ふつう女子が桜蔭&東大に行けたワケ 武藤 千明さんインタビュー

東京大学3年 武藤 千明さんプロフィール

■武藤 千明さんプロフィール■

桜蔭中学校・高等学校卒業
東京大学工学部3年
家族構成:父・母・姉

■inter-edu’s eye■
趣味もスポーツも得意なものは一つもなく、勉強も中の上レベル。「ふつうの子」と自己評価する武藤さんが、なぜ、「女子御三家」の一つとされる桜蔭中高を経て東大に進学できたのでしょうか。その秘密にせまります!

下位クラスから始まった中学受験

東京大学3年 武藤 千明さん1

◆サンデーショックで桜蔭と出会う

エデュ:中学受験をしたきっかけは何でしたか?

武藤さん:母が私立育ちだったこともあり、もともと「子どもにも私立でいい教育を受けさせたい」という考えの家庭でした。姉がまず中学受験塾に入り、わたしは「お姉ちゃんがやるなら、わたしもやりたい」というスタンスだったのです。姉は、家から近いフェリス女学院に入学。とても楽しそうにしていたので、当初は同じ学校が第一志望でした。

エデュ:では、なぜ桜蔭を受験・入学したのですか?

武藤さん:わたしたちの学年が、たまたま「サンデーショック」に当たったのです。「サンデーショック」とは、入試日が集中する2月1日に日曜があたる年、キリスト教系の学校が入試日を変更することにより生じる事象のこと。それでフェリス女学院の入試日が変わるので、「1日に桜蔭を受けたら?」と塾や母から勧められました。それから初めて桜蔭の文化祭を見に行ったところ、校風がとてもよかったのです。

エデュ:なるほど! たまたま「サンデーショック」に受験期が当たることで、運命の志望校と出会うこともあるのですね。

東京大学3年 武藤 千明さん2

◆下位3番目から最上位クラスへ

エデュ:塾はどこへ通ったのですか?

武藤さん:SAPIXです。近所で通える塾の中から、母が口コミを参考に選びました。5年生になるタイミングで入ったのですが、入塾時は下から3番目のクラスでした。もともと勉強ができるタイプではなく、公立小学校のクラス内でさえ、中くらいの成績でしたから。でも、6年生になって、最終的には最上位クラスをキープできるようになりました。

エデュ:え! すごいですね! その秘訣は何でしょう。

武藤さん:特別に思い当たることはありません。人と競争するタイプでもなかったし、負けず嫌いでもありませんでした。どちらかというと、自分との戦い。いい点数を取ると母がほめてくれて、おいしいものを食べさせてくれたので、それにつられたのかもしれません。一度クラスが上がると、「上がれるんだ」と分かることで余計にがんばれて、気づいたら最上位にいました。

エデュ:停滞期はありませんでしたか?

武藤さん:もちろんありました。悪い点を取ってしまうと、母から残念そうな顔で叱られることも。ただ、具体的にダメな点を指摘してくれたので、「次がんばろう」というモチベーションになりました。あと、受験直前期も不安が高まりました。それについては、第一志望の前に1月入試を受けたことでリラックスできました。

◆母がわたしにしてくれたこと

エデュ:お母さまはどんな教育をされてきたのでしょうか。

武藤さん:教育ママという感じではありません。でも、よく考えれば日常の中でさりげなくしてくれていたことを思い出します。たとえば、わたしがお風呂に入っているとき、母が外からクイズや九九を出題してくれました。あと、塾の送迎時に、母から「今日何をしたのか、ママに教えて」と言われ、要点をまとめ報告するのが日課になっていました。

エデュ:「勉強」を「勉強」と思わせない、お母さまの技が効いていますね。勉強面以外でお母さまはどんなことをしてくださいましたか?

武藤さん:生活面、特に食事について注力してくれました。塾に行く前は眠くならないくらいの軽食、帰宅後の夕食は栄養のあるものなど、タイミングに合ったメニューをしっかり考えてくれていました。

point1受験時、これが成功したポイント

周りの誰よりも、塾が好きだったような気がします。塾に「行かされている」友だちもいる中で、わたしは「好きで行っている」という感覚でした。塾を楽しめることはとても大事だから、合わなければ転塾もありだと思います。

point2受験時、もっとこうしていたら…

時期によって勉強量に波があったので、もう少しコツコツやればよかったかもしれません。姉はコツコツ派でした。ただ、母が姉妹それぞれの性格を分かってくれていたので、それに合わせてうまくやる気に火をつけてくれていたと思います。

「緊張」で浪人した大学受験

東京大学3年 武藤 千明さん3

◆桜蔭は「みんなでがんばる」環境

エデュ:御三家の一つである、桜蔭。入学してみて、どんな印象でしたか?

武藤さん:桜蔭は、常に「みんなでがんばろう」という雰囲気で、たとえば定期試験もゲームのような感覚でした。他校の話を聞くと、おたがいに成績を探り合う雰囲気があるようでしたが、桜蔭はむしろ逆。おたがいのテストや模試の点数を見せ合う環境でした。志望校も打ち明け合って、「がんばろうね!」と切磋琢磨していましたね。

エデュ:塾は行きましたか?

武藤さん:塾も、周りの多くの友だちと同じように、鉄緑会に通っていました。ただ、「大学受験」という観点では、塾は行っても行かなくてもいいかもしれません。大学受験はやればやるだけ伸びるので、自分の努力次第ですね。

◆勉強のやり残しは、命取りになる

エデュ:大学受験期のエピソードも聞かせてください。

武藤さん:とりわけやりたいことが定まっていなかったので、進学後に将来の目標を定めたいという気持ちで、東大を志望しました。受験期は毎日10時間くらいの勉強量。ただ、模試でA判定が出たことにより、油断の気持ちが出てしまいました。そして当日、心のどこかで自分の勉強量に悔いがあったようで、めずらしく緊張してしまい、残念な結果に。浪人期間は、「やれるだけやった」という実感がありました。「これで落ちたら、縁がなかっただけ」と思えるほどに準備しましたね。

◆◆武藤さんからのメッセージ◆◆

中学受験も大学受験も、「環境」が大事。その「環境」を整えることができるのは、母親だと思います。わたしの場合、東大に行けたのは桜蔭にいたからだし、桜蔭に行けたのはサピックスにいたから。そして、それらはいずれも母が用意してくれた環境です。また、母はわたしの受験期、いつもポジティブな発言ばかり口にしていました。たとえば、人から桜のモチーフの贈り物が届いたら、「あれ? やっぱり桜蔭に受かるっていうことかしら」という発言。だから、「落ちるイメージ」はまったくないまま受験に挑めたのです。

■編集者が見た成功のポイント■

取材の間、謙虚に自分の話をしてくださった、自称「ふつうの子」の武藤さん。そのエピソードは一見たしかに「ふつう」なのですが、一つひとつをじっくり聞くと、お母さまのさりげない「環境作り」に素直に応じて、力をつけたようすが伝わりました。また、これまで取材した東大・京大生にはいなかった、「人と競争するタイプでもなく、負けず嫌いでもない」という武藤さんの性格に、「みんなでがんばろう」という桜蔭の雰囲気はとても合っているように思えました。
さて、その桜蔭と武藤さんを出会わせた「サンデーショック」。次に来るのは2015年です! こちらを読んでくださっているみなさまも、他人事ではないかもしれませんね。

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