思い描いたイメージを形にする陶芸の授業

思い描いたイメージを形にする陶芸の授業

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学習面を重視しながらも美術の授業数を多く確保している女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美)。今回は中学1年生の生徒2名と担任教員にインタビューを行い、美術の授業でチャレンジした「陶芸」や学校生活について、詳しくうかがいました。

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生徒一人ひとりに声をかけ、作品づくりをサポートする

女子美独自の陶芸の授業内容や課題に取り組む生徒の様子について、坂内直美先生にお話をうかがいました。

女子美術大学の卒業生で、今年初めて中学1年生の担任となった坂内先生
女子美術大学の卒業生で、今年初めて中学1年生の担任となった坂内先生

エデュ:中学1年生の美術の授業で行った陶芸の課題について教えてください。

坂内先生:テーマは「器を作ろう」です。初めに粘土で遊んで、触った感覚をツルツル・モチモチなどのオノマトペ(擬音語)にします。そこからイメージを膨らませて作りたい作品を絵に描き、実際に器を作っていきます。

エデュ:生徒には陶芸の授業からどんなことを学んでほしいですか。

坂内先生:自分のイメージをしっかり形にすることです。中学1年生が入学後に取り組んだ美術の課題は「副都心」と「花」で、実際の街の風景や花瓶に生けた花を描きました。描画とは異なり、自分の中からわき上がるイメージを形にする陶芸は、生徒にとって初めてのチャレンジとなります。素材を楽しみながら少しずつコツを掴んで、自分の思い描く器を完成させてほしいと願い、生徒をサポートしていました。

イメージを形にする難しさを楽しむ陶芸の授業
イメージを形にする難しさを楽しむ陶芸の授業
陶芸専門の先生からアドバイスをもらう生徒たち
陶芸専門の先生からアドバイスをもらう生徒たち

エデュ:中学1年生を指導するうえで工夫していることはありますか。

坂内先生:専門的な話は噛み砕いて具体例を織り交ぜながらわかりやすく伝えることと、説明するときは言葉だけでなく実際にやってみせることです。また、授業中には教室内を回って生徒全員に声かけをするようにしています。わからないことや悩んでいることがあっても、自分から言い出せない生徒もいるからです。生徒一人ひとりに丁寧に寄り添って不安や悩みがあったら解消し、高いモチベーションを持って課題に取り組めるように導いています。

エデュ:今年の中学1年生から先生が感じた成長や変化を教えてください。

坂内先生:課題ごとにめざましい成長を見せています。最初の副都心を描く描画の課題では入学した直後ということもあり、生徒同士が「みんなどれくらい絵がうまいのだろう?」と探り合うような緊張感がありましたが、次の花を描く描画の課題からは緊張が解けて、伸び伸びと作品に取り組めるようになった印象です。下描きの仕方や絵の具の混色など、技術面も向上しています。
また、作品づくりへの姿勢も素晴らしく、休み時間はとてもにぎやかですが、授業になると静かに集中して取り組んでいます。お互いの作品を見てアドバイスを送り合う姿もよく見られ、切磋琢磨しながら美術の力を磨いていこうという雰囲気ができあがっています。

副都心を描く課題に挑戦する生徒たちの様子
副都心を描く課題に挑戦する生徒たちの様子
花瓶に生けられた花を真剣に見つめ、描画に集中する生徒たち
花瓶に生けられた花を真剣に見つめ、描画に集中する生徒たち

エデュ:最後に、坂内先生の生徒に対する思いや今後の目標を教えてください。

坂内先生:生徒には入学したときの「美術や絵を描くことが好き」という気持ちを大切にしてほしいと願っています。作品づくりは自分の思うようにいかなかったり、周りと比べて落ち込んだり、つらいことも多くあります。私自身、そういった「生みの苦しみ」がよくわかるので、つらいときには手を差し伸べて、寄り添ってあげたいと思っています。

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イメージどおりの器が仕上がり、大満足!

