神田女学園×大妻中野 “多言語教育”でグローバルな視野を広げる次世代の女子教育校

神田女学園×大妻中野 “多言語教育”でグローバルな視野を広げる

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先進的な多言語教育を実践する学校として知られる神田女学園中学校高等学校(以下、神田女学園)と大妻中野中学校・高等学校(以下、大妻中野)。今回は、神田女学園の校長・宗像諭先生と大妻中野の校長・野﨑裕二先生の対談が叶いました。両校の多言語教育や留学制度、また目指す女子教育について熱く語っていただきました。

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教科の枠にとらわれない多角度からの“多言語教育”

両校が力を注ぐ多言語教育。実際にどのような取り組みが行われているのでしょうか。大妻中野のフランス語の授業を見学後、宗像先生と野﨑先生に各校の実践する多言語教育についてお話ししていただきました。

「大妻中野さんの廊下には、生徒の制作物がたくさん飾られていて、伝統校の息吹を感じました」と話す神田女学園の校長・宗像諭先生
「大妻中野さんの廊下には、生徒の制作物がたくさん飾られていて、伝統校の息吹を感じました」と話す神田女学園の校長・宗像諭先生

宗像先生:大妻中野さんは本当に先進的な多言語教育を行われていますよね。フランス語の授業を見学させていただき、改めて一歩先を行く教育に感動しました。「フランス語を話す国をグルーピングし、それがどんな意味や価値をもっているのか」というテーマを扱っていましたが、生徒がしっかりとこのテーマの目的を理解していたのが本当に素晴らしいですね。ハイレベルな探究型の授業で大変勉強になりました。

野﨑先生:ありがとうございます。先ほど見学していただいたのは、中学3年生のグローバルリーダーズコース(帰国生とグローバル入試で受験した生徒のクラス)のフランス語の授業です。本校は文部科学省よりフランス語をメインとした外国語教育推進校として認定を受けています。国際教育やグローバル教育を志望理由に入学してくる生徒も多いですね。神田女学園さんでは、どのような多言語教育を行われているのですか。

宗像先生:本校の多言語教育の大きな特徴は、母語を大切にしていることです。多言語教育というと英語と第二外国語というイメージがありますが、これらを理解するためにはまず母語で考え、理解していく。そのため、母語も多言語として扱い、日本語、英語、第二外国語の3つを深く学ぶ環境を重視しています。多言語教育のベースになっているのは、「ニコルプロジェクト」という探究型の授業です。生徒が自分たちで選んだテーマを日本語で理解し、英語、第二外国語、それに付随する家庭科、情報、社会、理科などの教科でも扱うのです。教科の壁をなくし、言語を通じてつながる学びこそ、多言語教育であると考えています。

野﨑先生:探究学習の中に言語教育が含まれていて、さらに普段の授業ともつながっているという仕組みが良いですね。本校の場合は、英語やフランス語は、複言語という言葉で表現します。また、英語科という教科はなく、外国語科なのです。これは「外国語=英語」と考えていないからですね。神田女学園さんと同じく、テーマを持たせた探究学習も重視していますよ。多言語を通じて探究した内容は、文化祭と2月のグローバル発表会で生徒が発表を行います。授業だけで完結させるのではなく、探究をしたうえで発表までもっていくことが深い学びにつながりますよね。言語を学ぶだけでなく、その国の文化も一緒に学んでほしいと考えています。

「母語以外の言葉で自分の意見を組み立てるというのは、生徒の思考力をとても高めます」と話す大妻中野の校長・野﨑裕二先生
「母語以外の言葉で自分の意見を組み立てるというのは、生徒の思考力をとても高めます」と話す大妻中野の校長・野﨑裕二先生

宗像先生:生徒たちが言語を学ぶ動機が変わりつつありますよね。少し前までは「中国語が話せると就職に有利になりそう」「韓国語が話せるとかっこいいかも」などといった動機で、第二外国語を学ぶ生徒が多かったように思いますが、今は「このテーマを中国語で学んだらどんなことが見えてくるだろう」「ヨーロッパの中世史をその国の言語で理解したら、何が見えるだろう」といった知的好奇心により学ぶ言語を選択するようになってきている。もちろん、生徒がそう言った動機で動き出せるように学校がアプローチをして仕掛けていくことも大事だと考えています。

野﨑先生:そうですね。そうしたグローバルな視点は大切だと感じます。本校の建学の精神は「Arts for Humankind(学芸を修めて人類のために)」なのですが、私はこれ自体がグローバル教育であると考えています。私たちのやっている教育は、すべてグローバル教育につながっているのだと思っています。

ネイティブスピーカーの先生によるフランス語の授業の様子
ネイティブスピーカーの先生によるフランス語の授業の様子
グループごとに「フランス語が話されている国」について調べる生徒たち
グループごとに「フランス語が話されている国」について調べる生徒たち
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生徒の留学を後押しする選択肢の多さが魅力

留学制度や海外との教育提携校、また帰国生の受け入れについて詳しくお話をうかがいました。

野﨑先生:本校では昨年度、グローバルセンターという部署が新たに設置されました。専属の事務員やネイティブスピーカーを配属した部署で、複言語や国際教育の中心になる部署です。生徒の留学や海外の教育提携校など、すべてそこに集約されているのですよ。

