神田女学園×共立女子 女子校やリベラルアーツ教育の魅力を語る

神田女学園×共立女子 女子校やリベラルアーツ教育の魅力を語る

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神保町を最寄駅とする神田女学園中学校高等学校(以下、神田女学園)と共立女子中学高等学校(以下、共立女子)。男女別学、リベラルアーツ教育、100年以上続く伝統校など、多くの共通点を有する2校の対談がこのたび実現しました。神田女学園の校長・宗像諭先生と共立女子の広報部主任・金井圭太郎先生に、両校の教育観や女子校のよさ、これから目指す教育のあり方などについて、じっくり語り合っていただきました。

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同時期に千代田区・神保町に創立した両校

神田女学園の校長・宗像諭先生(右)と、共立女子の金井圭太郎先生。対談は神田女学園内にある語学学習に特化した自立学習スペース「K-SALC」で行われた。
神田女学園の校長・宗像諭先生(右)と、共立女子の金井圭太郎先生。対談は神田女学園内にある語学学習に特化した自立学習スペース「K-SALC」で行われた。

宗像先生:共立女子さんは都内でも屈指の伝統を誇り、教育内容にも揺るぎない信念を持っていらっしゃいますよね。そのブレない強さの理由を、ぜひ教えていただきたいです。

金井先生:お褒めいただき、光栄です。本校は1886年、女性が自立し、社会人として職業に就くことを目的として、教育界の先覚者34人が知恵を出し合って設立しました。大勢の中で合意形成をしていく当時の建学の精神が今なお学校の中に息づいていることが、強さの理由としてあげられると思います。

宗像先生:時代を超えて精神が受け継がれているのは素晴らしいことですね。本校は1890年、当時極めて低調だった女子教育に力を入れたいという初代校長・竹澤里先生の思いから生まれた学校です。成り立ちは異なりますが、同じく女子教育の必要性を感じて設立された両校ですね。
共立女子さんは本校と同様に千代田区・神保町に校舎を構えていますが、地域の雰囲気はとてもよいですね。

金井先生:そうですね。都心ですが、街全体に落ち着いた文化的な雰囲気があり、地域の方々も優しく、とてもよい環境だと思います。

宗像先生:その通りですね。地域に住んでいる方々や勤務している方々のよい影響を受けて、素直で思いやりのある生徒が多いように感じますね。

金井先生:本校の生徒もそうですね。加えて、他者と協力できるコミュニケーション能力が高い生徒が多いと感じます。これも街や地域全体で学生を支えようという雰囲気からだと思います。本大学の学生もそうですが、近隣の大学生もとても真面目で、都内屈指の文教地区の通りですね。

リベラルアーツで教養や好奇心を育成する

宗像先生:本校は「10年後に求められるのはどのような人材か」を考え、リベラルアーツ教育を実践しています。共立女子さんもリベラルアーツを大切にしていらっしゃいますよね。

金井先生:はい。主要5教科に特化するのではなく、美術や音楽、技術・家庭科、体育にも力を入れて、バランスのよいカリキュラムを構成しています。日本の伝統を心と形で学べる礼法も特徴ですね。

宗像先生:東京大学や早慶などの難関大学進学を目標に知識集約型の教育を行う学校も多くありますが、主要5科目以外も重視して、教養や人間としての幅を広げることはとても大切だと思います。特に女子教育校に求められる理念の1つだと思いますね。

金井先生:その通りだと思います。本校の教育方針を伝えるため、学校説明会で受験生の保護者の方々に生徒の美術作品を画像でお見せしているのですが、年々リアクションがよくなっています。保護者の方々の価値観も、時代に合わせて変化しているように感じます。私学ですから、基礎学力から応用力まできちんと身につけさせてくれ、その上でどのような人間性をつけるのかに保護者の関心も高まっていますね。

基礎技術から丁寧に教えることで才能が花開く生徒の多い美術の授業。高校では工芸や美大進学者向けの美術演習も選択できる。
基礎技術から丁寧に教えることで才能が花開く生徒の多い美術の授業。高校では工芸や美大進学者向けの美術演習も選択できる。

宗像先生:人工知能(AI)が急速に発達している今、音楽や美術などを通して“人間にしか身につけられない力”を養うことは大切です。本校でもこの点に共感を持っていただき、ご入学いただいた方も多いですね。教科の枠を超えたリベラルアーツを実践するという共立女子さんの教育理念は、算数と合科型論述テスト、グループワークで合否を判定する「合科型入試」の導入からも強く感じました。入試の他にも、リベラルアーツの取り組みはあるのでしょうか?

金井先生:長期休暇の際に開講する「特別教養講座」があります。国語と社会、理科の教員を中心に、1つの題材を決めて行う合科型の講座です。

宗像先生:興味深い取り組みですね。具体的にどのような内容なのでしょうか?

金井先生:たとえば「スケート」がテーマのときは、体育の先生とスケートリンクを貸し切ってスケーターの方と一緒に滑ったり、なぜスピンやジャンプができるのかを物理から考えたりしました。中高6年間ずっと講座を受講していた生徒が、「中学・高校の教員になるのが夢だったけれど、講座を通して先生たちのように全教科を教えたいと思うようになったので、小学校の教員を目指すことにしました」と言って、本当に夢を実現したのはとても嬉しかったですね。

特別教養講座は2006年にスタートした取り組み。金井先生は講座の立ち上げから参加している。
特別教養講座は2006年にスタートした取り組み。金井先生は講座の立ち上げから参加している。

宗像先生:それは教師冥利に尽きますね。本校でも教科の枠を超えた学びを授業に取り入れています。特に「ニコルプロジェクト」という授業では実社会の最適解を求める学びを通じて、思考力や発信力、創造力をつけています。直近ではどんな題材を取り上げましたか?

