千代田区立 九段中等教育学校

基本情報

千代田区立 九段中等教育学校

学校紹介

平成18年度に開校。都内唯一の区立中等教育学校。大正13年(1924年)創立の第一東京市立中学校を前身とする都立九段高等学校の施設を、平成20年4月委譲された。

住所

千代田区九段北2丁目2番1号

電話番号

03-3263-7190

過去の入試データ

※区分B(区外生)のもの

募集人員

年度 2018 2019 2020 2021
40 40 40 40
40 40 40 40
80 80 80 80

応募者数

年度 2018 2019 2020 2021
299 227 232 190
390 328 309 267
689 555 541 457

受検者数

年度 2018 2019 2020 2021
278 212 220 177
369 299 291 252
647 511 511 429

合格者数

年度 2018 2019 2020 2021
40 40 40 40
40 40 40 40
80 80 80 80

実質倍率

年度 2018 2019 2020 2021
6.95 5.3 5.5 4.43
9.23 7.48 7.28 6.3
8.09 6.39 6.39 5.36

適性検査分析

  • 2021年度 適性検査分析
    • 適性検査1

      【出典】
      砥上裕將「線は、僕を描く」による
      スタンレー・コレン著、三木直子訳「犬と人の生物学」による

      【出題形式】
      例年と問題数はほぼ変化なく、大問2題、小問数7題の出題でした。

      【大問1】
      これまでさまざまなテーマで出題されています。2021年度は水墨画を教わることを通して力をぬくことの大切さについて書かれている物語文の出題でした。問題の内容はこれまでと大きく変わっていませんが、問3は小学生の会話文の穴埋め形式となっています。問4は以前の自身の体験を書く形式に戻りました。

      【大問2】
      2021年度は犬の社会的認知能力について書かれた説明文の出題でした。
      読解問題の内容はこれまでと大きな変化はありません。問3の作文問題は、2020年度は本文で述べられている旅をする方法を自分で選び書いていく、という形式でしたが、2021年度は第一段落に本文内容をまとめ、第二段落に自分が「社会的認知」とした体験を書く、第三段落にはそれに対して自分がとった行動を書くという形式に変わっています。

      適性検査2

      問題数は大問3題、小問数12題でした。2020年度に比べると小問数が1題多くなっています。問題のページ数は22ページと、2020年度に続いてページ数が増えました。

      【大問1】
      大問1・大問2が社会科分野の資料読み取り問題で、読解力を重視した内容になっています。
      大問1はODA、SDGsなど適性検査の資料読み取りの対策をしている受検生にとってはなじみのある題材でした。

      【大問2】
      大問2は人口の増減について資料をもとに考察する内容です。江戸時代の人口の変化について資料をもとに思考分析するなど、九段中等教育学校らしい出題もありました。全体的に分量は増えた印象ですが、落ち着いて資料を読み取り内容をつかむことができれば対応できる内容です。また、複数の資料を総合して考えて記述にて解答する問題では、「解答欄に合わせて答える」形式となっており、答案を作成しやすい内容になっています。

      【大問3】
      大問3は、算数分野で点字の仕組みと演算を題材にして、場合の数、規則性、計算の仕組みを考える内容です。点字の仕組みは、適性検査型の問題としては標準的な内容ですので、多くの受検生が一度は取り組んだことのある内容だったといえるでしょう。問4では演算のルールにしたがって、数や対応する文字を考える内容です。説明部分が4ページにもわたっており、迅速に内容把握する力が求められます。

      適性検査3

      大問3題、小問数12題の構成でした。

      【大問1】
      大問1は折り方を題材にした作図、計算の問題でした。小問数は4題で、説明内容に適した折り方を選択する問題、シャツを折った際に見える部分の作図と面積の比を計算する問題、折れ線や折った紙を広げた際にできる模様を作図する問題が出題されました。例年出題頻度の高いコンパスを使用した円の作図は、2021年度は出題されませんでしたが、作図の問題が3題と多く出題されています。資料を丁寧に読解、分析することで正しい作図をすることがポイントです。

      【大問2】
      大問2はサンゴ礁の形成、生態を題材にした記述、計算問題でした。小問数は4題で、サンゴ礁の形成できる条件について空欄補充の形式で記述する問題、サンゴにおけるエネルギーの出入りを題材にした割合の計算問題、サンゴの白化現象が起きている理由を記述する問題などが出題されました。理科分野の問題ですが、知識そのもの以上に、資料と会話文の分析、考察力と、その内容を的確にまとめる記述力が問われる問題でした。

