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第125回日本外科学会の特別企画ご報告

【7665520】
スレッド作成者: メッサーシュミット (ID:BCirYfSRA4M)
2025年 04月 21日 13:14

インターエデュをご覧の皆さまへ。医師として、先日行われた日本外科学会での報告内容をご紹介したく投稿いたします。進学・進路を考える際、「医師」や「外科医」という職業に関心を持たれる方も多いかと思いますが、現在の日本における外科医の養成環境には、一般にはあまり知られていない深刻な課題があります。

2025年4月10日、仙台市で行われた第125回日本外科学会の特別企画にて、北海道大学消化器外科の内藤善先生が、日本を含む29カ国を対象とした外科専攻医(いわゆる後期研修医)の勤務実態に関する調査結果を発表しました。この調査は、アメリカ外科教育学会の国際タスクフォースの一環として実施されたもので、回答数は515名、日本語・英語を含む5カ国語での実施という比較的丁寧な設計となっています。

その結果からまず浮かび上がったのは、日本の専攻医が非常に長時間働いているにもかかわらず、肝心の手術経験が著しく少ないという矛盾した構造です。具体的には、週に80時間を超える勤務をしていると答えた日本の専攻医は34.2%。これに対し、アメリカ・カナダ・欧州などのいわゆる先進国群ではわずか5.4%でした。週80時間というのは、毎日11〜12時間以上の労働に相当します。それでもなお手術執刀件数は、先進国の平均129件に対して、日本はわずか61件。手術数の半分以下という状況です。

つまり、日本の若手外科医は、十分な経験が積めない環境で、他国よりもはるかに過酷な長時間労働を強いられています。

この背景には、教育体制の不備があります。たとえば調査では、「明確なカリキュラムが存在しない」「指導医の質にばらつきがある」といった問題点が多く指摘されています。依然として「見て覚えろ」という古い慣習が残っており、教育が体系化されていないのが現状です。実際に、日本の専攻医のうち57%が「雑用で忙しい」と回答し、症例数の少なさも33%が課題と感じています。臨床の現場に追われる一方で、成長のために必要な手術経験が積みにくくなっています。

さらに深刻なのは、職場環境に対する不満の多さです。外科学会の若手医師グループが行った調査によれば、
• 約30%が「一度は外科を辞めようと考えた」
• 約40%が「ハラスメントを受けた経験がある」
• 約30%が「時間外業務に対して給与が支払われていない」

退職を考えた理由の多くは、ハラスメントと生活の質(QOL)、あるいは仕事と生活の両立(WLB)に関するものでした。長時間労働に見合うリターンが得られていないという意識が、若手外科医たちを疲弊させています。

外科専門医資格の取得・更新にかかる費用の重さも問題です。内藤先生によると、専門医を取得するには最低でも約12万円が必要です。内訳には、学会費・講習費・試験料・認定料などが含まれます。さらに、5年ごとの更新には約20万円が必要になります。これだけの自己負担を強いられても、資格取得後の待遇に明確なインセンティブが設定されているとは言い難い状況です。

たとえば、2019年に実施された日本外科学会の調査では、専門医資格とは別に、外科医に対して何らかのインセンティブ(手当や優遇措置)を用意している施設は、全国でわずか11%しか存在していませんでした。

一方、米国では外科専門医の年収は4000万〜5000万円程度という報告があります。専門医資格があることで保険請求の上限が引き上げられる、患者からの信頼が増す、病院との契約時に優位に立てるなど、実利的なメリットが明確に存在します。これが若手の育成にもつながっており、制度としての循環が成立しています。

内藤先生は、こうした状況を踏まえ、
• 明確な教育カリキュラムの整備
• 指導医の質と教育能力の底上げ
• 働き方や待遇の見直し
• 専門医制度に対する明確な報酬・インセンティブの導入

これらをセットで進めなければ、外科医の減少に歯止めはかからないと指摘しています。

進学先として医学部を選び、さらに将来の専門分野として外科を志すお子さんがいるご家庭にとって、こうした現実は決して他人事ではないはずです。外科医という職業が、個人の犠牲によってなんとか成り立っている構造から、持続可能な職業として再設計される必要があります。

若手外科医が、医師としての責任とやりがいを感じながら、適切な時間と報酬の中でキャリアを積める社会。医療にとっても、患者にとっても、最終的に望まれるのはそうした仕組みです。

