感性や精神力、個性が磨かれる美術教育

感性や精神力、個性が磨かれる美術教育

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女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美)では生徒が感性を育み、創造力豊かな人間へと成長できるよう、独自の美術教育を行っています。今回は女子美の根幹ともいえる美術教育にスポットを当て、オリジナリティあふれる美術の授業や、アート要素を取り入れたユニークな学校行事などについて詳しく紹介します。

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美術教育を通して感性や精神力を養い、互いの個性を認め合う

女子美では“知性が感性を支える”という考えのもと、学習面を重視しながら美術の時間を一般の学校よりも多く確保しています。生徒は芸術への向き合い方やものの見方などを追及することで、学年が上がるごとに人間的に大きく成長します。学業だけでなく、運動会や女子美祭などの学校行事においても、独創的なアイディアで企画を立てるなど、他者と協力して物事に取り組む楽しさを学びます。
中学1年生から3年生までの美術科の先生4名から、学年を追うごとにステップアップしていく美術教育の概要やこだわり、女子美ならではの学校行事などについてうかがいました。

中学1年生:“美術が好き”という気持ちを大切に育てる

美術を学ぶうえで必須の基礎力づくりに重点を置きながら、表現することの豊かさや喜びが感じられる授業を行います。意欲的に作品制作に取り組めるよう、大きな花瓶に生けた迫力のある花をモチーフに静物画を描いたり、中高大連携授業の一貫で大学教授を招いて陶芸を教わったりと、課題に工夫を凝らしています。
入学したての生徒にとって大きなイベントが、5月に行われる2泊3日の軽井沢春季旅行です。旅行に先駆け、美術の授業で校舎の屋上から見える風景を描き、スケッチの基礎を学んでから軽井沢へ向かいます。旅行では屋外でスケッチをしたあと、完成した全作品をホールに並べて美術科教員がコメントしていく『講評会』が開かれます。この旅行を通して、生徒は技術を磨く重要性と共に、他者の個性を認める大切さを学びます。

中学1年生:“美術が好き”という気持ちを大切に育てる

中学2年生:美術への興味を深めながら、たくましさを身につける

“ものづくりから発見へ”をテーマにさまざまな画材や道具の使い方を学びながら、作品制作を通して今までにない驚きや発見を導き出し、美術への関心や興味を深めます。立体作品や工芸作品など、決められた時間内に完成するよう作業工程を考えて工夫する作品制作にも挑戦します。たとえば、型染めで作る千代紙です。資料を集めて図案を考え、型紙を切り、和紙を染めていく複雑な工程を計画的に進めて、自分の思い描く千代紙を作ります。
どの課題にも苦労がつきもので、「できない」「もうダメだ」と弱音をもらす生徒もいますが、自問自答しながら諦めずに納得のいく作品を作り上げることで、つらい状況の中でも物事を成し遂げる精神力やたくましさが養われます。

中学2年生:美術への興味を深めながら、たくましさを身につける

中学3年生:表現の多様性を知り、独自の目線で物事を捉える

高等学校での専門的な学びにつながるように、『基礎絵画』と『基礎デザイン』の授業に分かれて専門の教員が指導を行います。『基礎絵画』では鉛筆デッサン・水彩画を中心に、モチーフの特徴や形態を理解する観察力を鍛えます。課題を積み重ねることで、構図の取り方や明暗の捉え方など、具体的な絵画表現が身につきます。『基礎デザイン』ではパッケージデザインやCGデザインなど、さまざまな分野のデザイン課題に取り組みます。デザイン表現の豊かさを知ることで、生徒は自分の身の回りのものが人の手によってデザインされていることに気づきます。ものを見る目を鍛え、日常の中にアートのアイディアがたくさん隠れていることを知った生徒たちは、独自の視点から世界の物事を捉えられるようになります。
中学2、3年生の学校行事では、6月に開催される運動会の競技であるパズルリレーが非常にユニークです。中学3年生が原画を描いた大きなパズルを中学2年生がリレー形式で組み立てていき、早く完成したチームが勝ちとなります。美術と体育が融合する女子美ならではの競技です。

中学3年生:表現の多様性を知り、独自の目線で物事を捉える
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生徒が語る! 女子美ならではの美術の授業の魅力

美術教育を受けた生徒たちは、どんなことを感じながら授業に参加してきたのでしょうか? 美術の授業に関する思い出や、高校生になったらチャレンジしたいことについて、中学3年生の生徒たちにうかがいました。

【Aさん】
美術の授業は毎回楽しいです。でも、日常生活の中からインプットしたものを、作品を通して表現するのはとても難しいことです。思い出に残っているのは、作品を一度提出したものの、出来上がりに納得できず、先生にお願いして放課後に自分が納得のいくまで仕上げたことです。高校生になったら、人を癒すことのできる芸術を学び、自分の将来につなげたいと思っています。

【Bさん】
もしも“スーパーにあるお菓子が女子美とコラボしたら”というテーマでデザインを考えた授業が楽しかったです。デザインをしていると、悩んでいるときに急に「これだ!」とアイディアが浮かぶ瞬間があり、楽しさと同じくらいやりがいを感じます。高校2年生になったら、女子美祭のポスター制作の課題があります。学年全員の約200作品が5作品に絞られ、さらにその中から全校生徒の投票で1作品が選ばれます。今は、5作品に残ることを目標に絵の腕を磨いていきたいです。

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編集者から見たポイント

生徒の皆さんに記入してもらった『美術や学校生活についてのアンケート』は、回答用紙が細かい文字で丁寧に埋められており、女子美に対する誇りや深い愛着が伝わってきました。学校生活の質問に対しては「周りの絵を見て良いところを吸収できる」「絵がうまい人が多いのでやる気が起きる」という前向きな回答が多く、美術が好きだという共通点を持つ友人たちと一緒に切磋琢磨しながら自分の力を伸ばしていける環境であることが感じ取れました。これから受験を志すご家庭はもちろんのこと、女子美に興味を持った方はぜひとも説明会や公開行事に参加してみることをお勧めします。

イベント日程

イベント名 日時
中高共通 公開授業 11月24日(土) 8:35~12:40
中学校説明会 11月24日(土) 14:00~
ミニ学校説明会 12月1日(土)
中学の部14:00~ 高校の部16:00~
ミニ学校説明会 1月12日(土)
中学の部14:00~ 高校の部16:00~
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