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【3801557】ミステリー(推理)小説のレビューをどうぞ

投稿者: アラフィフの読書   (ID:SZRj/VH51r6) 投稿日時:2015年 07月 23日 14:03

こんにちは。私はずっとテレビでワイド劇場などを楽しんできました。
山村美沙や西村京太郎シリーズなどです。

趣味が高じてしまい、最近になって、ミステリー(推理)小説を読み出しましたが、何を読もうかと迷ってしまいます。

皆さんが好きだった本をぜひとも教えて下さい!
ネタバレでも大歓迎です!!!
どうぞよろしくお願い致します。

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  1. 【5779110】 投稿者: 海外の作品から  (ID:CvWZbVcJko.) 投稿日時:2020年 03月 04日 12:52

    コロナ肺炎の問題は日に日に大きくなっていますが、みなさまお元気でいらっしゃいますか?
    混乱の中、ようやく時間をつくって下記を読みました。

    早川が日本語訳発売を予告しておりますので、ご期待ください。

    The Puppet Show, by M. W. Craven

    2019年のゴールドダガー賞受賞作です。
    ゴールドダガー賞はイギリスのCWA(推理小説家協会、Crime Writer's Association)の設けた賞で、イギリスで出版された英語のスリラー/ミステリーの最高の賞です。アメリカのEdgar賞に相当します。

    作者については、16歳で軍隊に入り世界を旅し、故郷のCarlisleに31年後に戻り、その後Provation Officer(保護監察官?)を経てフルタイムの作家になった、という謎多い経歴が記されるのみです。
    この小説の主人公Washington Poeを主人公とする小説はシリーズ化されつつあるようで、第二作は刊行、第三作は予告されています。


    舞台はイギリス、イングランド最北端西側のCumbria州の荒涼たる田舎です。
    Cumbriaには、The Stone Circleという古代の石のモニュメントが散在しています。
    このStone Circleで、老人が次々と焼き殺されるという連続殺人事件が起こります。
    国家犯罪対策庁(National Criminal Agency、NCA)の女性部長刑事Flynnは下部組織であるSCAS(Serious Cime Analysis Section)の調査員Tilly Bradshowを使って事件の背景を探りますが、捜査ミスから休職処分になっていたPoeに現場復帰を要請します。
    三番目の犠牲者の胸にPoeの名前が刻まれていたためでした。

    PoeはTillyとともに事件の背景を調査しますが、被害者同士の関係性も不明で捜査は手詰まりになります。
    Tillyは複数の博士号を持つ秀才でプログラミングとデータ解析に特異な才能がありますが他人との関係をうまく築けず、一人で出張も外泊もままならないメンタリティで、刑事仲間からは知恵遅れ呼ばわりされていました。
    しかし、PoeはTillyのたぐいまれな能力を見抜き、コンビの絆は強まっていきます。外泊すらできなかったTillyはPoeとのコンビで急速にたくましくなり、徹夜しPoeと犯罪現場に同行しノートPCやタブレットを片手に奔走するまでに成長します。

    手がかりの不足に加え、複雑な警察の命令系統(NCAと地元警察があり、アメリカのFBIと州警察同様、この間に軋轢があります)もあり右往左往しますが、ブライトリングの古い高級時計から、26年前の虐待児童のシェルターや当時の有力者のパーティとの関係が浮かび上がってきます。

    =====

    かなり複雑な小説で読みにくいです。

    地元警察とNCAやSCASとの関係や捜査命令系統の混乱や上官たちのエゴ、修羅場になっている捜査本部の様子などつぶさに記述されます。非常にリアルなのですが、読者はいろいろな組織のいろいろな高官が登場して混乱してきます。
    また、広大な自然の描写は読みにくいんですよね。樹木や植物の名前、農耕器具など。
    また、およそ(私には)土地勘のないイングランド北端、というのも、理解を難しくした要因かも知れません。

    また、けっこう理屈っぽくアクションが少ないんですよね。Tillyは膨大な解析をPoeの直感が助け徐々に犯人を絞り込んでいきますが、この記述が延々と百ページ以上続きます。
    そして、最後に犯人とPoeは直接対決しますが、この二人の会話だけで数十ページ。

    暴言を承知で書くと、流れるような文体、という感じはしません。語彙レベルは高い。

    決して明るくなく、アクションも少ない小説ですが、なぜか心に残り、読後感も悪くないです。一匹狼的(Harry Bosch的)でフィジカルにも強靭なPoeと、メンタルに不安定だが解析能力抜群のTilly(Stephen KingのMr.Mercedesに登場するHollyのようです)が、徐々に男女を超えた友情を築いていく記述、そしてTillyが自らの殻を破りたくましくなっていく記述はすばらしいです。

