inter-edu’s eye
東京都心の文教地区を成す白山エリアで長きにわたって学び舎としての歴史を重ねてきた京華中学・高等学校(以下、京華)、駒込中学校・高等学校(以下、駒込)、東洋大学京北中学高等学校(以下、東洋大京北)。特別企画として、各校の校長対談・生徒対談が実現しました。私学として新たな時代でどのような教育を実践していくべきかを問いながらも、共通する理念と各校の個性が浮き彫りになった対談内容をご紹介します。
※学校名は50音順です。
常に大きく変わり続ける社会に対応できる信念を持った生徒を育てるべく、教育に情熱を注いできた3校の校長からお話をうかがいました。

京華中学・高等学校
校長 町田 英幸 先生
- 建学の理念
- 天下の英才を得て之を教育す

駒込中学校・高等学校
校長 河合 孝允 先生
- 建学の理念
- 一隅を照らす

東洋大学京北中学高等学校
校長 石坂 康倫 先生
- 建学の理念
- 諸学の基礎は哲学にあり

東洋大京北石坂校長
都立校から赴任した当時は、公立と私学の違いに驚くこともありました。しかし、同一地域の私学である駒込や京華との協力関係の中から、本校の核心となる建学の理念の重要性に気づかされると共に、深い共感を得るに至りました。

京華町田校長
多くの私学では、時代の流れを意識することなく、優れていると判断した指導法を採り入れています。各校が同じく横並びの状況となった場合でも違いを判断するには、教育方針を端的に表現している建学の精神を知ることが一番だと言えるでしょう。


駒込河合校長
従来の教育は知識を蓄える授業に偏重してきましたが、これからのリーダーシップに必要とされるのは競争相手との比較ではなく、思想と哲学に基づく行動原理を自ら生み出すことです。大学受験中心の指導が続けられている大半の公立校に異を唱えることが、私学としての役割として捉えています。

東洋大京北石坂校長
本校は「より良く生きる」ことを追求する手段として、哲学をもって教養を身につけることを目指してきました。そういった意味では、河合校長がおっしゃる話と大いに共通点がありますね。自らを高めて他者の助けとなるための学びであると考えます。

京華町田校長
もはや受け身の教育を施すのではなく、生徒自身が主体性を持って学ぶ姿勢が求められる時代だと言えます。生徒の知性や人間力を磨きあげることのできる教育環境を整えることが我々の使命であり、それを実現する指標として建学の理念があるのです。
同じ白山エリアの私学でも、その成り立ちや体制によって独自の個性を持つ3校それぞれの教育姿勢についてお話をうかがいました。


駒込河合校長
大学入試が変わったことと同様に、今後10年以内に教育体制も大きく様変わりし、高大接続が当たり前になるタイミングがすぐにやって来ます。AIもさらに発達することで私たちの仕事を奪っていくことでしょう。そこで考えてほしいのは、命あるものとロボットとの違いです。私たち人間は、価値観をもって物事を判断することができるのです。そのためには体験を重ねることが大切だという理由から、本校では比叡山研修や日光山研修などの仏教的情操教育を通して正しい心を備えた人間を育成しています。

東洋大京北石坂校長
専門性の高い総合大学として魅力ある東洋大学との連携を強めた本校は、校名に「大学附属」が付いていないことから分かるように、大学とは対等な関係を持っています。したがって、附属校推薦入学枠がある安心感をメリットとしながらも他大学への進学指導も積極的に進めています。近年は理科教育に力を入れており、中学と大学を連携する一環として新たなプロジェクトを導入してきました。これからも建学の理念に掲げられた「哲学」を基礎として、多様な学びを深く掘り下げていける教育改革を継続していきます。


京華町田校長
3校の中で唯一の男子校という特色を活かし、生徒同士が率直なコミュニケーションを取りながら趣味嗜好を究めつつ、職業観に直結した幅広い専門性を高められる環境が本校の強みになっています。男子校のスペシャリストである本校の教員に支えられながら、中高6年間の多感な時期を通して、ひとつの物事に夢中になって取り組むことのできる体験は他に代えられないものになるでしょう。
各校の大学合格実績
校長による対談に加えて、各校の高校1年生からも学校生活全般についてお話をうかがいました。

京華中学・高等学校
K.Oくん鉄道研究部

駒込中学校・高等学校
S.Hさん生徒会書記

東洋大学京北中学高等学校
R.Mくん英語部・バレーボール部
皆さんが毎日着用している制服に感じていることを教えてください。

駒込S.Hさん
女子の制服は、中学ではリボンしか無いのですが、高校生になったらネクタイも選べるんです。自由なコーディネートができるのは嬉しく、それ以上に大人に近づいたようで気持ちが高揚しますね。

東洋大京北R.Mくん
東洋大京北の最寄り駅になる白山から歩く数分の間にも、いろんな学校の制服が見られますよね。自分の着ている制服しか意識したことは無いのですが、中学入学当時から着ていたジャケットが小さく感じられた時は、身体も成長したんだと実感することができました。

京華K.Oくん
受験生の頃から、学園祭や学校説明会で京華のキャンパスを訪問していましたが、制服のジャケットを見て格好良いと思い続けていました。有名ブランドがデザインしたものですが、いざ自分が着ることになるとは、夢がひとつ叶ったようで感無量です!