宗像先生:学校の中に国際教育のための独立した部署があるのはうらやましいです。どこの学校もなかなかできないので、実現されている大妻中野さんはさすがだなと思いました。

野﨑先生:私たちも苦労しましたが、一つの組織に集約することで、留学先との連絡もスムーズですし、生徒はもちろん、保護者も安心して子どもを留学させることができます。本校の海外の教育提携校は25校あり、生徒の留学先はヨーロッパならフランス、ドイツ、イギリス、アイルランド、そのほかにもアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、タイとさまざまです。生徒には、日本だけではない世界を知ってもらいたいと思っています。

宗像先生:生徒が自由に留学先を選べる環境を整えておくことは大切ですよね。本校の海外の提携校も多数ありますが、その中でも、オーストラリアのマッコーリ大学と提携を結んでいて、日本語を教える教員になりたいオーストラリアの学生が教育実習生としてやってきます。また、「ダブルディプロマプログラム」(現地校のディプロマ(卒業資格)を取得できる留学制度)の提携校もあり、大学だけでなく高校の提携校や姉妹校としても広がっています。留学先には、アイルランド、アメリカ、イギリス、ニュージーランド、そしてカナダのオンタリオ州の学校から選べます。生徒が自分の英語力や何を学びに行きたいかを考え、理想の留学先を選べる環境にしています。

野﨑先生:国際教育において、帰国生の存在は大きいですね。本校では2002年より帰国生の受け入れに尽力していて、現在では全校生徒の10%が帰国生です。私たちは「海外生活は宝物」と言い続けています。「うちの子は日本人学校だったから英語はあまり話せないのですが」と相談される保護者の方がいらっしゃるのですが、英語が話せるかどうかよりも、海外で生活をしていたというかけがえのない経験や時間を宝物として、ぜひ、そういった経験に恵まれなかった生徒に発信をしてほしいと思っています。

宗像先生:育った文化は本当に宝物ですよね。本校も柔軟な帰国生の受け入れに尽力しています。学校のそばに女子寮の部屋を20室程度準備しているので、「子どもだけ先に帰国し、入学させたい」「首都圏の学校に通わせたい」「日本で学ばせたい」という保護者の方のご相談にも対応していますよ。

神田女学園の高校2年生「韓国語」履修生を対象としたオンラインでの国際交流の様子。韓国の生徒とオンラインでつながりました
神田女学園の高校2年生「韓国語」履修生を対象としたオンラインでの国際交流の様子。韓国の生徒とオンラインでつながりました
韓国の生徒とはテキストや事前に準備をした内容で会話を楽しみました。これまでに学んだ韓国語のアウトプットの機会となり、活気のある時間を過ごしました。
韓国の生徒とはテキストや事前に準備をした内容で会話を楽しみました。これまでに学んだ韓国語のアウトプットの機会となり、活気のある時間を過ごしました
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伝統ある女子教育は生徒を大きく成長させる

両校の誇る女子教育の魅力や、学校の目指す生徒像について語っていただきました。

宗像先生:女子教育校の良いところは、伝統ある学校の理念がしっかりと定まっていて、育てる生徒像にぶれがないことですよね。本校では生徒に「品格ある個人になってほしい」と事あるごとに伝えています。知識と教養を兼ね備え、自分の行動規範を持ったうえで、自ら行動ができること。これこそ品格ある個人であると考えています。そして、あえて女子といわずに個人という言葉を使っているのは、女子教育校において、女子だけの環境になったときに、生徒が一個人として自分らしく成長してもらいたいという願いからです。これらの理念は、本校の建学の精神である「誠 愛 勤 朗」にもつながっています。

野﨑先生:人として大きく成長してほしいと考えるのは共通するところですよね。本校は大妻コタカが創設した学校で、「恥を知れ」という言葉を大切にしています。これは、他人に向けたものではなく、自分を律する言葉です。また、生きるための価値観として「自立」「協働」「貢献」3つの柱を立てていますよ。そしてこれらは、本校の建学の精神「Arts for Humankind」につながり、すべてはグローバル教育に結びついているのです。

宗像先生:今回の会談で感じたのは、私がイメージする「こういう取り組みがしたい」と思うことを大妻中野さんは二歩も三歩も先を行っていて、それが理論だけではなく、教育現場に落とし込まれているということです。生徒はもちろん、先生方も目指すべき方向がわかっているこの環境が素晴らしいですね。

野﨑先生:私もお話しをしていて神田女学園さんの持つ広い視野にとても刺激を受けましたよ。女性教育校の発展のためお互いにがんばりましょう。本日はありがとうございました。

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編集者から見たポイント

英語、フランス語といった外国語を学ぶのであれば、教科の枠にとらわれずに普段の授業や探究学習と絡めて、深い学びを培おうという先進的な発想を持つ両校。国際社会に強い関心のある生徒が集う学校らしいグローバルな視野の広さが際立っていると感じました。知識として言語を学んでいくというよりも、実践的に活用する言語として外国語を身に付ける教育へと力を注ぐ学習方法は、必ず生徒たちの力になると強く思います。

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イベント日程

イベント名 日時
授業見学会 10月30日(土) 10:00~
教育内容説明会 11月14日(日) 9:00~
教育内容説明会 11月27日(土) 10:00~
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