以上、医師の立場からの報告でした。
今後、進路を考える上での参考になれば幸いです。

【7668163】 投稿者: 板違いですよ~   (ID:Pm5uromYPK6)
投稿日時:2025年 04月 29日 08:57

せっかくの鬱憤晴らしでしょうがエデュの生活板は、低学歴高齢者の吹き溜まりです。
漢字の多い長文は読めません。
ワイドショーレベルの話題以外はうけつけません。
年金受給額が1円下がっても死に物狂いで抵抗します。
なぜ教育塾の掲示板にたかってくるのかは謎です。

【7668187】 投稿者: 同盟国   (ID:NhcALinbSsA)
投稿日時:2025年 04月 29日 10:18

人間の生命の安全のために協力できる米国との人材派遣的システムで海外で研修するしか道はないでしょうね。
日本は外科よりもリスクの低い内科医優先があるのではありませんか?
最近の若者は外科手術よりもコンピューターを使った手術の方が得意場合もあります。古い外科手術の技法を習っても世界で通用するのかどうかという点もあります。
今はAIと人間のはざまで切り替わる時代です。
人間の脳は追い込まれてはじめて本来の力が発揮できます。
繊細な外科手術はメンタルの強さも試されます。
AIにまさるものが人間にあるとしたら、精神的に追い込まれたときの底力です。
良い環境での仕事を続けると脳は平和ボケになって、そこそこの力しかでません。
好きで追い込まれたい人間だけが医療や他の分野でも最先端の能力を生み出す力が神から与えられるのです。
AIや平和ボケ脳に神は宿りません

【7668229】 投稿者: メッサーシュミット   (ID:2bBEpNblBYA)
投稿日時:2025年 04月 29日 12:16

同盟国様
ご返信ありがとうございます。ご意見、大変興味深く拝読しました。

確かに、今後は国際連携や新しい技術への適応も重要な課題になると思います。ただ、今回ご紹介した調査結果は「外科手術の伝統的技術そのものの是非」ではなく、まず現状の日本の外科修練環境が、海外と比べて構造的に厳しく、非効率であるという点に焦点が当てられています。
具体的には、勤務時間が異様に長いにもかかわらず、手術経験数は半分しか積めないこと、また明確な教育カリキュラムや指導体制が不十分であることが問題視されています。

海外研修による技術向上も素晴らしい選択肢ですが、その前に国内での教育基盤を整える努力が不可欠です。若手の外科医が安心して学び、成長できる環境がなければ、そもそも世界に出て行こうという意欲も育たないでしょう。
「追い込めば力が出る」という精神論についても、確かに一面の真実はありますが、過重労働によって本来の能力すら発揮できず、心身を病む若手が後を絶たない現状を考えると、やはり健全な育成環境づくりが急務だと考えます。

今後とも建設的なご意見、楽しみにしております。

【7668266】 投稿者: 同盟国   (ID:NhcALinbSsA)
投稿日時:2025年 04月 29日 14:42

外科医の労働環境が他の診療科と比較して非常に厳しい労働環境にある理由は人材不足です。
長時間労働、当直勤務、緊急手術対応など、肉体的にも精神的にも負担が大きいのが原因でしょう。
外科医の勤務医の多くは、泊まり込みで当直を行う。
当直明け夜間の緊急手術後で帰宅できない状況が続く。
また急変による対応です。
休日でも駆けつけて長時間の手術に対応しなければならない。
厳しい労働環境の中、医療訴訟のリスクもあり、精神的な負担も大きいと考えられます。

働き方改革も外科医にも及んでいると思います。
2024年4月から時間外労働の上限規制などが設けられた。
時間外労働の削減により、医療提供体制への影響も懸念されているところです。
長時間労働や当直勤務の負担は、結婚した人たちにとっても両立の難しさがあげられます。
休職率や離職率が高いため、キャリアを築くのが難しい環境状況にあるのでしょう。

個人の収入に繋がるように病院の利益より外科医の利益を上げるように魅力ある職種になるよう賃金の在り方を見直す必要があるかもしれません。
今の若い人は権威よりも収入重視です。
インフレでどれだけ一生のうち稼ぎ使うのか
苦労に見合う収入の維持、そして学生の時から医者ならば簡単な手術ぐらいは必須でできることが医師免許取得の条件とすべきかもしれませんね