部活動や委員会活動に励んでいると聞きました。

京華K.Oくん
鉄道研究部では、模型コンテストや学園祭で校外の方々へ情報発信していく機会が多くあります。時には他校の鉄研メンバーと意見交換をすることもあって、いろんな人の考えを知ることができる面白い部活動です。昨年のコンテストでは努力賞を取ったんですよ。

駒込S.Hさん
生徒会の書記としてイベントの企画・運営から書類仕事まで幅広い役割を手掛けていますが、そこで学んだのは提出物の期日を守ったり、日程進行をしっかりと進めていくということです。そういった事務仕事は初めての経験だったので、駒込を卒業して社会に出た際に活かされると考えています。

東洋大京北R.Mくん
英語は常に触れていないと忘れてしまうものなので、ネイティブの先生方と話す機会を増やせる英語部に所属しています。また、昨年の夏から有志メンバーを募って男子バレーボール部を立ち上げました。東洋大京北の歴史に名を刻むことができたのは僕の誇りになります。

学校行事で印象に残っている思い出はありますか。

駒込S.Hさん
中2の日光山研修では坐禅や写仏といった修行をしました。厳しさの中でも今まで知らなかった世界に触れることができた喜びの方が大きかったですね。特に、黙想は煩悩を取り払うために頭の中を空っぽにするのですが、日常生活でそんな体験をすることが無かったので新鮮な気持ちになれました。

京華K.Oくん
希望制のオーストラリア語学研修に参加したことが一番の思い出です。ホームステイ先では日本語が通じなくて、片言の英語や身振り手振りでコミュニケーションを取っていましたが、それでも気持ちの通わせ方があるという気づきがあって良かったです。

東洋大京北R.Mくん
文化祭でどんな催事を出すべきかをクラスのみんなと話し合って、さまざまな意見をまとめる苦労を味わいました。個人の違いや問題点を解決していくなかで、クラスメイトとの絆を深めることができました。

英語授業のコマ数が多いようですね。

東洋大京北R.Mくん
授業の成果を英語スピーチコンテストで披露しています。中3になると自分で英文原稿を考え、中学全校生徒に向けてスピーチをして評価されたら投票されるという内容になっています。どのように考えを伝えるのかにこだわって、金賞を取ることができました!

駒込S.Hさん
高校ではイマージョン講座といって英語だけで話す授業があります。数学・生物・地理などを英語で学び、時にはディベートも行うのですが、英語で考えを伝えるのはとても難しいことだと改めて認識しました。それでも、日本語と比べると英語はシンプルで良い点もありますね。

京華K.Oくん
英検二次試験の対策として、ネイティブの先生との面談があり、授業の後にも気軽に質問を受け付けてくれます。そのおかげで勉強に集中でき、英検準二級を取れました。オーストラリアでホームステイを体験したことが、英語学習へのモチベーションを上げてくれたんです。
在校生代表として学校の魅力を紹介してください。

京華K.Oくん
男子校は自分の好きな物事を隠さなくても良いのが魅力であり、京華を選んだ理由でもあります。面白い部活動がたくさんありますが、気軽に他の部室に入って興味のあることに参加できるんですよ。いろんな意見があっても納得できるように話し合える人間関係の中で、毎日を楽しく過ごしています。

東洋大京北R.Mくん
仲間と切磋琢磨しながら学び合う文化のある点が、東洋大京北の魅力になっています。また、先生が生徒に付き添ってくれることもありがたく感じています。学年内に各教科の先生がいらっしゃって、教科毎に相談できることも安心できるので、入学してからも学力を伸ばせる学校です。

駒込S.Hさん
仏教校の駒込ですが、ハロウィンなどのイベントも実施しています。それは、生徒が求めている要素を実現してくれる先生方がいるからこそだと思っています。全生徒が日々タブレットで授業を受けていますし、大学と共同でプログラミングなどを学ぶSTEM教育を受けられるのも魅力です。
どんな学校行事があるの?
編集者から見たポイント
同じ白山エリアの私学として未来を見据えた教育を実践する3校に共通する使命感を知ると同時に、各々が掲げる建学の理念に基づいた個性を見出すことができた対談となりました。校長・生徒それぞれの視点から紹介していただきましたが、最善となる受験校選びの参考につながれば幸いです。まずは最初の一歩として、学校説明会への参加や資料請求を検討してみてはいかがでしょうか。
駒込河合校長
文京区白山の地は、首都圏の私学における中心地といっても過言ではありません。その地に学び舎を構える我々は、それぞれが教育に対する理念を持っています。それは社会が求める成果主義とは異なるものであり、守るべきものでもあると考えています。