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【5805497】コロナウイルス 医療現場

投稿者: 武漢ウイルス   (ID:AceWfRj2P.g) 投稿日時:2020年 03月 22日 20:46

北川/脳神経内科医/開業準備中
kitagawaneuro
この1ヶ月、都内の一般病院でCOVID-19の診療にわずかですが携わったので、その経験を記します。なお、私は呼吸器や感染症の専門医ではないので、あくまで一内科医としての経験、意見であり所属する医療機関を代表するものではありません。

COVID-19の臨床的特徴は「非常に肺炎を起こしやすい」ということではないでしょうか。インフルエンザ患者を診ていても、細菌性肺炎の合併は時々あってもウィルス性肺炎自体はかなり稀です。しかしCOVID-19では、通常なら風邪程度の症状でもCTを撮影すると、複数の肺炎像が見られます。

すでに報告されているようにこのCT像がかなり特異的です。胸膜にへばりつくようなすりガラス、あるいは網目状の陰影が複数見られます。通常の細菌性肺炎とはかなり異なる印象です。他院からCOVID-19の鑑別のために患者さんが紹介されてくるのですが、CTでスクリーニングをおこない、

怪しい影があればPCR検査をおこなっているのが現状です。幸いCTスキャンが2台あるため、一般患者と分けて検査することが可能でした。またCTでは明らかな多発性陰影でも、レントゲンではかなり分かりにくく、それだけでは否定できません。

このような状況になって思うのは、パンデミックの際には病院や医療システムに余裕が必要だという事です。病床に余裕があるからこそ、専用の病棟を作れますし、外来にしても普段使わないエリアがないと、患者の動線を分けることができません。

国全体の医療システムにも余裕がないと、パンデミックへの対応は難しいことを実感します。一つの病院に限界近い患者が殺到すれば、院内発症(アウトブレイク)がおこり、さらなる患者の増加を引き起こすことは確実で、まさにイタリアでこうしたことが起こっているのだと思います。

この1ヶ月間で、新規患者数はほぼ横ばいでどんどん増えているという印象はありませんので、様々な自粛要請やリモートワークへの移行などの措置がある程度有効なのだろうと感じます。ただ、このまま収束していくかどうかは、現場の末端にいる医師にはわかりません。

ここまで一気に書いたので、少し補足します。民間の検査会社でもPCR検査は可能になりましたが、現時点では行政機関のほうが結果が帰ってくるのが早いため、そちらに依頼しています。検査の適応については、行政側と現場の医師の間に、

「こうした症例は検査すべき」といった暗黙の合意ができつつあり当初よりスムーズになっているようです。現在、クルーズ船の患者さんが少しずつ退院し始めており、今月末から来月にかけて国内発症者の退院も増えていくと思われます。

受け例が決まった時は、私も含めすべての職員は不安だったと思います。ただ、結局はどこかが受け入れなければ患者さんが溢れてしまいます。声を大にして言いたいのは、COVID-19を受け入れても病院に大きな収入が入るわけではありません。

むしろ入院・外来患者ともに減っており経営上は大きなダメージがあります。マスクも潤沢にあるわけではなく、ギリギリでやっているのが現状です。ここで院内感染でもおこって病院を閉鎖するようなことがあれば、経営上はさらに大きな打撃を受けることになりますが、現状ではそれが補填されるわけでもありません。

当初、東京のような過密都市では爆発的に患者が増えるかと思いましたが、そうでもありません(現場の実感としてもそうです)。京都も患者数は比較的少ないようですが、どちらも他人によそよそしい街だからでしょうか?(冗談です)。

先程も書きましたが、私はこのウィルスを完全に封じ込めることは不可能だと思います。我々にできるのは、現在の医療システムが対応かのうなレベルに患者数をとどめておくことです。一方、経済活動をいつまでも制限したり鎖国のようなこと続ければ、経済の破綻により死ぬ人が出てくることは間違いなく、国は、感染者数を一定以下にとどめつつ経済活動を少しずつ元に戻していくという難しい舵取りを迫られていくのでしょう。

一部に、集団免疫ができれば大丈夫という意見があるようですが、このウィルスについては未知のことが多く、私はその考え方については懐疑的とは言いませんが賛成もできません。

