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【1698750】早期教育効果は小学生で消える

投稿者: やっぱりね   (ID:To85nfkAwlg) 投稿日時:2010年 04月 19日 21:11

幼児期、一つのことに興味を持った場合、知識の吸収力は高いことは良くあります。
例えば、世界地図や国旗、車の名前とか、大相撲の力士の名前とか、まだまだありますね。


納得しました。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100426-00000001-aera-soci

──小学校入学前に読み書きを習得する子どもは多い。その風潮に警鐘を
鳴らす研究が報告されている。本質的な学力を決めるのは親子関係だという。──

 都内に住む30代の母親は最近、4歳の女の子が図書館で読んでいる本を見て驚いた。絵はなく、漢字まじりの文字ばかり並ぶ小学校中学年用の読み物だ。自分の小学1年生の子どもは、入学してようやくひらがなを習ったばかりだというのに。思わず「すごいね」と声をかけると、女の子は「漢字も書けるよ」と言って、スラスラと漢字を書いた。女の子の母親と話すと、通っている有名私立幼稚園では珍しくない光景だという。

■所得よりも養育態度

 最近、地方都市から東京に転居してきた40代の母親の長男が通った保育園は、外遊びを重視し、幼児の読み書きなど早期教育には批判的な方針だった。長男は文字をほとんど書けないまま小学校に入学した。入学後、近所の5歳の女の子が持っていた「お勉強ノート」を見て圧倒された。画数の多い小学校中学年向けの漢字がびっしりとノートのマスを埋めていた。入学後も、わが子がカタカナに四苦八苦する傍らで「5年生の漢字が書けるよ」「九九できるよ」と豪語する級友の存在を知り、長男が勉強についていけるか心配になった。
 しかし、お茶の水女子大学の内田伸子教授(発達心理学)は、文字の読み書きなどの早期教育に批判的だ。内田教授は昨年秋の東アジア学術交流会議で「幼児のリテラシー習得に及ぼす社会文化的要因の影響」調査を発表した。
 ちょうどその2カ月ほど前、文部科学省は全国学力テストの結果を分析し、親の所得が高いほど子どもの学力が高いという調査を発表していた。親の年収が1200万円以上では国語、算数の正答率が全体の平均より8~10ポイント高く、200万円未満では逆に10ポイント以上低かった。
 だが、内田教授の調査では、子どもの学力格差は親の所得格差ではなく、親子のかかわり方が大きく影響していた。たしかに「読み・書き」能力だけみれば、3歳では親の所得や教育投資額が多いほど高かった。しかし、その差は子どもの年齢が上がるにつれて縮まり、小学校入学前に消滅した。文字などの早期教育の効果はわずか、数年しか続かないのだ。
 すでに内田教授は20年以上前に実施した調査で、3、4歳で文字を習得している子と、習得していない子との差は、小学校入学後に急速に縮まり、1年生の9月には両者の差は消えてしまうということを指摘してきた。また、別の研究でも、漢字の習得では、早期教育を受けなかった子どもとの差は小学校2年生ごろに消滅し、むしろ国語嫌いは早期教育を受けた子に多かったということもわかっている(黒田実郎、「保育研究」)。

■想像力豊かな子は…

 一方、幼児の語彙力については、親の所得や教育投資額が多いほど高かった。しかし、詳細な分析をした結果、語彙の成績を左右するのは所得や教育投資額ではなく、親の養育態度であるとわかった。
 内田教授は、こう話す。
「語彙力というのは自律的思考力を支えるものです。所得が低い家庭であっても、子どもとのふれあいを大事にして、楽しい経験を共有するような『共有型』の養育スタイルの家庭の子どもの語彙得点は高いのですが、所得が高くても大人の思いを押しつけ、トップダウンで禁止や命令、体罰などを多用する場合は子どもの語彙の成績は低いのです。他の子どもとの比較や勝ち負けの言葉を多用するとか、子ども中心で親が犠牲となる教育も、学力基盤を育むのに効果はありません」
 つまり親の「人間力」こそ、子どもの語彙力の発達には重要だということだ。しかも、この語彙力こそ学童期以降の子どもの学力と関連があると話す。
 また内田教授が文字を習得している幼児と習得していない幼児に、それぞれ空想でお話をつくってもらったところ、文字を習得していない子どもの方が想像力豊かな内容だったという。こうした研究を通じて、過熱する一方の早期教育に警鐘を鳴らしてきた内田教授は、こう話す。
「幼児期には五感を使って親子で体験を共有することが大切です。親子のコミュニケーションや会話のやりとりを通じて、子ども自身が考えて判断し、親子の絆が深まっていく中で子どもの語彙力は豊かになる。お金をかけなくても子どもは伸びるのです」

