生徒の夢を叶える中高大連携のキャリア教育

中高大連携のキャリア教育で生徒の夢を叶える

inter-edu’s eye

国内唯一の美大付属校である女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美)では、女子美術大学はもちろん、他の美術大学への進学も見据えたきめ細やかなキャリア教育を行っています。今回はその充実した教育内容や近年の進路動向などについて、進路部主任の中村幸喜先生にたっぷりお話をうかがいました。

女子美の公式サイトを見る ≫

将来像が明確に描ける丁寧なキャリア教育

「本校では全学年で大学教授による『中高大連携授業』を実施したり、教育実習で母校に戻ってきた卒業生が大学生活を語る講演会を開くなど、早い段階から進路について考える機会を多く提供しています。さらに、女子美術大学の女子美祭(学園祭)や、高校3年生と女子美術大学4年生による卒業制作展の見学などから、中学生も将来をイメージしやすいように導いています。」

進路部主任・美術科教諭の中村幸喜先生は、ジュエリーアーティストとしても活躍されています。
進路部主任・美術科教諭の中村幸喜先生

可能性を広げながら進路と向き合う6年間

「中学入学当初から卒業まで、学年を追うごとにステップアップしていく独自のキャリア教育を通して、美術への造詣だけでなく将来まで考えてもらう機会をたくさん用意しています。」

中学1年生
道徳の授業でグループごとにさまざまな教員へインタビューを行い、取材内容をまとめて発表します。これは学校が一つの社会だと捉える良い機会になっています。また、制服のネクタイを作っている女子美術大学の方に講演をしていただくなど、生徒が“中高大のつながり”を感じられるように工夫を凝らしています。

中学2年生
「自己理解・他者理解」をテーマに、社会の中で美術が果たす役割や美術の仕事はどのようなものがあるのかを考えます。社会と自分との関わりを意識し、社会性への関心を深めます。思春期の多感な時期に、後輩の面倒を見ながら、先輩との関係もしっかり築いていけるように、生徒を導きます。

中学3年生
高校進学を意識し始める時期なので、生徒と保護者を対象に「進路説明会」を実施し、高校のカリキュラムや大学進学について説明します。生徒には、高校進学は行きたい学校を自ら選び、両親にも自身の選択を理解して応援していただくことが大切だと話します。

高校1年生
女子美術大学の杉並キャンパスと相模原キャンパスを訪れ、「アトリエ訪問」を行います。大学生が作品を制作する様子や設備を間近で見学したり、食堂で昼食を食べるなど、大学生活を体験できる貴重な機会となっています。

高校2年生
初夏に女子美術大学の専攻別説明会を行います。保護者同伴の企画で、興味がある専攻の実技内容や就職状況について、大学の教員から丁寧な説明を受けることができます。夏休みには20種類以上の「実技体験講座」が実施され、ガラスで蜻蛉玉を作ったり、ダンサーをモデルに絵を描くなど、大学で学ぶ内容を体験できます。

高校3年生
希望者は夏休みに女子美術大学のオープンキャンパスに参加できます。一般の受験生とは分けられ、しっかり説明を受けられます。進路指導に関しては、進路希望調査を年3回実施し、美術科教員と担任が1学期中に2回個人面談を行います。1学期までの総合成績で内部推薦のシミュレーションを行い、確実な進路選択につなげます。

女子美は授業も学年ごとに個性豊か! ≫

向上心が高まる“夢を叶えたい”という想い

「女子美では、生徒の90%以上が美術系の進路を選択します。これは本校のキャリア教育の中で、生徒が自分の力を活かせる職業がたくさんあることを知り、夢や希望を美術の世界に見つけられるからだと思います。将来の目標を見つけた生徒は、学びに対してより貪欲になります。睡眠時間を削ってでも良い作品に仕上げて成長しようとする向上心に、驚かされることも多いです。」

中高大が連携する教育のメリットとは?

「美術大学志望の学生はほぼ100%が美術予備校へ通いますが、本校では入試のための美術教育は行っていません。美術の世界で長く生きていくために最も大切なのは、“新しいものを作り上げる自由で柔軟な発想力”だからです。この力を身につけてから大学に進学できるように、教育カリキュラムを制作しています。
また、生徒は中学の時点から大学教授の授業を受講することで、物怖じせずに意見を述べたり、グループワークを上手にまとめる力が自然と身につくようです。これらは中高大一貫の教育を展開する本校ならではの強みだと思います。」

大学教員に自分のデザイン案を説明する生徒の様子。
大学教員に自分のデザイン案を説明する生徒の様子。
キャリア教育についてより詳しく知る ≫

これからの時代に向けた“女子の美術教育”とは?

