入学試験問題に関する受験生へのメッセージ

桐朋女子では、「ひとりの人間を見る」という気持ち、「新たな仲間を迎え入れたい」という思いで入学試験を行っています。授業がそうであるように、結果だけではなく、答えに至った過程も大切に考えています。一人ひとりの生徒を見つめ、そのよさを認め伸ばそうとする本校の教育姿勢が、入学試験にも表れています。

2019年度の入試は、新設入試もあわせて以下のようになります。

区分 日時 入試内容
A入試 2月1日(金) 午前 口頭試問[口頭試問準備・試問]
筆記試験(国語・算数)
Creative English入試 2月1日(金) 午後 英語1教科型入試
[準備課題・インタビュー]
論理的思考力&発想力入試 2月2日(土) 午前 記述型試験
[言語分野・理数分野]
B入試 2月2日(土) 午後 筆記試験(2科4科選択)
[2科(国語・算数)/4科(国語・算数・社会・理科)]

口頭試問に関して

本校の口頭試問では、授業を受けることなどを「準備」として行い、次にその内容に関する「試問」を受けます。口頭試問では、次に挙げるような3つの力を受験生に求めています。

まず何よりも求められるのは、準備室で授業を『理解する力』です。これは、小学校の授業はもちろんのこと、人の話を聞く姿勢にも通じるもので、物事を学ぶ基本です。ただ何となく聞くのではなく、大切な点はどこなのか、どのような大きなテーマがあるのか、ポイントを押さえながら理解することが大切です。準備室の授業では初めて聞く言葉が多く登場します。そのような言葉をただ暗記すべきものとしてとらえるのではなく、意味を正しく理解し、一つひとつを関連づけて考えられるかどうかで大きな違いが出てくるのです。

試問室でのやりとりの中でも、「理解する力」が試されています。何が問われているのかを、その場で判断し、質問に的確に答えなければなりません。日ごろから、相手が何を伝えようとしているのか、大切な点はどこなのかなどを考えながら聞くという姿勢を持ってください。

小学校では、言葉で表現する力も意識して身につけてきてほしいです。どのような筋道で考えたのか、自分の考えを丁寧(ていねい)に言葉で表現することは、普段の学習で意識して練習していなければできるようになりません。また、日常生活の中でも、言葉を正確に使うことがとても大切です。口頭試問では、新しく学習したことを自分の言葉で説明できるかどうかということも重要視しています。読み手に伝わる文章を書くということも意識して学習してほしいです。口頭試問には、「原因」と「結果」の関係を正しく理解し、筋道立てて言葉で表現できるかどうかを見る問いも盛り込まれています。本校では、意見を発表する機会や、レポートを書く機会も多く、『論理的に考えて言葉で表現する力」』をとても大切にしています。

『様々な生活体験で養われる力』も、必要な要素の1つです。日常生活の中で自分の身の回りにあるものに対して抱く「どうして」「なぜ」という気持ちを大切にし、納得のいくまで考えることを大事にしてください。

以上3つの『理解する力』『論理的に考えて言葉で表現する力』『様々な生活体験で養われる力』は、日常的な小学校の授業や日々の会話で十分伸ばすことができます。普段の行動を今一度見直してみて、気になることが出てきたら納得のいくまで考え、その理解を自分の言葉として表現しようとする姿勢を大切にしてほしいです。桐朋女子の口頭試問は、そのような姿勢を求めています。

口頭試問の紹介動画 ≫

国語

国語の試験においては、みなさんがこれまで養ってきた語彙力、読解力、表現力を確認するために様々な問題が用意されています。漢字の読み書き、言葉の意味や使い方、指示語が指すものの内容、文章の内容、登場人物の心情などを問う問題が出題されます。出題形式は、選択肢の中から解答を選ぶ問題だけでなく、字数指定のある記述問題や、文章のテーマに関して体験をふまえてまとめる発展的な記述問題などがあります。

このように様々な問題に取り組むためには、文章の内容を読解する力、何を問われているのかを正しく読み取る力、そして自分の考えを自分の言葉で表現する力、を身につけておくことが必要です。そのために、日ごろから文章を読むことに親しみ、問題文を正確に読み取ろうという意識を持ち、自分で自分の考えを文章にしてみる、文章のテーマについて自分の体験をふりかえる、という習慣を身につけるとよいでしょう。