    ちょっと変わったテイストの小説を求める方にはおすすめです。
    英語に自信があれば原著で、そうでなければ日本語訳を待ちましょう。
    ただし、犯罪そのものは相当にグロいのでご注意を。

  2. 【5806578】 投稿者: 海外の作品から  (ID:CjkXFF.dsNQ) 投稿日時:2020年 03月 23日 18:14

    みなさま、コロナと年度末でご多忙でしょうか?
    私は、なぜか新幹線に乗る時間が多く(どうしても必要な出張なのですが、なぜか後ろめたい)、この時間を利用して下記を読みました。

    IQ, by Joe Ide

    日本語訳 IQ ジョー イデ著、熊谷千寿訳 早川ミステリ文庫 
    2019年 このミステリーがすごい 海外編 三位

    IQとは、主人公の名前 Isaiah Quintabeの頭文字で、知能指数ではありません。
    IQはロス郊外(南ロングビーチ)で無免許の私立探偵業をやる黒人青年。南ロングビーチはロスのローサイドで非常に治安の悪い地域です。
    IQは、なかばボランティアで隣人の手助けをはじめますが、噂が噂を呼び、警察が扱わないような犯罪やトラブルの依頼を受けるようになりました。
    IQは頭脳明晰で推理は緻密、かつタフネゴシエータで、富裕層からの依頼は減額に応じません。

    2013年、IQは後見している少年のためにまとまった金が必要となり、昔の仲間Dodsonから、ラップミュージックのスターであるCalの警護を依頼されます。
    Calは離婚から燃え尽き症候群になっていますが、自分の邸宅で巨大な犬(Pit Bul)に襲われたため、自宅に引きこもって一切の仕事を拒否するようになりました。
    IQは巨大な犬を使う暗殺者と背景の調査を依頼されますが、Calの取り巻きの音楽事務所や私設秘書等はIQを快く思わず、ひたすらCalを音楽に復帰させようとします。

    IQは兄しか身寄りがありませんでしたが、2005年には高校の優秀な生徒で、特別クラスで将来を嘱望されていました。しかし事故で兄を失い高校を中退、同じ高校のワル(すでにギャングとつきあって麻薬売買をやっていた)のDodsonとつるんで小犯罪を重ねるようになりました。

    小説は、2013年と2005年を行き来し、IQの現在(Cal襲撃犯と背景を追う)と過去がつながっていきます。
    現在と過去は同等の比重で語られ、高校ドロップアウト後のIQの物語にも非常に迫力があります。


    作者のJoe Ideは日系二世のアメリカ人作家。Ideはたぶん井出さんなんですね。
    遅咲きの作家で、この作品がデビュー作、58歳のときの作品になります。
    IQを主人公とする作品はシリーズ化され、何作か刊行されベストセラーになっています。
    作者はシャーロキアン(シャーロックホームズのファン)とのこと、ホームズの緻密な推理はこの小説のベースになっています。

    =====

    私は、日系人の作品なので英語もどちらかというと日本人にわかりやすい英語ではないかと推測して読み始めましたが、とんでもない誤解でした。
    読みにくい、実に読みにくい小説です。
    ロスの暗黒街の会話は暗喩に満ちており、文法は標準英語と異なり単語も独特で非常にわかりにくい。私は、とても完全には理解しておりません。
    この中で、IQだけは正確な標準英語を使い、知性を際立たせています。

    欧米の小説を日本に紹介する活動を継続している渡辺由佳里さん(Webサイト洋書ファンクラブ)が日本語訳の解説を書いているとのこと。
    渡辺さんの記事に「難易度:上級〜超上級(特殊なスラングであるギャングスター英語での会話が多い。故に難易度が高い)」とあり、ちょっとほっとしました。読み始めて、あまりの読みにくさに英語力が著しく落ちたのかと思ったので。

  3. 【5807420】 投稿者: ロディ  (ID:3jfFAe1.ems) 投稿日時:2020年 03月 24日 12:45

    海外の作品から様

    『IQ』は続編も翻訳で読んでいます。

    翻訳でも、アメリカの西海岸の最近のカルチャーがわからないと、かなり
    読みにくかったです。(日系作家という先入観もありますし)

    個人的には2の方が読みやすかったです。(あくまで翻訳ですが)
    1では解明されてない部分も明らかになってきますし、登場人物の魅力が
    どんどん出てきます。

