東京・神奈川エリアの受験生必見! このたび、横浜雙葉中学高等学校とサレジオ学院中学校・高等学校2校の校長による対談が実現しました。「新しい帰国生入試」、「男女別学の長所」、「教育に息づくカトリックの精神」をはじめ、共通点の多い2校のお話は学校の本質へと迫っていきます。中学生・高校生に求められる教育とは何なのか……。その問いに対するひとつの答えが見えてきました。
横浜雙葉中学高等学校女子校
1872年来日の幼きイエス会の修道女マザー・マチルドが外国人女子の学校および日本人の子どもの養育事業を開始。「どんな子どもも受け入れる」精神は、1900年一般の女子教育の学校を創立して以来長い歴史を経た現在も息づいています。「自分らしくいられる環境」「生徒個人を大切にする校風」が健やかな生徒の成長を支えます。
サレジオ学院中学校・高等学校男子校
ヨハネ・ボスコ神父が創設したサレジオ修道会を母体に1960年に創立。修道会は産業革命期に都市部に集まった児童労働者たちの生活サポートを手がけていたこともあり、イタリア語で「寄り添う」を意味する「アシステンツァ」を教育方針としています。生徒とともに歩む。その使命感を胸に先生方は生徒に真摯に向き合います。
まずは本年度から実施する「新しい帰国生入試」についてうかがいます。
サレジオ学院中学校・高等学校(以下、サレジオ)では来年1月7日に帰国生入試をスタートします。試験科目は算数・国語・作文です。従来は一般入試を受けていただいていたので、大幅な変更となります。
海外生活で十分な試験対策ができなかった帰国生にも門戸を広く開き、海外での経験を学校生活で活かしてほしいと思っています。
横浜雙葉さんもサレジオも同じ状況かと思いますが、アジア地域の日本人学校を卒業した受験生からのニーズが高いのではないかと思っています。そうなると英語で合否を決める仕組みはそぐわないですよね。
本校でも英語に特化するという考え方ではなく、多様性のある学校環境をつくる方向を目指していきたいです。横浜雙葉は隣接する姉妹校のインターナショナルスクールやシンガポールにある姉妹校などと連携も深めてきましたが、サレジオさんではいかがですか。
私たちもアジアの兄弟校との交換留学を続けてきました。ミッションスクールは創立から国際性のある伝統を大切にしている学校が多いですが、そこは横浜雙葉さんもサレジオも同じですね。帰国生の教育にさらに力を入れていきたいと思います。
一般生と分け隔てなく一緒に仲間意識を育みながら、自分の価値観を発揮できるようにサポートしていきたいです。
私も帰国生にとってのメリットを追究したいです。学習履歴が異なる部分もありますが、帰国生本人の視点に立ってカバーし、一般生と助け合いながら学べるようにするのが目標です。
あえて帰国生だけのクラスを設けていませんが、どんな人も迎え入れ助けようとする温かい雰囲気があり、勉強面でも支え合ってくれます。
中学受験に向けての勉強よりも入学してからの学習こそ大切だと考えます。一般生も帰国生もコツコツ頑張れるように促すことが重要です。そして、最終的には絆を深めて、大学受験を団体戦で乗り切ってほしいと思っています。
続いて「男女別学の長所」について。共学化する学校が多いなか、やはり別学にはメリットがあるのでしょうか。
横浜雙葉では現在のところ、共学化については検討していません。やはり女子教育に専念したいと考えています。男性女性というより、1人の人間として世界のこと、また自身の生き方を考え、中高6年間で何事にもチャレンジする主体性を養ってほしいです。
サレジオでも共学化は検討していません。男子と女子では成長のペースが違う面があり、男子なりのペースに合わせて伴走していくことが必要だからです。女子に比較すると、中学1年生は実質的には「小学7年生」。じっくり学習の道筋を示さなくてはなりません。
その点、女子は小学生時代は男子より成長が早いかもしれません。でも、中学に入学して先輩との出会いの中でまた子どもに戻る気がします。そこから先輩の姿を見て新しい目標を見つけ成長が始まっていくようです。男子は高校3年生からの伸びがすごいと聞いたことがあります。
