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【3801557】ミステリー(推理)小説のレビューをどうぞ

投稿者: アラフィフの読書   (ID:SZRj/VH51r6) 投稿日時:2015年 07月 23日 14:03

こんにちは。私はずっとテレビでワイド劇場などを楽しんできました。
山村美沙や西村京太郎シリーズなどです。

趣味が高じてしまい、最近になって、ミステリー(推理)小説を読み出しましたが、何を読もうかと迷ってしまいます。

皆さんが好きだった本をぜひとも教えて下さい!
ネタバレでも大歓迎です!!!
どうぞよろしくお願い致します。

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  1. 【4523854】 投稿者: 海外の作品から  (ID:FDRpK04AGEc) 投稿日時:2017年 04月 04日 22:12

    ここからHarry Boschはじまる。
    The Black Echo, by Michael Connelly

    洋書を読み始めた直後くらいに読んだ、The Concrete Blondeがえらく印象に残っていたのですが、考えてみればConnellyのデビュー作を読んでいないので、Harry Boschシリーズの最初の巻を読んでみました。
    1992年の作品で、1993年のエドガー賞新人賞ほかいくつかの賞を受賞しています。
    作者は、1980年台の後半にロスの事件記者になり、そのときの知見に基づき、ハードボイルドの正当な後継者ともいえるHarry Boschの人間像をつくりました。

    Harry Boschは、ベトナム戦争から帰還し、卓越した捜査能力でロス市警の殺人課のスター刑事となりましたが、Doll Maker事件(被害者の顔に厚化粧を施す、女性連続殺人事件)の容疑者を(武器を持っていないときに)射殺したことをとがめられ、ハリウッド分署に左遷されています。
    地下のトンネルで麻薬中毒と思われる男の死体が発見され、Boschは、彼が、ベトナム戦争時に、ともにTunnel Rat(地下壕の中を専門とする兵士)として戦った戦友であることに気づきます。そして、この殺人事件は、地下道からセーフティボックスに侵入した数か月前の銀行強盗事件と関係づけられ、ベトナム戦争時のダークサイドにつながっていきます。
    銀行強盗事件を追うFBIの女性刑事(ヒロイン)のEleanor Wishとの関係、ロス市警の内部や市警とFBIの関係など、背景や周辺が丹念に描かれ、また、思わぬ伏線が張り巡らされていて、息の抜けない小説となっています。

    最近のConnellyの作品と比較しても、同じような円熟度を感じる、非常に完成度の高い作品と思います。ただ、最近の作品より心持ち長く、その分、会話など冗長な部分もあり、しつこい印象はあります。
    Boschは、この作品から現在に至るまで一匹狼ですが、丹念に長時間かけてドキュメントを分析し証拠や証言を集める、という緻密な一面があり、これも、直近のBoschと変わりません。
    しかし、後半、話が激しく動き出してからは、まさにPage Turnerで、一気読みになりました。そして、緩急のつけかたの上手さ。犯罪現場の前で、FBIとロス市警の主要メンバーが、パトカーの上で、ペンライトで地図や資料を照らしながら作戦会議をやりますが、これが、じりじりするほど長く、話が進まないのです。そして、次の瞬間、一気にカタストロフィックに話が展開し、銃撃戦になります。

    若干ネタバレになりますが、この作品と同様、最新作The Wrong Side of Goodbyeもベトナム戦争が大きなテーマとなっており、ブーメランのように、Boschは元の場所に戻ってきたのかも知れません。

    切れのよい文章で、英語としては文章は難しくないのですが、略語や俗語が多いこと、語彙レベルがやや高いことから、あまり読みやすいとは言えないようにも思います。また、私には見たことのない俗語があり、今も使われているのか、その時代の流行なのか、よく理解しておりません。Hype (麻薬中毒者。皮下注射が語源のようです)、Caper(大騒ぎ、などの意味がありますが、ここでは犯罪者)など。

