作品に想いを込めて 生徒発案JSG-ARTNEXT2020

作品に想いを込めて 生徒発案JSG-ARTNEXT2020

inter-edu’s eye

11月2・3日に記念祭(文化祭)を開催した女子聖学院中学校高等学校(以下、女子聖)。今年の記念祭では、特別企画としてクラスごとに制作したアートが展示されました。制作現場の見学と生徒会インタビューから、この企画に懸ける生徒の想いに迫ります。

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生徒会主導の美術展

JSG-ARTNEXT2020とは

JSG-ARTNEXT2020は、女子聖で初めて開催されるイベントで、中1~高2がクラスごとに作品を作る美術展です。記念祭と同時期に行われる合唱コンクールに中止の可能性が出てきたため、代替企画として誕生しました。生徒会が、「例年通りにいかない状況のいまだからこそ、コロナや災害で困難な状況にある方々に向けて、私たちが想いを馳せ、祈りを届けるべきところがある」と、企画を立ち上げたのです。

各クラスは、困難な状況にある人に届けたい歌を1つ選び、その歌が持つ世界観をアートで表現。感染対策のため、集まって制作することを避け、個人が作成した小さなピースを集めて作品を仕上げることに。中高それぞれ2回のLHRを利用し、作業を進めました。

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高校・制作現場見学レポート

今回は高校生のLHRを見学し、テーマ曲や制作秘話、作品に込めた想いを各クラスからうかがいました。

2年1組

テーマ曲は「勇気100%」。ちぎり絵で青空を、紙花で虹を表現していました。生徒は「早くコロナが収束して、みんなの心に虹が架かるようにと想いを込めました。制作に苦労した箇所は、ちぎり絵の部分です」と語ります。

完成した作品を囲む1組の生徒
完成した作品を囲む1組の生徒

2年2組

テーマ曲はLittle Glee Monsterの「ECHO」。見せてもらったのは、太陽に向かって羽ばたく白い鳥の作品です。空や山、湖はちぎり絵で作られており、翼の部分には加工品の羽を張り付けてあります。まだ制作途中で、生徒は絵の周りに張り付けるピンクの花を一輪ずつ作っていました。生徒は「先が見えない状況が続いているので、『みんなで一緒に新しい未来へ行こう』という前向きなメッセージを作品に込めました」と説明してくれました。

細かいちぎり絵で風景が描かれています。
細かいちぎり絵で風景が描かれています。
感染対策のため、生徒はそれぞれの机で、離れて作業していました。
感染対策のため、生徒はそれぞれの机で、離れて作業していました。
花紙を重ね合わせ、中央にラメを付けて一輪の花を作ります。
花紙を重ね合わせ、中央にラメを付けて一輪の花を作ります。

2年3組

テーマ曲は絢香の「虹」。3組の生徒全員分の手形と、担任と英語科の先生の手形で虹を表現したそうです。

手形の虹の横に、メッセージを書き込んでいました。
手形の虹の横に、メッセージを書き込んでいました。
メッセージを書き込むようす
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生徒会インタビュー

広報室長の佐々木恵先生によると、生徒会企画の合唱コンクールは在校生に人気の行事なのだそう。生徒が楽しみしていた行事が中止になる中、どのような経緯でJSG-ARTNEXT2020開催決定に至ったのか、高校生徒会長のOさんと、中学生徒会副会長Kさんに聞きました。

高校生徒会長のOさん。料理部に所属。
高校生徒会長のOさん。料理部に所属。

インターエデュ(以下、エデュ):JSG-ARTNEXT2020開催の経緯を教えてください。

Oさん:10月開催の合唱コンクールに中止の可能性が出てきたので、6月に生徒会で代替案を考え、たくさんの候補の中から美術展に決めました。「どうしても合唱コンクールをやりたい」という生徒はたくさんいて、その想いを大切にしたかったので、最終判断が下るまでは合唱コンクールと美術展の準備を並行して進めていきました。その後、合唱コンクールの中止が決まり、9月から本格的に美術展の準備にとりかかりましたね。

