独自の道徳教育で“心の美”を磨く

独自の道徳教育で“心の美”を磨く

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「知性が感性を支える」という考えのもと、創造性豊かな人間の育成を目指す女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美)。リベラルアーツを重視した普通科としての美術教育を根幹に、個性豊かなカリキュラムを実践しています。今回は女子美らしさが詰まった道徳の授業に焦点を当て、その授業内容について先生と生徒のみなさんにインタビューしました。

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道徳の授業でプレゼンテーションスキルが向上

中学1年生の生徒6名にインタビューを行い、道徳の授業について詳しくうかがいました。

左上から時計回りにKさん、Nさん、Iさん、Sさん、Gさん、Mさん。
左上から時計回りにKさん、Nさん、Iさん、Sさん、Gさん、Mさん。

インターエデュ(以下、エデュ):最近の道徳の授業内容について教えてください。

Nさん:学校生活を支えてくださっている方々にグループでインタビューを行い、その内容を発表しました。私の所属するグループは女子美に10年以上勤めている用務員の方にアポイントを取り、仕事内容について詳しくうかがいました。私は発表用の模造紙の制作を担当し、遠くから見た時に目に留まるようにするため、絵や見出し、色使いなどに工夫を凝らしました。

Iさん:私はiPadでパワーポイントを使い、プレゼン資料を作成しました。音声と文字が出るタイミングを合わせるのが難しかったですが、楽しみながら作ることができました。

グループでインタビューしたい人物について話し合い、アポイントを取って、取材を実施。
グループでインタビューしたい人物について話し合い、アポイントを取って、取材を実施。
発表のために制作した模造紙。塗り方までこだわったというイラストが目を惹きます。
発表のために制作した模造紙。塗り方までこだわったというイラストが目を惹きます。

エデュ:先ほど実際に発表を見せていただきましたが、一つ一つのスライドが丁寧に作り込まれていて、クオリティの高さに驚きました。

Sさん:女子美では道徳だけでなく、他教科でも自身が調べたことを発表する際にiPadでスライドを作るので、自然とスキルが身につくように感じます。iPadは資料制作以外でも、コロナウイルスの影響で学校が休校になったときに動画を見ながら勉強を進めたり、先生や友達とコミュニケーションをとるのに非常に役立ちました。

エデュ:他に印象に残っている道徳の授業はありますか。

Gさん:「ひらがな探し」が思い出深いです。校内の様々な場所に貼られているひらがな1文字が書かれた紙を探して、すべて探し出したら文字を並べ替えて文章を導き出すという内容でした。入学したての頃にこの授業が行われたので、学校の施設について楽しみながら詳しく知ることができました。

Kさん:奉仕委員会が行っている「世界の困っている人々」をテーマに絵を描いて文化祭で展示する活動に参加したことが印象に残っています。私はインドの早すぎる結婚を強要される女性たちについて調べて、絵にしました。それまで知らなかった世界の様々な問題について考えを深めることができて、勉強になりました。

奉仕委員会の展示への参加作品。文化祭で展示されました。
奉仕委員会の展示への参加作品。文化祭で展示されました。
自分が好きな美術館や絵について紹介する道徳の授業で制作した作品。
自分が好きな美術館や絵について紹介する道徳の授業で制作した作品。

エデュ:道徳の授業や学校生活を通して成長したと感じることを教えてください。

Mさん:小学校の頃は人前に立つことを避けていたのですが、道徳の授業でプレゼンの司会を担当したことで抵抗がなくなりました。これからも女子美で様々な経験を積んで力を養い、自分の夢を実現できる人間になりたいと思っています。

Iさん:コロナ禍で入学しましたが、学校生活が楽しく、不自由よりも幸せを感じることが多かったです。女子美は先生に褒めていただける機会が多いため、小学校の時はわからなかった自分の長所に気づくことができ、自己肯定感が高まったように感じます。これからも自分の良さを磨いて、社会人になったら女子美の生徒に憧れてもらえるような活躍がしたいです。

