こたつたま子の女子中高一貫校生活

受験直前に荒れるとは・・・

 

たま子との会話の維持を心がけていたという話しの中で、

「受験本番が近くなると心があれる子がいる」

と書きました。

 

私の少ない経験の中で、

聞いた話ではなく、

実際に見たお話しを少し書いてみたいと思います。

ご自分のお子さんではないかと思うお母様がいらっしゃるかもしれないし、

実際にはお子さんが荒れているのに、全く気がついていない

お母様もいらっしゃるかもしれません。

 

そんなことに関係なく、ただ私が気がついた範囲で

心が荒れてしまった状態と感じたお子さんの話しです。

もう時効になっただろう少し前のことばかりです。

 

眠くなるからでしょうか。

えんぴつを腕に刺しているお子さんがいました。

はじめは手の甲、親指の付け根あたりを指していたのですが、

いつのまにか腕を刺すようになっていました。

夏期講習の途中から始まり、眠くならないように刺している感じでした。

過去問をはじめたころからは、服の上から強く刺すようになりました。

服の上から刺せばそれほど痛くないようで、

思いっきり服の上から腕を刺していました。

腕には青あざくらいはできたと思います。

 

そういう子どもの行動をみたのが初めてだったので、

注意した方が良いのか、無視した方が良いのか 悩みました。

他の先生の授業でもやっているのかも気になりました。

私の授業だけなのか、他の授業でもそうなのか・・・

隣の席の子が横目で見ていたので、何かのときに

隣の席の子に、他の授業の様子などを聞いてみました。

今から考えると、他の子に聞くなんて反則ですね。

経験が浅く、考えも浅かったと思います。

どうすればよいのかというよりは、

何が起こっているのか知りたかったという感じです。

結局、その子は他の授業でも同じで、

眠くなると腕をえんぴつで刺しているとのことでした。

「顔、洗ってくる?」 と声をかけたり、

「眠気覚ましに水を飲んだり、手を洗ったりすると良いよ。」

と言ってみたりしましたが、腕を刺すのはなくなりませんでした。

そのまま受験を終えました。

挨拶に来たその子の笑顔は、特別でもなんでもなく、みんなと同じ満面の笑顔でした。

 

 

おしりをかく子がいました。

本当にうしろからズボンの中に手を入れて、

ガリッ! ガリッ! と音を立てて ゆっくりかいているんです。

ガリ! っと音を立てるたびに、周りの子がみていました。

音が 本当に怖い音なんです。

何のひょうしにそうなったのかはわかりません。

やはり 過去問の途中でもよく音を立てていました。

なかなかそのことに触れられませんでした。

注意した先生もいたようですが、最後までゆっくり ガリッ!と

音を立てておしりをかいていました。

 

実はこの二つの行動は、その後何度もみました。

えんぴつを刺す行動も、体のどこかをかく行動も、

寒くなって受験が近くなるとよく見る行動となりました。

同じような子どもが 毎年のようにいるのです。

手や足や顔の、ちょっとした傷がなかなか治らなかったり、

かさぶたをひっかいてしまう行動もよくあります。

髪の毛を抜く行動、爪を噛む行動、鼻をいじる行動、

もともとあった癖のような行動も頻繁になります。

 

 

子どももストレスを感じているのだと思います。

そのストレスは受験のストレスと一まとめにできるものではないと感じます。

プレッシャーかもしれませんし、落ちる不安かもしれません。

わかってくれないイライラ。

頑張っているのに思った成果が出ないイライラ。

受験からくるストレスだとしても、 私にはあまりにも 激しくて、

一人ひとりの中での大きさを考えると、みんな一緒に考えることができません。

 

一人ひとりのことを大事に考えられるのは、お父様 お母様です。

だから その状態を伝えたいと思うことはあります。

でも塾にそういうことを望んでいる お父様お母様は少なく、

「余計なことだ!」 と怒られてしまうのだと先輩先生からは聞いていました。

 

わかる気がします。

もしも たま子がそうなったとしたら・・・

塾の先生に たま子がそういうことになっていると言われたら・・・

中学受験は一回きりですので、

「自分で自分を傷つけながらでも 頑張るしかない」

と考える瞬間もあるし、

「そこまでしなければならないなら やめた方が良い」

と考える瞬間もあるかもしれません。

悩んで いろいろ働きかけはしたでしょう。

でも結局、何も変えられなかったと思います。

たま子は、自分で受験を仕切りたがりましたから、

傷だらけでも、最後まで受験したと思います。

 

実際、たま子は一度 直った持病が出て、

11月くらいからはずっと発作に備えていました。

私はお気に入りのマスクや、発作の予感がしたときに飲む物を

たくさん買って置いたりしました。

発作はストレスからくるとも言われていましたが、

「受験をやめよう」なんて、頑張っているたま子に とても言えませんでした。

 

 

『心が荒れる』 というと

乱暴な行動をイメージします。

外に向けて乱暴になることもありますが、

自分に向けて乱暴になることもあります。

どちらも 対処が難しい。

今でも解決方法は思いつきません。

 

今年もどこかで、自分を傷つけながら頑張っている子どもが

いるかもしれないと思うと、胸が詰まります。

 

その子も、その子を応援するご両親も、

応援しています。

他に言葉がありません。

あと3ヶ月ちょっと、頑張れ! 頑張れ!

 

 

 

ゾーンに入る!

スポーツ選手などが言う

「ゾーンに入る」

『超集中状態で、120%の力を出せる状態』

のようなことです。

 

たま子は、1月の受験は 驚くほどダメな状態で

持ち偏差値からすると “押さえ校” なんて

考えていた学校に不合格。

過去問で点が取れなかった学校に合格。

もう何がなんだかわからない状態でした。

 

受験校の合格・不合格で 全パターンのマトリックスを作り、

出願予定やかかる受験費用をまとめていましたが、

考えていなかった欄を通ることになりました。

 

結局最後は 「ゾーンに入り」  今の学校におさまりました。

ゾーンに入ったのは1校だけ。

途中で気持ち悪くなり、学校から出られないと思ったそうです。

「お母さんに 抱っこしてもらって帰ればいいや。」

と思って最後の科目を受けたそうです。

多分、最後の科目は十何点。

でも、それまでの科目は「自分じゃない」くらいできたそうです。

 

その日は夕方までお茶をしてから帰ったのですが、

全くそんな話をしなかったので、私はたま子が具合が悪くなっていたなんて

ずっと後になるまで知りませんでした。

当時 たま子は自分の  『受験テリトリー』に 誰も入れなかったので、

試験当日のそんな状態も 親には話しませんでした。

 

ゾーンとは どんな状態だったか たま子の説明では、

「ものすごく冷静で、問題が 頭の中に直接入ってきた。

心が冷静なのではなく、頭が冷静。

雑念が一切ない。 受かりたいとか全くない。

興奮状態ではなく、冷静状態。

頭の中は自分とは別の人って感じ。」

ということです。

よく言われる ゾーンと 似ているような似ていないような・・・

 

その後よくないのは、あるスポーツ漫画の中でも言われているように、

ゾーンをアテにしてしまうこと。

たま子は、中間テストでも期末テストでも

ゾーンに入らないか、ゾーンに入ればなんとかなるかも・・・

と雑念にとらわれて、ゾーンに入ることができないので、

深海魚のままです。

それでも自分が望んだ 深海魚ですので、毎日楽しく学校に通っています。