    その後のConnellyの活躍を十分に予感させる傑作と思います。


    おまけ:今回は、入試にもTOEICにも出題されるかも知れない単語です。

    今回は、ぐっとレベルを落として、表情や動作に関する単語。このくらいはTOEICにも英検にも出ると思いますが、大学受験という意味では、あまり重視されないかもしれません。英米では幼稚園児も知っているだろうと思いますが、受験英語からビジネス英語にはいった日本人には、こういう生活用語は難物です(私もそうでした)。

    Sip 動詞です。通信工学では、SIPはSignaling Initiation Protocolですが、こういう意味のSIPは小説に登場しませんね(あたりまえか)
    Frown 流れる、の過去分詞ではありません。
    Yawn これはご存知ですよね。
    Smirk Cheshire Catの表情とはちょっと異なるようです。
    Mutter 意味を知ると、音と合っているような気がします。
    Squint どうも、悪い意味だけではないようです。
    Glare いろいろな意味がありますが、人の動作に関しては、あまり良い意味ではありません。
    Shove 髭剃り、ではないです。
    Squeeze 野球のスクイズではないです。

    答え
    Sip (飲み物を)少しずつすする。超頻出です。コーヒーやワインを飲むとき、drinkよりも、sipが使われることが多いです。ガブ飲みは、swallowなどを使いますね。
    Frown 顔をしかめる。表情を曇らせる。これも、小説には頻出です。Winceと似ています。
    Yawn あくびをする。
    Smirk 冷笑する。口元をゆがめてニタリとするような動作のようです。もう少し表情を崩すとgrinになります。不思議の国のアリスの中で、Cheshire Catは消えてしまい、猫のニタニタ笑い(grin)だけが残っていた、a grin without a cat、という有名な表現があります。
    Mutter ぶつぶつと不平をつぶやく。Murmurという単語も使われます。私はニュアンスの違いはよくわかりませんが、相対的にはmurmurのほうがより小声のようです。
    Squint 目を細める。疑わしげに見るような場合のほか、明るいところにでて目を細める、というようなときにも使います。
    Glare 名詞の場合は、光り、輝き、というニュアンスですが、動詞になると、怒りをもって睨みつける、というような感じです。
    Shove  押す。押しのける。たぶん、高校の教科書にあります。
    Squeeze  強く握る。これも頻出です。

  2. 【4529219】 投稿者: ロディ  (ID:/voNFivptZw) 投稿日時:2017年 04月 09日 14:35

    海外の作品からさま

    ボッシュについて語り合えるのは、うれしいです。
    私はもう4半世紀前に、最初に『ブラック・アイス』を読みました。

    当時はエルロイの『ブラック・ダリア』が話題になっていて、こちらの3部作は
    映画化されたりして、何となくその陰に埋もれてしまった印象がありました。
    (ボッシュの生い立ちと、エルロイの生い立ちが重なりますしね。

    あまり期待しないで読んだら面白くて、デビュー作から読み直して、あとは翻訳が出れば読んできたのですが、翻訳がなかなか出ないのですよね。


    でも25年間にわたって、同時代に読んで来られたのはラッキーでしたね。

    以前お勧めした『エンジェル・メイカー』、翻訳ですが読み終わりました。

    うーん、とにかく長い。イギリスに対して造詣が深くないと読みにくい。
    壮大な法螺話で、ルパン3世と、007と、アメコミが混ざったような内容。
    活字で読むよりアニメ化してほしい(R18ですが、ジブリか、ティム・バートン)感じです。

    原書で読まれるとなるとかなり大変そうですが、知的好奇心は満足させてくれるかもです。

  3. 【4538894】 投稿者: さら  (ID:WOxQqbk/l9s) 投稿日時:2017年 04月 16日 22:11

    ロディさま

    海外の作品からさまと原著、邦訳ともに作品について語り合えるなんて、うらやましいです。


    今日、電車の乗り間違い3連発のため、30分の行程に90分かけてしまいました。
    乗り間違いの原因がすぐにわからなかったことと3連発だったために、このまま永遠に目的地につかない迷路のような電車にのってしまったのではないか?という不思議な感覚を覚えました。

    何のことはない、あせったための単純ミスを重ねただけのことで、ちゃんと目的地には到着しました。
    (だけど、こんなことがあるのだと自分ながらショックではありました。なぜこんなことに?疲れているのかしら?)

