inter-edu’s eye

昨年から始まった神田女学園中学校高等学校(以下、神田女学園)の教育改革『KANDA INNOVATION』。1年が経った今、どのような成果があったのか気になるところです。そこで今回は、改革の一つである『DEタイム(以下、DE)』について、先生と生徒にインタビューしました。

毎年300名以上・100校の指定校推薦枠≫

学力アップに期待! 神田独自の学習法

毎日決まった時間に25分間で行われる『DE』とは、どんな学習時間なのでしょうか? 小堀先生にうかがいました。

『DE』導入の背景と目的を語る小堀先生

教務部長/国語科主任/ 小堀 美和先生
『DE』は、分からない部分にじっくり取り組み、「分かる」を「できる」して自信をつけることと、自分自身を見つめなおし、コーディネートしていく時間とも考えています。

インターエデュ(以下、エデュ):『DE』導入の背景と目的を教えてください。

小堀先生:本校の生徒は、授業中とてもまじめなのですが、実力テスト等でなかなか成果が出ない傾向にあるので、その原因を考えました。
その結果、入学前の弱点や苦手をそのままの状態にして、学年が進んでしまっているのではないかと。

そこで『DE(Developmental Education)』という特別時間を時間割の中に設け、できないところは小学校にまで戻って、「やり直し、学びなおし」を行うことにしました。

当初の目的は、弱点の部分を補うことで、強固な学力的基盤を作り、その上で今の学年の学習を進めていくことでしたが、自ら先にも進める教材を使っているので、できる生徒は学年を越えて、さらに先の学習を行うようになっていきました。

このように、『DE』では「できる生徒を待たせない、遅れた生徒を急かさない」ことをモットーに、本校が教育目標として掲げる「主体的な学び」ができることを目指しています。

集中して学習を進める生徒

短い時間で成果を上げようと、静まり返った教室に緊張感が漂います。
一人ひとりが異なる課題に取り組む『DE』では、担任が進み具体を点検しています。少人数制のメリットを最大に活かせる学習法です。

エデュ:具体的にはどのような学習方法なのでしょうか。

小堀先生:教材はリクルート社のスタディサプリを使っています。本来は講義動画を見てから、問題を解くというやり方ですが、『DE』ではあえて逆にし、問題を解いてから、達成できない箇所の動画を見て確認していく方法にしています。

より主体性を持たせるために、分からない部分をはっきりさせ、そこにターゲットを絞り学習を進められるようにしているのです。

生徒に『DE』についてのアンケートを実施。その結果は…?

質問① あなたの取り組みはどうでしたか?

あなたの取り組みはどうでしたか? アンケート結果

86%が有意義な時間に!!

質問② 「やり直し」の結果、どうなりましたか?

「やり直し」の結果、どうなりましたか? アンケート結果

82%が効果を実感!!

※2017年3月、中学生を対象に実施。

アンケート結果も上々!『DE』の時間が有効に使われていることがうかがえますね。

神田独自の特別時間『DEタイム』とは≫

中学1年生にインタビュー!

入学してたった数か月の1年生も『DE』の良さを実感しているようです。生徒お二人にうかがいました。

神田女学園の生徒、NさんとTさん

左:Nさん 右:Tさん
自分の意見を伝える力も身についているようです。

エデュ:『DE』でどのような効果を感じていますか?

Nさん:苦手科目の理科では、解いているうちに苦手なところができるようになり、スッキリした気持ちになって、また解いてみようという気になるのが面白いところです。また『DE』で使うChromebookにも慣れて、ノートがわりに使うことで打つのが早くなりました。

Tさん:苦手科目は数学です。分からないところだけを何度もやり、間違えたところと似ている問題もやって力をつけました。今では授業で問題を解けるようになっています。自分ができないことにプレッシャーを感じていたけど、『DE』で克服して、みんなに追いつけたということがうれしかったです。そして得意科目の国語では、高1レベルの範囲に取り組んでいます。

『DE』にも活用、学習内容を記す『LIFE NOTE』を見せてもらいました!
『LIFE NOTE』を見せてもらいました!

『LIFE NOTE』とは生活記録手帳のことで、『DE』については、スタディアプリの進度を記し、先生にアドバイスをもらいます。

Nさん、Tさんの『LIFE NOTE』はなんとすべて英語! 最初は日本語で書いていたのですが、自主的に英文で書くようになったとのこと。先生から英文添削もしてもらえて、一石二鳥の使い方ですね。

神田の面倒見の良さの表れ『LIFE NOTE』について≫

毎日の積み重ねで「主体的な生き方」に

生徒たちも感じている『DE』の効果、小堀先生に具体的な内容をうかがいました。

PDCAの大切さを語る小堀先生

「P:計画」「D:実行」「C:振り返り」「A:課題発見」のリズムを作れるように『DE』や家庭学習の内容を『LIFE NOTE』にしっかり書けるよう指導しています。

エデュ:『DE』を導入して1年、どのような成果が生まれましたか?

小堀先生:勉強が楽しくなったという声が聞かれるようになりました。それは、取り組みが成果として自分に返ってきて、やってよかったということを実感しているからですね。

さらに、勉強に対する不安が少なくなってきたという声もありました。何点取れたということよりも、勉強に向かう姿勢や気持ちが前向きになってきたことも大変うれしい成果です。

進んでいる生徒は、もっと先に進んでみたいという前向きな意欲が出てきて、一度その歯車がまわるとどんどん積極的になってきます。また、25分という短い時間で、いかに集中して効果を上げていくかを考え、集中力の高まりがみられたのも大きな成果です。

エデュ:最後に、これからの目標についてお聞かせください。

小堀先生:学習面のPDCAができるようになると、生活面でも計画を立てて実行できるようになります。それが主体的な生き方に繋がっていきます。それを中学1年生から6年間でしっかり身につけて卒業させることが目標です。

学習面のPDCAが大学合格への力を生む≫

編集者から見たポイント

わずか1年でこのような成果が見られたことは、神田女学園が本気で「教育改革」を行っている証ですね。それも一方的ではなく、主体性を尊重してサポートを行う、ここにも神田女学園の「面倒見の良さ」が表れていると感じました。これからの伸びに大いに期待が持てそうです!

神田女学園 公式サイト≫

≪連載第1回 / 連載第3回≫