inter-edu’s eye

国内最大級の総合大学である日本大学の付属校、日本大学藤沢高等学校・藤沢中学校(以下、日藤)。前回は、大学の施設を活かした農場実習をはじめとしたアクティブラーニングの様子(連載第1回)を中心にご紹介しましたが、今回は学びの基盤となる「学習指導」に注目していきます。

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基礎学力の向上を支えるための取り組み

日藤の特長でもある“自ら学ぶ意欲を高めて、基礎学力を身につける”教育施策の数々とともに、先生方からいただいたメッセージも併せてご紹介します。

中高一貫教育の強み

中高一貫教育の強み

国語、数学、英語の授業数を増やしたカリキュラムを実施。反復学習による基礎学力の充実と、高等教育の先取りはもちろんのこと、休み時間や放課後の個別対応といった、生徒の「わからない」をなくし、勉強自体へのモチベ―ジョンを上げる指導を推進しています。

国際理解教育(中1)

国際理解教育(中1)

12月の2日間で、英語コミュケーションスキルの向上や世界の文化を学ぶことを目的に、ネイティブ教員による1日6時間にわたる授業を実施。
ゲーム形式の学びや映画鑑賞などを通して、楽しみながら積極的に英語に触れることで、英語運用能力を高めていきます。

習熟度別授業(中2・中3)

習熟度別授業(中2・中3)

理解度に差が出やすい数学・英語については中2から習熟度授業を実施。生徒それぞれの理解に応じた授業は、先取りを含むワンランク上の応用を取り入れたり、基礎問題の反復を行うことで、あいまいな理解をなくし、生徒全員の基礎学力を高めます。学習の進度と深度は、各クラス・学年の学習到達度に合わせて柔軟に設定されています。

先取り授業

先取り授業

2020年の大学入試改革に備えて、主要教科である国語・数学・英語の3教科では先取り学習を実施。
高3で復習や問題演習に集中するため、高2までに6年間の学習内容を終わらせる目標で、先取り授業が進められています。

外部模試

外部模試

中学・高校ともに、定期的に外部模試を実施。普段の定期テストとは異なる問題に挑むことで、日々の学習による知識の定着率、また応用力が身についているかを確認し、それと同時に苦手分野も分析していきます。また、学外との比較から客観的に実力を把握することで、目標の学力レベルへの差が明確になり、更なるやる気を引き出します。

英語科担当 加藤達哉先生からのメッセージ

インターエデュ(以下、エデュ):2009年の中高一貫化から現在に至るまで、学習指導や教科教育で進化した点をお聞かせください。

加藤先生:数学と英語においては当初に比べ、教材のレベルを上げ、時間数を増やしながらも、進度も速くなりました。その分、苦手な生徒に対しては、補習や特別授業をきちんとカリキュラムに組み込むなど、バックアップ体制も整えました。

エデュ:基礎学力定着のために、生徒に取り組ませている活動についてお聞かせください。

加藤先生:日本大学の付属校ということもあり、6年間を通してのモチベーションの維持が最大の課題となります。そこでOB・OGや社会で活躍している方々の講演会を定期的に開催しています。また高校入試がない分、英検・漢検・数検の受験を励行しています。2級以上を取得した場合は、表彰の対象となります。自らの成長ややりがいを感じながら勉強することが大事だと考えています。

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生徒の希望進路に応じたクラス制度

日藤では、生徒の希望進路を実現するための教育目標を掲げています。中1・中2では、基礎・基本の徹底を図ることで学習に対する姿勢を身につけます。そして、中3から高1にかけては、学習面で応用力の定着を中心に、問題を解くうえで効率の良い回答の導き方を身につけていきます。そして、高校への入学が確定した生徒に希望を取り、「特進クラス」と「普通クラス」に分かれる「特進クラス選抜試験」を3月中に行います。5教科・マークシート方式のテストを実施し、成績上位120名程度が選抜されて「特進クラス」となりますが、内進生のうち上位40名程度は「内進生特進クラス」、このほかの特進2クラスは高入生との混合クラスになります。

特進クラス

特進クラス

日本大学の難関学部や国公立・難関私大を目指すクラス。勉強に対する意識が高い環境の中で、難関大学・学部合格を実現する実力を養成します。高1では受験の基礎となる国語、数学、英語に力を置き、授業での理解度を深めて、どのような進学目標にも対応できる土台を作り上げます。
高2では文理・文系・理系の3クラスに分かれ、受験を意識した科目によるカリキュラムを開始。高校3年次は応用力養成のため演習の時間を多くとり、大学入学試験対策を強化します。

特進クラス

特進クラス対象の夏期・冬期休暇中の特進講習や、特進クラスだけの実力テストを実施、高2・高3には希望者を対象に「サテライト授業」も実施されます。
サテライト授業では、受験に必要な科目を選んで講義映像を用いた上位大学進学に向けた対策がとられています。

普通クラス

普通クラス

日本大学や他大学進学をテーマにした進学教育を行うクラス。基礎学力到達度テストによる日本大学への推薦入試や、他大学への一般受験を目標とした受験科目に力を入れて学習が進められます。
特進クラスに比べて時間に余裕があるので、朝や放課後の講座・補習も受けやすく、苦手分野の克服や基礎学力の充実に適しています。

柔軟なカリキュラムを活かして、自らの個性や志望に対応する学習スタイルを選択可能です。また、高2・高3には希望者を対象に「サテライト授業」も実施。特進クラスと同様に、上位大学進学を目指すことができます。

英語科担当 以西功司先生からのメッセージ

エデュ:高1で選抜される「特進クラス」と「普通クラス」それぞれへの指導の違いや特長についてお聞かせください。

以西先生:学力向上のためにまず必要なのは、自分の目標や進路に合わせた学習進度や方向性で学べる環境があることです。「特進クラス」の生徒は全員、一般受験で難関大学合格を目指しているので高2まではその基礎固めを行います。高3では入試問題演習を行い問題の解き方等の実践力を養います。
「普通クラス」では日本大学に進学するための「基礎学力到達度テスト」に対応したカリキュラムになっており、「特進クラス」と同様に高2までは基礎固めを行います。高3では「基礎学力到達度テスト」や大学入試で得点できるために演習などを通して実践力を養います。どちらのクラスの生徒にも進路目標を達成させることを意識して授業を構成しています。多くの生徒の進路目標を実現させたいと強く思っております。

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編集者から見たポイント

日藤では、基礎学力の定着を中学校での目標に設定しており、授業以外でも夏休みや冬休みを利用した特別授業や、英検をはじめとする資格取得を奨励しているとお聞きしました。
さらに、取材を通してわかったことは、ラウンジやコモンスペース、自習室や放課後の教室など校内のあらゆる場所で、生徒の自律的な学習を学校全体でバックアップしているということです。日本大学を目指す人も難関大学に挑む人も等しく、基礎学力を身につけながら学力を向上させていける風土・環境が整っている学校と言えるでしょう。

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