【7668269】 投稿者: 同盟国   (ID:NhcALinbSsA)
投稿日時:2025年 04月 29日 15:09

美容外科医の多くは高い自由診療報酬設定します。
保険診療だけに拘らず、自由診療報酬ができる分野を拡大し、保険医療にとらわれない手術の在り方も議論すべきでしょう。
保険医療内で命を繋げるのかそれとも自由診療で命を繋げるのか、患者が取捨選択できるようにすべきです。
左翼リベラルは、お金のないものへの差別だと言うでしょう。
しかしお金のあるものは税金を払い社会に責任を負っています。自由診療の術式が増えれば助かるかもしれないとなれば、お金を払うでしょう。
中国共産党などは人権無視のところがあるので、そういうところは長けているかもしれません。
日本で行えるのは人権を重要としながら、できる診療技術の向上のために、区別することです。
平等ばかり言っていては、賃金の向上なども望めません。
仕事をし苦労したものが報われる社会を築くのが資本主義の本筋なのですから。

【7668274】 投稿者: メッサーシュミット   (ID:KkpB4nyI2Rg)
投稿日時:2025年 04月 29日 15:57

同盟国さんのご指摘、いずれも的を射ていて、実際の外科の現場に対する理解が深いものと感じました。ただ、現場で日々患者を診ている立場から、いくつか補足させてください。

確かに、外科医の待遇やキャリアの見通しには構造的な課題が多く、現状が持続可能とは言いがたいのは事実です。ただし、「苦労した者が報われるべき」という資本主義の文脈に外科の問題を一元的に落とし込むのは、やや射程が狭いように感じます。

私たち医師は、労働者であると同時に、人の生死に関わる「専門職業人(プロフェッショナル)」という側面も持っています。この職責は、他の業種の市場原理とは必ずしも一対一で比較できません。つまり、「高スキル=高報酬」で単純に割り切れる職ではないということです。

美容医療や自由診療の市場が成長するのは当然の流れですし、それ自体を否定するつもりはまったくありません。ただ、そこで培われる技術や経験が、果たして医療全体の底上げにどう繋がるのか。逆に、保険診療側にトラブル後のフォローだけが残る形で「副作用」化している現状は、資本主義の成功事例というより、社会的外部不経済の典型例かもしれません。

加えて、「若手が苦労を嫌がって楽な方向に行く」という構図は、やや上の世代からの見え方に引っ張られていないでしょうか。実際には、無限労働に慣らされた世代が、構造改革を怠ってきたツケを、今の若手が「割に合わない」と感じているだけかもしれません。彼らが合理的であることを否定するのは難しいと思います。

ですので、本質的な問いは「どうすれば外科が社会的・職業的に持続可能で魅力ある道に戻るか」であって、単に「外科が不人気だから高収入で釣る」では、安易な対症療法に終わります。

市場原理も必要です。ただ、人の命を扱う職がどこまで市場論理で良いのか。ここは、医師である以上、慎重に考えるべき領域だと私は思っています。

【7668282】 投稿者: 同盟国   (ID:NhcALinbSsA)
投稿日時:2025年 04月 29日 16:24

外科が社会的・職業的に持続可能であるかどうか
という点について

日本国には紫綬褒章というのがあります。
科学技術、学術、スポーツ、芸術文化分野で優れた業績を挙げた人に授与される日本の褒章です。
紫色のリボン(綬)が特徴で、国や公共のために功労のあった方を表彰する栄典制度の一環です。
名誉ある章と報奨金を国が外科医のためにつくるのはどうでしょうか?

外科は社会的に必要な医療です。
緊急性も高く、疾患や外傷の治療に不可欠なものです。
日進月歩の手術技術は、より安全で効果的な手術が可能になり、患者さんのQOL向上に貢献しています。

外科医は長時間労働や精神的な負担も大きいことにより、ワークライフバランスの改善をするには、人材を増やすしか道はありません。

人材を増やすために試験を易しくするというのは言語道断で、多くの弁護士が稼げない世の中になってはいけないのです。

試験のレベルを上げ、見合う社会的に認められる報奨金を含めた輝かしい章を日本国が与える。
日本国民から憧れの職業になるための宣伝も必要かもしれませんね。

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