定期考査を一部廃止し、よりアクティブな学びを! コロナ禍にも対応した佼成女子学校の改革

定期考査を一部廃止し、よりアクティブな学びを! コロナ禍にも対応した佼成女子学校の改革

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英語に強いと定評のある佼成学園女子中学高等学校(以下、佼成女子)では、次世代を見据えた先進的な教育にさまざまな角度から取り組んでいます。今回は佼成女子の2020年度の学校改革をはじめ、このコロナ禍でのオンライン授業に注目。教頭の西村準吉先生にお話をうかがいました。

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「学習」「環境」「構造」の3本柱による改革

インターエデュ(以下、エデュ):今回の改革の概要を教えてください。

西村先生:改革の基本方針は「21世紀型教育」です。たくさんの生徒が画一的に学習するスタイルを、個別の学びへと変化させるために「学習」「環境」「構造」の3つの柱で改革を進めています。

教頭 西村 準吉先生
教頭 西村 準吉先生

エデュ:「学習」について、最も大きく改革することは何ですか。

西村先生:定期考査の中間試験を廃止しました。これまで、定期試験に合わせて授業がデザインされ、知識を習得することに偏ってきた結果、本当に必要な学びが実現できずにいました。佼成女子では、試験のための学びではなく、生徒が主体的、対話的な学びができるような授業を目指し、中間試験廃止に踏み切りました。そのかわりに短いスパンで小テストや単元テストを行うなど、きめ細かな対応を進めます。

エデュ:中間試験の廃止に伴い評価方法も変化しますか。

西村先生:そのとおりです。おおまかに言うと、従来型の学力観に基づき、テストの成績で測る部分が6割、新しい学力観に基づく部分が4割を占めるというのが今後の評価方法になります。具体的には、佼成女子は独自の「3・3・3・1制」を採用します。「期末テスト」「アチーブメントテスト・小テスト」「発表・協働学習・表現活動」のそれぞれを30%ずつ、残り10%は教科担当の先生の判断で評価する仕組みです。

佼成女子の評価方法

エデュ:今回の学校改革に合わせて、新たに始まる学習内容はありますか。

西村先生:PBL(Project based Learning)と呼ばれる問題解決型学習の一環として、「探究学習」を高校生対象に始めます。大学での学びに近い教育内容で、10名程度の「少人数ゼミナール」を開講し、「各個人の研究テーマに基づくゼミ」「企業とコラボした学び」を展開します。

エデュ:どのような狙いがあるのでしょうか。

西村先生:発表する機会を設けたり、表現力を高めたりするだけでなく、「一人ひとりの深い学び」を実現するのが狙いです。通常の授業と両輪で発表・表現活動を展開していきたいと考えています。

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エデュ:改革の柱の一つである「環境」についても教えてください。

西村先生:中学校で「チーム担任制」を導入しました。たとえば、1学年2クラスに担任を3人配置するというように、1人1クラスにこだわらず、複数名で各学級の指導に当たります。実際に今年の4月から始まっています。

エデュ:「チーム担任制」が始まって、変化を感じることはありますか

西村先生:これまでは1人の先生が抱え込んでしまったことも、チームで情報を共有して対応できるので、効果は大きいと思います。新型コロナウィルス感染拡大を受けて、オンライン授業を実施した間も、複数の先生が生徒一人ひとりに対して、丁寧に向き合っていました。

授業のようす

エデュ:最後に改革の柱である「構造」について教えてください。

西村先生:これは佼成女子と、上智大・成城大との高大連携です。上智大とは仏教・キリスト教の垣根をこえたグローバルな連携を実現しました。上智大の模擬授業や学長による講演などを始めています。その一方で、成城大とは「ローカルな連携」と言えるかもしれません。近隣にあるからこそできる高大合同授業や共同研究などを進めていきます。両大学いずれとも新しい時代の高大連携の形を模索してまいります。

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コロナ禍でのオンライン授業とICT

2020年、世界全体を震撼させた新型コロナウィルス。しかし、佼成女子は学校改革をスタートするタイミングだったからこそ、柔軟な対応策を打ち出すこともできました。

コロナ禍においてどのような対応を取りましたか。

西村先生:「学校に行きたい」「学びたい」という生徒の飢餓感を何とかしようと、オンライン授業が4月から行われました。もともと、2012年ごろからICT教育に力を入れており、2020年度は全学年へのiPad配付が完了したところでした。そのため、休校していても、授業をはじめ、英会話や進路講演会などの行事、部活動など幅広くオンライン化することができました。

授業動画撮影中のようす
授業動画撮影中のようす

コロナ禍を経て、気づいたこと、考えが変わったことはありますか。

西村先生:今回、佼成女子も「改めて学校の在り方が問われた」と感じています。原点に立ち返ってみて、学校とは「情報の授受や技術の習得だけではなく、人と人が交わって成立する場」だと気づきました。今後、生徒・教員が集まる場面とオンライン化してよい場面を適切に区別することが大切になるでしょう。一斉指導から個別指導への転換を進める今回の改革はコロナ対策としても有効だと考えています。

コロナ対策をめぐって、生徒たちの反響はいかがでしたか。

西村先生:非常に好意的でしたね。生徒たちも苦しい局面を乗り越えようとアイディアを出し合って、オンラインで同好会を立ち上げたり、プレゼン大会を企画したりしていました。

オンラインで行われた体育の授業のようす
オンラインで行われた体育の授業のようす

最後に受験生や保護者へ向けたメッセージをお願いします。

西村先生:佼成女子は国際色豊かな学校です。現在の社会では、世界規模の問題が起こり、その解決することが求められるようになりました。そうした社会を生き抜く力を育てるため、学びの質を高めることを目指し、これからも改革を進めてまいります。

編集者から見たポイント

多くの学校が休校措置を取り、対応に追われた今年4月。佼成女子は、1日6時間を目安にオンラインで授業・交流の場を設けてきました。新たな教育を実現する強い意志を感じます。ぜひ、説明会に足を運び、学校改革の全貌をお確かめください。

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イベント日程

イベント名 日時
中学校説明会 第2回 2020年9月19日(土)
15:00~17:00
中学校説明会 第3回 2020年11月14日(土)
14:30~16:30
中学校説明会 第4回 2020年12月5日(土)
14:30~16:30
中学校説明会 第5回 2021年1月16日(土)
14:30~16:30

※イベント日程は変更になる可能性があります。

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