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6 コメント 最終更新:

『無問題』問題

【7680166】
スレッド作成者: メイウェザー (ID:k2YUafZSVlE)
2025年 06月 10日 10:17

命題
『なぜ中国嫌いの中年層が「無問題」を反射的に使い続けるのか?』

前々から疑問だったが、中国に対して嫌悪感を抱いているはずの中年〜老年層が、なぜか「無問題(モーマンタイ)」という言葉を何のためらいもなく使っている場面にたびたび出くわす。失敗やトラブルに対して、「無問題」とニヤつきながら口にするあの感じ。若い世代から見れば、違和感しかない。

まず、この「無問題」は中国語(普通話)の表現ではない。標準的な中国語で「問題ありません」は「没問題(メイウェンティ)」が正しい。一方「無問題」は、広東語由来の表現で、主に香港・マカオ・広東省など、ごく一部の地域で使われている。実際、広東語話者は中国全体のうち、せいぜい5%程度に過ぎない。つまり、この言い回しは中国という巨大な言語空間の中では、周縁的な方言表現に過ぎない。

にもかかわらず、「中国=無問題=モーマンタイ」と短絡的に受け止めているあたりに、どうしようもない認識の古さを感じる。が、それ以上に見過ごせないのは、そうした人たちが自分の言葉の出所を一切顧みずに、機械的・反射的にこうした表現を使っている点だ。

かつてテレビや映画で耳にした言葉を、意味や背景を考えず、ただの定型句として反復する。その際、彼らの中には「自分は外国語を話している」という意識すらない。むしろ「そういうもんだ」と思い込んで、刷り込まれた語彙を再生しているだけ。つまり、無意識のうちに、異文化の断片を模倣し続けている。

そしてその一方で、中国全体を一括して侮蔑する姿勢を変えない。
要するに、使っている言葉と抱いている感情が、まったく整合していない。言葉の選択が、思想の無反省さを証明してしまっている。

この「無問題」に限らず、他にも似たような「無自覚な異文化語彙のテンプレ使用」があれば、ぜひ共有してもらいたい。
あわせて、なぜこうした現象が中高年層に根強く残っているのか、背景や要因も掘り下げてみたい。

【7680169】 投稿者: メイウェザー   (ID:k2YUafZSVlE)
投稿日時:2025年 06月 10日 10:23

個人的な見立てとしては、「無問題」を使うこの種の言語行動は、いわば「昭和の生活習慣病」のようなものかと。

本人どもに自覚はなく、意味もわからず、ただ刷り込まれた語彙を反復しているだけ。そこに学習も更新もなく、誤用という認識もない。まさに思考停止。

しかも厄介なのは、その語彙の出所が、70〜90年代に輸入された大衆向けアジア娯楽の記憶に基づいている点。

香港映画、ジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポー、そして『無問題』という邦画。

これらの作品群を通じて、「中国語っぽいもの」として耳に残ったものを、そのまま使ってしまっている。しかし、それは本来の中国語とは別物で、中国全体で見れば通じるどころか、むしろ異質とされる方言。

にもかかわらず、彼らはそれを本場のものだと思い込み、さらには「日本人に都合の良い範囲でアジアを模倣してやっている」という無意識の上から目線が滲んでしまう。

このあたりに、昭和世代特有の「加工済みの異文化にだけ親しみを持つ」構造が透けてならない。

反中感情と混在している点も興味深い。

中国全体に敵意を抱きながら、広東語の断片を無邪気に使うその態度は、いわば「嫌いだけど、昔の記憶だけは別腹」的な都合のよさで、それが言語面ににじみ出ている。

まとめると、「無問題」という言葉を何の疑問も持たずに使ってしまう中年世代の姿は、自らの記憶と文化理解のアップデートを怠った結果としての「無反省な模倣」という『醜態』なのだ。

【7680175】 投稿者: メイウェザー   (ID:KDxfQNGmsyQ)
投稿日時:2025年 06月 10日 10:45

因みに似たような現象は、韓国語やカタカナ英語にも見られます。

たとえば最近でも、特段韓国カルチャーに親しんでいるわけでもない若者層が、「ファイティン」や「チョア」といった韓国語の断片を、無邪気に口にしていたりする。

しかも、それを韓国語だと意識していない。あくまでネット上で見かけた「流行り」くらいの軽さで、自分の語彙に組み込んでしまっている。

この「出所を問わず、とりあえず口にしている」感じが、「無問題」とまったく同型の構造をなしている。言葉そのものというより、言葉に対する態度の問題。出自も意味も考えず、耳に馴染んだ順に取り込んでいく。そこに意図も批判もない。ただ習慣と慣性という「無思考」だけが支配している。

こうした言語の無意識的流用は、何も高齢男性に限らない。若年層であれ、いったん口癖として定着してしまえば、もうそれを使うことに疑問を差し挟む余地がなくなる。この無思考、無志向性は、日本語環境に特有の民族的傾向なのかとすら思える。

さらに年齢層が上がれば、今度はカタカナ英語が同じ役割を果たす。「ナイーブ」は繊細な人の意味で使い、「アバウト」は雑な人の代名詞になる。原義と異なるまま定着し、誰も訂正しない。自分も周囲もそう使っているから、それでいいとされてしまう。語彙の正確さよりも、空気との同調の方が優先されている。

そうして、誤用は誤用として認識されないまま、「昔からそうだった」という理由だけで生き延びる。指摘も修正もなされず、間違った言葉だけがゾンビのように日常を歩き続ける。これが、いまの日本に遍在する「言葉のゾンビ化」。

