【八王子中学校・高等学校】好きなものを描くがモットーの美術部
バスケットボールや野球をはじめとする運動部が強豪として知られている一方、高校には美術系クラスもあり、美術大学にも多く進学する八王子学園八王子中学校・高等学校(以下、八王子中高)。いつ訪れても校内には各種のトロフィーや賞状とともに、壁にはところ狭しとたくさんの絵画が飾られています。
今回は美術部にお邪魔して、顧問の宮原先生、前年度部長のSさんにお話をうかがってきました。
絵が好き!のみが入部条件
― どのような活動内容なのでしょうか。
宮原先生:20名弱の在籍で、活動日は月曜日と土曜日です。イラストレーション部と兼部している生徒もいますが、美術部はデッサン力をつけることに重きを置いて活動内容に違いをもたせています。まずは静物デッサンから初めて、2~3枚描いたら油絵に移行。中1から入る生徒もいれば高校からという生徒もいます。
― Sさんが美術部に入ったきっかけは何ですか。
Sさん:中学では演劇部に入っていたのですが、もともと絵を描くのが好きでもっと上手くなりたいなと。途中入部しようと先生に言いに行ったら「じゃ、リンゴを描いて持ってきて」って。
― いきなりリンゴのデッサンとは。提出したら先生は何と?
Sさん:ここはおかしい、それはだめとか悪いことは何も言われず、「観察力があるね」って言ってくださったんです。入部する前だったのですが、初めての講評で褒めてもらえた!って、とてもうれしかったことを今でも憶えています。
絵の表面上の上手い下手でなく、内面を見てもらえたというか…。たぶん部員全員がそういう褒め方をしてもらっているから、絵を描くモチベーションも上がり、楽しく制作ができるんだと思います。
― 素敵ですね。一般的な褒めて育てるではなく、内面を褒めるということですね。
宮原先生:私は「絵は口ほどにものを言う」って勝手に言ってるんですが、デッサンを見るとそんなに普段は話さない生徒であっても「この子は机の中もきれいなんだろうな」とか、「普段はおとなしいけれど情熱的なところもありそう」とか、その生徒の見えない部分がいろいろイメージできるのです。絵を介して生徒を見ると、褒める部分がない生徒はいませんよ。必ずいいところがあるんです。
描きたいものをストレートに描けるのがうれしい
― さて、職員室前に展示されている先生方の肖像画ですが、どういう経緯で描くことになったのですか。
宮原先生:何を描くのか、そのモチーフ選びは私と生徒で行っていますが、あの肖像画を描くに至るにはエピソードがありました。
Sさんがある先生をとても慕っていて、それを知っていたので、だったら部活動の集大成にもなるし、描いてみたらいいじゃないかということに。
そうしたら他の部員も刺激されて、それぞれがいろいろな先生を描こうということになったわけです。
― その先生に肖像画を描かせてくださいとお願いしたのですね。
Sさん:はい。そうしたら快くいいよと言ってくださって。ポーズについて、どこの窓の前に立ってくださいとか、このカップ&ソーサーを持ってくださいとか、たくさん注文をつけてしまいましたが、応じてくださったので感謝しています。満足のいく絵が描けました。
宮原先生:あの肖像画の中に彼女の作ったストーリーがあるんです。慕ってる気持ちが絵に込められていて、伝わってきますよね。それが絵を描くことの基本ではないでしょうか。先生ご本人もとてもよろこんでくださいました。
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実はSさんには「生徒による学校説明会」でも会っていました。
受験生とその保護者に、寸劇を交えながら友達二人と熱心に説明する姿を鮮明に憶えています。その彼女が美術部であったとは…。そこに共通するのは肖像画を描きたくなるほどに慕う先生がいる、とにかく学校が大好きだということのようですね。
★八王子学園八王子中学校・高等学校
■夏期学校見学会: 8月25日(土) 10:00~11:00 ≪要予約≫
■保護者対象説明会: 9月7日(金) 10:00~11:30 ≪要予約≫
■八学祭(学園祭): 9月29日(土) 9:00~15:30