      【大問3】
      大問3はふん水を題材にした記述、計算問題でした。小問数は4題で、実験結果から分かることや、実験結果にもとづきふき上がる水の高さを考察させる記述問題、指定された量の水がふき上がるためのふん水の組み合わせを考えさせる計算問題、実験結果にもとづきふき上がる水の高さを高くする、長い時間ふき上がるようにするための工夫を考察させる空欄補充形式の問題が出題されました。実験内容や結果を正確に分析、考察して的確に記述する力が問われる問題が多く出されています。
      例年同様、適性検査3全体を通して難問はありません。正確な計算力、そして基礎的な知識はおさえつつも、資料・会話文をふまえて適切に分析・考察する力や記述する力が培われているかが勝負の分かれ目になるでしょう。

  • 2020年度 適性検査分析
    • 適性検査1

      【出典】
      文章1:長田弘『なつかしい時間』問題のため一部改編
      文章2:角幡唯介『極夜行前』問題のため一部改編

      【出題形式】
      例年通り、大問2題構成でした。大問1は昨年度と同様小問5題、大問2は小問4題から3題に変更になりました。
      大問1
      ここ数年は物語文や韻文、ぐう話と様々なジャンルから出題されていますが、今年度は詩人である長田弘の随筆文からの出題でした。「さまざまな言葉によってわたしたちがずっと得てきた心のひろがりや陰影やゆたかさ、奥行きが削られて、わたしたちの日々のあり方が狭く窮屈なものになってしまっている」ことを、筆者は問題視しています。単に語いを増やせば良いという話ではなく、親身な感覚を喚起する言葉が現代生活では失われてきた、という非常に感覚的な内容の文章です。本文を最後まで丁寧に読むことが求められました。問1は書き抜き問題でしたが、問2・問3・問4は九段中等らしく、複数解答が考えられます。論理的に考え表現することが求められています。
      大問2
      探検家である角幡唯介による随筆文からの出題でした。昨年度までの二文型から一文型へと変更。前半は極夜探検のために天測の準備を始めた内容がかかれて、後半はGPSや衛星携帯電話等の現代機器を使用した旅で感じた違和感について描かれています。この文章も、大問1の課題文と同様に粘り強く読むことが求められています。ただし、小問が4題から3題へ変更。問1と問2は平易な内容でしたが、問3の作文は傾向がやや変わりました。現代機器を使って旅をする方法と、地図とコンパスを使って旅をする方法の良さについて要約したうえで、自分が旅をするのならどちらの方法で旅をするのか意見を書く、という内容です。例年と違い、「体験」を書くような指示がありませんでした。指示通りに書けたかどうかがポイントとなるでしょう。

      適性検査2

      大問3題、小問11題、問題冊子の総ページ数は20ページでした。
      大問1は人工衛星からの情報を使ったGPSをテーマとしていました。小問は4題あり、問1は当日学校から配布された分度器を使っての円グラフ作成でした。割合から中心角を計算してグラフをかくものです。また問3では、コンパスを使った作図問題が出題されていました。
      大問2はリサイクルをテーマとした問題です。小問は4題で、九段中等では頻出の江戸時代に関わる出題がありました。多くの資料を使い、読む量の多い印象ですが、難度は平易で例年通りの傾向です。
      大問3は市町村合併、地域の活性化など、街作りに関する出題でした。小問は3題で、説明文と資料を結び付ける問題、架空の都市「くだん市」の観光資源を増やすアイディアを書かせる問題がありますが、やはり難しいものはありませんでした。
      全体として、例年通り、新聞記事などの資料に関して読む量が多くなっていますが、資料の内容を注意深く確認していけば無理なく解答にたどり着ける平易な問題でした。