■鈍る昼間の活動

 研究者の間では以前から「早期教育」の効果に懐疑的な声は多かった。小児科医でもある、お茶の水女子大学の榊原洋一教授は、著書『子どもの脳の発達臨界期・敏感期』の中で、脳神経学的に胎児期や乳幼児期の早期教育の有効性を正当化する科学的根拠はないとしている。
 むしろ、早期教育の弊害として一番心配されるのは、子どものストレスだ。東北生活文化大学の土井豊教授らが、1997年に幼稚園児の尿を採取してストレス値を比較したところ、早期教育を受けている幼児は、受けていない幼児に比べてストレスが高かった。さらに早期教育を受けている幼児は、昼間の幼稚園での活動が鈍くなっていた。幼稚園後の「お勉強」に備え、日中は活動を休止して子どもなりに心と体のバランスをとっているのだろう。日中の活動の低下は子どもの発育にとってよくはない。ほかにも早期教育を受けた子どもがストレスで情緒障害を引き起こしたケースや、親子の愛着関係に悪影響を及ぼした事例も報告されている。
 都内に住むAさんは、長女の妊娠中からクラシック音楽や絵本の読み聞かせで胎教した。乳児期からは水泳、リトミックのほか、有名幼児教室にも電車で通った。自宅では幼児教室の教材やパズル、フラッシュカードで毎日1時間以上の早期教育を実践した。友達と自由に遊ぶ時間は少なかったが、長女に嫌がる様子も見えなかった。どんどん子どもが吸収していくのが嬉しかったし、何よりも子どものためと信じていた。
 早期教育熱はやがて中学受験熱に変わる。Aさんの長女は、過酷な競争を勝ち抜き都内の難関の中高一貫進学校への入学を果たしたが、その後勉強熱が急速に冷めてしまった。競争の激しい進学校で成績は伸びず、大学受験は苦労した。
 有名中学に合格し、張り詰めていた緊張の糸がプツンと切れてしまったかのように、その後の成績が伸び悩む例は多い。子どものストレスは早期教育で終わらない。小学校に入れば塾通い、中学受験、それが終わっても大学受験と、常に急き立てられていく。

■のしかかるストレス

 先の榊原教授は、こうした塾や学習教室での先取り学習も逆の効果を生む危険性があると話す。日本には飛び級制度はないし、習熟度別クラスも少ない。塾などで勉強したことを学校で「復習」する状態が常に続くと、学校での勉強がつまらなくなる。
 先の40代の母親の長男が通う小学校では「(学校の勉強は)簡単すぎてばからしい」と言う子どももいる。こうした子どもたちは、結果として学校の勉強に対するモチベーションが低下し、集中力も低下する。それこそが中学校以降の学力低下につながりかねないのだ。
 だが、榊原教授は早期教育や中学受験に熱心な親たちを一概には非難できないと話す。格差が広がるばかりの社会で、親が子どもの幸せのためにできることといえば、よりよい教育を受けさせることと思いつめるのも無理からぬことだからだ。フラッシュカードで天才児が育つかのような、教育産業のマニュアル化した教材は魅力的に見える。
 榊原教授はこう話す。
「早期教育が子どものストレスにならず『親子のふれあい』に寄与する程度なら使っても良いでしょう」
 フラッシュカードは、知能開発のためではなく、親子のコミュニケーションのために使えばよい。
 Aさんの長女は、大学入学後に幼い頃の塾通いについて、
「辛かった。お母さんにはいやだとは言えずに我慢していた。幼稚園の友達と、もっと遊びたかった。中学受験なんて必要なかった」
 と涙を溢れさせながら訴えた。
 Aさんは「頭にガツンとパンチをもらった感じ」だった。今まで注ぎ込んだお金と時間と苦労を思うと「間違いだった」とは認めたくない気持ちも残る。でも、「ごめんね」と、長女に心の底から詫びた。
 早期教育の効果はわずか数年足らず。だが、子どものストレスは成長した後も心に長く重くのしかかる。内田教授は、
「子どもはお母さんが大好きだから嫌とは言わない。だからこそ、親は子どものストレスのサインを見逃してはいけない」
 と話している。
ライター 麻生奈央子