    乗り間違った電車の窓から見慣れない景色を見ながら昨年話題になった『THE GIRL ON THE TRAIN』
    を思いだしました。

    海外の作品からさまが、以前「Gpaded Reader」のようだとおっしゃっていましたね。



    海外の作品からさま

    と、いうわけで、ボッシュは読めていませんが、『THE GIRL ON THE TRAIN』を読んでいます。
    海外の作品からさまがおっしゃるように読みやすいと思います。


    いつもながら単語の解説をありがとうございます。

  4. 【4538921】 投稿者: さら  (ID:WOxQqbk/l9s) 投稿日時:2017年 04月 16日 22:27

    あら、はずかしい。スペル間違いですね。

    Graded Reader でした。

  5. 【4544660】 投稿者: 海外の作品から  (ID:Pmod2HeXncE) 投稿日時:2017年 04月 20日 23:37

    ロディさん

    Boschシリーズもさることながら、アメリカの作家は、翻訳のための許諾料が異常に高く、もっぱら経済的理由により、翻訳を先送りにしたり取りやめたりするらしいです。下手な翻訳も困りものですが(その昔、Sidney Sheldonの「超訳」というのが立て続けに出版され平積みされたことがありますが、これ、噴飯ものに酷かったです。)、もう少し流通を重視してくれれば、と思います。

    さらさま(ロディさま)
    The Girl on the Trainお読みとのこと、なかなかにひねりの効いた作品のわりに、英語が読みやすく、ちょっと原著を手に取ってみようか、という方にもおすすめできます。Gone Girlとの類似を指摘する人も多いのですが、こちらのほうが、登場人物が皆Pureで、Gone Girlの読後のようなおぞましい感覚は残りませんね。

    ということで、続きます。

  6. 【4544672】 投稿者: 海外の作品から  (ID:Pmod2HeXncE) 投稿日時:2017年 04月 20日 23:43

    前にもご紹介しましたが、Stephen Kingの最新3部作完読したので、
    ご紹介します。

    Bill Hodges Trilogy
    1. Mr. Mercedes
    2. Finders Keepers
    3. End of Watch

    3部作になっていて、ロス市警を引退した老探偵Hodgesが、黒人の秀才青年Jerome、メンタルに不安定だがITに関する能力が非常に高い中年女性Hollyと事件解決に奔走する、クライムものです。

    3作目にあたるEnd of Watchは、前2作と雰囲気ががらりと変わり、しかし、
    さすがにKing、とうならせる展開でした。

    Mr. Mercedes
    Job Fair(公共施設で失業者等に仕事の紹介をする催し)の開場を待つ群衆に
    故意に大型のMercedesを突っ込んで8人を死亡させたBradyは、巧妙にITを
    あやつり、Mercedesの持ち主だった中年女性を自殺に追い込むとともに、さらに大きな犯罪を企みます。Bradyの挑発を受けた引退刑事Hodgesは、彼のコンピュータの世話などをしていたJeromeの協力を得て事件の洗いはじめ、Mercedesの持ち主の姪にあたるHollyとも協力していきます。
    精神を病みほとんど他人と交流できなかったHollyは、Hodgesとの出会いから持ち直し、時に危うさを見せながら、ITの知識を駆使して思わぬ活躍を見せす。