      適性検査3

      大問3題、小問10題の構成でした。
      大問1は高速道路の渋滞を題材にした計算、記述および旅行計画の作成の問題でした。小問数は3題で、車の減速に関する計算・記述問題、渋滞を解消するための適切な車の配置を図に記入させ、運転者に求められる走行の仕方を記述する問題、条件にしたがった旅行計画を作成する問題が出題されました。車の配置に関する問題や旅行計画の作成問題は多くの資料や条件が与えられているため、丁寧な読解力や資料の分析力が要求される問題でした。
      大問2は琵琶湖の全層循環を題材にした記述問題でした。小問数は3題で、琵琶湖の全層循環が起こるしくみを空らん補充の形式で記述する問題、特定の年度に全層循環が観測されなかった理由を記述する問題、全層循環が湖底にすむ生物にとって重要である理由を記述する問題が出題されました。水の温度によるぼう張、収縮および密度の変化についての基本的な理科の知識をふまえて、会話文や資料のどの部分に注目して解答を作成するかを的確に分析することがポイントでした。
      大問3は雨量と天気を題材にした計算および記述問題でした。小問は4題で、雨量計の転倒ますの転倒回数や雨量を計算する問題、雲ができるしくみを空らん補充の形式で記述する問題、「ツバメが低く飛んだら雨」という天気に関する言葉についての記述問題が出題されました。計算の難度は高くありませんが、基本的な単位換算を正確にできること、また大問2同様、理科の基礎的な知識や資料をふまえた記述ができることがポイントでした。
      例年同様、大問2と3について難問はありませんが、大問1については難度が上がっています。正確な計算力や、資料・会話文をふまえて適切に分析・考察する力や記述する力が培われているかが勝負の分かれ目になるでしょう。

  • 2019年度 適性検査分析
    • 適性検査1

      文章1 志賀直哉 「菜の花と小むすめ」問題のために一部改編
      文章2 山中伸弥 羽生善治 是枝裕和 山極壽一 永田和宏 「僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう」問題のために一部改編

      昨年度に引き続き、大問2問構成でした。大問1は昨年度と同様小問5問、大問2は小問が5問から4問に変更となりました。大問1は物語文、寓話、韻文とその解説文というように、様々なジャンルから出題されていましたが、今年は志賀直哉の一風変わった物語(童話)からの出題でした。大問2は将棋棋士の羽生善治さんの講演内容と、羽生さんと科学者永田和宏さんの対談からの出題。小問数は5問から4問に減りました。問4の作文の条件等に大きな変更点はありませんでした。
      全体を通して文章のボリュームが増えましたが、記述量は昨年度と同程度だったので受検生にとっては難しく感じたのではないでしょうか。
      大問1
      志賀直哉作の「菜の花と小むすめ」からの出題。小むすめが、一本の菜の花の願いをかなえるために山路をともに下って行く道中を描いた作品です。一風変わった内容ですが、出題は、理由記述、心情理解に関する典型的な小説文の読解問題が中心の構成でした。例年と同様、体験・具体例を書く短作文も出題されましたが、この問題を書ききることができたかどうかが大きなポイントとなりそうです。
      大問2
      将棋棋士羽生さんの講演内容である文章Aでは、相手の立場に立ち相手の価値観で考えることの難しさを述べたうえで、新たなものを生み出すためには、先入観や思い込みを頭から消し去ることが必要だと書かれています。羽生さんと科学者の永田さんの対談である文章Bは、自分の立場を離れて相手の気持ちになることで、相手の手を読むことができると述べたうえで、苦しい状態のときや迷ったときは別の視点から見ることで新たな可能性が生まれると書かれています。文章自体は読みやすいものの、いわゆる「講演」「対談」の内容なので、受検生たちがこれまでたくさん解いてきたタイプの文章構成とは異なる点で、難しかったのではないでしょうか。ただ、問1と問2は平易だったので、問3が勝負の分かれ目となったはずです。作文問題の問4も、例示も含めて書きやすい内容でした。

      適性検査2

      大問3題、小問14問、問題冊子の総ページ数は17ページでした。
      大問1は三角形の辺の長さを題材にした組み合わせを考える問題です。小問は3問で、最後の小問で「三角形を作ることができる3辺の長さの条件」を記述します。いずれもenaのテキストで扱ったことのあるもので平易な問題でした。
      大問2は日本の農業に関する問題で、空所補充と短文記述の形式でした。高地でのレタス作りといちご作りがテーマでしたが、レタス作りはena直前特訓最終回で扱った問題が的中しています。各小問では、与えられた資料(グラフ)から変化を読み取るもの、特徴を読み取るもので、基礎力を問う良問です。
      大問3では需要と供給のバランスと商品価格についての問題です。各小問の形式は、グラフ描画、表からの数値の読み取り、空所補充、短文記述、と幅広いものでした。
      全体としては、資料内で新聞記事が引用されるなど読む量が多くなっていますが、基礎的な設問が多いため、例年と同様にスピードと正確性が問われる問題といえます。

