こたつたま子の女子中高一貫校生活

会話の維持

 

 

受験期は毎日塾で、たま子と私はほとんど一緒にいませんでした。

お風呂がコミュニケーションの時間で、できるだけ毎日一緒に入るようにしていましたが、

それでも5分か10分。

学校であったことを話すようにしていました。

6年生はイベントが多く、それに伴ってトラブルも耳にしていました。

たま子の学校には、不登校の子も保健室登校の子も不定期登校の子もいました。

地域柄、転校生の多い学校でもありました。

いじめもあったようで、あまり落ち着いた状態ではなかったようです。

たま子は、たま子自身がいじめられる対象にはならなかったようですが、

クラスの仲間はずれや物隠しには怯えていました。

廊下に見張りを立て、先生が来ないうちに暴力を振るういじめがあったと聞いたときには、

私も真剣に悩みました。

誰に何と言えば一番良いのか。

 

小学校がそんな状態でしたから、学校の様子は親に話すように言っていました。

もう親に何でも話す年齢ではありませんが、

それでも親は学校の様子が気になっているということをアピールし続けました。

たま子がトラブルに巻き込まれていないかだけを心配しているのではなく、

誰かがいじめられていないかとか、学校のトラブル全体に親は気を配るものなのだと言いました。

 

別にたま子の学校生活を 根掘り葉掘り聞こうと考えていたわけではなく、

受験が近くなると心が荒れてしまう子がいることを知っているので、

たま子が学校でストレス発散や息抜きをどのようにしているか

同じ受験仲間から サンドバッグになっていないかなどが気になっていました。 

 

12月になると お父様お母様方の顔が変ってきます。 

子どもの顔も変ってきます。

中にはストレスや緊張をうまく処理できず、

外に向かって攻撃的なかたちで処理する人がいます。

子どもも大人もです。

たま子もそうなるかもしれません。

 

いや本当は私の仕事柄、たま子は攻撃に会いやすいのではないかと

心配していました。

実際、そのようなことは何度かありました。

担任の先生に 「ひっそり暮らしている」と 言われたこともありました。

たま子の性格にも原因があったとは思いますが、

きっかけは私の仕事でした。

学校では勉強ができないと思われていたたま子は、

私の仕事を知った子に 何か言われたらしく、

担任の先生が心配して電話をかけてきたことから

私はコトを知りました。

全く気づかなかった反省から、特に勉強が関わる出来事には

私は 注意を払うようになりました。

受験でも何か言われることは想像できます。

 

中学受験をしない人たちには、女子校はわかりません。

大学付属や有名男子私立校は知られているようです。

お風呂の会話では

「開成受けるの?」と 何人にも聞かれたそうです。

「たま子は開成受けるそうだ。」 という話しになっていると

たま子は言っていました。

「中学受験って自分の世界ではすごく大きくて、世界の大きな出来事のようだけど、

 実際には、中学受験しない人にとっては遠い話しなんだね。」

としみじみ言っていました。

有名な学校の名前を出して軽々しく扱うことに驚いたようですが、良い勉強になりました。

「“ひとごと”って 初めて実感したよ。

 開成に行くのがどれほど大変なことなのかなんて、目指してみなければわからないよね。

 私は桜蔭を目指す大変さはわかるけど、開成を目指す大変さはわからないんだよね。

 高校受験しなければ、高校受験の大変さもきっとわからないね。」

その言葉は、私にもたま子の大変さはわからないと言っているようでした。

後になってたま子は、「自分の大変さは誰もわかってない!と思っていたよ。」

と言いましたから、やはりそういう意味もあっての言葉だったのでしょう。

 

お風呂の会話は、たま子と私にとって貴重な時間でした。

子どもの成長を感じることもあったし、

バカな話しで笑うこともありました。

たま子には私ができるだけ話しをしようとしていることは伝わったと思います。

私の満足だけではなく、たま子のストレス解消にも少しはなったなら良いのですが、

それはわかりません。

でも たま子も私も頭の中が受験や勉強のことばかりになりそうだと感じたので、

内容の無い会話の時間を 意識して作るようにしました。