算数

A入試、B入試を問わず、算数の問題を作成するにあたって次の点を意識しています。

1つ目は正確な計算力です。
+、-、×、÷の計算規則が身についているか、さらに、かっこが含(ふく)まれた計算、分数や小数が混(ま)ざった式の計算を正しく行うことができるかを見ます。単に答えを求めるだけではなく、正確に丁寧(ていねい)な途中式を書くことを心がけてください。日ごろ計算を行う際も「合っていた」、「間違(まちが)っていた」だけではなく、どこまで正しくできていて、どの部分でどのような間違いをしてしまったのかを意識することが大切です。

2つ目は文章を読む力です。
計算問題以外は必ず文章が書かれています。そこに書かれている一つひとつの言葉の意味や、文章全体の内容を正しく理解して、何を問われているのか、どのようにして答えを導くのかを考えなければいけません。自分の経験や知識から、書かれていることをイメージする力も大切です。また、文章中で与えられている情報を図や表などを利用して整理すると考えやすくなることもあります。いずれにしても、初めて見る文章を限られた時間の中で正しく読み解き、正解を導くためには、日ごろからそのような意識を持って学習に取り組むことが重要です。

そして3つ目は考えを表現する力です。
桐朋女子の算数の入試問題では、答えだけでなく「途中の式や考え方」を要求する問題も出題されます。桐朋女子では様々な場面において「自分の考えを相手に分かりやすく伝えること」を大切にしています。また、何事にも最後まで丁寧に取り組むことができる粘(ねば)り強さも重要です。
桐朋女子では、中学校・高等学校の数学を学ぶうえで、これら3つの力をとても大切にしています。桐朋女子の算数の入試問題には、受験生のみなさんがこれら3つの力を持っているかを見たい、という思いが込められています。

社会

「社会は単なる暗記科目ではありません。」そう言われると、「えっ」と驚く人もいるかもしれません。
もちろん、基本的な知識を正確に覚えることは大切なことです。桐朋女子中学校が社会の勉強で大切にしていることは、この基本的な知識や経験をもとに、考え、判断し、表現することができる力をつけていくということです。

社会の入試問題は、この考えに基づいて作られています。まず、小学校で学んだ知識がきちんと身についているかどうか確認するために、地理・歴史・公民の各分野から、基本的な知識を確かめる問題を多く出題します。さらに、小学校で学んだ知識をもとにして、筋道を立てて考える力がついているか。そして、自分の考えを相手に伝わる言葉で表現する力が身についているか。これらのことを確認するために、文章で説明してもらう問題を毎年出しています。ですから、ほかの学校の入試問題と比べると記号で答える問題が少なく、文章で説明する問題が多い印象を受けるかもしれません。

最初に述べたように、社会の勉強は、単なる知識の丸暗記ではありません。
日ごろから、社会の勉強をするときに、基本的な知識を正確に身につけることを心がけましょう。漢字もしっかり丁寧(ていねい)に練習してください。そして、「なぜこの出来事が起こったのだろう」、「どうしてこのようになっているのだろう」などと、疑問を持つように心がけたいものです。さらに、新聞やニュースなどで話題になっている世の中の出来事に関心を向けてみてください。先生に質問したり、自分で調べたり、家族やお友だちと学んだことや関心を持ったことについて話し合ってみるとよいですね。そうしたことを通じて、知識をしっかりと身につけ、自分自身の理解につなげていってほしいと思います。

理科

理科は、私たちの身の回りに見られる自然現象について考える勉強です。ですから、日ごろよりそのようなことに親しんで「なぜだろう」と考える習慣が大切です。基本的な知識を身につけることは大切ですが、ひたすら知識を頭に詰め込むだけでは、理科を学習したことにはなりません。

