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交流を通じて自分を再発見 海外私立校とスポーツ大会を開催!工学院大学附属中高のグローバル教育

inter-edu's eye

東京都八王子市の私立校、工学院大学附属中学校・高等学校(以下、工学院大学附属中高)にて7月24日〜28日の5日間、インドの私立校を招いてのスポーツ大会を開催しました。この大会は、同校が加盟する国際的な私立学校連盟ラウンドスクエア参加校との交流活動の一環で行われたものです。
スポーツ大会を企画した中川先生と、国際交流に参加した生徒のインタビューを通して、同校の海外交流活動について紹介します。

海外交流も復活! ラウンドスクエア加盟校との交流活動

ラウンドスクエアとは次世代の国際的リーダーの育成を目的として設立され、世界60か国180校が参加する国際規模の私立学校連盟です。
「国際理解」、「民主主義の精神」、「環境問題に対する意識」、「冒険心」、「リーダーシップ」、「奉仕の精神」といった6つの理念を体現するために、加盟校同士で国際交流や奉仕活動に取り組む活動を行っています。
工学院大学附属中高は2019年に加盟。一時期は新型コロナの影響によりオンラインでの交流活動が中心でしたが、昨年11月、ようやくイギリスで行われた国際会議に参加。12月にはルーマニア北東部・ヤシ市にあるラウンドスクエア校、Paradis International Collegeとの国際交流を実施することができました。

授業をするのはアクティブラーニング用の教室「ICT3」現地校の生徒と一緒に行ったスケートが一番の思い出

スケートのようす
秋葉 悠さん 高校2年生(インターナショナルコース)
秋葉あきば ゆうさん 高校2年生
(インターナショナルコース)

最初は自分の英語で通じるか心配でしたが、現地校の生徒のみんなが優しく接してくれ、理解してくれようとしていたことが嬉しかったです。
一番の思い出は現地校の生徒と行ったスケート。1度もしゃべったことがない人もフレンドリーに話しかけてくれて、スケートを教えてくれました。
今回の経験で英語に対して自信が持てましたが、もっと自分の気持ちを100%伝えられるように英語力を高めていきたいと強く思いました。
10月にはスペインとの文化交流にも参加します。いずれは海外留学も行きたいので、コミュニケーションをより深めるために、もっと勉強していきたいです。

ラウンドスクエア初のスポーツ大会を開催!

これまで加盟校同士の交流会は主に文化交流が中心でした。しかし 「話し合いや意見交換はオンラインでもできるが、生徒の持つ得意を生かし、体を動かす対面でしかできないことに挑戦したい」という思いから、英語科教諭の中川千穂先生(同校のラウンドスクエア担当)、バングラデシュのChittagon Grammar School、ケニヤのStarehe Boys’ Centre、インドのSAI International Schoolの先生方との間で企画。4カ国間でのリレー形式という形で、ラウンドスクエア初の「International Sports Collaboration」と銘打ったスポーツ大会が開催されることになりました。
記念すべき初回開催地は日本。今回はインドからMayo College, Daly College, The Shri Ram School, Welham Girls’Schoolが参加し、バスケットボールの試合を実施します。

実施されるスポーツは各国によって異なり、工学院ではバスケットボールとなりました。

工学院大学附属中高で開催される5日間のプログラムのうち、初日は歓迎イベントとして茶道、習字、折り紙、缶バッジづくりの文化交流を実施し、2日目〜4日目がバスケットボールの試合です。同校のバスケットボール部が参加するほか、明治大学付属中野八王子中学校・高等学校、同じくラウンドスクエアに参加している啓明学園中学校高等学校も参加しました。

International Sports Collaborationロゴ
初日の歓迎イベント
初日の歓迎イベント

迫力の試合展開!白熱したバスケットボール大会をレポート

編集部は4日目の試合を取材しました。この日の工学院大学附属中高の対戦相手は、男子はインド北西部ラジャスタン州のMayo College、女子はインド北部ハリヤナ州からThe Shri Ram Schoolです。男女ともに体格では圧倒的にインドの生徒が大きいのですが、工学院大学附属中高バスケットボール部の必死のディフェンス、そして隙をついてカットイン! と白熱した試合展開。暑い体育館で、さらに熱い試合を展開していました。

  • 白熱の女子バスケットボールの試合は工学院大学附属中高の勝利
    白熱の女子バスケットボールの試合は工学院大学附属中高の勝利
  • 体の大きいインドの選手に負けず、男子バスケットボールも工学院大学附属中高が優勝!
    体の大きいインドの選手に負けず、男子バスケットボールも工学院大学附属中高が優勝!
  • 試合に参加した生徒たちの寄せ書きも
    試合に参加した生徒たちの寄せ書きも
  • 審判の先生と記念撮影するインドの生徒たち
    審判の先生と記念撮影するインドの生徒たち
  • 試合終了後にはお互いの健闘を称え合う姿も見られました
    試合終了後にはお互いの健闘を称え合う姿も見られました
  • 外の気温は38℃! 冷たい飲み物も用意されていました
    外の気温は38℃! 冷たい飲み物も用意されていました

男女バスケットボール部員にインタビュー!試合終了後に男女バスケットボール部員に感想をお聞きしました。

北田 和可奈さん

女子バスケットボール部

北田きただ 和可奈わかなさん

高校2年生(先進文理コース)

