムをつくったりして、子どもたちの緊張をほぐすようにしています。

授業中は、講師と子どもたちがコミュニケーションを取れるように、たとえば、ミニホワイトボードや模造紙に答えを書いてみんなで見せ合ったり、ジェスチャーをしたり。
ときには子どもたち側のミュートを解除して、みんなで「できた!」「いいね!」とアピールして喜び合うなど、発言の場も意識的に設けました。やはり、子どもたちは誰かに承認してもらえると嬉しいんです。

オンライン授業の様子
講師からのクイズに子どもたちは盛り上がります。※画像をクリックするとスクールFCのオンライン授業の様子がyoutubeでご覧いただけます。

学校が休校となり、塾のリアルな授業がなくなって、子どもたちは友だち同士で話せない状況です。だから、画面越しに顔を見られるだけでも、講師に名前を呼ばれるだけでも嬉しかったようです。そういう人と人とのコミュニケーションが生み出す温かさを大事にして、できるだけ双方向の授業をやるように心がけました。

エデュ:オンライン授業とリアルな場での授業が近づいてきた感じがしますね。

松島先生:そうですね。ですが、まだまだ課題は多いと思います。やはり同じ空気感の中で子どもたちと近い距離で話をしたりはできませんから。心が伝わる瞬間ってお互いが同時に話をしている中でも起こりますよね。オンラインだと同時には話せなかったりするので。

そういう意味では、普段のリアルなコミュニケーションとは違うコミュニケーションがオンラインで生まれていると思います。学習面にそれがどう影響していくのかは、教育関係の研究者の皆さんが検証しているところだと思います。

私たちも今のオンライン授業のやり方が絶対だとは思っていません。やはりリアルの良さというのがありますから。これからはリアルとオンラインとでそれぞれの長所を使い分けていく時代になっていくと思います。もしかしたら、第3の方法があるのかもしれない。新しい学習のあり方を考えていくよい機会だと思っています。

子どもたちの理解度・到達度をどう確認するかがオンライン授業の一番の課題

エデュ:子どもたちの理解度という観点からはいかがでしょうか?

松島先生:一人ひとりの理解度・到達度をどう確認するかが、オンライン授業の一番の課題です。リアルの場では、授業の前に宿題ノートを提出させて、講師がチェックしてコメントを書いて返したり、授業中に小テストを行ったりして、到達度が確認できます。
しかし、オンラインではそれができない。想定していたことではあったので、今は宿題やプリントを写真やPDFで、Googleドライブのフォルダに入れてもらう、といったようなやり方を行っています。添削したらまたフォルダに戻して、親御さんも一緒に確認できるようにしています。でも、これがパーフェクトなやり方だとは思っていません。

今は誰もが同じ条件。焦らず「自学ができる子」を育てよう

勉強する女の子

エデュ:保護者からは寄せられるお悩みとしてはどんな内容のものが一番多いですか。またお悩みに対してどんなアドバイスをされていますか?

松島先生:やはり、「今の勉強のやり方で大丈夫なのか」という話が多いです。「リアルな授業を再開してほしいけれどコロナも心配…。」そこで揺れているのを感じます。あとは、「志望校選びをどうしたらよいか」というお悩みです。

この先のことに関しては、学校もまだ再開したばかりですし、来年度の受験がどうなるかということは誰もはっきりとは言えない状況です。
それでも、なるべく学校の情報を保護者の皆さまに伝えるために、オンラインの説明会なども開催しています。今年は受験情報を例年以上に正確にしっかりとお伝えしていくので、より近い存在として塾を頼っていただきたいという想いでいます。

それと、子どもが時間通りに勉強しないとか、なかなか家庭学習が進まないときにはどういう声かけをしたらよいかとか、そういったことに関しては、これまでの経験というのは活かせます。オンラインの場でもリアルの場でも声かけのかけ方次第で子どもの心は動きますから。保護者の皆さまからお悩みを聞いてアドバイスしていくという点においては、従来通りかもしれません。

また、学校選びや入試問題の傾向に応じた対策についても、まずはこれまでと同じやり方でいいと思います。秋以降に各学校で入試要項が発表されます。その段階で必要な対策を打っていくので、それは受験生はみんな同じ条件です。決して焦る必要はありません。

今、保護者の皆さまとわたしたち塾がやるべきなのは、これまでどおりに、子どもたちの学びを前向きにしていくこと。これが一番重要なのです。親があたふたしてイライラし、落ち着かない状況というのは子どもにとっても、学ぶ環境としても良くないです。安心して学びに向かえる環境を整えることです。

実際に、現場に長くいて感じることなのですが、授業中に「先生、ぼくは自分で勉強したいので、自習の時間をください」と言うような子が最後はうまくいくんです。「私はここが苦手、ここはわかっていない。だからこれをやらなきゃ!」と思ったときが、一番学習効率が上がり、結果として表れてきます。

講師たちはプロですから勉強のアドバイスはいくらでもできますが、アドバイス以上に本人が自分は何をするべきかに気がつくことが合格への近道なんです。最短距離で行ける。だからそこを目指して行く、というのが私たちの塾のスタンスです。

「自学ができる子に育てる」。そこに保護者の方と一緒に向かっていきましょうというのがスクールFCです。

エデュ:最後に受験生の保護者の皆さまにメッセージをお願いします。

子どもたちはどんな状況であっても、必ず成長しています。
ところが、毎日近くで見ていると、その子どもの成長が見えなかったりするんですね。ですから、ちゃんと見ているよと、認めてあげることがとても大事です。
私たちも、子どもの何気ない変化に気づいてあげることが大切な役割だと思っています。子どもたちがポジティブに日々過ごせるように、ちょっとした声かけをしながら、見守ってあげればいいんです。

これまでのように、毎日同じような状況が続いていると、ストレスが溜まりに溜まって、言いたくないけど子どもに当たってしまうということもあると思います。
親御さん自身もどこかでストレスを解消するということが大切です。
息抜きができる何かを見つけることは、子どもにとってもプラスになります。そうやって一緒に歩んでいければと思っています。

Edu’s point

双方向であることを重視した、スクール FCのオンライン授業は、人との交わり、温かさを大切にしていると感じました。それはリアルであっても、オンラインであっても変わらず、これまでも大事にしてきたことなのでしょう。
さて、ますますオンラインでの受験情報の提供に力を入れるスクールFC。実際に私立中高一貫校の先生が登場し、入試問題に込めた思いや出題意図を伝える動画「2020中学入試問題を振り返る」は、塾視点からの入試振り返りが多い中、ダイレクトに私立学校の様子を知ることができる内容となっています。動画は「花まるカフェ」という学校の先生とお母さんをリアルの場で繋ぐ企画から生まれました。学校との交流を深めることで、よりお子さまに合った学校選びをしていただきたい、そんな想いも込められています。ぜひご覧になってみてください。


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