みなさんは、初めて見る自然現象にわくわくし、目を輝かせながらその自然現象に興味を持った経験があるのではないでしょうか。それこそが、理科を学ぶための原動力です。桐朋女子中学校ではそのような原動力を持った人の興味・関心に応え、探究していく力を伸ばしたいと考えています。そのため理科の入試問題には、①普段から自然に目を向ける姿勢を持っているか、②小学校の理科の授業に楽しみながら取り組んでいるか、③まだ知らない事柄について自分の頭で考えようとする姿勢を持っているか、④その考えを適切に表現できる力を持っているか、という力を見出したいという思いが込められています。

論理的思考力&発想力入試に関して

「論理的思考力&発想力入試」は、2017年2月に初めて行われた入試です。試験は、言語分野・理数分野の2つに分けて行われます。試験時間は、それぞれ50分間です。ここでは、2つの分野がどのようなもので、どんな問題が出されるのか、また、その問題に対してどう取り組んでいけばよいか、ご説明します。

言語分野

言語分野では、長い文章を読んだうえで、いくつかの問題に答えます。長い文章ですから、あまり細かいことは気にせずに、まずそれを書いた人がいちばん言いたいことは何かを考えてみましょう。次に、書いた人はなぜそのように言っているのか、理由を考えてみてください。理由に注目することが、「論理的に」読むことにつながるからです。

ここまでは国語の試験とあまり変わりありませんが、「論理的思考力&発想力入試」ではさらに、読み取ったことをもとに自分で考えたことを文章で表現する問題も出題されます。考えるときに心がけてほしいことが2つあります。ひとつは、文章から読み取ったことと、自分が今までに体験したことや学校で習ったこととを関係付けて考えることです。こうすることで、考えが深まります。もうひとつは、見方を変えてみるということです。同じことについて、ほかの人は自分とは違う考えを持っているかもしれません。自分とは違う立場の人ならどう考えるか、想像してみましょう。立場や見方を変えて考えてみると、おもしろい発想が生まれるかもしれません。

理数分野

理数分野では、会話文を読み進めながらひとつのテーマについて考えていきます。初めて目にする内容もあるでしょうが、「習っていない」とあせらずに、丁寧(ていねい)に話を追いかけてください。これはA入試の口頭試問にも共通することですが、小学校で習っていないことであっても、丁寧(ていねい)な説明がありますので、それを読み解いていくことが大切になります。一つひとつの話を理解しながら、順を追って考えていくと、いつの間にか階段を上り、知らなかった最初の状態から比べれば一段も二段も上から見ている、そんな位置に立てるはずです。

途中、計算しながら考えを深めたり、表やグラフを読み取ったりする問題もあります。計算は算数・理科の基本です。そして表やグラフを読み取ることは、算数・理科に加え、社会科や家庭科などでも大切なことです。計算結果や表・グラフから読み取ったことをもとに考えると、何かが見えてきます。小学校で学んだことに加え、試験で読み進めてきた内容も利用して、考えてください。 逆にこんなことを知りたいが、そのためにはどんな実験・観察をしたらよいか、といった問題もあるかもしれません。実験や観察から分かることは何か、という問題から見れば、逆の質問ですね。こんな問題にも、それまで読み進めてきたことを利用して、自分ならこんなことをやってみるという新たなことを考えてください。ここでは発想力が問われています。

大切なことは、よく考えること、あせらず粘(ねば)り強く取り組むことです。

Creative English(CE)入試に関して

2019年度入試から新設されるCE入試を通して見たいのは、受験生のみなさんの英語でコミュニケーションをとろうとする意欲や姿勢です。
「準備課題」の時間(約30分)を経て、「インタビュー」(約10分)という構成で試験は進みます。

準備課題

英語の会話を聞いたり、英語で書かれたものを読んだりしながら、課題に答えます。ここで紹介される内容の理解はもちろん大切ですが、自分の考えを書いて表現することが求められます。知っている英語を用いてどのように表現できるかが重要になってきます。英語を読む力、聞く力、書く力をフルに活用して課題に望んでください。

インタビュー

英語であいさつをした後、課題準備室で行った課題を口頭で確認します。試問官とのやりとりは原則として英語で行いますが、難しい表現を使う必要はありません。課題準備で書くときと同様に、知っている英語を用いてどのように表現できるかが重要となります。英語で話す力と英語でコミュニケーションをとろうとする積極的な姿勢が試されます。

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