eduスタッフ訪問記

インターエデュ・ドットコムスタッフが学校、塾などに訪問した際の様子をお届けします。

【昌平中学・高等学校】グローバルな視点でとらえる奉仕活動

昌平中学・高等学校(以下、昌平中高)が推進しているグローバル人材育成の4つの柱のうち、パワー・イングリッシュ・プロジェクト(PEP)、スペシャル・ウエンズディ(SW)、国際バカロレア(IB)について回を重ねてレポートしてきました。

そこには、英語教育だけでなく、国際人になるために日本も知り、そして世界を理解するためのさまざまな取り組みが見られました。
今回は4つ目の「プロジェクト学習(PBL)」を取り上げます。

インタビューするのは前回に続き、
国際教育部長、IBコーディネーターの前田紘平先生です。

ご自身が大学生の頃、周りの学生には難関大進学のために勉強はしてきたものの卒業後のプランがなく、就職活動の時期に初めて世の中にはどんな職業があるのだろうか調べ始める人も多かったとか。
そこで、そもそも中高で職業を知る機会が少ないのが問題ではないかと考え、メーカー、商社での海外営業業務を経験後、中高生に将来を考えるきっかけを授けたいと教師になられたそうです。

 

前田紘平先生は、社会科と英語科で教鞭を執られています。

前田紘平先生は、社会科と英語科で教鞭を執られています。

 

■「将来像があるから学びたい」が向学心の理想

 

― 生徒にとって、先生の会社勤めのご経験は実社会を垣間見る機会となっているのでしょうか。

アフリカで働いていたときの話は生徒も興味を持ってくれますね。
生徒たちにとって遠いアフリカと日本がつながっているといった実感が湧くのでしょう。
いろいろな大人から仕事の話を聞く機会は大事です。そして、「就きたい職業があるから勉強がしたい」といった向学心が芽生えたらいいですよね。

 

― プロジェクト学習もそういったキャリア教育の一面を持ち合わせているのですか。

本来は奉仕活動を通じ、世界との関わりを考えるというものです。
グローバルな視野を育むには、奉仕活動は大切な取り組みです。
3学年の共通テーマは「世界」で、教師が一方的に教えるのではなく、生徒が自ら問題を見つけて探究していくプログラムです。
中学2年生はユニクロの活動に参加し、中学3年生の「コミュニティープロジェクト」では夏休みに職場訪問も経験するので、キャリア教育も兼ねていると言えますね。

 

■「プロジェクト学習」学年別学習内容

 

学年 テーマ 取り組み
中学1年生 世界は違う 途上国の課題に気づき、
考える
中学2年生 世界に貢献 行動を起こし、
課題を解決する
中学3年生 世界と働く 自ら企画を考え、
行動する

 

■ “ 届けよう、服のチカラ ” プロジェクト

 

― ユニクロの活動に参加とはどういったことでしょうか。

中学2年生がユニクロが行っているリサイクル活動 “ 届けよう、服のチカラ ” プロジェクトに参加するというものです。
まずは、ユニクロの社員さんが「服とはどのような役割を持っているか」という出張授業をしてくれます。そこで、服が身体を保護し、温めるという目的以外に個性を表現するなどの役割もあることを学び、その後、生徒たちが保育園、幼稚園、小学校に呼びかけ、難民キャンプへ送る服を集めます。

依頼先へのアポイントメントを取ることから、発送まで半年がかりの奉仕活動です。最初は依頼内容をうまく伝えられなかったり、集まったら今度は整理が大変だったり…、
けれど最後に高く積まれた段ボール52箱(約5000着)を目にした生徒たちは、地道な奉仕活動の手ごたえを感じたようですね。思いやりや人への感謝を知ったといった感想が聞かれました。

 

 “ 届けよう、服のチカラ ” プロジェクトの趣旨を幼稚園に説明に行きます

“ 届けよう、服のチカラ ” プロジェクトの趣旨を幼稚園に説明に行きます。

 

回収した服をサイズごとに分類、その際に破損などもチェック

回収した服をサイズごとに分類、その際に破損などもチェック。

 

協力してくださった方々に感謝しながら、段ボールに詰めます。

協力してくださった方々に感謝しながら、段ボールに詰めます。

 

難民キャンプに送る段ボールは生徒の背よりも高く積まれて。

難民キャンプに送る段ボールは生徒の背よりも高く積まれて。

 

■奉仕活動の集大成「コミュニティープロジェクト」へ

 

― “ 届けよう、服のチカラ ” プロジェクトを終えた生徒たちは、中学3年生になると自ら企画を考えた奉仕活動に取り組み始めるということですが、具体的にはどのような内容なのでしょうか。

「コミュニティープロジェクト」の内容は、自分の興味や関心から自分にできる奉仕活動を考え、実際に行うというものです。
幼稚園の先生になりたい生徒は幼稚園に行って読み聞かせを、動物が好きな生徒は動物保護キャンペーンを、小学生に走り方を教える生徒、エネルギー問題を取り上げる生徒など、奉仕の形はこんなにもあるのかと感心するほどです。このような活動を通じ、社会に貢献することで生まれるやりがいを生徒たちは感じることができています。

 

*****
 

「プロジェクト学習」での奉仕活動を通じ、生徒は今の社会が抱える問題をグローバルな視点でとらえられるようになると同時に、そこから自分がどのように社会と関わっていくかを考えるきっかけがつかめるようです。
生徒が大学を卒業するとき、いや大学進学を考えるときすでに、何を学びたいか、将来何に就きたいかが見えていることに期待し、先生の指導は続きます。

 

フォトアルバムで見る “ 届けよう、服のチカラ ” プロジェクト →

 

■訪問記バックナンバー

 

パワー・イングリッシュ・プロジェクト(PEP)の記事はコチラ→

スペシャル・ウエンズディ(SW)の記事はコチラ→

国際バカロレア(IB)の記事はコチラ→

 

★昌平中学・高等学校

 

昌平中学・高等学校のグローバル人材育成プログラムについては→