進路実現に向けたモチベーションを高めるには、そこまでの準備が欠かせません。本校では中学3年生でキャリア教育をスタートし、保護者の方に仕事の紹介をしてもらったり、OBに大学生活を詳しく語ってもらったりする時間を設けます。しっかり本人の気持ちを引き出す段階が必要なのです。
本校でも卒業生の方に職業体験をうかがったりしますが、それが人生の先輩としてどう生きてきたかを知る良い機会になっているようです。
女子校と合同授業を開くこともありますが、ディスカッションなどをすると反省材料を得て帰ってくることが多いですね。こうした形で、別学であっても男女共同で学ぶ場面はあるということは受験生の保護者に知ってもらいたいポイントです。
別学だからこそ、他校との交流の機会に、「ともにつくりあげる」体験ができる部分はあります。
男女共同参画に反しているわけではないと理解してもらいたいですね。
男女別学に並ぶ、両校の共通点「カトリックの精神」。なかなか知らないミッションスクールの姿もご紹介いただきました。
横浜雙葉では学校内外に目を向ける活動に力を入れてきました。東日本大震災で被災された方々への支援をはじめ、活動内容は多岐にわたります。ミッションスクールならではと言えるかもしれません。
聖書の授業などもありますが、本質はキリスト教を学ぶというよりも、アクションにつなげることですよね。何かに取り組む動機として、他者のために貢献する気持ちの大切さを示す。それだけで生徒たちは主体的に変わります。
コロナ禍で活動ができないときは、苦しむ方々のために募金や祈りの時間を持っています。こうした身近な活動を通して、どう生きるか、どう他者とかかわるかを真剣に考える姿勢が培われていくことを感じています。
ミッションスクールはクリスチャンのための学校というわけではありませんからね。キリスト教に縁遠いご家庭でも「他者への思いやりを大切にしよう」といった価値観があれば、学校生活が気に入るのではないかなと思います。
私もそう思います。誰かの役に立ちたい気持ちを胸に秘めている生徒はたくさんいます。その気持ちを引き出すのがキリスト教教育なのではないでしょうか。
受験生の保護者の方にはミッションスクールの生徒にぜひ会ってみてほしいですね。そのときにご自身の価値観に響くものがあれば、お子さまも豊かな学校生活を送ることができるでしょう。
卒業生の進路は、医学、法律、芸術とバラエティーに富んでいます。自分らしい進路実現ができるよう科目選択制度も整備してきました。一人ひとりを大切にするという伝統の上で、新しい取り組みも進め「責任ある未来をつくる人」を育てていきます。
ICTの導入をはじめ、時代に応じて教育の姿を積極的に変えつつ、その一方で対面での学習の大切さなど、変わらないものをしっかりと見定めて、教育をデザインしていきます。
国際感あふれる環境で、精神的な豊かさを培うミッションスクール。グローバル化の時代、予測不可能な時代……大きな変化を迎える今を生き抜く力が育つ学校であるとお二人のお話から感じました。伝統を重んじながら、変化を続ける両校にご注目ください!
横浜雙葉中学高等学校
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秋の学校説明会
2022年10月29日(土)
10:00~11:30/13:00~14:30 -
校内見学会
2022年11月26日(土)・他
9:00、10:00、11:00 -
雙葉祭(文化祭)
2022年10月15日(土)・16日(日)
サレジオ学院中学校・高等学校
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第2回 学校説明会
2022年10月1日(土)
14:00~15:00 -
中学入試説明会
2022年11月5日(土)
14:00~15:10 -
中学入試報告会
2023年3月12日(日)
10:00~11:30
企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:横浜雙葉中学高等学校、サレジオ学院中学校・高等学校
横浜雙葉中学高等学校(以下、横浜雙葉)ではこれまでも帰国生入試に取り組んできましたが、今までと別日程で試験内容も算数を必須に、作文または英語検定スコア提出を選択制とした形を増設します。追加する試験日は今年12月10日です。幅広い帰国生の方に受験してほしいです。