      適性検査3

      大問3題、小問9問の構成でした。
      大問1はルーローの多角形を題材にした計算、作図および記述問題でした。小問は3問で、コンパスを用いてルーローの五角形を作図する問題、資料で示された図形とルーローの三角形や五角形との性質のちがいを説明する問題、ルーローの三角形と五角形の周の長さを計算する問題などが出題されました。作図や記述問題は、解くにあたって、会話文や資料のどの部分に注目すればよいかを丁寧に読み取ることがポイントでした。計算問題は、弧の長さを求める計算を正確にできれば難しくありません。
      大問2はコウモリが、えものの位置を知るために出す高い音とエコーを題材にした計算、記述問題でした。小問は3問で、音速をもとに距離を計算する問題や、与えられた資料を分析、考察し、設問に合うように適切に記述する問題でした。記述問題については、文中の空欄にあてはまる言葉、文を考える形式のため、空欄前後の部分が資料を正しく理解するためのヒントにもなっています。
      大問3は対照実験をテーマにした理科分野の記述問題でした。小問は3問で、部屋の外から光を当てたときの部屋の中の見え方を調べる実験について、条件を変えた際の結果の違いを記述する問題や、対照実験の考え方を踏まえて条件を考察し、記述する問題でした。2つの実験を比較する際、結果に与える影響を確認したい条件以外はすべて条件をそろえる必要がある、その点を厳密に普段の理科の学習で理解しておくことがポイントです。昨年度に引き続き、理科の対照実験に関する記述が出題されており、理科分野の現象や実験について自ら考え記述する練習を積むことが必要です。
      例年同様、全体的に難問はなく、正確な計算力や、資料・会話文をふまえて適切に分析・考察する力や記述する力が培われているかが勝負の分かれ目になるでしょう。

  • 2018年度 適性検査分析
    • 適性検査1

      出典:
      文章1 萩原昌好 「日本語を味わう名詩入門 高村光太郎」問題のために一部変更
      文章2 光嶋裕介 「建築という対話」問題のために一部変更

      昨年度に引き続き、文章2つに対して大問2問構成でしたが、小問数が大問1は昨年度2つから5つに増え、大問2は小問数が4つから5つに変更となりました。例年大問1は物語文からの出題でしたが、今年初めて韻文(詩)を扱った解説文からの出題に変わりました。大問2は昨年度同様、随筆文からの出題で、問5の作文の条件等に大きな変更点はありませんでした。
      全体を通して小問数が増え、かつ適語補充型の問題数が減り、記述中心の問題が増加した傾向に変化しました。

      大問1
      今年は初めて韻文(詩)を扱った文章からの出題でした。高村光太郎作の「手紙を添えて」という詩に対して筆者は「人間だけが持つもの」という小見出しで、「美」の中から人間が不思議と思う視点、またそれについて「わかった」ということが人生において重要であるということについて述べています。昨年度大問1は適語補充問題が2つでしたが、記述中心の小問が増加したため、難化したといえます。
      大問2
      随筆文は文章A、文章Bに分かれ、文章Aは創造することについて、文章Bは自分の自我をどう形成していくかについて書かれています。文章A、B共に比喩表現が多用されているので、文章自体の難易度が高く、それぞれの比喩表現に対して問われた小問が多くありました。問5の作文についても「バトン」を受け取るという比喩表現について筆者の意見を理解し、記述する200字以上240字以内の作文でした。比喩表現を捉え、言い換える力が問われた問題中心の出題傾向でした。

      適性検査2

      大問3題、小問13題の出題でした。
      大問1は沖縄県の野生動物をテーマにした問題でした。 小問は4題で、問1は割合の計算、問2は資料をもとにした文章の空所補充、問3と問4は資料をもとにした記述問題でした。いずれも、会話文や資料の条件部分をきちんと確認すれば平易な問題です。
      大問2はコッホ曲線と循環小数をテーマとした算数系からの出題です。
      はじめの小問2つがコッホ曲線に関するもので、それぞれ長さと面積を求めるものでした。特に問2は正三角形・正六角形の面積を等分する頻出知識を利用します。残りの小問2つは循環小数に関するもので、7分の6の循環節を調べ、その周期を使った計算をするものでした。
      大問3は折り紙を題材にした図形に関する問題です。
      問1は小問2つに分かれていて、それぞれ点対称と線対称になる図形を答えるもので、小学校で学習する知識で充分対応できます。問2は正四角すいに関する問題で、展開図の中から合同な三角形を見つけて立体の高さを求め、与えられた「体積の求め方」に代入する問題です。展開図の中から目的の三角形をうまく見つけられるかどうかで、差がついた問題かと思われます。問3は点のとりうる範囲を作図する問題で、コンパスと定規を任意で使用するようにという指示でした。
      難易度・形式は例年とあまり変わらず、スピードと正確性が問われる出題です。