    Finders Keepers
    Mr. Mercedes事件で深刻に負傷し障害を負ったTomは、公的扶助も打ち切られ
    生活破綻の危機にあります。そのとき、息子Peterは、遊び場の森で、トランクにはいった小説の原稿と多額の現金を発見します。
    30年前、大作家の家に押し入り、作家を殺して現金と原稿を奪ったMorrisが
    ひそかに隠したものでした。Morrisは初老になって出所し、現金と原稿の紛失に気づき、関係者を殺しながら、Peterに迫っていきます。
    Mr. Mercedes事件から3年経過し、Jeromeはハーバードに進学、Hodgesと
    Hollyは、二人で、小さな探偵事務所、Finders Keepersを運営していますが、
    Jeromeの妹のつきあいで事件を知り、Peter保護に奔走します。
    HodgesとHollyは、Morrisの暴走を止められるか。。。。。

    End of Watch
    Mr. Mercedes事件の犯人Bradyは、脳に深刻な障害を負って植物人間になったと思われましたが、病院で奇跡的に意識を取り戻します。
    ほどなくして、Mr. Mercedes事件で深刻な障害を負った母子が自殺を遂げ、続いて、Bradyの主任看護師も謎の自殺を遂げます。自殺者の自宅には、すでに生産中止にになったゲーム機Zappitがあり、Jeromeの妹も、何者かから贈られたZappitのゲームを眺めて自殺未遂を起こします。それは、自殺勧誘サイトにつながっていました。
    Finders Keepersの二人は、Jeromeも呼び戻して事件の捜査に当たりますが、
    警察は真剣に動かず、また、実はHodgesも膵臓癌で深刻な状態にありました。
    Zappit所持者の自殺は続きます。ほとんど四肢麻痺のBradyはどのように犯罪にかかわっているのか。
    前2作と打って変わって、超常現象、憑依を中核に据えたホラーとなっています。純粋なクライムもので3連作貫くと思っていたので、Supernaturalが登場したのには驚きました。
    展開が速く、実にスリリングです。

    ======
    Stephen Kingは、以上にしつこく詳細な描写を特徴としており、傑作と言われる作品は、超長編がほとんどでした。
    たとえば、IT、Under the DomeなどKingを代表する作品は、1000ページ、30万語を軽く超えます。
    これら3部作は、決して短くありませんが、1冊あたりは、この半分くらいでしょうか。

    Kingのしつこさが少し消えて、ツルツルと読めるふつうの作家になった、とも
    とらえることができますが、より凝縮されエキサイティングになった、という感じがします。



    アメリカでは小学生も読むKingですが、日本では、相当英語ができる人でも、Kingを苦手とする人が多いです。
    しかし、少なくともこの3部作は、長さも手ごろで、けっこう読みやすい部類かもしれません。

    Kingが読みにくい理由は、長いこと、描写がしつこいこと以外に、アメリカの風景や文化を理解しないとよくわからない部分が多いこと、でしょうか。

  7. 【4545249】 投稿者: 映画好き  (ID:rkMeUmgaQUY) 投稿日時:2017年 04月 21日 14:19

    海外の作品から 様

    キングはITだけ原書で読んだことがあるのですが、3部作に挑戦、可能ですかね?

  8. 【4545934】 投稿者: 海外の作品から  (ID:Pmod2HeXncE) 投稿日時:2017年 04月 21日 23:18

    映画好きさま

    これはまったく私の感覚ですが、1作目のMr. Mercedesと3作目のEnd of Watchは、Kingの作品の中でも非常に読みやすいと感じております。
    Mr. Mercedesだけでも一応完結しているので、ここから、ぜひお読みになってください。
    2作目のFinders Keepersは、私にはちょっと、、、と思うところもあったのですが、Finders Keepersがこのシリーズでは最高の作品、と評する人も居るので、好き好き、でしょうね。
    この3作の中で英語を比較しても、どんどんシンプル志向になっているような感じもします。

    Mr. Mercedesから、是非!

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