言葉の選び方には、その人が世界をどう捉えているかが如実に表れる。つまり語彙というのは、思考の『更新履歴』でもあるのだ。

古い語彙を更新せず、惰性で使い続けるというのは、それだけ世界認識が古びたままで止まっているということ。語彙の使い方が、そのままその人の世界観の化石標本になっている。

今の日本社会が、グローバルのなかで場違いに古びた言葉づかいと感覚で取り残されているのは、偶然ではないのかもしれない。

OECD諸国のなかで、どこか一人だけ昭和で止まったままで、取り残される様に転落している。

こうした言語的惰性に無自覚なまま、意味の更新を放棄してしまう姿勢こそ、日本が急速に沈んでいく一因ではないか。

一事が万事、いや、バンジージャンプの様に失墜している日本。

紐で吊るされたバンジーならば、最終的には捲土重来、元の位置に戻れるが、今の日本、ワイヤレスバンジーになっていやしないだろうか?

【7681276】 投稿者: まぁ   (ID:JN7OeEBqP0g)
投稿日時:2025年 06月 13日 13:13

今後、今まで以上に日本語には英語の他に台湾語や中国本土の言葉、韓国語などが意識的、無意識的に入り込んでくると思います。それが日本独特の解釈であれ、時代や世相に合わせて言葉が変わっていくのはある意味当然です。言葉はいきものですから。
以前、どなたかがピアノのスタインウェイのことをシタンウェイと書かれていました。変と嘲っていたレスもありましたが中国の地方によってはそういう発音となるので、おそらく中国語ネイティブなのに日本語も上手いと感心したものです。

【7681469】 投稿者: 違うと思う   (ID:Z14vAy/EUmE)
投稿日時:2025年 06月 13日 21:25

>今後、今まで以上に日本語には英語の他に台湾語や中国本土の言葉、韓国語などが意識的、無意識的に入り込んでくると思います。

たしかに言語の変化は日々進んでいますが、日本語への語彙の流入という点で、台湾語や中国の方言がどのように影響を与えているのか、具体例がないと少し判断しづらい印象です。現時点では、英語やカタカナ語の方が圧倒的に目立っているかと思います。

>スタインウェイのことをシタンウェイと書かれていました
>中国の地方によってはそういう発音となるので…

この点ですが、「スタインウェイ」はドイツ語起源の固有名詞で、日本語表記も長年「スタインウェイ」と定着しています。仮に中国語での発音を反映したとしても、それを日本語の文章中に「シタンウェイ」と記すのは少し不自然に映ります。発音の揺れというより、単純な記憶違いか入力ミスではないかと思われます。

>日本語も上手いと感心した

もし中国語ネイティブの方だとすれば、日本語が堪能なことは確かにすばらしいのですが、それと「シタンウェイ」という表記を肯定することは別問題ではないでしょうか。


誤りを責める意図はありませんが、「言葉はいきものだから」と何でも受け入れる前に、まずは正確な知識に基づいて冷静に見ていく姿勢も大切だと思います。

【7683387】 投稿者: ぷ   (ID:I2FkqW.OBWU)
投稿日時:2025年 06月 18日 21:15

シタンウェイ?

GGの打ち間違いだろう 笑

【7683562】 投稿者: まあまあ   (ID:w7/qEUEJ5oE)
投稿日時:2025年 06月 19日 16:16

>STEINWAYのSを中国語訛り英語で発音するとsi(第三声の声調)となるから日本人には"ス"が"シ"になるのでは?

このご指摘、語学的にはやや苦しい印象を受けました。

まず、中国語において「S」で始まる音を [sɿ] のように発音するケースはありますが、それは「思(sī)」など特定の音節に限定される現象です。英語由来の固有名詞「Steinway」のような語を中国語に音訳する場合、通常は表音にできる限り忠実に表記されます。

たとえば、Steinway社の正式な中国語表記は「施坦威(Shītǎnwēi)」です。
ここで注目すべきは:
• 「Shī」は「ス」ではなく「シ」に近いが、これは”St”を反映させたというより、「Sh」から始まる音に近づけるための選択です。
• そして、日本語では「スタインウェイ」と発音・表記されるのが一般的で、英語圏・ドイツ語圏ともに「s」は[s]として発音されます。

つまり「Steinway」の「S」をわざわざ「シ」と誤認するのは、中国語由来というより、単純に元の単語をよく知らなかった可能性が高いです。


また、「シタンウエイ」という表記自体も中国語音訳とは一致しておらず、「ウエイ」というカタカナの使い方も日本語としてやや古風で曖昧な印象を与えます(現在の外来語表記では「ウェイ」の方が一般的です)。

さらに、「娘のためにシタンウエイを買った」という文脈から察するに、書き手はこの名称がピアノメーカーのことであるという認識はあったようですが、「Steinway」の正確な綴り・発音・ブランド背景への理解が十分でなかったと考えるのが自然です。


【結論】

・「S → シ」は一般的な中国語訛りではない
・「シタンウエイ」は中国語音訳とも日本語音写とも一致せず、中途半端
・「外国訛りを汲んだ表現」ではなく、「誤認・曖昧な記憶」による表記の可能性が高い

このように見ていくと、擁護よりも、単純な知識の齟齬か軽い虚飾表現と考えた方が筋が通るかと思います。


※余談ですが、この手の表記が出てくる場面では、「シャンゼリゼ通りをシャルゼリゼ」と書くような現象とも共通点があり、一定の”通っぽさ”を演出しようとする過程で生まれる誤記の一種かもしれません。これくらいが最大のフォローでしょうね。単なる年寄りの誤記を庇うのも。

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