      適性検査3

      大問3つ、小問12題の構成でした。
      大問1はイギリスのロンドンと東京の気候の違いを題材にした計算および記述問題でした。小問数は4題で、資料をふまえて東京の年間の平均気温を計算する問題、イギリスで雨が降ってもかさをささない理由、貸がさのサービスについて記述する問題などが出題されました。計算はごく容易で、記述については指定された資料と与えられた条件をきちんとふまえて、丁寧に問いに答えられたかどうかがポイントです。
      大問2は電車や高速道路といった交通機関を題材にした記述問題でした。
      小問数は4題で、大問1同様、与えられた資料を分析、考察し、設問に合うように適切に関係付けることが必要でした。
      大問3はアイスクリームを題材とした理科的な穴埋め、記述問題でした。小問数は4題で、大問1・大問2同様、資料をふまえた分析力、考察力を問う問題とともに、理科の実験計画を記述させる問題が出題されました。水溶液の濃さの計算について理解し、また具体的な数値を自ら設定する必要があり、普段から理科分野についても自ら考え記述する練習を積んでいることが必要でした。
      ただ、昨年同様、全体的に難問はなく、正確に計算できているか、資料や会話文をふまえて適切に分析・考察した記述ができているかが勝負の分かれ目になるでしょう。

  • 2017年度 適性検査分析
    • 適性検査1

      出典:
      大問1 武者小路実篤 「小学生と狐」
      大問2 今井むつみ 「学びとは何か―<探求人>になるために」

      出題形式:昨年度から大問1つにつき1文構成となり、大問1は前年度同様小説文の読解問題で、小問2つの出題でした。問1、問2(1)は空所補充問題、問2(2)は本文内容に沿って50字から60字で意見を自由記述する問題でした。大問2は論説文読解で、小問数は4つ。大問2の問4は例年通り作文で、200字以上、240字以内と字数も昨年同様で、条件等にも大きな変化はありません。昨年度大きく変更があった適性1ですが、今年度は昨年度の出題傾向を踏襲した問題構成でした。
      内容:大問1は武者小路実篤の「小学生と狐」という小説からの出題です。主人公ときつねのやりとりから、自分より優れた人間がいることを学び、周囲の人間を馬鹿にせず謙虚に学ぶことの重要性について読み取り、それを基に登場人物の心情や行動を読み取り、記述する問題でした。空所補充問題は文中の書き抜きだけではなく、抽象化した言葉を答える必要があり、得点差がついたと考えられる問題です。大問2は「知識と学習の関係」についての論説文でした。問1は文中の言葉を説明する問題、問2は接続詞を答える問題とほぼ従来通りでした。問3は段落全体の見出しを答えさせる問題で、今年度初めて出題されました。しかし、この問題も段落内容の要約ですので、難度はあまり高くありませんでした。問4は昨年度同様、第1段落で筆者の意見要約をし、第2段落で体験を基に意見を述べる作文問題でした。全体の出題傾向、難度は前年度と変わりません。

      適性検査2

      昨年と同様に大問3題、小問11題の出題でした。昨年から出題がなくなった聞き取り問題は、今年も実施されませんでした。大問1は箏(こと)を題材にした音の高低に関する問題でした。会話文や資料から読み取った内容をもとに記述をする形式が3題、音階についての比例計算をする形式が1題でした。題意を正確にとらえられれば、問題内の情報で十分に解答にたどり着けるものばかりです。大問2は紙を題材にした問題で、紙の素材としての利点や生産量の推移について資料を使って考えさせるものでした。そのうち、問4では東京オリンピックに関連づけて駅ナンバリングの利点を記述させています。大問3はリニアモーターカーをテーマにした理科・算数系の出題でした。問3は速度の計算問題でしたが、ちょっとした工夫でとても解きやすくなるものでした。全般的には、作図問題が適性検査3に移った以外では、難易度・形式ともに昨年と変わりませんでした。