    ぜひ、続編もチャレンジされてください。(続編もストリートカルチャーやスラングの知識は必要かと思いますが)

  4. 【5815631】 投稿者: ロングライダー  (ID:bE5bHtMxYRw) 投稿日時:2020年 03月 30日 00:03

    『黄』雷均(文藝春秋)
    台湾のミステリーです。

    中国の孤児院で育ち、富裕なドイツ人夫婦の養子となった盲目の青年が、中国で発生した残忍な事件を解くために、インターポールの捜査官と中国にむかう。
    なんだか粗筋だけ書くと、読後感と違うなあ。
    むしろ盲目ゆえにいろいろ困る青年が、なあんとなく事件の真相に近づいていくとでも言いましょうか…。

    トリックを楽しむというより、サスペンスを楽しむようなミステリーです。
    軽く読めますので、降って湧いたようなこの外出禁止戒厳令下に読むのもいいかもしれません。

  5. 【5845664】 投稿者: 海外の作品から  (ID:p/3HTtoa2Vk) 投稿日時:2020年 04月 19日 21:55

    ロディさま、Joe Ideの続編ご紹介ありがとうございます。
    これもなかなか読みにくそうですが、独特のテイスト、またジ割ってみたいです。

    本日は、Stephen Kingの有名な作品を紹介します。
    日本語訳も出版されています。
    暇にあかせて書きなぐったら超長文になってしまいました。どうかお時間のあるときにお読みください。

    Joyland, by Stephen King

    Kingといえば、過剰とも思われるくらい詳細な背景描写、1000ページを超える超長編を想像しますが、この作品は普通の長さの小説、ちょっと短めのミステリーくらい、でしょうか。

    ミステリーの要素もホラー(超常現象)の要素もありますが、甘く切ない青春への追憶のような小説です。

    小説は、63歳の主人公Devinが21歳のひと夏を追憶する形で、一人称で語られます。
    舞台はノースカロライナの海岸近くにあるJoylandといひなびた遊園地です。
    主人公は、恋人(恋人未満?)のWendyに「夏は別々に過ごす」と言われ、仕方なくJoylandのアルバイトに応募します。
    Joylandは季節営業で、夏の機関だけ多くのアルバイトを募集して運営していました。主人公は同じ同じくJoylandのバイトで同じ下宿屋のTomとErinと親しくなり、また、Joylandの癖のある経営者や常勤職員とも交流するようになっていきます。
    主人公は恋人に振られてしまいますが、遊園地の裏方のみならず毛皮の着ぐるみにはいって踊るなど活躍、ホットドックを喉につまらせた少女を助け、ついに、夏が終わっても大学に戻らず、遊園地のメンテナンス要員として働き続けることにしました。
    JoylandではHorror Houseというアトラクションがあり、ここでは、以前、女性が喉を切られて殺される、という未解決の事件がありました。それ以来、その女性は幽霊となって現れ、一部の職員は決してHorror Houseに近寄らないほど恐れていました。主人公はErinの助けを借りて殺人事件を調査し、各地の遊園地を舞台とする連続殺人事件ではないかと思うようになります。

    主人公の下宿の前の波辺には、美しい母親Annieと車椅子の少年Mikeが犬を連れて散歩していました。主人公は、この親子と徐々に交流するようになります。主人公は母親と激論の末、少年をJoylandに連れていくことにします。Joylandはすでに夏の営業を終了していましたが、主人公のために職員たちは一肌脱ぎ、MikeにJoylandの楽しい一日をプレゼントします。
    この後、事態は急転直下、主人公は連続殺人犯とはからずも対峙することになります。

    ものすごくセンチメンタルな筆致です。

    現在進行形ではなく、42年前の青春を回想する形なので、余計に青春は美しくせつなくなるのかも知れません。難病をもったMikeと主人公の信頼関係、Annieと主人公の恋愛ともいえぬ淡い交流が物語の中心とも言えます。

    Annieは、非常にリッチな宗教家の娘ですが、シングルマザーで、父親は自分の宗教観を家族愛より優先してAnnieやMikeとの交流を拒否しています。
    非常に豪華なビーチハウス(別荘?)に暮らすAnnieとMikeの孤独と主人公の恋人を失った喪失感がシンクロしていきます。
    最後の数ページのせつないこと。

    物語の中に、登場人物のその後の姿が挿入され、主人公はそこそこ成功したライター兼編集者で既婚であることがわかりますし、友人のTomやErinのその後もわかります。しかし、Annieの「その後」だけは語られず、物語に深い余韻を残しています。

