医学部学費は払える時代!? 年収600万でも目指せる: 大学リサーチ第16回

医学部学費は払える時代!? 年収600万でも目指せるワケ2014年11月25日

inter-edu’s eye

「サラリーマン家庭の収入では、私大医学部を目指すのは無理」。今まで、このように考えていたご家庭は、多いのではないでしょうか。確かに国公立と比べ、「6年間で数千万」が当たり前の私大医学部の学費は、決して安くありません。しかしながら、最近は少し事情が変わってきているということで、近年の私大医学部の学費についてリサーチしました。もしかしたら、お子さまのチャンスが広がるかも…!?

■値下げラッシュでサラリーマン家庭「増」

値下げラッシュでサラリーマン家庭「増」

2014年11月3日付けの日本経済新聞(電子版)によれば、今年行われた河合塾主催の「医学部入試相談会」の参加者について、担当者は「かつてのように医者の子どもだけでなく、サラリーマン世帯も珍しくない」と語ったとのこと。また、2013年2月4日付けの朝日新聞DIGITALの記事は、順天堂大学医学部の志願者について、「以前は少なかったサラリーマン家庭の子どもの入学も増えた」と掲載しています。

以上のような、サラリーマン家庭の私大医学部志願者「増」現象の原因の一つとして、相次ぐ学費の値下げが挙げられます。2008年度、順天堂大学医学部は、2,970万円だった6年間の学費を2,090万円に、約900万円の値下げを行い志願者を増やしました。これを皮切りに、東邦大学や昭和大学、関西医科大学など、複数の私大医学部が学費を下げています。2015年度は、東海大学医学部が、2012年度に続き2回目の値下げを行うとのこと。初回値下げ前は4,168万円だった学費が、3,500万円となります。こうした値下げは、その背景として少子化に伴う大学側の学生獲得競争があり、今後も続くことが予想されます。

■工夫次第で全学免除も! 負担軽減方法とは

「相次ぐ値下げ」と言っても、その金額はやはり高額です。サラリーマン家庭が私大医学部を目指す場合、家庭の年収にもよりますが、現実には何かしらの工夫が必要となります。学費負担の軽減方法には、どのような方法があるのでしょうか。

・東京都地域医療医師奨学金(特別貸与奨学金)を借りる

将来、医師として、東京都の地域医療に従事する強い意志を持つ医学部生に、東京都が就学費(全額)と生活費(月額10万円)を貸与する制度です。指定大学は、順天堂大学、杏林大学、東京慈恵医科大学の3校。「東京都地域枠入学試験」に合格することが必要となります。

・日本学生支援機構第二種奨学金(有利子)を借りる

経済的理由により修学に困難がある優れた学生に対し、学資の貸与を行うことで、教育の機会均等に寄与することを目的とした奨学金。医学部は最大月16万円まで貸与が可能です。学生が借り主となり、返済義務を負う奨学金となります。

・全日本民医連奨学金を借りる

将来、民医連で地域医療を担っていく医学部生を対象に、修学の一助として貸与される奨学金。対象は、日本全国の大学医学部に在籍する学生で、貸与額などの規定は各都道府県の民医連により異なります。上記、日本学生支援機構奨学金との併用も可能です。

・自治医科大学に入学する

自治医科大学は、へき地等における医療の確保と地域住民の福祉の増進を図るために設立された大学。在学中は学費を借りている状態となり、卒業後に返済するシステムです。また、卒業後9年間、指定された病院に勤務すれば、学費の返済が全学免除されます。

上記のほか、各銀行の教育ローンや、大学ごとの成績優秀者減免制度など、方法はさまざま。お子さまの志望大学や、家庭の経済状況に合わせて選択するといいでしょう。

■「無理」と決めつけるのはまだ早い!

「無理」と決めつけるのはまだ早い!

こうした「お金」に関する話題というのは、内容が複雑だったり、ママ友同士で触れづらかったり、情報収集の難しさを感じるお母さまも多いでしょう。お子さまが「医学部に行きたい」と言ったとき、「知らなかった」がゆえに「うちの収入では私大医学部は無理」と決めつけてしまうのは、もったいないことです。「〜だから無理」と答えを出す前に、「〜だけど何とかならないかしら」と考え行動してみることが、お子さまの未来を拓くことにつながるかもしれません。