“いつ、何を、誰と学ぶか” ドルトンの核となる学びのプロセス

いつ、何を、誰と学ぶか ドルトンの核となる学びのプロセス

inter-edu’s eye

ドルトン東京学園中等部・高等部(以下、ドルトン)が実践する“ドルトンプラン”は、「アサインメント」「ラボラトリー」「ハウス」の3つの軸で形成され、生徒の能力や可能性を最大限に引き出します。今回はアサインメントとラボラトリーの2つに焦点を当て、生徒たちが実際に学びの場でどのような生活をしているのかを、参事(副校長補佐)の安居長敏先生にお話をうかがいました。

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学びの道筋を事細かに明文化する「アサインメント」

ドルトンプランにおけるアサインメントと呼ばれる要素は、先生が生徒に与える学びのプロセスと言い換えられます。各教科の先生は、生徒にやってほしい課題やその単元の学び方、課題によって身につけてほしいこと、評価基準などを事細かにデータ化し、初めから情報開示をします。そのデータは、e-ポートフォリオシステムの「まなBOX」内にすべて納められ、生徒一人ひとりが持つノートパソコンで常にチェックできます。生徒は先生にその日に行う授業内容を聞かなくても、アサインメントを確かめれば自分が取り組むべき課題、またその単元の狙いやゴールを理解して進めることができるため、非常に効率が良いのです。
ドルトンでは、この詳細なアサインメントをもとに、生徒が自分で学習計画を立てます。時間割で決まった教科のコマ数の中で、与えられた課題をどのようなペース配分でこなしていくのかを自分で決めることができます。これこそドルトンが実践する“学習者中心の教育”の一つといえます。

安居先生は、アサインメントの特徴について、次のように語ります。

「口頭で聞くよりも、目的やゴールが明文化されていることで、理解がより深まります。生徒たちは、まるで説明書を見ながらプラモデルを組み立てていくように、各教科の課題をこなしていきます。課題につまずいたり、困ったときは『ここを確認してみよう』、『早く終わったらこの課題もやってみよう』というようなアドバイスはもちろん、進度の早い子へのフォローも、すべてアサインメントには詰まっています。また、このような課題解決型の授業は、ただ暗記を繰り返すだけの学びではなく、生徒が自分で考えて問題解決のために行動する力を身につけることができるのです」。

「課題に直面したときに、すべて自分事として捉え、責任ある行動がとれる生徒を育てていきたい」と話す安居先生。
「課題に直面したときに、すべて自分事として捉え、責任ある行動がとれる生徒を育てていきたい」と話す安居先生。
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自由に考えを深め、広げる「ラボラトリー」の時間

ドルトンプランの2つ目の軸となるラボラトリーは、生徒が授業で興味を持ったことを探究していく時間です。現在(2019年時点)は火曜と木曜の7時限目がラボラトリーの時間になっており、生徒たちはどこで何をしたいのかリクエストを提出します。例えば、数学をより勉強したい生徒が、いつもとは異なる先生から数学の授業を受けたり、授業ではできないような化学や地学の実験に挑戦してみたり、中には音楽を選択して発声練習に取り組む生徒がいたりと内容はさまざまです。そして、個人で考えを深めるだけではなく、必ず発表を行うことが決まりとなっているため、生徒たちは各自で成果をまとめ、自分が探究したことを多くの人に共有していきます。

2019年4月から開校となり、すべてが始まったばかりのドルトンですが、ラボラトリーにおけるおもしろい変化があったと安居先生は話します。

「6月の時点では、ラボラトリーのリクエストは生徒がどの授業を選ぶかを提出するだけの出席簿のような状態でした。しかし、7月になると生徒たちが“どんな学習をしたいのか”まで書き込むようになったのです。これにより、先生も生徒の希望にあった課題を用意できるため、とても効率的になりました。生徒たちが学習に対して自主的に行動を起こすことがドルトンの教育の狙いです。まだ、開校したばかりの学校なので、あえてルールをたくさん設けずに、生徒が必要であればルールを作るという形で、学校の在りかたを創り出しています。ラボラトリーで見られたリクエストのように、小さいことから生徒が自ら考え、行動する力を育てていきたいと思っています」。

理系のラボラトリーの時間では、白衣と実験用ゴーグルを身に付けた生徒たちが興味津々で実験に没頭しています。
理系のラボラトリーの時間では、白衣と実験用ゴーグルを身に付けた生徒たちが興味津々で実験に没頭しています。
ラボラトリーの時間では、「ラーニングコモンズ」などのフリースペースで数名のグループに分かれ、自由に探究学習を行うこともできます。
ラボラトリーの時間では、「ラーニングコモンズ」などのフリースペースで数名のグループに分かれ、自由に探究学習を行うこともできます。
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情熱あふれる先生方が生徒の魅力を引き出す

新設校であるドルトンでは、「アサインメント」や「ラボラトリー」のような軸となる学び方を根付かせながら、まさに今、生徒の個性を伸ばす教育が行われています。安居先生によると、この教育の肝になってくるのが先生の存在だといいます。ドルトンが求める先生像は、生徒と同じ目線で対等な関係を作り出せる人物です。生徒の学ぶことへの貪欲さをすくいとり、一緒に学ぶ仲間のような存在であれば、自然に生徒と近い存在になっていきます。そうした先生方と一緒に、従来の型にはまらない教育に取り組むことで、生徒は自由な発想で深く学び、実社会で生きる力を育んでいくのです。

私服と組み合わせられる制服 ≫

編集者から見たポイント

自分で選び、組み立て、考えながら学ぶというドルトンのスタイルは、これまでの学校には見られなかった全く新しい教育だと感じます。生徒たちの自由な思考や行動を尊重する一方で、きちんとその責任も教えることも忘れず、生徒と先生が真摯に向き合うという姿勢も素晴らしいと思います。なによりも生徒たちが自分らしさを大切に育てながら学園生活をいきいきと過ごすことができる環境が、ドルトンにはあるのではないでしょうか。

イベント日程

イベント名 日時
STEAMフェス見学会 2019年9月7日(土) 10:30~12:00
授業見学 2019年9月11日(水) 10:00~12:00
学校説明会 2019年9月28日(土) 10:00~12:00
学校説明会 2019年10月12日(土) 10:00~12:00
授業見学 2019年10月23日(水) 10:00~12:00
イベント詳細とお申し込みはこちら ≫

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