      適性検査3

      大問3つ、小問13題の構成でした。大問1は選挙権をもつ年齢が引き下げられたことを題材にした計算および記述問題でした。小問数は4題で、投票の仕方を変えた場合の順位や、ドント式を用いた場合の当選者の数を計算で求める問題、投票結果の見方に関する記述問題が出題されました。問題文や会話文をふまえることができれば、計算自体はごく容易です。視点を変えて資料の分析ができるかどうかがポイントです。
      大問2は自動販売機や食品の容器を題材にした計算および記述問題でした。小問数は5題で、自動販売機の色や食品の様々な種類の容器について、その利点を根拠をもって類推することが必要です。
      大問3は黄金比・白銀比を題材にした計算・作図問題でした。小問数は4題で、規則性を読み取る、推測する基礎的な力があれば、いずれも得点可能な問題でした。
      昨年同様、全体的に難問はなく、資料や会話文を踏まえて解答できているか、正確な計算ができているかが勝負の分かれ目になるでしょう。

  • 2016年度 適性検査分析
    • 適性検査1

      出典:
      大問1 重松清 「きみの友だち」による
      鷲田清一 「わかりやすいはわかりにくい?」による
      出題形式:昨年度は3つの文章が出題され、文章Aに小問1つ、文章BとCとであわせて小問5つ。今年は大問1つにつき1文構成となり、大問1は前年度まで出題されたことがない小説の読解問題で、小問2つの出題でした。問1は自由記述問題、問2は空所補充問題、問3は50字から60字で意見を自由記述する問題でした。
      大問2は論説文読解で、小問数は4つ。大問2の問4は例年通り作文で、字数は240字以内と昨年度より字数がやや増えましたが、条件等には大きな変化はありません。大問2は文章量が増え、大問2題に対してそれぞれ小問が設けられている点が昨年度と異なります。

      内容:大問1は重松清の「きみの友だち」の小説からの出題です。登場人物と友人との関係を「ねじれの関係」にたとえ、その言葉を基に人物の行動や心情変化、人間関係について読み取る問題でした。大問2は「自立」についての論説文で、文中の言葉を説明する問題は従来と変わりません。問1は書き抜き問題、問2は字数制限のある記述問題です。問3は初出題の脱文挿入問題でしたが、しっかりと段落読みができていれば難度はあまり高くありません。問4は筆者の意見を書いた上での作文問題です。筆者の意見を第1段落に要約せよと指示があり、「自立」について読んだ上でテーマと一致する体験文を書くことが求められるため、要旨をとらえる力が問われました。

      適性検査2

      昨年と同様に大問3題の構成でしたが、大問1は例年出題されていた聞き取り問題ではなく、バス運行をテーマとする文系問題でした。必ず5~10分程度の時間を費やすことになる聞き取り問題がなかったことは、時間配分の面で取り組みやすかったと考えられます。小問の内容はすべて記述形式で、あたえられた資料から因果関係を類推して答えるものが多くなっています。大問2はハニカム構造(正六角形)をテーマにした文理融合問題でした。後半の小問で面積と割合の計算問題がありますが、どちらも平易なものでした。大問3では排他的経済水域と漁獲量の推移をテーマにした文系問題でした。途中、九段中等ではおなじみのコンパスを使っての作図問題があり、難易度は例年通りでした。最後の記述問題では、会話文や資料内に解答要素が直接示されていないため、知識の有無がポイントになったでしょう。全体的には、算数系の計算問題の難易度が下がったため、平均点は上がるのではないかと予想されます。

      適性検査3

      大問3つの構成でした。大問1は北陸新幹線を題材にした日本地理、および金沢市の工芸に関連して「金」に関する計算問題でした。小問数は4題で、県庁所在地、および都道府県とその地図上の位置をふまえての作図、金に関して体積・重さ・底面積・値段を求める問題が出題されました。割合を含めた基礎的な計算力があれば得点でき、難易度は高くありません。
      大問2は「太陽光発電」「太陽熱利用」に関する問題でした。小問数は4題で、いずれも実験結果や資料をもとに分析・記述する問題です。基礎的な理科の知識が備わっていること、資料から必要な情報を関連付けられるかが問われています。大問3は電卓を題材にした「計算の順序・数の性質」に関する問題でした。小問数は4題で、示されたルールや数の性質を理解して活用する力が養われていれば得点可能な問題でした。
      全体的に難問は無く、スピードと正確さが勝負の分かれ目となるでしょう。

