【中学受験2023】 6年生4~6月の教科別学習のポイントは?

大手塾では土曜特訓や日曜特訓が始まり、テストの回数も増えます。忙しさが増すこの時期、学習面でどういったことをチェックしておくとよいのでしょうか? 中学受験専門の個別指導教室SS-1の副代表、馬屋原吉博先生にうかがいました。

6年生の4月から6月は、インプットからアウトプット学習の移行時期

6年生の4~6月は、インプットからアプトプット学習の移行時期

中学入試で合格点を取るには、蓄積してきたさまざまな知識を組み合わせて、発展させていく「考える力」が重要になります。そのためには、知識を手に入れること=インプットと、知識を答案用紙に落とし込んでく力=アウトプットが必要です。

インプットとアウトプットは、本来、並行して進めていくものですが、大手塾の5年生までの授業は、どちらかといえばインプットの割合が大きく、6年生の4月から6月にかけて、徐々にアウトプットの割合が大きくなっていく傾向があります。

たとえば、SAPIXの5年生のカリキュラムにおいては、いわゆる「デイリー」と呼ばれる通常授業が週3回あります。それが6年生の2月になると週2日になり、もう1日は「土曜特訓」と呼ばれる、問題演習が主体の授業になります。
日能研においても、6年生の2月から「前期日特」と呼ばれる問題演習型の授業が始まります。

4月から6月にかけての学習の “転換期”においては、今までの学習のやり方では上手くいかないケースも出てきます。問題演習を通して、何につまずいているのかを見極め、早めに対処することが、この時期の学習の大事なポイントとなります。

アウトプット学習で見えてくる、子どもの「タイプ別」学習の取り組み方

【算数の学習ポイント】

1問1問の解法を「丸暗記」してきたタイプ

塾の月ごと、週ごとのテストなど、出題範囲が狭いテストで点は取れるのに、範囲が広いテストになると点が取れないお子さんの中には、これまで、解法を「丸暗記」するスタイルの勉強を進めてきたお子さんが一定数います。理解の伴わない暗記では、応用力が求められる夏以降の学習に太刀打ちできません。

もし、お子さんにその「ケ」がありそうであれば、家でお子さんが問題を解いているときに「どこまで分かって解いているのかな?」というところをさりげなく観察しましょう。その上で、もし「理解が怪しいな」と感じたら、塾の先生などに早急に相談してみることをオススメします。

親御さんの方で修正できる場合はそちらの方が良いかもしれませんが、「丸暗記」の学習方法をいきなり否定することは禁物です。「丸暗記」は、膨大な量の進出事項にさらされる5年生のカリキュラムを、なんとか乗り越えるためにお子さんがあみだした“処世術”の可能性があるからです。

家で改善までもっていきたい場合、「お子さんが正解させたとき」がチャンスです。答えが合っていることを褒めつつ、「どうやって解いたの?」と答えの導き方を確認します。
「なんとなく解けた」という返答の場合、質問を重ねてコミュニケーションを図り、解法への理解を促していくのが、家庭学習のあり方として理想的です。

【国語の学習ポイント】

■文章の内容を汲み取るのに苦労しているタイプ

問題演習をする中で、わからない語彙が圧倒的に多く、文章の理解が怪しいというお子さんは、漢字、ことわざ、慣用句の学習習慣を身につけることが先決です。塾の小テストで点が取れることを目標に、夏までに対処しましょう。

ある程度、文章がスラスラ読めるようになっているお子さんは、「選択肢問題の解き方」や「記述問題の解き方」といった問題ごとの解法が、ある程度、言葉にできる状態を目指しましょう。

【理科・社会の学習ポイント】

■苦手な単元が多いタイプ

6年生前期のテキストの中には、既習単元と同じタイトルの章があります。一見、復習に見えますが、意外と新しい内容も多く含まれています

5年生までに習ってきた内容で苦手な単元がある場合、どこかでまとめて復習しておきたいところですが、GWがすべてお休みでもない限りは、なかなか特別な時間は取りにくいのが現実です。

なんらかの予定をカットして復習の時間を確保するか、それが難しいのであれば、復習を秋以降に回す覚悟を決めた上で、目の前の一回一回の授業の復習に集中すると決めるのもひとつの選択です。

馬屋原 吉博(うまやはら よしひろ)先生

中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1社会科教務主任。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。大手予備校・進学塾で、大学・高校・中学受験の指導経験を積み、現在は完全1対1・常時保護者の見学可、という環境で中学受験指導に専念している。開成、灘、桜蔭、筑駒といった難関中学に、数多くの生徒を送り出す。

必死に覚えた膨大な知識で混乱している生徒の頭の中を整理し、テストで使える状態にする指導が好評。バラバラだった知識同士がつながりをもち始め、みるみる立体的になっていく授業は、生徒はもちろん、保護者も楽しめると絶大な支持を得ている。
著書に『CD2枚で古代から現代まで 聞くだけで一気にわかる日本史』(アスコム)、『頭がよくなる 謎解き 社会ドリル』(かんき出版)、『中学受験 見るだけでわかる社会のツボ』(青春出版社)などがある。