現役合格を叶える内部推薦制度

「近年、併設大学への進学率は65%~75%で推移しており、美術大学を含め、一般大学の入試においても推薦入試を利用する傾向が見られます。
進学に関して最も多い保護者の要望は「現役合格」です。本校は内部推薦制度があり、厳格な進路規定をクリアすれば、無試験で女子美術大学へ進学できます。他の美大にも自己推薦などの制度はありますが、非常に狭き門なので、確実に美大に進学できる本校の制度は大きな魅力だと思います。」

現代社会で求められる“デザインする思考力”

「少し前まで生徒はネームバリューを重視して進学先を選ぶ傾向にありましたが、最近は『その大学で何が学べるのか』に重点を置いています。さらに、以前より生徒も保護者も安心して美術大学への進学を選択しているようです。これは、現代社会において“デザインする思考力”が求められているからだと思います。卒業生の就職先は大手広告代理店や化粧品会社、IT企業、出版社、建築事務所など、多岐に渡ります。70~80%がデザイナーになり、残りは総合職に就きますが、総合職でも“デザインする思考力”を身につけた人材を求める企業が増えていると感じます。」

創造力や多角的な視点を養う美術教育

「これからの社会では、性別や年齢を問わず多くの人が求めるものを生み出す力が必要になります。女性が社会で活躍する時代となり、働き方の多様化も進む中で、将来どんな道に進んでも自分の培った美術力を発揮し、独創性に富んだ提案ができる人材を育てることが、これからの女子の美術教育に必要だと思っています。
また、心配りやひらめき、丁寧さなど、女性には男性よりも秀でている部分がたくさんあります。正しい言葉づかいや振る舞いを身につけ、多角的な視点を持ち、さまざまな人の立場に寄り添って物事を考える力も養えるように、生徒を導いていきます。」

女子美校内のアトリエで来校した教授から直接指導を受けられる貴重な機会。
女子美校内のアトリエで来校した教授から直接指導を受けられる貴重な機会。
幅広いジャンルで活躍する卒業生たち ≫

新設された「工芸・立体コース」の魅力

「本校では高校2年生からコース別授業が始まります。昨年度から『絵画コース』『デザインコース』に加えて『工芸・立体コース』が新設され、より専門的な素材や道具の扱い方、工程を学べるようになりました。陶芸やジュエリーなどを作る『工芸制作』は日々の暮らしをより豊かにすることができ、木彫や金属、石などを扱う『立体制作』は洗礼された世界観や空間を作り出すことができます。コースの新設により、生徒の進路をより広げることができればと願っています。」

ジュエリーアーティストでもある中村幸喜先生の指導で制作するシルバーリング。
ジュエリーアーティストでもある中村幸喜先生の指導で制作するシルバーリング。

未来の女子美生に向けた応援メッセージ

「教科書やノートの余白に絵を描いたり、宿題の工作に夢中になったり、年賀状にイラストをたくさん描いたりと、“美術が好き”という気持ちを持った生徒が集まっているのが本校です。好きなことを好きだと素直に言って、共有できる安心感があり、生徒は一人ひとりがキラキラと輝いています。共に学んだ同級生が生涯の友になることも多いようです。ぜひ本校に素敵な友達をつくりに来てください。皆さんに会えるのを心から楽しみにしています。」

女子美は学校行事もユニークで楽しい! ≫

編集者から見たポイント

お話を聞かせていただいた中村先生は美術科教諭でもあり、幼い頃から工作が大好きだったそうです。熱のこもったインタビュー回答からは美術と生徒に対する深い愛情が伝わってきました。充実したキャリア教育に加えて、これだけ真摯に寄り添ってくれる先生がいるなら、生徒は安心して自身の夢を追いかけられるだろうと感じました。

今後のイベントスケジュール

イベント名 日時
体験学習(小学生対象)※要予約 2020年9月6日(日) 午前の部10:00~/午後の部13:00~
中学校説明会 ※要予約 2020年9月12日(土) 10:00~
公開授業(中高共通) 2020年10月3日(土)・11月7日(土) 8:35~12:40
女子美祭 ※要予約 2020年10月25日(日) 午前の部10:00~/午後の部13:00~
イベントの詳細とお申込みはこちら ≫

その他の連載コンテンツ

視野を広げて行動力を育む教科横断型授業

すべての教科を幅広く横断的に学んで知性を深めるオリジナリティに溢れた授業を展開する女子美。地理教諭の近藤先生にインタビューを行い、授業内容についてお話をうかがいました。記事を読む≫

美術と融合した英語授業×ICT教育

近年は美術と英語が融合した教科横断型の授業「Art English」や、iPadや電子黒板を有効に活用する「ICT教育」について、詳しくご紹介します。記事を読む≫