金井先生:この夏は「飲食店のメニューを考えて提案する」というテーマで、実際に考案したメニューをお店で提供していただくことを目標に、お店の方にインタビューやプレゼンテーションを行いました。お店の方はプロですから、厳しいご指摘が返ってくることもありました。しかし、こういう経験こそが生徒には必要だと感じました。社会とのパイプ役になって、生徒にさまざまな経験をさせてあげることも、これからの教員の仕事なのではないかと思います。

宗像先生:10年後に社会に出る生徒たちは創造力を求められる可能性が高いので、講座を通して何かを生み出す体験をするのは非常に意義があると思います。本校も学校で学んだことが実社会でどういう風に見られるのかを検証したり、ニコルプロジェクトでフィールドワークを行うことで、0から1を生み出すことができる人材を育成したいと考えています。

金井先生:宗像先生のおっしゃるように、本校も生徒のクリエイティビティを高めるカリキュラムを考えていきたいです。しかし、カリキュラムは変えるべきもの、継続していくべきものの見極めが難しいですよね。

宗像先生:本当にそう思います。どんな学びにも基礎学力は不可欠ですから、この力をつけて伸ばしつつ、その上でリベラルアーツ的なアプローチ法をつけられるように、時代に合わせて教育内容を変化させてきました。その中でも、言語教育には変わらず力を入れてきました。

金井先生:今回、神田女学園さんの校舎を訪れて「K-SALC」を拝見し、英語だけでなくさまざまな言語の書籍や参考書が置いてあるのが素晴らしいと思いました。これからのグローバル社会で生き抜くには、英語を習得するだけでは足りませんよね。

宗像先生:そうですね。コミュニケーションとしての言語能力だけでなく、自分の考えを持ち、その考えを言葉にできる力を育成できるよう、母語で考えて伝えられるように言語運用能力を高めるようにしています。その上でエイゴ力と第二外国語を学ぶようにしています。

神田女学園では各教科を「言語運用能力分野」「教養理数習得分野」「国際教養研究分野」「芸術表現身体表現」と分類し、教科の枠を超えた学びを実践している。
神田女学園では各教科を「言語運用能力分野」「教養理数習得分野」「国際教養研究分野」「芸術表現身体表現」と分類し、教科の枠を超えた学びを実践している。
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女子教育校は自分らしく、好きなことが追求できる環境

金井先生:本校は生徒が卒業する際、保護者の方から「うちの子は小学校の頃は大人しかったけれど、共立女子に入学してから元気になりました」と言われることが多くあります。

宗像先生:自分らしく、楽しく学校生活を送れるのが女子教育校の魅力ですよね。本校の生徒に女子校を選んだ理由をたずねると、共学だと異性を気にして自分を隠してしまったり、異性と同性の前で態度を変えたりするのが大変という回答がありました。男女別学のほうが、ありのままの自分を出せるように感じます。女子教育校はいまだに「いじめがありそう」といった偏見もありますが、一人ひとりが個性を発揮して、よい人間関係を育める環境だと思います。

共学と男女別学どちらにも勤めた経験から、女子校ならではのよさを語る宗像先生。
共学と男女別学どちらにも勤めた経験から、女子校ならではのよさを語る宗像先生。

金井先生:女子校の“気楽さ”は魅力ですよね。共学校だと、異性の目を気にして自分の本当にやりたいことができないこともあると思います。本校にはフィールドワークをした場所のジオラマを作る「地理歴史部」があり、全国高等学校鉄道模型コンテストで5年間に2度も日本一になるという成績を収めているのですが、コンテストの出場校を見ると男子校か、共学校でも部員はほとんど男子です。共学校の女子は鉄道ジオラマに興味があっても、異性の目が気になって参加しにくいのではないかと思います。

宗像先生:女子校は好きなことに没頭できますし、生徒同士にも互いの好きなことを尊重しあう雰囲気がありますよね。そういう女子校の魅力が世間に伝わってきたのか、最近は「女子校ブーム到来」とも言われていますね。

金井先生:そのようですね。世代的に別学出身で男女別学のよさを知っている保護者の方が増えたのも、大きく影響していると思います。

宗像先生:多感な中高の6年間を女性のみの環境で過ごすと、自然と同性間のコミュニケーション能力が磨かれます。さらに、“生涯の友”というかけがえのない宝物も得やすいと思います。また、最近生徒を見ていて感じるのですが、小学校の教育が変わってきているからか、芸術に興味がある子が増えていませんか?

金井先生:確かにそうですね。習い事の幅も広がっていますし、子どもに好きなことをやらせて、能力を伸ばしてあげようとする親御さんが増えているからではないでしょうか。確実に女子の教育環境は良い方向に向かっていると思います。

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編集者から見たポイント

同じ神保町に校舎を構え、創立時期も近い両校。女子校のよさやリベラルアーツ教育の内容、目指す将来像など共感する部分が多くあり、両先生は話が弾みました。異性の目を意識せず、伸び伸びと飾らずにありのままの自分を出せる女子校は、お子さんがより良く生きられるようにと願う親御さんの思いを叶える場所であると感じました。

今後のイベントスケジュール

イベント名 日時
姫竹祭(文化祭) 2019年9月28日(土)・29日(日)
授業見学会 2019年10月12日(土) 10:00~
入試問題解説会 2019年11月9日(土) 10:00~
イベントの詳細と予約はこちら ≫

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