厳しい修行を通し自分を見つめる駒込中高の比叡山研修

比叡山研修

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駒込中学校高等学校(以下、駒込中高)の人間教育の中でも、最も特徴的と言える、仏教修行体験である比叡山研修は、高校1年の生徒たちが日常を離れ、自然の中で3日間にわたり修行を行い、自己を見つめ、心を成長させる事を目的としています。今回は駒込中高の比叡山研修に編集部が同行。実際に生徒と共に体験した比叡山研修のようすをご紹介します。

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比叡山研修のねらいについて

駒込中高で社会科を担当されている藤崎先生に、比叡山研修で行われる修行についての意図や狙いをお聞きしました。

インターエデュ(以下、エデュ):僧侶の方からお話をいただく法話では、生徒にどんなことを学んで欲しいと考えていますか?

藤崎先生:比叡山研修では、駒込高校の生徒として、六波羅蜜を学ぶことを目標としています。六波羅蜜は、布施・持戒・忍辱・精進・智慧・禅定を指し、研修を通して、「これまでの自分を反省し、目標に向かい仲間と協力して進む」ことが六波羅蜜の学びであると考えます。お坊様のご法話の中にも、六波羅蜜の要素がたくさんあります。正座も大変ではありますが、集中して御法話を聴き、まずは自分を見つめなおして欲しいです。

藤崎先生
社会科の藤崎先生

エデュ:東塔巡拝ではグループで行動しますが、これにはどんな意味がありますか?

藤崎先生:六波羅蜜の最初は「布施」です。これは、「他の人の気持ちになって行動する」ことです。東塔巡拝では、グループで経路や所要時間を計画し実行します。時間通りに行動するためには、自分勝手な行動は許されません。また、山中には実際に修行している行者の方もおりますので、妨げとならないよう周囲に配慮しながら行動し、「布施」から他の六波羅蜜まで学んでもらいたいと考えています。

エデュ:グループ行動で、他者との思いやりや、協力などを学ぶという事ですね。では最後に回峰行について教えてください。

藤崎先生:回峰行は、これまで学んだ六波羅蜜の全てが詰まっています。真夜中の山道を歩く中で自分と真摯に向き合い、最後の登り坂では、仲間と協力し合いながらゴールを目指します。そこで、歩ききった達成感とともに、新たな自分に生まれ変わって欲しいです。

実際に比叡山研修のようすをレポート

ここからは実際に見学した修行のようすをお伝えします。

静寂の中独特の空気が流れる写経

延暦寺に到着した編集部が、まず見学したのが、写経です。
写経を行う生徒たちは物音ひとつ立てず、集中して目の前の文字に向かっています。空間全体が研ぎ澄まされ、独特の緊張感が伝わってきます。写経をしていない私たちも気持ちが引き締まりました。

終わった後には、生徒たちが片付けを行うのですが、集中していた気持ちが緩んだ瞬間に「周りをみて今自分に何が出来るか考えなさい!」と先生から厳しい指導が入ります。比叡山研修では、修行だけではなく、研修期間を過ごす中で多くのことを学びます。

写経のようす

非食(夕食)

食事の時間も修行の一環です。命をいただいた恩を感じる食事中は、一切の音を出すことを禁じられています。
一切音を立てず、目の前の命と真剣に向き合っている生徒たちのようすに胸が熱くなりました。

衣食のようす

食べ終わった後は、洗鉢(せんぱつ)といって器にお茶をそそぎ、沢庵1枚を箸でとり、沢庵を使って器を綺麗にします。そのお茶を飲み干して食事が終了です。僧侶の方から「ひと噛みひと噛み命をいただいている有り難みを感じながら、食事に取り組んで欲しい。」とありがたいお言葉がありました。生徒に話を聞いてみたところ、「普段何も考えずに食べているもののありがたみがわかりました。これからも感謝の気持ちを忘れないようにしようと思います。」と修行の意図がしっかりと伝わっているようすでした。

洗鉢を行う生徒

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写経や衣食時の静寂を、動画でご覧ください。

比叡山研修の集大成「回峰行」へ

最後は比叡山研修の集大成と言っても過言ではない、回峰行へ。
早朝の2時に起床し集合した生徒たちは、寝起きで気が緩んでつい私語が出てしまいますが、僧侶の方や先生が厳しく指導すると、最後の修行という事を意識したのか、顔つきがガラっと変わります。