私は3月末に退職するのですが(1年前から決まっていたことなのです)、COVID-19の診療にあたっている末端の現場の状況をお伝えしたく長々とツイートしました。

私の体験と考えはあくまで、都心部の一般病院でのそれですので、地域が違えばまた異なる状況であることは言うまでもありません。

日本で新型コロナウィルスが爆発的に増えない一因として、病院がたくさんありアクセスにも制限がないこと、CTスキャンが沢山あり必要があればすぐに撮影可能な事があるとは思います。もちろん他にも要因はあるとおもいますが。

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  1. 【5805515】 投稿者: ご苦労さまです  (ID:YuSDtKEVzMk) 投稿日時:2020年 03月 22日 21:04

    >通常の細菌性肺炎とはかなり異なる印象です。

    「肺炎球菌の保菌者が、ウイルスに感染して肺炎を引き起こす」というメカニズムではないのですか?

  2. 【5805533】 投稿者: うちの市  (ID:6/Zdp8goSJI) 投稿日時:2020年 03月 22日 21:14

    医療に従事されている方にはお疲れ様です、そして感謝していますと伝えたいです。

    まだ当域保健所内では五例に満たないのですが、主管病院ではワンフロアを専門病棟としていると聞きました。

    外来の内科は混雑しているそうですが、受け入れ態勢が整っていると聞いて安心しました。

  3. 【5805605】 投稿者: CTスキャンによるスクリーニング  (ID:Xw2n.P9G9GU) 投稿日時:2020年 03月 22日 22:23

    日本は検査してないしてない言われてますが、実際には、CTスキャンでウイルス性肺炎を読影して、スクリーニングしてるのですよね。
    なのでCTスキャンがそう簡単に使えない国(北欧でも2ー3ヶ月後だそうです)と比べて、確実に患者の状態が把握できてるのではないかと思います。

  4. 【5805666】 投稿者: 肺胞に達した ウイルス・分泌物クラスター  (ID:8P0BE1x1w7g) 投稿日時:2020年 03月 22日 23:03

    エアロゾルサイズの ウイルス・分泌物クラスターは、表面積/体積が大きい為 其の流体力学的挙動は gでは無く μに支配されます。
    つまり 遠心力トラップは、効きません。
    複雑な上気道や気管支分岐での吸気に掛かる遠心力で分離されず、吸気と共に 肺胞に到達。
    肺胞上皮の膨化崩壊&二次ウイルス粒子の放出。
    これが、ほとんど症状が無いのに
    CTで ポツポツと丸い すりガラス状陰影として 観察される訳ですね。 

  5. 【5806265】 投稿者: もういいや  (ID:P8krwEVnn.w) 投稿日時:2020年 03月 23日 13:37

    すみません、現場の方の感覚として
    例えば首都圏だと一日何名までなら重篤者を受け入れられるだけの余裕が現在の病院にはありますか?
    わたしも一市民でしかないのですが、徐々に社会にウイルスを蔓延させ
    共存するしかないと思います。
    ただ国民全員の意識がバラバラなので
    個人でできることには限度があるとつくづく思います。

  6. 【5806324】 投稿者: つかれた  (ID:NfMTWXPjGAY) 投稿日時:2020年 03月 23日 14:41

    受け入れ先を見つけてくれるなら検査しても良いけど、
    都度清掃しながらやっていると一部屋1日3件が限度
    軽症者もいつ急変するかわからないけど
    軽症者いれたら、その分重症者が入れなくなる
    隔離できなければ、感染者が増える
    ジレンマだらけ
    日本の医療はお金をケチられている分余力がない
    気温が上がったときの流行状況に変化があることを祈るのみ

  7. 【5806345】 投稿者: 医療関係者です  (ID:jcb.r8Gmcp6) 投稿日時:2020年 03月 23日 14:56

    コロナウイルスの集団免疫については私も懐疑的です。
    従来のコロナウイルスはインフルエンザウイルスと同様に終生免疫は付きませんから…

    ちなみに首都圏の受け入れ態勢は万全でない病院がほとんどです。重篤な患者さんが増えれば受け皿は多くありません。
    一人一人がウイルスを蔓延させないようにどうしたら良いのか考えて行動することが求められていると思います。

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