元気いっぱいな中学1年生の生徒2名にインタビューを行い、陶芸の授業や学校生活について詳しくうかがいました。

(右から順に)茶道部・ギター部に所属するCさん、イラストクリエーション部・ギター部に所属するSさん
(右から順に)茶道部・ギター部に所属するCさん、イラストクリエーション部・ギター部に所属するSさん

インターエデュ(以下、エデュ):女子美に入学したきっかけを教えてください。

Cさん:もともと絵を描くことが大好きで、母の勧めで女子美祭(文化祭)を訪れた際に見た作品の素晴らしさや、在校生の皆さんから感じた熱気に惹かれて入学したいと思い続けてきました。

Sさん:私も女子美祭がきっかけです。校内の装飾や出し物のクオリティが高く、「中高生でこんなに素敵なものが作れるんだ!」と感激して、入学を決めました。

エデュ:初めてチャレンジした陶芸について、感想を教えてください。

Cさん:坂内先生と陶芸専門の岡﨑先生がわかりやすく説明してくださったおかげで、楽しく取り組めました。陶芸はろくろを使って行うイメージがあったので、粘土をこねて手で形を作っていく工程が意外でした。試行錯誤して自分が思い描いた形にたどり着けたときは、達成感がありました。

Sさん:先生方が私の意思を尊重して、イメージした作品が完成するようにアドバイスしてくださったのがうれしかったです。器のカーブがうまくいかなかったり、形がふにゃっとしてしまったり、苦労の連続でしたが、坂内先生が「上手だよ!」と明るく声をかけてくださったので、最後まで頑張れました。美術が好きな母に陶芸の授業の話をしたところ、「陶芸は材料や道具の準備が大変だから、学校でできるなんてうらやましい」と言われ、貴重な体験ができたのだと改めて感じました。

思い描いた形になるよう試行錯誤しながら制作します
思い描いた形になるよう試行錯誤しながら制作します

エデュ:最初に思い描いていた完成イメージと実際の出来栄えはいかがでしたか。

Cさん:作業する中で作りたい作品イメージが変わっていったため、最初に思い描いた作品とは違ったものができあがりましたが、自分らしさ溢れる器に仕上がって大満足です。

Sさん:絵を描くのとは違った難しさはありましたが、納得のいく作品ができました。2学期には釉薬(ゆうやく)を使って色を付けるのですが、どんな風に仕上げるのか、今から友だちとの間で盛り上がっていますよ。

エデュ: 陶芸以外の授業で印象に残っていることはありますか。

Cさん:花の絵を描く授業で同級生の絵のうまさに衝撃を受け、自分の力不足を痛感させられました。それ以来、上手な人の絵をじっくり観察して良いところを吸収したり、自分の絵を見せてアドバイスをもらうなど、今よりもさらに努力しています。

Sさん:廊下や階段など、校内のいたるところに展示されている先輩方の作品から刺激を受けることが多いです。女子美の授業を受けていればここまでレベルアップできるかもしれないと思うと、ワクワクすると同時に、もっと頑張らないといけないなとも思いますね。

エデュ:入学して初めて知った“女子美の魅力”を教えてください。

Sさん:女子美生の全員に「美術が好き」という共通点があるので、すぐに仲良くなれました。だからこそ、趣味や性格が違っていても気軽に意見を言い合えるのだと思います。話しやすくて面白い先生方が多く、美術以外の授業も満足しています。

Cさん:女子校だからこそ気兼ねする必要がないので、自分の個性を抑えずに過ごせているのだと感じます。居心地が良い環境で勉強や美術に取り組めて、毎日が楽しいです。

学校行事もオリジナリティが光る ≫

編集者から見たポイント

入学して数か月にも関わらず、すでに強い母校愛を持っていた中学1年生のお二人。同級生はもちろん、先輩との関係も良好だそうで、「購買で高校生の方が声をかけてくださったときは感動しました」と、笑顔で語ってくださいました。ぜひ学校説明会などを訪れて、美術への愛と活気に満ちた学校の雰囲気を体感していただきたいと思います。

イベント日程

イベント名 日時
中・高 学校説明会/高校 作品講評会 2021年9月11日(土)・11月13日(土)
運動会(さいたまスーパーアリーナ) 2021年9月22日(水)
女子美祭(大学併催) 2021年10月24日(日)
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