回峰行出発前

延暦寺会館を出発し全行程約30kmの暗闇の中山道をひたすら進み、まずは下山ルートで生源寺を目指します。下山時は私語厳禁、真っ暗闇の中、生徒たちの足音と、自分の呼吸ぐらいしか聞こえません。
数10センチずれると、そのまま崖に落ちてしまいそうになる場所もある中、ただひたすらに、先へと進んでいると、自然と自分と向き合い、様々な思考が巡ります。

般若心経を唱える生徒
途中いくつかお堂にも立ち寄り、般若心経を唱えます。
明るくなる空
空が明るくなると、小鳥のさえずりや風を気持ち良く感じる余裕がでてきます。

約3時間をかけて下山し、生源寺で朝ごはんをいただきます。
生徒たちはまだまだ余裕の表情ですが、朝食の後は今回の修行のクライマックスでもある登りの行程です。

生源寺

登山道の入り口で、僧侶の方が生徒に「ここから先を登り始めたら、もう後戻りはできません。最後の修行をやりきってください。」と声をかけると、これまでの中で一番大きな声で生徒たちの返事が響き渡り、生徒たちの気合いを感じました。ここからは生徒同士で、励まし合いながら進むことが許されます。

登山道入り口

登りの山道は、下りとは比較にならないほどハードですが、友達同士で時に励ましあい、助け合いながら頑張る生徒たちの姿が印象的でした。

登山も終盤、延暦寺まであと数キロといったところで、最後の難関、急階段の連続地点が現れます。

ゴール近くの急階段が辛い

最後の山場を登り切ると、延暦寺は目の前、大鐘の音が聞こえるとついに戻って来た!と感動すら覚えます。
延暦寺の入り口が見えた時の達成感はこの修行を経験した人にしか伝わることはないでしょう。

ゴール地点
ゴールした生徒たちは、達成感に溢れた素敵な笑顔を見せていました。

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比叡山研修での修行を終えた生徒たちに、今回の感想を聞いてみました。
「坐禅の修行の時に、ついつい足を崩してしまいたくなる自分の心の弱さを知りましたが最後の回峰行をやりきることができたので、修行のお陰で、心が少し強くなったと感じました」
「日常生活の気の緩みをそのまま持って修行に参加してしまって最初は戸惑いました。辛いこともあったけど、最終的にはみんなで頑張ろうという気持ちになれました。」
「研修は私語が禁止だったり、今までの日常とはかけ離れた空間でしたが、忍耐だったり、我慢するという事を覚えることができたので、良かったです。」
比叡山研修を乗り切った事で様々な思いがあった様ですが、修行を終えた生徒たちはみんなとても清々しい顔つきでした。

ダイジェスト動画で回峰行の様子をご覧ください。

編集者から見たポイント

高校1年生は友達とワイワイしたくてたまらない時期だと思うのですが、私語なく集中しながら写経を行なっている生徒たちの真っ直ぐな姿に心動かされました。眠い目を擦りながら参加した回峰行では、何度も心が折れそうになりながらも、前を歩く生徒の背中を必死に追い掛け、登り切ることができました。
2泊3日の行程を終えた生徒たちの姿や感想を聞くと、辛いだけではなく、これから先の人生においてとても意味のある研修だったようです。
私自身回峰行の経験が、今後辛いことを乗り超える糧になると強く感じました。
仏教修行を通して人間教育を行う駒込中高の学びについてご理解いただけたでしょうか? 気になった方は是非説明会などに足を運んでみてください。

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イベント日程

実施日 イベント名
7月15日(日) 10:00~12:00 在校生主体による説明会(進行、説明)
さわやか親子坐禅体験会withネイティブの先生
7月29日(日) 9:30~、13:30~ おもしろ理科実験教室(午前・午後)
8月26日(日) 10:00~12:00 英語体験&ペッパーを動かそう(プログラミング体験)
9月9日(日) 10:00~12:00、13:30~15:30 午前:クラブ体験会:人気のクラブ集合!
午後:特色入試体験会:「STEM入試」と「自己表現入試」
9月14日(金) 18:30~19:30 【駒込Café -夜の説明会-】
校長・教頭と座談会喫茶しながらお話しましょう
10月27日(土) 10:00~12:30 秋の給食試食会

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