エデュ:美術展に決まった理由は何ですか。

Oさん:クラブに所属していなかったり、実行委員を務めていなかったりと、記念祭に活躍の場がない生徒のために、“全員が活躍できてクラスがまとまる取り組みを”と、女子聖の合唱コンクールは生まれました。そうした行事の代わりになるのだから、やはり一人ひとりが活躍でき、クラスがまとまるものにしたかったんです。代替案にはドッジボール大会もありましたが、それではスポーツが得意な生徒だけが目立ってしまいます。生徒会で話し合いを進める中で、「こんな状況だからこそ、大変な状況下にいる方に私たちの想いや祈りを届けたい」「合唱コンクールの代わりなのだから、歌に関係するものを取り入れたい」といった考えにまとまり、歌をテーマに作品を作る美術展になりました。

中学生徒会副会長のKさん。生徒会のほかに、バドミントン部、ディベート部、MPM(聖書研究会)に所属。
中学生徒会副会長のKさん。生徒会のほかに、バドミントン部、ディベート部、MPM(聖書研究会)に所属。

エデュ:大変だったことは何ですか。

Kさん:開催にあたり、制作時の感染対策や美術展の細かいルールを決めました。美術展のために各クラスでリーダーを立て、彼女たちにルールや制作用品申請の締切を説明することや、感染予防に常に気を配らなければならないことが大変でしたね。

Oさん:美術展が本格始動するときに中間試験が重なったので、勉強との両立が大変で。また、制作期間がLHR2回分しかなかったので、どれほどのものを制作できるのかという不安がありました。

エデュ:では、うれしかったことは何ですか。

Kさん:クラスでテーマ曲を決める相談をしていたら、担任の先生が候補の曲を流してくれたんです。みんなで歌詞を口ずさんでいたとき、クラスに一体感が生まれたことがうれしかったです。テーマ曲は映画『リメンバー・ミー』の「音楽はいつまでも」になりました。

Oさん:私たち生徒会が企画したことに対して、各クラスのリーダーが積極的に参加してくれたことです。リーダーが集まる会議で、どうしたら制作時に密状態を避けられるかアドバイスをしたところ、中学生のリーダーたちがたくさん質問してくれて。一生懸命応えようとしてくれる後輩の姿に、「この企画を立ち上げてよかった」と胸がいっぱいになりました。

Kさん:私のクラスには合唱コンクールを楽しみにしていた生徒がたくさんいたのですが、美術展で音楽を扱うことが分かると、残念がっていた子たちの表情がパッと明るくなって。そのとき「JSG-ARTNEXT2020は素晴らしい取り組みだな」と感じました。

エデュ:記念祭で展示した後、完成した作品はどうなるのですか。

Oさん:医療従事者の方の元へ作品を届けられたらと思い、区役所に相談することにしました。ですから、記念祭が終わっても生徒会では活動を続けていきます。

エデュ:女子聖のいいところを教えてください。

Kさん:キリスト教の精神が行き届いていて、「誰一人見捨てずに、みんなで勉強を頑張ろう、学校生活を楽しもう」という雰囲気にあふれているところです。

Oさん:先生は生徒の想いを尊重し、ずっと見守ってくれます。だからこそ、女子聖には生徒が企画したことを実現できる環境があります。また、中1と高3、中2と中3、高1と高2の教室のフロアが同じで、これはとても珍しいことだと思います。そんなところも気に入っています。

完成した作品

取材後、記念祭で展示された作品の画像を学校からいただきました。

中学1年3組の作品
中学1年3組の作品
Kさんのクラス、中学2年2組の作品
Kさんのクラス、中学2年2組の作品
中学3年3組の作品
中学3年3組の作品
高校1年3組の作品
高校1年3組の作品
Oさんのクラス、高校2年2組の作品
Oさんのクラス、高校2年2組の作品
高校2年3組の作品
高校2年3組の作品
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編集者から見たポイント

生徒会役員の発言の端々に学校愛を感じたインタビューでした。新型コロナ対策で記念祭は完全予約制に。残念ながら限られた人数しか入校できませんでしたが、説明会は今後も開催されます。ぜひ現場に足を運び、生徒がこよなく愛する学校や先生方の雰囲気に触れてみてください。

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イベント日程

イベント名 日時 詳細
第4回学校説明会 2020年11月21日(土)
14:00~15:00
受験生のための体験授業
言語数理リテラシー入試説明会 2020年11月21日(土)
14:00~15:00
言語・数理リテラシー体験授業:文章問題に挑戦!
女子聖 Jr. Workshop 英語 2020年11月28日(土)
10:30~11:30
小学4・5年生対象
入試体験会 2020年12月5日(土)
9:00~12:00
-
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