  • 2015年度 適性検査分析
    • 適性検査1

      出典:
      文章A 西林克彦「わかったつもり 読解力がつかない本当の原因」より
      文章B 山鳥 重「『わかる』とはどういうことか―認識の脳科学」より
      文章C 佐伯 胖「『わかる』ということの意味」より
      出題形式について:九段中は2012年度からの方針変更に伴って、作文が適性検査1として独立しました。2015年度は本文A・B・Cの3文型となっています。問1は「穴埋め問題」、問2・問3は本文の言葉を答える「抜き出し問題」、要約・記述問題といえるのは問4のみです。14年度以来、記述・作文の文字数が計250字以下に減り、都立中の出題と比べると私立中の国語に近い問題といえます。
      内容について:本文のテーマは上記の題名の通り、「わかる」ということです。読解問題に関しては各文章を関連させないため難度は抑えられています。問5は「わかる」ことに関係する作文問題で、ここは都立中と近しい部分といえます。「文章Bか文章Cのどちらかの内容に関係した体験を書く」という条件1があり、読解が正確でないと、ずれた内容で作文を書くおそれがあります。また、条件2で「構成を一定にする」ように指示されており、自由な発想や自らの主張を強調するというよりも、読解問題の一貫として指示を守りつつ、作文を書き上げるようにすればいいでしょう。

      適性検査2

      大問3つの構成でした。大問1は例年通り聞き取り問題で、「新たな宇宙食」についての放送文を基に、2つの小問が出題されました。大問2は「資料の読み取りと計算」の問題でした。小問数は5つで、会話文中にある数値、資料を読み取れば得点できます。ただ、計算や解答をする上で問題文に条件が提示されており、会話文だけではなく設問もしっかりと読む必要があります。計算問題自体の難易度は高くありませんが、それぞれの設問で細かい条件が多く提示されているので、条件を読み飛ばすと失点につながります。大問3は「光の反射」の問題でした。資料で提示されている具体例を基に、それぞれの設問に柔軟に対応する力が問われる問題です。小問数は4つで、問1、問3ではコンパスを使用した作図問題が出題されています。資料で提示されている図を理解して取り組めば得点できます。
      問題数、難易度は例年通りです。小問一つ一つは難しくないですが、問題数が多いので、スピードをもって解けるかが重要です。

      適性検査3

      大問3つの構成でした。大問1は「日本の経済成長率」に関する資料読解を中心とする問題でした。小問数は4題で難易度は高くないため、資料から読み取った内容を、問われている形に合わせて正確に答えられるかが重要でした。
      大問2は「太陽の動き」に関する問題でした。小問数は4題で、資料をもとに昼の長さの違いを求める問題、棒の影の作図、時差に関わる問題が出題されました。太陽の動きに関わる基礎的な知識が備わっていれば得点しやすい問題といえます。 大問3は「音・光」に関する出題でした。小問数は3題で、与えられた数値をどのように処理すれば解答に至れるかを問題ごとに判断する必要があり、その上で計算処理能力や基本的なグラフを作成できる力が問われています。全般的に、基礎が養われていれば得点可能な問題といえます。

  • 2014年度 適性検査分析
    • 適性検査1

      出典:日高敏隆 「生きものたちの論理」より(問題のため一部改編)
      昨年の文章読解+記述問題の形式を踏襲している一方、新聞記事をベースとした例年の出題形式ではなくなりました。問題は、昨年同様小問5題に分かれていますが、そのうち抜き出し問題が2題と確実に得点しやすい構成になっています。また、記述部分の総字数は320字と昨年よりも減りました。昨年同様文章内容はやや難しかったのですが、要約問題と抜き出し問題が中心だったため、ここで確実に点数を取りに行くことが要求されます。

      適性検査2

      昨年度同様、大問1は放送を出題される問題でした。大問2は陸上競技場を題材とした算数系問題で、コンパスを使っての簡単な作図や計算問題が出題されました。条件を読み取るのがやや難しく、ここで時間をとられて最後まで問題を解き終えられなかった受検生もいたかもしれません。大問3はスーパーを題材にした算数系問題で、文章から条件を読み取り素早く正確に計算することが要求されました。