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  1. 【1736738】 投稿者: 脳科学  (ID:GAtZGnv6EJc) 投稿日時:2010年 05月 21日 08:45

    狼に育てられたアマラとタマラのように、人間の脳には、ある時期を過ぎると習得が不可能になる、あるいは非常に困難になるものがあります。(脳の臨界期)
    言語がその一例です。
    それ以外にも例えば見る機能。生後、強制的にまぶたを縫いつけてしまうと、後にまぶたをひらいても、見えるようにはならないそうです。仮に目の機能は正常だったとしても、その情報を処理する脳が適切に働かないのでしょう。

    ですから、文字の読み書き、九九などを早期教育しても意味はないと思いますが(成長してからでも十分覚えられるため)、早期教育する意義のあるものもあると考えます。

  2. 【1737179】 投稿者: 老眼  (ID:8a54tj//gxY) 投稿日時:2010年 05月 21日 14:32

    子供の教育というごくごく基本的な人間の営みに関して
    なぜ世の中がこれほど進歩しているにもかかわらず
    ピリッとする方法論が存在しないのか・・・。
    犬の芸じゃないんだからさんの文を拝読して
    なるほど、理解しました。


    「それは親によって違うんですよ」
    ご指摘を受け振り返ってみました。
    私が子供に伝えたいことは
    確かに私自身が親から伝えてもらわなかったことばかりです。
    学校でも習わなかったことでもあったともいえます。
    「親が自分に読み書き計算をもっとはやく教えてくれれば・・」
    と私自身は思ったことはありません。
    だから子供にもそうしないんですね。
    確かにそうです。


    「これは経験した者しか分からないこと、だからこそ、私自身、親として自分の子供に何とかアドバイスしておきたいことであります。
    こういうのを早期教育というのであれば、親として当然の責務だと思います」
    ここに集約されていますね。
    本を読んだり人の話を聞くことの大切さにも通じます。
    ん~なるほど。


    もうひとつ感じたことがありました。
    私の考え方やアプローチの仕方が変にテクニカルに偏っているかもしれない
    ということです。考えるスペースを広げてみたい。


    今日の天気のように晴れ晴れした気分になりました。

  3. 【1737325】 投稿者: 老眼  (ID:8a54tj//gxY) 投稿日時:2010年 05月 21日 16:53

    脳に関して最近気になることがあります
    ・視覚情報は誰においてもすべて記憶されている可能性
    ・側頭連合野と前頭連合野(前頭葉)をつなぐ神経線維の存在
    ・考えるということの幅(反射的なもの、そうでないもの)
    脳科学さんに、記憶と思考についてのご見解と合わせて
    脳科学さんがお考えになる早期教育する意義のあるもの
    についてお聞きしてよろしいですか。

  4. 【1738451】 投稿者: 脳科学  (ID:GAtZGnv6EJc) 投稿日時:2010年 05月 22日 17:00

    老眼様

    専門家ではありませんのでご容赦を。
    私が知っている範囲では、絶対音感(江口寿子氏が詳しい)
    そろばんの暗算
    母国語、外国語の習得
    空間認知
    くらいです。

    そろばんには珠算の級と暗算の級がありますが、幼児から始めた子は、暗算の級の方が若干先に受かる傾向があります。対して遅くに始めた子は、珠算の級が先行する傾向があり、かつ進むにつれ、珠算と暗算の級の開きが大きくなっていきます。
    "傾向"ですので、全員がそうだというわけではありません。
    これなど統計がとりやすいので、ぜひ科学者の方に検証してほしいところです。

    絶対音感も、ごく幼少期に教育を始めればほぼ100%身につけることができるそうです。
    ちょっと話はそれますが、絶対音感の有用性は賛否両論ありますが、楽器を習う場合には非常に役立つものと私は思います。

    たとえば楽譜と違う音を誤って弾いたときに、それに気づくか否か、それから曲を覚えるスピードに効いてきます。相対音感があれば、これらを克服することはできるのですが、小さい子供は相対音感が発達途中ですし、現代曲などは調性がわからなかったりするので、絶対音感があるにこしたことはないと思います。

    長くなりましたのでここで一度切ります。

  5. 【1740862】 投稿者: 老眼  (ID:8a54tj//gxY) 投稿日時:2010年 05月 24日 18:15

    脳科学さんありがとうございました。参考にさせていただきます。お礼遅くなり失礼いたしました。

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