日本の高校生と比べると圧倒的にフィジカルが強いです! また、日本では試合展開で難しい場面があると先生を頼りがちですが、インドの生徒たちは生徒自身でタイムアウトを出すなど、自分たちが主体となって、コミュニケーションを取りながらゲームを進めているのが日本と大きく違い、印象的でした。顧問の先生からは「めったにない経験だから思い切ってやってこい」と言われました。今回、試合をして文化の違いを体験でき、とても楽しかったです。海外校との試合はまた参加してみたいです。

坂本 笙斗さん

男子バスケットボール部

坂本さかもと 笙斗しょうとさん

高校2年生(先進文理コース スーパーサイエンスクラス)

体格の差は絶対あると思っていたので、これまで強化してきた“ディフェンスをしっかりやる”というプレイスタイルを守ろうと試合に臨みました。実際に対戦して、本当にインドの選手は体格が大きくて、吹き飛ばされるんじゃないかと思いましたが、いつも通りのディフェンスを心がけたところ、とても効果的でした。日本でも勝ち上がったら上位の学校には体格の大きい選手がいます。ディフェンスを頑張れば、相手との体格差があってもチャンスをつくれることが分かりました。同じスポーツマンとして海外校と試合ができるのは良い経験だったので、また対戦したいです。

今までの海外交流で一番楽しい経験!初日の歓迎イベントにボランティア参加、スポーツ大会では裏方として参加した生徒にも感想を聞きました。

賀真夏 あゆみさん

文化交流会所属

賀真夏がまげ あゆみさん

高校2年生(インターナショナルコース)

初日の歓迎イベントでは缶バッジづくり、2日目からはお弁当やゴミの分類、飲み物の用意を手伝いました。海外校との交流では、これまでZoomでのオンラインミーティングをしたり、昨年インドの学校が来日した際には学校案内を手伝ったりしましたが、今回のスポーツ大会が一番楽しかったです。高校でしか体験できないことがたくさんできたように思います。価値観や文化の違いにも接することができ、同じアジアなのに似ているところ、違うところなどあるんだなと改めて思いました。

中川先生インタビュー 得意を活かした海外交流を!

最後に、最近の海外交流について、また今回のスポーツ大会開催の背景について、中川先生にうかがいました。

英語科教諭の中川千穂先生
英語科教諭の中川千穂先生
ラウンドスクエア担当

コロナ禍で休止状態となっていた対面での海外交流が復活しました。参加した生徒の様子はいかがでしたか。

中川先生

昨年12月に訪問したルーマニアのParadis International Collegeとの文化交流では、ちょうどクリスマスシーズンだったこともありクリスマスの行事や、山登りなどにも参加しました。本校の生徒は書道やソーラン節などを披露しました。またヤシ市は陶芸や織物の保全施設を、学校が生徒たちと一緒につくる活動をしていたため、生徒たちはそうした伝統文化を大切にしている姿に触れ、本校のある八王子にも織物という素晴らしい文化があることに改めて気づいたようです。せっかくだから地元の織物を広める活動もしたいということで、帰国後は学校近くの織物工場や伝統工芸士の方に話しを聞くなど、自分たちのアイデンティティを振り返るきっかけにもなりました。
6月にはParadis International Collegeの生徒たちが来日し、八王子の織物組合を訪問して機織り体験や、さらに八王子市長へ表敬訪問するなど、交流は続いています。

6月に実現した八王子市長への表敬訪問
6月に実現した
八王子市長への表敬訪問

スポーツ大会を開催された感想をお聞かせください。

中川先生

ラウンドスクエアの年次総会への参加や、文化交流となると、どうしても英語が得意な生徒、本校ではインターの生徒が主体になってしまいます。そのため、英語が堪能でない子でも参加できるような機会をつくりたかったのです。参加した生徒に聞いたら、楽しかったと言ってくれたので私も嬉しいです。多くの生徒が交流することができたため、開催して良かったです。

中川先生は海外交流といった活動を通して、生徒たちにどのように成長して欲しいですか。

中川先生

スポーツを始めとする交流により国を超えた相互理解が促進され、平和に貢献できる人材になってほしいです。さまざまな人との関わりは、自分がどんな人間なのかが分かる機会にもなります。そうして他者を通して自分を知っていき、出会った人とのつながりを通して、良い世の中につなげていける人に成長して欲しいと思っています。

イベント情報

中学校

2023年10月14日(土)14:00第3回 学校説明会・授業/部活動体験
2023年10月25日(水)10:00体育祭
2023年11月26日(日)13:00第4回 学校説明会・入試予想問題体験会
2023年12月23日(土)13:00クリスマス学校説明会
2024年1月13日(土)14:00入試対策説明会

高等学校

2023年10月26日(木)10:00体育祭
2023年10月28日(土)14:00第3回 学校説明会
2023年11月26日(日)10:00第4回 学校説明会
2023年12月2日(土)14:00第5回 学校説明会

編集後記

取材した生徒たちだけでなく、参加していたインド、工学院大学附属中高の生徒たちも楽しそうにしていた姿がとても印象的でした。
スポーツ大会は、今後インドでサッカー、ケニアでは陸上とバレーボール、バングラディシュはクリケットの試合が予定されているそうです。「他者を通して自分を知る」、中川先生が言われたように、今回のスポーツ大会もさまざまな気づきが得られた海外交流になったように思います。

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:工学院大学附属中学校・高等学校