他教科の授業もオリジナリティが光る ≫

道徳で心の美を磨き、社会に貢献できる人材を育てる

女子美独自の道徳の授業内容について、村田智美先生にお話をうかがいました。

中学1年 学年主任の村田先生。
中学1年 学年主任の村田先生。

エデュ:女子美の道徳教育の内容や特徴を教えてください。

村田先生:中学1年生は「自分を見つめること」や「他者との関わり」に重きを置いた授業を行い、中学2年生では卒業生の話を聞く機会を設けて、社会との関わりの中で自身の将来について考え始めるよう導きます。中学3年生はより深く自分の将来を考えたり、世界の学習環境の恵まれない子供たちにアプローチするなど、外の世界へ目を向けていきます。
特徴は、道徳以外の教科にもいえることですが、授業を通してプレゼンテーション能力が身につくようにしていることです。社会人になった時、自分の手がけた作品や商品、それに込めた想いついて伝える力が必要になるため、中学1年生から発表する機会を多く設けています。

エデュ:教科目標について教えてください。

村田先生:本校の教育目標でもある「智の美」「芸の美」「心の美」を磨き育て、美術を通して我が国の文化に貢献する女性を育てることです。道徳の授業などを通して多様な価値観を知り、他者理解を深めてほしいと願っています。また、生徒同士が共に作業を行う機会を授業中に多く設けることで、協働意識を育てたいとも考えています。

エデュ:村田先生は中学1年の学年主任を務めていらっしゃいますが、1年次の教育で重視していることはありますか。

村田先生:生徒が学校についてよく知ることを重視しています。本校は1900年に「芸術による女性の自立」を目指して創立し、長い歴史の間にアートやデザイン界をはじめとする幅広い分野に優れた人材を輩出してきました。生徒にはそういった学校の歴史や建学の精神に加えて、卒業生がどういう気持ちで仕事を選び、社会に貢献しているのかを理解してほしいと思っています。そのうえで自身の将来について考え、その夢を実現し、社会に貢献できる人材になってほしいです。

エデュ:今年の中学1年生を見て、先生が感じた成長や変化を教えてください。

村田先生:作品を認められることで自己肯定感が高まり、個性を発揮できるようになった生徒が多いと感じます。他学年にも言えることですが、作品制作を通じて各々の人となりや魅力を知ることでお互いをリスペクトし、個性を尊重し合う雰囲気があります。

エデュ:村田先生の今後の目標を教えてください。

村田先生:平和学習に力を入れたいです。これまで中学生の修学旅行の行き先は京都・奈良でしたが、広島・瀬戸内に変更し、広島の高校が行っている原爆によって被ばくされた方からお話をうかがって心象風景を絵に起こす活動について学ばせたり、戦没画学生の絵を集めた長野の「無言館」への訪問を考えています。アートの要素を絡めた平和学習は生徒の心により響くと思うので、こうした体験を通して戦争に対する考えを深めてほしいと思っています。

エデュ:最後に、受験生へのメッセージをお願いします。

村田先生:自分の好きなものを恥ずかしがらずに突き詰めてほしいです。絵を描いたり何かを作ったりするのが好きなことは素晴らしい才能なので、親御さんにはその才能の芽を摘むことなく、伸ばしていってあげてほしいです。道具や画材の使い方は入学後に丁寧にレクチャーしますから、美術が好きで、その力を夢につなげたい!という気持ちがある方にはぜひ受験していただきたいと思います。

女子美の美術教育について詳しく知る ≫

編集者から見たポイント

女子美の環境について、村田先生が「美術は100点がない教科。だからこそ誰もが作品と向き合って努力を続けるし、“生みの苦しみ”を共有することで生徒たちは自然と結束力を強めているように感じます」とおっしゃっていたのが印象的でした。ぜひ学校説明会などを訪れて、生徒が伸び伸びと過ごしている活気ある校風を体感していただきたいと思います。


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