「代ゼミ20校閉鎖」中受ママはどう見る!?:大学リサーチ第11回

「代ゼミ20校閉鎖」中受ママはどう見る!?2014年9月8日

inter-edu’s eye

8月下旬、代々木ゼミナールが平成27年度に全国27校のうち20校を閉鎖することを発表したニュース。インターエデュをご覧のみなさまも驚かれたのではないでしょうか。代々木ゼミナールと言えば、河合塾、駿台予備校と並ぶ「三大予備校」と呼ばれる一つ。この動きを、これから中学受験・大学受験を迎える人たちはどう見ればいいのでしょうか。一緒に考えてみましょう。

■代ゼミを追い込んだ「少子化」「現役志向」

国公立が並ぶも、東大は25位!?

代々木ゼミナール公式サイトの発表によれば、代々木ゼミナールは校舎を集約する背景として、「昨今の少子化による受験人口の減少」と「現役志向の高まりに伴う浪人生の減少」を挙げています。大手の予備校を追い込んだ「少子化」と「現役志向」とは、いったいどれほどのものなのでしょうか。

文部科学省の「大学の入学定員・入学者数等の推移」によれば、大学志願者数は、18歳人口が戦後2回目のピークを迎えた平成4年度で92万人、平成23年度で67万5千人と、2.5割以上も減少しています。また、現役と浪人の割合は、平成4年度で2:1、平成23年度で6:1と、現役志願者の割合が高くなっている様子が明らかです。

さらに近年で特徴的なのは、入試の多様化。同省の「大学入学者選抜、大学教育の現状」によれば、平成24年度の私立大学の一般入試による入学者選抜はわずか49.1%で、半数以上が推薦入試やAO入試で選抜されているのです。これも、予備校の需要を脅かす一因になったと考えられるでしょう。

■三大予備校を比較すると

打撃を受けているのは、代々木ゼミナールだけではありません。現代の「少子化」や「現役志向」が及ぼす影響というのは予備校全体、むしろ教育全体に関係することと考えてよいでしょう。では、なぜ代々木ゼミナールが今、このような動きに出たのでしょうか。

駿台予備校 河合塾 代々木ゼミナール
創立 1918年 1933年 1957年
関連塾 浜学園と業務提携 日能研と業務提携 SAPIX買収
東大合格者数 1,372名 1,143名 369名
早慶合格者数 7,813名 10,386名 3,371名

※合格者数は各校公式サイトの最新情報より算出。駿台予備校・河合塾は2014年度、代々木ゼミナールは2013年度実績

上記は、三大予備校と呼ばれる駿台予備校、河合塾、代々木ゼミナールの情報を抜粋した一覧です。これによると、代々木ゼミナールは他の2校に比べると最も歴史が浅く、近年の主要大学の合格者数も少ない結果となっています。こうした数値で見える実績というのも、世間からは厳しく見られたのかもしれません。

■10年後の大学受験にそなえて

勉強ばかりになっていませんか?

「少子化」と「現役志向」が予備校に影響を及ぼす一方で、はなから「大学受験に塾・予備校は不要」という考え方も。インターエデュの連載「東大・京大生が育つまで」でインタビューをした東大生の中には、塾・予備校に通わず学校と自習だけで東大に合格した方もいます。「予備校はただ通うだけじゃ意味がない」「中学受験は塾まかせだったけど、大学受験は自分次第」との声もありました。

また、下記のとおり、今回代々木ゼミナールのOBの方にもお話を聞いたのですが、現役で志望校に合格した方の予備校の活用方法や、予備校で身につける力はさまざまなのだということがよく分かります。

「現代文の先生からは『すべての問題をごまかすな。選択問題ならその選択肢を消した理由を言えるような知識を身につけろ』と言われ、受験のみならず勉強の本質を教えていただきました」(代々木校・慶應義塾大学出身・Aさん)

「数学の先生からはよく『聞いているだけじゃなく、脳を動かせ』という指導をしていただきました。おかげさまで現役合格でき、感謝しています」(津田沼校・法政大学出身・Bさん)

「現役合格にこだわった指導をしていただき、秋の模試でE判定だった大学に見事合格できました。仕切りのない自習室という環境があったから、周囲に負けないようにがんばれました」(代々木校・明治大学出身・Cさん)

10年後の大学受験や、予備校事情がどう変わってもおかしくない時代です。受験生本人が目的意識を持って、その目的に応じて自分で勉強する力、そして予備校を活用する力を身につけておく必要があるのではないでしょうか。これまで、お子さまが言われたことをいやいやこなすタイプだったり、お母さまがあれもこれもと手を出してしまうタイプだったりしたら、少し方針を見直してみてもいいかもしれませんね。