    ====

    Joe Ideの後で、きれいな英文を読みたいと思ってKing作品に取り掛かりました。流れるような文章で、背景が浮かび上がり、人物像が徐々にクリアになり、さすがKing、とうなりました。

    しかし、「やさしい」洋書かというと、そんなことはなく、多面的な要素が凝縮されている上に、豊富な自然描写、そして遊園地のアトラクションの裏側を記述する単語もよくわからないものが多く、意外に苦労しました。
    また、Kingの小説には珍しく章立てがなく、区切りに

  6. 【5845669】 投稿者: 海外の作品から  (ID:p/3HTtoa2Vk) 投稿日時:2020年 04月 19日 21:58

    最後が切れてしまいました。

    Kingの小説には珍しく、Chapterに分かれておらず、かわりに区切りにハードマークが挿入さています。気にすることはないのですが、読み進んで前の内容を確認したくなったときに多少の不便は感じました。

  7. 【5862069】 投稿者: 海外の作品から  (ID:p/3HTtoa2Vk) 投稿日時:2020年 05月 01日 14:26

    ゴールデンウィークに突入しましたが、みなさま気分の張れぬ毎日かと存じます。おとなしくStay Homeで読書、でしょうか。
    本日は、何人かの方に注目いただいたPeter Swansonの作品です。

    Her Every Fear, by Peter Swanson

    The Kind Worth Killing(そしてミランダを殺す)のの作者、Swansonの作品(といっても2017年)、前にご紹介した新作Before She Knew Himの前に執筆された作品です。

    The Kind Worth Killingは何人かの方にお愉しみいただけましたが、今回はどうでしょうか。

    Londonで美術を専攻するKateは、Bostonに住む遠縁の親戚(はとこ?)のCorbinと、半年限定で住居を交換することを提案され、Bostonに移り住みます。
    KateはCorbinと面識はなく、しかし、Bostonで美術のクラスを履修することを考えて、住居の交換を了承しました。
    Corbinのアパートは、Telegraph Hillというボストン随一の高級住宅街にあり、また、広大で豪華なものでした。
    しかし、まさにKateがCorbinのアパートに到着した日に、隣人女性のAudreyが不審死を遂げ、にわかにKateの身辺は騒がしくなってきます。
    Kateには別れた恋人からの暴行で心の傷を負った過去があり、また、Corbinも暗い過去を持っていました。

    Kateにはアパートの隣人男性やAudreyの元恋人と名乗る男性が接触してきますが、Corbin含め、3人とも行動が怪しく、また、Kateのアパートにも不審なことが起こり、Kateはだんだんと追い詰められていきます。

    =====

    小説は、Kateはじめ何人かの視点をかえて進み、現在と過去が交錯していきます。
    それぞれの人物の心情が詳しく説明され、また、Bostonのしゃれた街並みも相当に詳しく記述されます。

    しかし、視点を変えてもものごとの見え方はあまり変わらない印象があります。
    特に、後半、犯人の視点で事件がなぞられますが、この部分は多少冗長に感じました。

    Bostonは、Lehaneの小説、Mystic RiverやLive by Nightの舞台になっていますが、こちらはローサイド。
    この小説はBostonでも上流が住むエリアが舞台で、バーバードやMITのお膝元だけに起業家や投資家、金融やコンサルなどの高所得者が集まっている雰囲気はよくあらわれています。

    全体に、どうでしょうか。
    スリリングではあるけれど、短い小説にもかかわらず若干の冗長感もあり、The Kind Worth KillingやBefore She Knew Himよりも多少凡庸かな、という感じもしないでもありません。
    英語はSwansonらしく読みやすい英語です。日本語訳は残念ながらまだのようです。

    退屈しのぎにはなるミステリーですので、読みやすい英語の小説を求めていらっしゃる方はぜひ。Swansonの小説は劇画的で深みに欠けるかも知れませんが、気楽に読めてスリリングで面白いです。

  8. 【5862578】 投稿者: ロディ  (ID:ZBrVkb8/FeE) 投稿日時:2020年 05月 01日 21:52

    海外の作品から様、

    まさに読書三昧のはずが、プライムの海外ドラマを見始めてしまい、ロングライダー様お勧めの『黄』が積読状態です。

    ご紹介のピーター・スワンソンの本、『ケイトが恐れるすべて』で翻訳出ています。

    私も翻訳を読んでいるのですが、紹介していませんでしたね。
    はい、おっしゃる通りかと思います。『そしてミランダを殺す』と比べると残念な感じですね。(ご紹介いただいてる2作目を読みたいのですが、翻訳はされていないようです)

    この連休中に1冊くらいは読まないと・・・

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