      適性検査3

      新聞記事の問題が復活しました。大問1はイネの作付面積に関する社会系問題で、記事の要約や割合の計算、都道府県別作付状況をもとに品種を答えさせるという出題形式でした。大問2はものの重さとばねばかりを使った理科系問題で、問1~問3は予想通りに、比例する2つの数量関係を考察するものでした。
      大問3は地球環境問題に関する出題です。こちらは前半2題が知識、後半2題は資料の読み取りにあたる問題でした。例年の適性3よりも基本問題が多く、enaのテキスト「パースペクティブ」と全く同じ出題もあったため、高得点勝負であると予想されます。

      ボーダーライン

      適性検査1、2、3、どれも高得点勝負になることが予想されます。確実に得点できる問題を落とさず、他の受検者が解けない難問を1問でも得点して差をつける必要があるでしょう。前年比130%の高倍率も手伝って、区外枠のボーダーは昨年よりもさらに上がり、約80%となることが予想されます。

  • 2013年度 適性検査分析
    • 適性検査1

      出典:山極寿一 毎日新聞2012年5月20日「時代の風:時間を金で買う時代」より
      昨年の2文形式から変わり、文章読解プラス記述問題となりました。もともと九段中では例年新聞記事そのものを利用した出題がみられましたが、今年はそれがみられずに作文の題材文として新聞コラムが利用されました。問題の形式は、小問5題に分かれ、記述部分の総字数は400字前後です。文章内容がやや難しくなったのですが、「リアルコミュニケーションの重要性」という頻出テーマであるため、解答を作りやすかったのではないでしょうか。

      適性検査2

      大問1が放送問題なのは昨年同様ですが、大きく傾向が変わった点として江戸時代の庶民生活をテーマとした出題がなくなりました。
      大問2は貿易を題材とした社会系+算数系問題です。小問として割合の計算、グラフ作成、組み合わせを調べる問題がありますが、決して複雑なものではないので手際よく処理する必要があります。
      大問3はてこを題材とした算数系問題で、最後の小問5は完答するには時間がかかりそうです。

      適性検査3

      上でも触れたように、新聞記事のコピーを使った問題は出されませんでした。
      大問1は坂道の勾配率に関する問題で、割合の計算と地図の読み方が関係しています。
      大問2は電話連絡網に関する算数系問題で、問題の条件をしっかり読めば処理しやすい問題でした。
      大問3は為替レートをテーマとした算数系・社会系問題です。円高・円安についての知識や為替の計算が小問となっており、後半の計算問題は誘導の文章をしっかり読んでいくことが重要でした。

      ボーダーライン

      適性検査3本の形式になってまだ2年目ですが、昨年からの傾向の変化に驚いた受検生もいたでしょう。
      ただ、もともとユニークな出題の多い九段中ですので、幅広い形式に対応できる準備を整えていた人が多いと思います。それでも、全般的に算数系の問題が難化しており、ボーダーラインは昨年に比べて下がるのではないでしょうか。適性検査1~3の総合で65%前後になると思われます。

  • 2012年度 適性検査分析
    • 適性検査1

      平成24年(2012年)から出題方針の変更で、予告通り形式が大きく変化しました。適性検査1から適性検査3までの出題に増え、「作文」は適性検査1として独立する形になりました。
      今年度は二つの文章A・Bを読ませるというかなり厚みのある作文問題です。本文の文章量(総計)は、約2500字。初めて長文が二つ出される形式になりました。二つの文章を読んで書く作文では、作文の課題を自分の読解力で理解し、適切な言葉で表現する力が重要となります。

      適性検査2

      今年度から作文が切り離されたことにより、純粋な文理系総合問題となりました。平成23年度は文系・理系のバランスが理系に偏っていましたが、今年度は文系に偏っており、しっかりと質問の意図を捉えられたかどうかがカギとなりました。
      また平成23年度入試には出題されなかった放送による聞き取り問題も出題されたため、いかに正確・迅速に一つひとつの問題を解き、すべての問題を解答しきれたかが合否を左右したと言っても過言ではないでしょう。

      適性検査3

      大問1では、小笠原諸島と平泉が世界遺産として登録されたことにちなんだ問題が出題され、基礎知識や読解力・思考力が問われました。また、大問2は歯車のまわりをまわる歯車の回転を考察する問題でした。これは同様の問題が過去に私立中高のあちこち(麻布中、早稲田実業中、中央大学附属高校など)で出題されています。
      大問3では、杏仁豆腐をつくることを題材として数学的思考力をみる問題や「調理手順表(のべ165分)」を3人でうまく分担して実時間55分で麻婆豆腐、中華サラダ、杏仁豆腐を完成させる調理計画を立案する作業立案型問題が出されています。