美術と融合した英語授業×ICT教育

美術と融合した英語授業×ICT教育

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美術の分野で活躍し、グローバルに情報を発信できる人材の育成を目指す女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美)。近年は美術と英語が融合した教科横断型の授業「Art English」や、iPadや電子黒板を有効に活用する「ICT教育」を導入し、カリキュラムをよりブラッシュアップしています。今回は時代の最先端を行くその教育内容に迫ります。(※上記画像はモーガン先生によるアボリジニアート 講演会の様子です。)

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英語力に加え、表現力や教養も養う「Art English」

「Art English」は文法や英会話の授業と並行して行われるオールイングリッシュの授業で、2019年にスタートしました。授業の内容や魅力について、英語科教諭の黒川路子先生にお話をうかがいました。

中学1年生の「Art English」の授業の様子
中学1年生が自作の画について英語で発表する「Art English」の様子。

インターエデュ(以下、エデュ):「Art English」導入の経緯を教えてください。

黒川先生:中学校の新学習指導要領へ移行する際に、新しいことに挑戦しようと、英語の授業時間を増やすことが決まりました。そこで、“女子美ならでは英語教育”を追求した結果、英検などの資格獲得を目指して学ぶのではなくアートに特化した授業を行おうと、「Art Englishプロジェクト」が立ち上がりました。授業内容を精査して、一からオリジナルテキストを作成し、プログラムの完成までに3年を費やしました。

エデュ:導入までに特に苦労したことは何ですか。

黒川先生:教材の作成です。美術に関する専門的な英単語を調べたり、美術科の先生方に内容を細かく確認するなど、想像以上の労力が必要でした。また、アートという感覚的な分野を言語化する難しさも痛感しました。

エデュ:具体的な授業の内容を教えてください。

黒川先生:美術用語を学んだり、美術史に関する英文を読んだり、自身の作品について英語でプレゼンテーションをするなど、非常に実践的な内容です。授業は日本人教員と、美術科教員でもあるネイティブの教員とのチームティーチングで行っています。さまざまな時代やジャンルの絵画作品を題材に取り上げ、生徒の学習意欲を高められるよう、工夫を凝らしています。

エデュ:授業を受講する生徒の様子はいかがですか。

黒川先生:生徒の好きな美術を題材にしているので、反応はとても良いですね。特に印象に残っているのは、印象派の画家であるモネ、ドガ、セザンヌ、ルノアールになりきって英語で寸劇をする課題を出した際、数組のグループが粘土やフェルトで画家たちの人形を作ってきたことです。準備期間が1週間しかない中で、より良いものを作り上げようとする姿勢に心を動かされました。こういった課題では、生徒の発想力に驚かされることも多くあります。生徒同士も互いに良い刺激になっているようです。

生徒が作った人形による英語の寸劇
生徒は1週間で画家の人形を作り上げ、授業で英語の寸劇を披露しました。

エデュ:受験生にメッセージをお願いします。

黒川先生:小学校での学習がしっかりと定着していれば、特別な用意をしなくても大丈夫です。女子美では新たな知識や感覚に触れられるよう、さまざまな角度からアプローチした授業を展開しています。ぜひ一緒に楽しく学びましょう。

英語以外の教科にもアートの要素が! ≫

iPadと電子黒板を活用し、生徒の創造力を伸ばす

女子美はオリジナリティあふれる英語教育に加え、「ICT教育」にも注力しています。ICT教育推進チームに所属する数学教諭の山田大祐先生に、詳しいお話をうかがいました。

1人1台のiPadを学習に役立てる授業
生徒は1人1台のiPadを所持し、幅広く学習に役立てています。

エデュ:女子美の「ICT教育」について教えてください。

山田先生:1人1台のiPadと、各クラスに設置した電子黒板をフルに活用して、授業を展開しています。ICT教育を推進する中で最も気を配ったのは、教員と生徒が共にどのような目的でiPadを使用するか考え、ビジョンを共有することでした。現在も、美術教育を基幹とした資質・能力の育成を目指す本校でデジタル機器を学習に取り入れる意味や、効果的な活用法について、試行錯誤を繰り返してさらなる学習の充実を図っています。各教員のアイデアや生徒たちの意見に支えられながら、少しずつ“女子美スタンダード”を確立している最中です。

エデュ:生徒はどのようにiPadを活用していますか。

山田先生:授業中はもちろん、調べ学習やプレゼンテーション用の資料作成など、自宅でじっくり課題を行う際に利用しています。また、長期休校の影響でリモート授業が行われた際は、授業動画を観て課題に取り組むという新しい学習スタイルに生徒はみんな上手く対応していました。

エデュ:リモート授業はどのように行ったのでしょうか。

山田先生:本格的なリモート授業をスタートする前に各家庭の環境調査を行い、すべての生徒が平等に授業を受けられるよう、入念な準備を行いました。そして、生活習慣を考慮して、学校に通学する際と同様のスケジュールで授業を実施しました。授業では双方向性を高めるため、生徒が質問できるツールを整備しました。
特に美術の授業では、教員が制作途中の作品に対して生徒一人ひとりに丁寧にコメントし、指導を行いました。さらに、ホームルームの時間にリアルタイムでビデオ通話を実施することで、クラス内の生徒同士の交流も深めることができました。ご家庭から多大なご協力をいただきながら、休校期間中も生徒の学びを止めることなく、通常の授業に近い形で学習を進めることができたと思います。

エデュ:整備されたICT環境がすでに素晴らしい成果を発揮しているのですね。

山田先生:美術教育において、デジタルポートフォリオとしてiPadの活用を進めています。作品が仕上がるまでの過程や作品に込めた思いなどを記録し、振り返ることで、メタ認知能力を高め、生徒自身の学びや制作により深みを持たせることができます。今後も生徒が好奇心を持ちながら主体的に学び、想像力と創造力を伸ばせるよう、女子美らしくICTを活用していきたいと考えています。

完成した作品を撮影し、記録する生徒の様子
完成した作品を撮影し、記録する生徒の様子。

エデュ:最後に受験生にメッセージをお願いします。

山田先生:過去問を繰り返し解いて自分の苦手分野や足りない点を見つけ、それを補えるよう学習を進めてください。女子美での学校生活は、ワクワクとドキドキでいっぱいです。女子美生になった自分を想像して、受験勉強へのエネルギーに変えてください。大変な時期を乗り越えて中学受験に挑戦する皆さんを心から応援しています。

女子美は授業だけでなく学校行事も魅力たっぷり ≫

編集者から見たポイント

アートを題材にした英語の授業は、美術が大好きな女子美の生徒の学習意欲を高め、英語力の向上につながります。また、アートに特化した英語を学んでおくことで、将来生徒が美術の分野で最大限に力を発揮できるはずで、「Art English」は生徒の将来の可能性を広げるために考え抜かれたプログラムだと感じました。

イベント日程

イベント名 日時
体験学習(小学生対象)※要予約 2020年9月6日(日) 午前の部10:00~/午後の部13:00~
中学校説明会 ※要予約 2020年9月12日(土) 10:00~
公開授業(中高共通) 2020年10月3日(土)・11月7日(土) 8:35~12:40
女子美祭 ※要予約 2020年10月25日(日) 午前の部10:00~/午後の部13:00~
詳細とお申込みはこちら ≫

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