みんなの中学受験満足度向上委員会

偏差値60の壁?

掲示板で「偏差値60の壁」という話題がありましたが…

一言で偏差値60といっても、どんな集団の、何で測った偏差値60なのかによって実態いろいろですから、まぁどうしたって感覚的な話に過ぎませんけど、そういう話が出てくるのはなんとなくわかります。

たとえばですが、多くの子が新四年生からカリキュラムに沿って中学受験の勉強を始めている大手塾、日能研に新五年生から入塾したとします。
(どうしてこんな例にしたかといえば、我が子の辿った道筋を思いつつ書いてるからですが)

そうすると、はじめのうちはみんなの知ってることもあれこれ知らなかったりするわけで、模試を受けてもしょぼい点(^^;;
かなり低めの偏差値から出発することになります。

それが、塾に慣れて、勉強の進め方に馴染んでいくと着々と偏差値が上がっていくことが多く…

そして、本人のポテンシャルのあたり(たとえば60とか)に来るとあんまり上がらなくなる。

まぁ、当たり前の話ですけど。

それが、現象としては「壁」に見えますよね。

その、「壁」がどこにあるかはその子次第ですが、偏差値の真ん中は50だからといって壁が50にあることが一番多いかというとそういうわけではなくて、
「きちんと(つまり噛み合った方法で)勉強してしばらく継続した状態がどこにあたるか」
を壁と呼ぶのであれば、なんとなく50よりは上のところに「壁」が来る子が多いでしょう。それで「偏差値60の壁」説が生まれたのだと思います。

それなら、「壁」に到達するくらいのタイミングで受験本番が来ればそれでいいのかというと、これまたちょっと違います。
「壁」付近に到達したすぐのときは、まだ安定性に乏しいことが多いのです。
模試と本番では、環境も問題の傾向も違うことが多いでしょうから、
現在ようやく到達した偏差値相当の力を発揮できるかどうかは、ちょっとツキもないと難しいです。

「壁」付近からさらにしばらく頑張った場合(いわゆる「穴」を埋める、応用力を磨く演習をするなど)は安定性が増して、
ツキが味方をしてくれなくても、
ふつうに実力発揮できるようになります。

うちの子どもたちの中学受験では、新五年から入塾して、一年くらいで「壁」に達して、
さらに一年かけて安定性に磨きをかけ、
自信をもって本番に臨むことができてちょうどよかったと思います。

中学受験は、事情により駆け込みのケースもあるけど、もともと親がタイミングはかって参入することが多いから、だいたい「壁」以降しばらくの余裕があって受験することが多いんじゃないでしょうか。

一方、大学受験の現役生は、高三になってから大学受験勉強を始めたり、さらには秋の文化祭が終わってから始めたりということも多くて、「壁」到達すぐとか、それどころか「壁」未到達とか、どうも間に合ってないケースが多いような気がします。こちらは、タイミングを親が決めるわけじゃなくて本人次第ですからね…

空飛ぶアンダンテ

三人の受験について書いていたブログ:
アンダンテのだんだんと中受日記
そのブログをまとめた本:
「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと」ダイヤモンド社
2歳から高専受験まで、またろうのまったり成長の記録:
「発達障害グレーゾーン まったり息子の成長日記」ダイヤモンド社

公立私立比較、科目差の視点から

前に「公立中コースと私立中コースの学力比較」として紹介したデータは、おもしろい内容なのに「母集団」というものを考えていないためにほとんど統計として意味をなさないという、残念なものになっていますが、そこでちょっと見方を変えて。

元の表は、公立私立それぞれの集団が、ランダムサンプリングしたものなどではなくて「駿台模試を受けた人」という、どう偏っているか不明な抽出になっているところが、受け取りように困る原因となっているわけですけれども。

ある集団(たとえば、公立、高二、駿台模試を受けた人)と、また別のある集団(たとえば、私立、高二、駿台模試を受けた人)の、科目間バランスの差ということでは、意味があるデータといえるので、そこだけに注目してみると何が見えてくるでしょうか。

全体に、国語がいちばん私立/公立の差が少ないので、このポイント差を、数学および英語から引いてみます。

【私立公立偏差値ポイント差(私立-公立)が国語よりさらにどれだけ異なるかの表】
高校一年生 数学 2.5 英語 1.6
高校二年生 数学 2.8 英語 1.7
高三生文系 数学 1.8 英語 0.5
高三生理系 数学 3.2 英語 1.6

この数字にどんな意味があるかですけど、たとえば、国語という教科が最も、どう勉強したかに関わらない、元々の勉強の素質(?)みたいなものを表すと仮定するわけです(超~乱暴ですが)。そうすると、上表の数字は、中高の教育、および本人の努力でどんだけ英数の上乗せができたかということを表す、と。

上表では見えなくなった、国語偏差値のポイント差の動きというのは、公立私立それぞれの学校の生徒たちのうち、どういう学力層の子が、何年生から駿台模試に流入してくるかということからくると見るわけです。
(そうすると、公立のできる子は、高一ではまだあんまり駿台模試を受けていなかったのかな、というふうに見える)

そう見ると、高校一年→高校二年→高校三年と、英数の私立公立格差は、別に縮まっているわけではない。
特に、高校一年→高校二年は横ばい。というふうに見えます。

そして大きな変化は高校二年→高校三年の文理選択です。これについては、何か動きを決めるセオリーみたいなものが、公立と私立であからさまに違うように見えるんです。

高三生文系の「英語 0.5」の低さは特異的で、まぁ、いってみれば…地頭はよかったのに中学以降あんまり勉強しなかった子がいっぱいいませんか、ってな感じがするんです。ちなみに、元のページの右側の表、学力上位層のみに限った私立公立格差で同様の操作をすると

高校一年生 数学 1.4 英語 0.3
高校二年生 数学 3.1 英語 1.4
高三生文系 数学 2.1 英語 1.1
高三生理系 数学 3.8 英語 1.8
となります。この「学力上位層のみに限った(高1・2は偏差値60 以上、高3は偏差値55 以上の集団での集計)」という切り方が怪しげで、またどう受け取っていいか悩みますが、高三生文系で「英語 1.1」となっているところに注目です。できる子はちゃんとそこそこできている。

つまり、私立では、三教科偏差値が55未満の集団で、国語はそこそこできるけど英語がどんと足を引っ張っている、数学もあんまりできない、という生徒がかなりの数、文系を選択して平均を下げているようなのです。私立中に入ったけれどもあまり勉強しなかった、という層は理系より文系を選ぶ傾向があるのでしょうか?

そして、理系を選んだ層の、数学における公立私立ポイント差は、ここに出てくる数値の中で最大になります。

中学受験算数を利用してセレクションを行い、それに合った教育を中高継続して行うことで、大学受験数学につながっているのだと見ることができるでしょう。

上記はすべて、「国語の偏差値をその集団の地頭指標として使う」という乱暴すぎる前提に基づくものですから、話半分に聞いてください。でもなんか、生活実感に符合していておもしろいでしょ(笑) 怪しげな(でも興味深い)データと手前勝手な解釈が出てきたら、裏読み・深読みして自分なりに解釈しなおしてみるというのはお奨めです。

空飛ぶアンダンテ

三人の受験について書いていたブログ:
アンダンテのだんだんと中受日記
そのブログをまとめた本:
「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと」ダイヤモンド社
2歳から高専受験まで、またろうのまったり成長の記録:
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ママブロガー名:アンダンテ

中学受験で全落ちして公立中学に通うが、半年後の欠員募集によって女子学院に転入。大学受験では全勝し現役で東京大学理科二類に入学。同大学院修士卒。現在はメーカー勤務。
国語が苦手な次男、算数が苦手な長女の中学受験生活を綴ったブログ「アンダンテのだんだんと中受日記」は「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと」(ダイヤモンド社) として出版された。